マルドゥック・ヴェロシティ(新装版) (3) (ハヤカワ文庫JA)

  • 早川書房 (2012年8月24日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (368ページ) / ISBN・EAN: 9784150310790

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

独特な体言止めの文体が特徴的で、まるでスピーディーな音楽を聴いているかのような感覚を味わえる作品です。暴力や退廃、虚無といった厳しいテーマを一気に吸収し、読者は茫然自失の状態に陥ります。最終巻では、前...

感想・レビュー・書評

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  • 面白すぎてページを捲る手が止まらず寝不足。

    O9はボイルド以外みんな死んじゃうんだろうなと思ってたけど想像よりも色々壮絶だった。
    これはボイルドじゃなくても虚無に走りたくなるわ……

    ナタリアが酷い死に方しそうで怖かったけど思ったよりずっと穏やかな最期で泣いた。

    ウフコックへのボイルドの思いでまた泣けて。

    まさか大勢シザースがいたとは……
    でもシザースになったおかげでボイルドはナタリアと再開出来たんだろうし、娘ちゃんともコンタクト取れるだろうしちゃんと復讐も果たしたしでハッピーエンドと言えなくもないのかな。
    フリント結構好きだったのにたいして掘り下げもなく死んじゃったのが残念だった。

    凄惨な描写が多くて読んでて辛かったけどすごく人間をちゃんと書いてるというか、テーマがしっかりしている感じがした。
    あとがきの作者の執筆時の状況がまた壮絶。

  • 序盤の戦闘シーンでは心臓を少しずつ締め上げられるかのような息苦しさを覚えた。イースターがスタイルを一新した経緯に胸が痛む。カトル・カールとボイルドとの因縁とクルツの裏切りがショッキング。ワイズとボイルドとの会話に息が詰まる。後半では虚無に堕ちるボイルドを見たくなくて、続きが気になるのに読み進めたくない気持ちにさせられた。明かされる真相はこれでもかというほど醜悪でおぞましい。ボイルドが好きになった。奇抜な文体も内容とマッチしていて良かった。

  • めちゃくちゃ面白かった…!
    最後まで読み切り、登場人物ほぼ全員が死んでしまったことを思い、ちょっと笑ってしまった。読んでいる最中は悲しいのだけどね…

    ボイルドがいかにしてあんな怖い男(スクランブルのボイルドは本当に圧倒的だった)に至ったのかを、知れた気がする物語。
    魅力的な主人公だった。壮絶。おまはん、1人で全てを背負いすぎや。私はこのシリーズで、ディムズデイル=ボイルド大好き人間に生まれ変わりました。
    最後までウフコックのことを考えていた描写が切ない。ドクターにも「ウフコックの側にいてやってくれ」と言っていたんだね…

    次作ではシザース、ボイルドの娘がキーになるのかしら。頭おかエリート一族・オクトーバーの血筋は完全に死に絶えたのか?ワクワクが止まりません。

  • 09法案をめぐる都市での対立。ボイルドが虚無に落ちるまでを描く。ナタリアの証言により明らかとなったオクトーバー一族の陰。そして、そのために次々と命を落としていく09メンバー。

    都市によって殺されたと言える最愛の女性と仲間たち。それに抗うことができずに虚無へと落ちていったボイルド。ウフコックを眠らせることなく一緒にいたならば、またちがう展開もあり得たのではないか。と悲しくなってしまう終わり方だった。

    マルドゥックスクランブルでは、イースターが最期の事件を簡潔にバロットに聴かせていた(事件関係者を片っ端から殺していった、と。)が、やはり、見方を変えればボイルドの行動も致し方ないところがあったのかな、とも思えた。

  • 体言止めの独特な文体がくせになる。もはや文章を読んでいるというより、スピーディーな音楽を聴いている感覚に。あまりにも酷い暴力、退廃、虚無を一気に吸収し、ちょっと茫然自失になる読書体験ができる。

  • もうちょっと、登場人物の特徴とかまとめて欲しかった。
    登場人物が多すぎて、最後にどうしてこうなったかみたいな説明があったのですが、わからん!
    でも、次も気になるからこのシリーズをまた読むと思います。

  • 傑作。俺にとってなぜこんなにもおもしろいと思えるのかを、これまた素晴らしい霜月蒼の解説を読むことで納得できて、2重に満足。最高。

  • 2巻までの疾走感が加速度を増して“墜落”へと至るヴェロシティ最終巻。SFもハードボイルドもまだまだ初心者の自分への佳き入門編であるマルドゥックシリーズ、スクランブルの前日譚であるヴェロシティは、自分をこの物語に惹き込んだスクランブルへと至るものとして十分に楽しめた。とはいえ、都市の拡がりを感じさせる「登場人物」の多さに苦戦。最終巻では物語の収束がやや駆け足気味で把握に苦戦。読後に残る疲労感は、物語の余韻だけではない。しかしこの疲労感を引き摺りながらも今すぐスクランブルシリーズを再読したくなる。
    面白かった。

