華竜の宮(下) (ハヤカワ文庫JA)

著者 :
  • 早川書房
4.11
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本棚登録 : 465
レビュー : 56
  • Amazon.co.jp ・本 (458ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150310868

作品紹介・あらすじ

青澄は、アジア海域での政府と海上民との対立を解消すべく、海上民の女性長・ツキソメと会談し、お互いの立場を理解しあう。だが政府官僚同士の諍いや各国家連合間の謀略が複雑に絡み合い、平和的な問題解決を困難にしていた。同じ頃"国際環境研究連合"は、この星の絶望的な環境激変の予兆を掴み、極秘計画を発案する-最新の地球惑星科学をベースに、この星と人類の運命を真正面から描く、2010年代日本SFの金字塔。

感想・レビュー・書評

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  • 上田早夕里さんの描く世界は、最後にあなたなら、どうする?どうしたい?どうするべき?と問われているような感覚に陥ります。だから、物語の中で読み手の私は決着がつかないのです。この先の未来の行く末は、あなたたちが選択するのです……と言われているようで。

    まだ『破滅の王』と、この『華竜の宮』しか上田さんの作品は読んでいないのですが、この2つの世界はそんな風に胸にどっしりしたものが流れ込んできて、私はもがき苦しみます。それでも上田さんの世界は、苦しいだけの世界ではなく、水面はキラキラとしていて美しく、希望の光が水底まで差し込んできてくれます。
    絶望的でそれでも美しい世界なのです。
    そして、その中では人間はいつも愚かで、ちっぽけな存在です。

    『華竜の宮』では、人類が滅亡するかもしれない、そんな絶望的な状況が迫っているにも関わらず、人々は争いを続け、各国の政府は利権を得るために簡単に人の命を見捨てます。そんな人間に対して、何ものにも囚われない地球や自然は猛々しく牙を剥きます。更にこの世界には獣舟、魚舟などの異形のものが人間の手によって生み出されています。

    今、何と戦うべきなのか。答えは簡単なのに、それが何故こんなに難しいことになるのでしょう。
    結局どれだけ手を尽くしたところで、地球は滅亡するのかもしれないし、人類は絶滅するのかもしれません。
    それでも、最後まで懸命に人々は生きていく姿を上田さんは見せてくれます。
    「彼らは全力で生きた。それで充分じゃないか」
    と。

    • nejidonさん
      地球っこさん、こんばんは(^^♪
      なかなかハードな作品のようですね。うーん、私もどうしたら良いのか分かりません。

      ところで、本棚を非...
      地球っこさん、こんばんは(^^♪
      なかなかハードな作品のようですね。うーん、私もどうしたら良いのか分かりません。

      ところで、本棚を非公開に設定しました。
      タイムラインというものにどうにもこうにも疲れてしまって。
      ずっと悩んでいたのですが、ひとりコツコツと記録する方を選びました。
      せっかく仲良くして下さったのに、申し訳ありません。
      でも、これからも時々のぞきに来させていただきますね。
      これまでありがとうございました。
      2018/12/06
    • 地球っこさん
      nejidonさん、こんばんは。
      nejidonさんの素敵なレビューが読めなく
      なるのは、すごく寂しいです。
      でも、nejidonさん...
      nejidonさん、こんばんは。
      nejidonさんの素敵なレビューが読めなく
      なるのは、すごく寂しいです。
      でも、nejidonさんのお気持ちもよく分か
      ります。何だか、心が疲れた時とかザワ
      ザワと落ち着かない時なんかは、特にそう思います。
      でも、nejidonさんいつでも覗きに来てく
      ださいね。とはいえ、ほんとムリしない
      で下さいね。
      心が疲れると本も読めなくなっちゃいますから。
      本が好きって気持ちだけで、nejidonさん
      と繋がっている……そう思えるだけでいい
      のですから(*^^*)
      2018/12/06
  • この世界観は初めて。ハリウッド映画か、スピルバーグか…本を読んでこんなに見たこともない映像が自分の頭の中に広がったこと、なかったかも。新しい読書体験でした。とんでも映像の中に、青澄やツキソメをはじめとする登場人物やアシスタント知性体が、しっかりと生々しく生きているのがいいなぁ。終盤、ユズリハの中で繰り広げられたアクションなんか、もう手に汗握って読んでました。マキ好きだ。夢をつなぐあの終わり方、好きだ。

  • ホントに面白いSF小説だった。これほど重厚で考えさせられるSFエンターテイメント大作を読ませてもらったのは久しぶり。

    人類があと数十年で滅亡するかもしれないという状況で人々はどうやって生きるのか?

