マルドゥック・ヴェロシティ(新装版) (2) (ハヤカワ文庫JA)

  • 早川書房 (2012年8月24日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (368ページ) / ISBN・EAN: 9784150310783

感想・レビュー・書評

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  • 怒涛の展開すぎて……

    ハザウェイの死に方が怖すぎてトラウマになりそう。

    ナタリアとボイルド、いい感じだなーとは思ってたけどまさか子供作るまで行くと思ってなくてびっくり。
    でもナタリアとクリストファーの死亡フラグがすごくて先を読むのが怖い。
    あれかな、彼女の死がボイルドを虚無に沈めちゃうのかな……つらい。

  • まだまだ誰が仲間で、誰が敵なのかがわからないまま、最後の抗争へと物語が加速して行った。
    カトルカールを操る真の黒幕は誰なのか。度々出てくるオクトーヴァー家の人たち。それぞれがそれぞれの野望のために動いているせいか、誰と誰が繋がっているかがよくわからない。
    また、物語の途中で出てきた「虚無」という単語。ボイルドが今のところはナタリアを通して人間らしい自分を取り戻そうとしているだけあってここからの展開が楽しみ。
    最後に連れ去られて決まったクリストファーは、これのせいで目が覚めなくなるのか。また、ショーン・フェニックスの物語がどうなるのかが楽しみ。ショーンのフルネームがわかった時はニヤッとしてしまった。彼もまたウフコックの物語にも関わっていたのか。と。ただ、スクランブルの時にそんな描写があったっけ?とも少し感じた。

  • フライト刑事の狂乱に笑ってしまった。カトル・カールの異形ぶりがおぞましい(時間稼ぎとはいえ一人ずつ順番に紹介するニコラスが無駄に親切)。ナタリア、ボイルド、ウフコックの会話に和む。あちこちでボイルドの人間らしい面が描かれ、『スクランブル』と随分印象が違うことに驚く(本作のボイルドの方が好き)。事件の背後に巨大な勢力争いの構図が見えてきて興奮する。

  • 時間の経過に対して事象が早いので,それを表現するため体言止めされた名詞・名詞句を羅列する試みは,しかし,読者が神の視座に固定され物語を読まされる行為でもあり,実験と感じる.物語の自由度を担保しつつ,高速に過ぎ去る事象を表現する方法はどこに行き着くのか.少なくとも本書の方法論は,止まった時間が離散的にフラッシュ提示されるディジタル表現で,逆に没入していた物語が突如スローモーションに変わり,都度物語世界から弾かれる印象であった.

  • カタカナ名前たちが沢山出てきてあっぷあっぷし、脳内の人物相関図がカオスとなってきているが、引き続きめちゃんこ面白い。

    1番の衝撃はショーン・フェニックス。バロットのお兄さんだよね?新旧コンビがニアミスしていたことが分かる。小さな繋がりの発見にテンション上がるのがシリーズものの喜び。
    それにしても兄妹ともに搾取されまくって辛い境遇。絶望に伴う諦めに浸り切っている2人、バロットが未来でウフコックを濫用してしまうように、ショーンは自分より弱い存在を虐待している様子。バロットは出会いに恵まれて焦げつきを乗り越えていくけれど、ショーン兄ちゃんはどうなるのだろう。

    そして虚無に堕ちることが分かっている今作の主人公・ボイルド。
    まさか彼のロマンスが見れるとは思わなかった。ありがたや、ありがたや…。
    しかしナタリアの背後に迫る死亡フラグよ…。昏い傷を持つ強くて美しい女、大好きなんだけどなあ〜〜!彼女の結末がボイルドの軌道を決定づけてしまうのだろうか。お腹の子は生き残るのかな。
    スクランブルでちょろっと話された内容だと、確か麻薬絡みの事件で大学生がうんぬんかんぬん、で最終的にボイルドが暴走しウフコック達と決裂、だった気がするけど、今回の事件じゃないのか?
    クリストファーも魅力的なキャラクターなのでいつ死ぬのか(失礼)ハラハラするよ。プロフェッサーの死でドクターは覚醒するのかな、まだ太ったまま。

  • サーバーパンクは読みづらいと言われるけど
    この作品はあまりその読みづらさを感じませんでした。
    疾走感が伝わってくる文章なのも
    その一因なのかな…
    (ただし、グロいシーンは多いけどな!!)

