マルドゥック・ヴェロシティ〔新装版〕 1 (ハヤカワ文庫JA)

  • 早川書房 (2012年8月24日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (352ページ) / ISBN・EAN: 9784150310776

作品紹介・あらすじ

その傑作以前を描く虚無の物語、新装版で登場戦地での悲劇に苛まれる男と、万能兵器として開発されたネズミ。ふたりを待ち受けていたのは、あまりにも壮絶な運命だった──。

みんなの感想まとめ

戦争と平和の境界を問いかける物語が展開され、登場人物たちの深い絆と成長が描かれています。特に、ボイルドとウフコックの関係性が中心に据えられ、ボイルドの過去や内面の葛藤が明らかになることで、彼の人間性が...

感想・レビュー・書評

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  • マルドゥック・スクランブルの続編です。
    ボイルド推しなのでずっと気になってはいたのですが、死んじゃったのに過去とかみても辛いだけじゃないか……となかなか読めずにいました。

    ……さっさと読んでればよかった!
    すごい面白いです!!

    ボイルドに合わせてか文体が独特なのでちょっと読みづらいですが。

    マルドゥック・スクランブルのボイルドは感情の起伏もほぼなくターミネーターみたいでしたが、まだ虚無に支配される前ということで人間みがあって素敵。
    几帳面で真面目、仲間思いのいい人です。
    恋人いたんだ……そりゃいるよね。
    ウフコックをこんなに大事にしているのに……この後を考えるとつらい。

    戦争や薬物は人を狂わせますよね。
    覚醒剤でハイになって仲間の上に爆弾を落とした快感が忘れられず苦しむボイルドがつらい。
    ウフコックに素直に話してたら変わってたのかもしれないけど性格的に絶対話さないだろうなぁ。

    とにかく2が楽しみです!

  • マルドゥックスクランブルより前の話。
    ボイルドが戦地において友軍への誤爆という罪を犯したのちに研究所に収容されていた。そこで出会った知能を持つ万能兵器であるウフコック。研究所は戦後の影響で三つのグループに分かれることに。

    ボイルドが、このあと、どう虚無の世界へ向かっていくかの導入部だった。

  • ウフコックとボイルドの話。 この時点では、ボイルドがウフコックのことを大事に思っている状態。

  • 前作の前日譚.ウフコックがボイルドと組んでいた頃の,退廃世界が描かれる.軍の研究所により生み出された生体兵器達が,09政策によりその存在意義を取り戻す.しかし,それは世界にとって平和裏な方向性なのだろうか.第三者たる読者が,ディストピアの中で生体兵器の存在意義とは何なのかを突き付けられ,戦争と平和の定義,あるいは境界を考えてしまう.

  • スクランブルにおける圧倒的ラスボス、ボイルドが虚無に呑み込まれていない頃。心に潜む巨大な闇と対峙しながら、己を律し、仲間を気にかけ、ウフコックを大切に扱う姿に胸が締めつけられる。眠ら(れ)ない身体、フラッシュバックするビジョン。小さな金色のネズミが救いであり、全てを見透かされる故に恐怖でもあったのだなあ。自分の傷を突きつけられる鏡は恐ろしく、また好きな相手に恥じている部分は見せたくないよね…。

    ウフコックはめちゃくちゃキュート。人間の感情や社会構造についてスポンジのように学習する、まさに成長期という感じ。パートナーとしてのボイルドへの信頼と、周りに「必要とされたい」という欲求が純粋で、幼くて、なんともいじらしい。
    スクランブルでは、バロットという不安定な主人公を支え・導く役割を担う頼りがいのあるネズミだったから、可愛い1000%な姿を見れるヴェロシティは素晴らしいでしかない。この先を考えると少し辛いけど…09の仲間たちは最後どうなるのか…

    特殊能力持ちがバンバン出てくる楽しさがあり、全員に悲惨なトラウマがあるにはあるがスクランブルより陰鬱な雰囲気は薄めで(そうか?)、とっても面白いです。仲間と連携する貴重なボイルドが見れて興奮するし、気弱なドクターがこれからどう変わっていくのかも気になる。
    また、ボイルド視点だからか文体が箇条書き(?)のようになっている。ト書きのような。独特で最初はびっくりしたけど、慣れると頭の中で映像が紙芝居のごとくパッパッと切り替わり、それが地続きになって面白い。臨場感があってバトルシーンに向いてる。

    ボイルドとウフコックの過去が濃密に読めるヴェロシティ。スクランブルが好きだった方は必読だと思います。

  • マルドゥックスクランブルにも登場したボイルドというキャラクターの過去の物語。
    ボイルドとウフコックの関係を見ている笑っちゃうけど、じりじりと悲しさも湧いてくるのが辛いね。
    ボイルドの一人称視点の文体はスプライトシュピーゲル感あってエモい。

  • 前作で命を落とした男、ボイルドが主人公です。
    なので時系列は前作の前。

    彼は味方を殺したがために
    研究所に入れられました。
    そして致命的なヤク中でした…

    「かつてウフコックのパートナーだった」
    前作のあの恐ろしさとは違った
    パートナーを悪辣な実験から救うその行動は
    まさに信頼していた者同士の行動です。

    そしてところどころに前作の伏線が出てきます。
    この時系列からもあのヤバイ野郎は
    暗躍していたわけです。
    そこの描写はグロなのでまじめに注意。