    そんな究極の状態でも各国陣営は自分たちの利益をいかに守るか、そして自分たちがいかに生き延びるかということに汲々とする。
    このお互いの腹の探り合いや政治的駆け引きの描写は行き詰まるものがある。

    本書では日本はアメリカを中心とした国家連合ネジェスの中に含まれているが、いざという時にネジェスが本当に日本を救ってくれるかは分からないという状況。これは現在の日本の状況を皮肉的に描いているのだろう。

    主人公である日本の青澄外交官のひたすら普通に人々を救うのだという生き方は共感できるし、他の官僚の「もう自分は十分に生きたから何もしないで死を迎える。その方が楽だ」という考え方もやむを得ないだろう。

    ただ、青澄外交官に家族がいた場合はどうだろうか、ここまで自分を捨てて人に尽くすことができるだろうか。子供や孫に普通の生活をさせたい・・・普通の生活がダメなら、せめて生きながらえさせてやりたいと思うのが人間だろう。
    ただ、それが人間の外観を失ってまでそうしたいかって考えると、う~ん、難しい。

    地球環境が激変し、全人類が滅びた場合に備え、人間の元となる生物的な種を深海に仕込んでおいて、将来、地球環境が好転し、何百年後、何千年後、何万年後かに、その生物が進化していき、もう一度人間になるのを期待するとか・・・もう、壮大過ぎて・・・うっとりとしてしまう(笑)。

    本書では地球環境激変開始までの40年くらいが端折ってあるが、そこは続編『深紅の碑文』『リリエンタールの末裔』で楽しもう。

    それにしても「L計画」って凄まじい。人間をそんな風にしてしまうなんてね。
    続編では青澄外交官やツキソメは出てくるのかな。人工知性体のマキのその後も気になる。オーシャンクロニクル・シリーズ、さらに楽しませてもらおう。

  • ドキドキの展開。この駆け引きは見逃せない!!
    どうなるの??ってグイグイひきこまれました。やっぱりすごいこの世界観。
    『死ぬのを見るために、産み育てたわけじゃない。』
    当たり前のことなのに忘れがちになる親心にも、そうだよなぁと素直に共感しました。

  • 壮大な話のようですね!

    早川書房のPR(単行本)
    「 陸地の大半が水没した25世紀、人工都市に住む陸上民の国家連合と遺伝子改変で海に適応した海上民との確執の最中、この星は再度人類に過酷な試練を与える。黙示録的海洋SF巨篇!

    ホットプルームの活性化による海底隆起で、多くの陸地が水没した25世紀。未曾有の危機と混乱を乗り越えた人類は、再び繁栄を謳歌していた。陸上民は残された土地と海上都市で高度な情報社会を維持し、海上民は海洋域で〈魚舟〉と呼ばれる生物船を駆り生活する。
    陸の国家連合と海上社会との確執が次第に深まる中、日本政府の外交官・青澄誠司は、アジア海域での政府と海上民との対立を解消すべく、海上民の女性長(オサ)・ツキソメと会談する。両者はお互いの立場を理解し合うが、政府官僚同士の諍いや各国家連合の思惑が、障壁となってふたりの前に立ち塞がる。
    同じ頃、IERA〈国際環境研究連合〉はこの星が再度人類に与える過酷な試練の予兆を掴み、極秘計画を発案した――。
    最新の地球惑星科学をベースに、地球と人類の運命を真正面から描く、黙示録的海洋SF巨篇。」

  • 読み始めたら終わりまでやめどきが見つけられない
    それくらい続きが気になるストーリーでした
    海洋生活のリアリティが溢れています
    アニメでガルガンティアみたいのがありましたが、あれが好きだった人は絶対に気にいると思います

  • ものすごく壮大な物語だった。壮大すぎて、読むのに2週間もかかってしまった! そして、まさかの二段組み!

  • 再読。
    つらい記述が多くて、もう少しこう、とか思うけれども、、
    一生懸命生きたい思いを、揺り起こす力を感じるなあ。

  • 上官のところに書きます

  • 数世紀後の未来,海面の上昇によって平野部の大半が水没した世界.水上都市の官吏,主人公青澄が担当した事件は,水没世界を分割支配する各勢力の思惑をよそにやがて人類の運命を左右する大変動へとつながっていく.危機を目の前にして「外交力」により運命を切り開こうとする主人公.遺伝子工学,情報工学の発展によるSF要素がちゃんとSFっぽく説明されている.ドゥーガル・ディクソンの著書「マン・アフター・マン」や,眉村卓氏の「司政官」シリーズも再読したくなります.

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著者プロフィール

兵庫県生まれ。2003年『火星ダーク・バラード』で第4回小松左京賞を受賞し、デビュー。2011年『華竜の宮』で第32回日本SF大賞を受賞。同作は「SFが読みたい! 2011年版」国内篇第1位に選ばれ、『魚舟・獣舟』『リリエンタールの末裔』の各表題作、『華竜の宮』の姉妹編『深紅の碑文』と合わせて《Ocean Chronicleシリーズ》と呼ばれ、読者からの熱い支持を集めている。近著に『妖怪探偵・百目』シリーズ、『薫香のカナピウム』など。

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