  • ■マルドゥック・ヴェロシティ3 ★★★★☆
    ゆっくりと、力強く、黒く塗りつぶす。
    まるで何も無かったように。
    否、白でもう一度描けることを祈って。

    (以下抜粋。○:完全抜粋、●:簡略抜粋)
    ○時間の長短による認識差異の問題だ。
     動物的な認識において破壊は短時間で収束する現象だが、
     植物的な認識でとらえても同じものだということがわかる。
     二年間にわたって樹木が
     コンクリートを破壊し続ける様子を撮影したものを、
     一分間に縮めて見てみたまえ。明らかに爆弾と同じだ(P.100)

  • 良心を殺させないために眠らせた。しかし結局別離せざるを得ず、且つ敵対することに繋がる…。ウフコックにとっては自身の有用性を認め正しく利用してくれる人物であればボイルドではなくても良かったのかもしれない。でもボイルドにとっては……。シザースを始め多くの伏線は『~アノニマス』で再登場となるのか?そして『~スクランブル』の完全版もすぐに読みたくなる。

  • 今回の新装版、表紙が変わっただけじゃなく、
    本文も少しだけ手直ししてるみたい。

    前に読んだ時よりもスピード感が増してると思ったら
    最後に解説か何かでチラっと書いてた。


    ボイルドが何故、ウフコックやイースターと別れたのか、
    何故、オクトーバー側についたのか、
    スクランブルとちょっと繋がってない部分もあるけど、
    彼の死は、必然であり、ウフコックらが知る必要のない
    真実を自分が抱えて行く覚悟もあり…

    ただひたすらに、胸が引き裂かれるかのような
    痛さを感じる物語。出来たらこのままで
    ハリウッドで映画化してくれへんかなぁ…

  • 人は誰しも自身の「有用性」を証明するために奔走する。
    そんなことを意識させられる小説。

  • P265
    「そうでもせんと、お前、全てが終わった後で、自分の頭をその銃で吹っ飛ばしかねん様子だぞ、ボイルド」

    フライト刑事とボイルドの関係で、マルドゥック・スクランブルのバロットとベル・ウィングの関係を思い出した。よき理解者であり、先生と生徒であり、友人でもある温かい繋がり。ボイルドが自身を虚無に委ねてしまってからも〝爆心地(グラウンドゼロ)〟へと向かう速度を度々緩めてくれたフライト刑事は、ボイルドの人生にとってウフコックと同様、揺るがない良心であったと思う。

    ヴェロシティを通して好きなシーンは沢山あるけれど、『マルドゥック・ヴェロシティ(新装版)(1)』で、ラナがボイルドの胸ぐらをつかんでキスをするシーンと、続く会話もそのひとつ。
    この瞬間に恋愛的な要素でときめいた訳では無く(というか、そういった表現は求めていません)、ラナがオードリーのことを想ってした行動の真っ直ぐさに痛みと優しさを同時に感じて、強く印象に残りました。
     ―ラナはボイルドの胸ぐらをつかんでキスした。相手が受け取るにせよ受け取らないにせよ、とにかく渡しておかなければ気が済まないというようだった。そしてすぐに顔を離して言った。「今のは、オードリーのためにしたんだ。あたしが、どうってんじゃないんだ。オードリーの代わりに、あの子がしたかったことをしたんだ」(P269より)―
    (中略)
     ―そこで初めてラナがこちらを見た―微笑/絶望を乗り越えた者の生命感。「オードリーが言ってくれたんだ。その悪夢は、どうせあんたがその両手で自分の頭を吹っ飛ばすまで続くだろうねって。それであたしは、なんでか知らないけど安心した。気が楽になったんだ。なんでだと思う?」
    「オードリーは、お前自身に、お前の中の悪夢を摘出させたんだろう」(P271より)―

    ヴェロシティのラストはボイルドが〝重力(フロート)〟を収縮させ、自身を炸裂させることで終結している。ラナがオードリーの言葉で気が楽になったように、ボイルドもまた炸裂によって、自身で自身の悪夢を終わらせた。シザースの役目もあるので偶然と言うべきなのかもしれないが、オードリーの言葉をなぞる結果となったことは、彼女への追悼になったのではないだろうか。

    そして、最も好きなシーンはO9メンバーが街に出て来て間もない頃の、チンピラに絡まれても動じずにやり過ごすシーン。ほんの数行のシーンだけれど、第一級の忍耐を見せてくれたクルツとオセロットの渋さに痺れた。この一人と一匹にはずっとずっと相棒で居て欲しかったなあ(:_;)