  • 再読。奇妙な文体だが、慣れると体現止めのスピード感が心地良く、意外にサクサク読める。思いがけず前向きな展開に驚くが、それが崩壊することを『スクランブル』を読んで知っているので苦しくなる(特に、ボイルドに全幅の信頼を寄せるウフコックを見るのが辛い)。猟奇的なシーンもあり、全体的にかなり陰鬱。個性豊かな登場人物達が楽しい。

  • 再読。
    なんだろ初めて読んだときの方がドキドキした気がする。
    この巻では異能バトルが本格的に始まらないからだろうか。
    終盤になるにつれて戦いが壮絶になっていくので、まあ仕方ないのかもしれない。
    とはいえウフコックの悩む姿はとても愛くるしく、ボイルドの静かな狂気も不穏でよい。
    久々にみんなに再開した感じ。

  • 素晴らしい。

  • 文体はボイルドの客観的かつ冷酷な視点を表現しているのかと思ったが、他の方のレビューを読んでクランチ文体というものだと知る。なるほど。しかし作品にマッチしている。

    映像的に目まぐるしく展開していく疾走感あるアクションが楽しい楽しい。ボイルドのチート能力っぷりは『スクランブル』でよく知っているが、彼の鉄壁のメンタルがまだ築かれていないあたりが不安を醸す。限りなく強いはずがどこか危うく、一歩間違えばすぐに誰かが死んでいきそうな雰囲気。先が楽しみ。

  • 冲方的クランチ文体初体験。素地があったおかげか意外と馴染みやすい。字コンテ的な?感じか。テンポがとても良くなるが、想像力が追いつかない時もある。

  • マルドゥックスクランブルよりもこっちの方が好きかも?

    ハードボイルドな刑事ものっぽい感じが良い
    フライト刑事はマット・デイモンにやってほしい(笑)

  •  マルドゥック・スクランブルより以前の話。そのときのボイルドとイメージが違った。

  • マルドゥック・スクランブル以前の話。ボイルドが主人公の一大絵巻。
    展開の速さがいいテンポで進む。なかなかの序盤ですよ。

  • マルドゥック・スクランブルの前日譚。なぜボイルドはあのように変わってしまったのか、ウフコックとの間にかつてあった絆は何だったのかが語られる。色んな能力者が出てくる、少しSF的なジョジョのように読める一方、ストーリーはかなり残酷で暗い。そして前日譚であるために、救いがないことも分かっている。

  • ■マルドゥック・ヴェロシティ1 ★★★★☆
    星は衛星を束ねながら回転し進む。
    美しく、煌々と輝きながら。

    (以下抜粋。○:完全抜粋、●:簡略抜粋)
    ○お前は不確定要素に心を砕きすぎる。
     二分後のことに集中して、二分前のことを忘れろ。(P.229)

    ○「俺も、だんだんと人間の機微について理解が深まってきたと思わないか?」
     「ああ。ひやっとする。」(P.276)

  • マル・スクのあの戦いを終えたボイルドの一人語りから始まるマル・ヴェロ。

    ウフコックとの出会いから紡ぎだされる。切り刻まれる文章はボイルドの切り刻まれたあるいは切り刻んだ記憶なのか。人なのに、どこかロボット的な無機質な感じが雰囲気を出している。

    ボイルドたちの有用性の証明がメインテーマではあるものの、ゴッドファーザーのような血族のゴタゴタさが絡み、きな臭さと生臭さが入り混じった奇妙なにおいがする。

  • 異能者の繰り広げる戦いはアメコミの様で大変エキサイティングなのだけど、ボイルドのウフコックへの依存やウフコックの自身の有用性への渇望は、読んでいて痛ましい。後日譚たる『マルドゥック・スクランブル』を既読なので前者は尚更切なく、そして後者は明るい未来を約束してくれる。カウントダウンされる章は09メンバーをグラウンド・ゼロへと導くのか…。

  • 完全版ではなく、単なる新装版ではあったが、すっかり忘れていたので再読。スクランブルの完全版の時にも記載したが、やはり圧倒的にカトルカールの異形ぶりが際立つシリーズであり、それに対比する同じ生まれであるはずのO9のメンバーの健全ぶりと、特に主人公たるラスティポンプの人格が余りにスクランブルとかい離しており、序章のスクランブルの最後のシーンに至るまでの徘徊者とユニバーサルアイテムとの2マンワンセルから別離までが描かれる。再読ではあり、また結末が最初に用意されている以上、先が読めているが、フラグメンツで示された鼠の最後を推し量るためには、もう一度、復習して臨むことが望ましいだろう、何しろフラグメンツではO9と同じ技術で製造されたと思しき敵の出現が予告されているからだ

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著者プロフィール

1977年岐阜県生まれ。1996年『黒い季節』で角川スニーカー大賞金賞を受賞しデビュー。2003年『マルドゥック・スクランブル』で第24回日本SF大賞、2010年『天地明察』で第31回吉川英治文学新人賞、第7回本屋大賞、第4回舟橋聖一文学賞、第7回北東文学賞、2012年『光圀伝』で第3回山田風太郎賞を受賞。主な著書に『十二人の死にたい子どもたち』『戦の国』『剣樹抄』『麒麟児』『アクティベイター』などがある。

「2022年 『骨灰』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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