    途中にこのご何かがありそうな意味深なシーンがあります。
    ただ、展開次第ではその後にはつながらないのかな。
    でも気になるところです。

    そしてどうやらボイルドたちが立ち向かう敵は
    何やらとんでもないことをしでかそうと
    しているようで…

    その描写がえぐいので要注意。

  • 再読。
    異能バトルも激しくなってきてええですなあ。敵の全貌も見えてきて個性的なやつらでまたたまりませんなあ。
    仲間が死んでゆくという展開も始まりシリアスみを増し、ボイルドの静かな狂気も徐々に危うくなってきて、多方面でいろいろ大変。

  • 傑作。

  • カトル・カールの面々の描写に吐き気を催しそうになるほどの。敵味方、というより誰が敵なのかも味方なのかもわからず、またその有り様も目まぐるしく入れ替わっていく怒涛の展開。先が読めなくて終始興奮する。

  • さらに残酷で救いがなくなっていく第二巻。能力者対能力者の対決が描かれるので、一見マンガっぽいが、ハードボイルドや暗黒小説の方が近い。
    主人公の行動と共に、徐々に真相が明らかになったり、すぐに闇の中に消えたりするところが、チャンドラーのようなハードボイルドのように読める。

  • 欠けたピースが埋まらない。
    ボタンを掛け違えているか。

    (以下抜粋。○:完全抜粋、●:簡略抜粋)
    ○四人一組が三つ。おおよそ指揮官を含めて最適な部隊人数(P.150-151)

  • ボイルドたちが巻き込まれた案件は彼らの有用性を図るというテストという軸に、オクトーバー社一族の世代交代という軸、マルドゥック市をリビルドするややこしい陰謀という軸という三本の軸が複雑に交錯した織物というか。はたまた、魔女の作り出す得体のしれないスープというか。

    で、ハードボイルドとサスペンスとバイオレンスが入り混じり、チャンネルの合わせどころか見つけにくい。あえてわざわざ混線している作り方をしているのが冲方印というもいうが、若くてあざとくて青い。

  • 出てくるわ出てくるわ、とんでもない奴らが。一歩間違えばギャグにしかならない魔改造。「ブルブルブル!」なんて、声に出して言ったら恥ずかしいよ。エルピー・プルならまだしも…。そしてナタリアの様な女性はどうしてこうも魅力的なのだろうか。容姿は考慮しないとして、壮絶な影を背負っているから?それでも尚希望を持って生きようとしているから?いずれにしても皆の未来が開けていればいいのにと願わずにはいられない。

  • 新装版で再読。結局、忘れいているので、読み返しながら思い出すということで読み進む。段々と思いだしてきて先の結末が読めているので、残念ながら初読よりは楽しみが少ないのは否めない。そういった読者側の事情はさておき、相変わらず、敵役のカトルカールの圧倒的な迫力には魅了される。ありとあらゆる障害を乗り越え、圧倒的な戦意を前面に押し出し、なおかつ、セリフが各々のキャラクターを彷彿させながら迫りくるのは本当に素晴らしい。また新装版の表紙カバーで描かれているメンバーの顔も素晴らしい、1巻がボイルドで3巻ウフコック、間の2巻がカトルカールで、09のメンバーでないことからも、本作がボイルドの話でありながらも、同時に彼らの話であることが端的に伺われる。

  • 表紙は今回の悪役、カトル・カールの面々。
    …ちょっと少ないけど。

    話が転がって行ってたのが、
    スピードが徐々に増してる感じの2冊目。

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著者プロフィール

1977年岐阜県生まれ。1996年『黒い季節』で角川スニーカー大賞金賞を受賞しデビュー。2003年『マルドゥック・スクランブル』で第24回日本SF大賞、2010年『天地明察』で第31回吉川英治文学新人賞、第7回本屋大賞、第4回舟橋聖一文学賞、第7回北東文学賞、2012年『光圀伝』で第3回山田風太郎賞を受賞。主な著書に『十二人の死にたい子どもたち』『戦の国』『剣樹抄』『麒麟児』『アクティベイター』などがある。

「2022年 『骨灰』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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