    ヴェロシティ(新装版)(3)のカトル・カール戦、P45〜P48にかけてのレイニーとワイズの動きもめちゃくちゃcoolで印象に残っています。オセロットがいるように見せかけ、ワオーンと鳴きまねをしながらニヤリと笑うワイズの行を読んだとき思わず自分もニヤッとしちゃいました笑
    ワイズは容姿について特に記述が無かったと思うので頭の中でシーンを再現するのが少々難しかったですが、良いポジションのキャラクターだったなあ!と思います。


    マルドゥックを初めてシリーズで読み進めたとき、ヴェロシティがボイルドの物語だと分かった瞬間とてもはしゃいだ気持ちになったのを覚えています。再読する度にもやはり、冲方氏がこのシリーズにおいてボイルドという男とO9のことを深く知るためのプロセスを設けてくれたことに嬉しくなりますし、なにより何度読んでもおもしろい!!大好きな作品です。

  • 本編マルドゥック・スクランブルの前日譚である本物語は,人の本質から切り離せない他者との争いと,その結末である虚無を描く.群体としてのヒトという知的生命体の終末はディストピアである,と提示しておき,本編の後日譚で救いの物語が展開される予兆という布石に,果たしてなっているのか?少なくとも現時点では,マルドゥックシリーズは,いずれの物語も救いも希望も無い世紀末的世界観が展開され,テーマの行き着く先が判らない.救いがあることが物語の完結条件ではない,という主張なのかも知れない.

  • どうしてボイルドはパートナーであるウフコックの
    絆が切れてしまうことになってしまったのか…
    決定的な裏切りが彼らの間にあったことに
    他ならないんですよね…

    そう、お察しの通りボイルドはウフコックを
    「強大な兵器として活用」したあげくに
    身勝手な行動をとってしまったから…

    だんだんと破滅への道へと向かう09のメンバー…
    そしてついぞ残ったのはボイルドのみへと…

    ちなみにある出来事、
    少しだけ覚えておいてください。
    まだ連載中の次作のキャラクターが
    ほんの少し出てきます。

  • 体言止めが多くて、小説としてはとても読みにくい。マーベルの映画にすれば面白いかも。

  • 第二部最終巻。書かれた真相が、ハードボイルド小説のようだった。同じシリーズでも、各部によって全然違う構成を作れるこの作者はすごい。
    あらかじめ救いのないことが分かっている結末に向けて、凄いスピードで進んでいく最終巻だった。面白かった。

  • トップギア/加速度最大。
    マル・ヴェロ3は誰にも止められない転がる石たち。どこへ?奈落の底へ?天国への階段を?

    怒涛の展開で広げた風呂敷をたたむのは、冲方氏の手癖か。

    ボイルドの有用性は果たして彼の望むものだったのか。

    後味はよくはないものの、悲哀を含んだギャング映画のような物語。どことなく、ゴッドファーザーを彷彿とさせられる。

  • 新装版で再読。最終巻は疾走感が失速気味。カトルカールも最初の圧倒的な戦意から、本巻の09の反撃シーンでは生彩を欠く。再読ではあるが、殆んど忘れていて、なおかるスクランブルも完全版を再読しておきながら、また忘れているので、マノニクスに繋がるであろう各作品の細かい人物関係や伏線を読み説きながらであり、再読は再読なりに楽しめた。新装版ということで完全版の様な書き直しはないのかと思っていたが、文体は手を入れているらしいが、まあ正直、分からない。新装版の表紙の登場人物の挿絵が良いが、3作の鼠の相方は誰かと思いが、シザースの娘か?でも、2巻のカトルカールの顔が一番良い。それにしても話を忘れているので、本作はスクランブルの前日譚でありながらも後日譚であったことなど、すっかり忘れていた。拷問の司祭と固ゆでとの結末がシザースに用意されていたのかと改めて感心。シザースはスクランブルではなりを潜めているが、マノニクスでは登場することが約束されているが、どのような結末を迎えることになるのか、全く先は読めない。

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著者プロフィール

1977年岐阜県生まれ。1996年『黒い季節』で角川スニーカー大賞金賞を受賞しデビュー。2003年『マルドゥック・スクランブル』で第24回日本SF大賞、2010年『天地明察』で第31回吉川英治文学新人賞、第7回本屋大賞、第4回舟橋聖一文学賞、第7回北東文学賞、2012年『光圀伝』で第3回山田風太郎賞を受賞。主な著書に『十二人の死にたい子どもたち』『戦の国』『剣樹抄』『麒麟児』『アクティベイター』などがある。

「2022年 『骨灰』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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