Running Pictures: 伊藤計劃映画時評集1 (ハヤカワ文庫 JA イ 7-4)

著者 :
  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (307ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150310912

感想・レビュー・書評

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  • 恥ずかしながら伊藤計劃氏の作品を読むのはこれが初めて。映画批評だが面白かった。自身では批評ではないと書いているがそこら辺の批評やレビューよりずっと信頼できる。2巻も楽しみ。

    • 5552さん
      こんばんは。
      談話室でお世話になってる5552です。
      chikako0420さん、この本読まれたんですね!

      はじめて読んだときには...
      こんばんは。
      談話室でお世話になってる5552です。
      chikako0420さん、この本読まれたんですね!

      はじめて読んだときには熱くて濃いレビューばかりの伊藤ワールドにどっぷり浸かり、読了後も放心状態でした(笑)

      彼がもういないこの世にいない人で、もう映画も見れない、小説も書けないのが不思議でとても悔しく、悲しかったのを覚えています。
      一冊でファンになってしまいました~。

      好き嫌いが激しい人だな、とも思いましたが、それもまた伊藤レビューの魅力かと思います。

      でもウェブでの評論も小説群も読んでないのですが...。

      今ごろ二巻目を読んでいるでしょうか。
      レビューでも書きましたが、もっと彼の評論読みたかったです。っていうか自分は読めなくてもいいから映画見せてあげたかったな~。
      あんたは彼のなんなんだっという自分つっこみが入ったのでレビューには書かなかったんです(--;)でもま、いいか、と。

      それではお邪魔しましたー。
      2017/12/01
  • 伊藤計劃氏の映画批評。エッセイに近いラフな調子でぐいぐいと進んでいく。口調は軽快ですが、映画への思い入れや知識、監督や役者の個性やカラーまでを熟知して書かれる批評は絶品。一般的には駄作と評されるような作品についてもだめな部分は明確にしつつ、それでも愛すべき箇所を伊藤氏しか書けないだろう視点で書いているところには、映画という文化、媒体そのものへの愛を感じました。

    そのかわり、世間では名作と呼ばれているようないくつかの作品は容赦なく喝破されていましたが…笑

    ほんとうに早逝が惜しまれる人、というのは伊藤さんのような人なのだと思う。生きていたとしたら今の世界、映画をどう観てどう論じたのだろうか、そんなことばかりが頭をよぎりました。

  • 著者独特の視点から映画を語った、映画への愛情あふれるエッセイ。

  •  伊藤計劃三冊目。
     デビュー前に「スプークテール」という著者自身が運営していたウェブ・サイトにアップされた映画に関するレビュー全51作をまとめたもの(「今月のまとめ」としてまとめて紹介された作品も勘定にいれた)。
     僕自身はそれほどに映画に詳しくはなく、かといって全然見ないわけでもない、まぁそこそこ映画好きな人間、ってところだろうか。
     本書に掲載されている51作品のうち、22作品は劇場、あるいはDVD等で鑑賞済。
     決して多い数字ではないだろうけれど、「映画に全然興味ないもんね」と胸を張って言える(?)には多い数字だろう。
     僕としては、映画のレビューを読みたい、というよりも、あれだけの面白い作品を作り上げることが出来た人間が、どんな映画を観て、どんな感想を抱いたのか、に興味があった。
     なるほど、と思ったのは、物語の流れだけでなく、一つ一つのカット割り、場面構成、オブジェ、建物、シーン全体に漂う雰囲気、そういったものにかなり強い視点を当てて映画を観ているなぁ、ということ。
     そういった本流(物語)以外の、本流を支えている重要な要素にきちんと目配りが出来る、ということが彼の小説世界を支えている要因の一つなのかも知れないなぁ、と思った。
     そういえば彼は武蔵野美術大学の出身。
     だから美術的な要素に神経が向かうのかも知れない。
     ちなみに武蔵野美術大学の少し東には僕が卒業した中学校が、少し西には僕が卒業した小学校と高校があり、昔はよくこの美大の文化祭に遊びにいっていた(こう書くと、ネットで検索すればすぐに「あ、この学校か」と判ってしまうだろうなぁ)。
     映画レビューにあまり視点を置かずに読み進めてはみたものの、何作かはぜひ見てみたい作品があった。
     1998年~2000年にかけて上映された映画が紹介されているので、今ではDVDやブルー・レイで観ることになるのだろうが、伊藤計劃氏が語っている「ここでやっているのは映画批評じゃなく、読んでくれた人を映画館へ誘導すること」という彼の目標は、少なくとも僕に関しては達成されている。
     映画ファンがこの本をどう読むのか、また伊藤計劃ファンがこの本をどう読むのか、僕には想像出来ないが、そこそこ映画ファンであり、遅まきながら最近やっと伊藤計劃ファンになった僕は、予想以上に面白く読み進めることが出来た。

  • 映画評にいきつくまでの、キャスト紹介・ストーリー・関係者話もろもろのウンチクやら派生話がごちゃごちゃしていて、それがとても鬱陶しくておもしろい(笑)
    自分にとってそれは、伊藤計劃氏との出会いでもあり、また急逝した友人ヲタクとの再会にも感じたからだった。

    エンターテイメントでなければ映画ではない!と主張し、お金を払って見た者しか評せないような奔放なことばで映画を語っていた友人が亡くなって、約2年。
    彼が亡くなってぽっかり空いていたこころの空洞を、静かに満たしてくれる。そんな大切な一冊にもなった。

  • 伊藤計劃さんの映画評本。

    『エヴァより〜』とか『エロゲーのシナリオより〜』の様に
    作品を褒めるのに他の作品を引き合いに出す言い回しが気になる

    『君の言いたい事は良くわかる!
     でもそういう言い方は良く無いよ!』と…

    共感できる部分も含めてなんか我を見ているようで
    読んでて気恥ずかしい一冊;


    しかし、『ガメラ3』や『ファイトクラブ』
    『プライベートライアン』等の絶賛評を読んでると、
    伊藤計劃さんが『キック・アス』を、『電人ザボーガー』を
    『ウルトラマンサーガ』を、『バトルシップ』を
    『サマーウォーズ』を『おおかみこどもの雨と雪』を観ていたら
    何と書いたのだろう?
    きっと彼も気に入ったんじゃないだろうかと思うのだ。


    伊藤さんの時は映画評を書いていた時に時間が止まっていて、
    伊藤さんの時間はもう動き出す事は無い。

    そう思うと、毎日毎日、新しい映画を浴びる様に観られる事って
    何て幸せな事なんだろう、それだけで人生には生きる価値があると思えるのだ。

    いつか僕の時間が止まって、新しく生まれでる映画を
    観る事もできなくなる時がくるのだろうけど
    その時はあの世で同じ作品を愛した者同士、
    伊藤さんと映画の事を語りながら杯を酌み交わしたいと思えた一冊だ。

  • 伊藤計劃 の作品が大好きなので、映画評というのも読んでみたくなったので。

    評論文もとてもおもしろかった。
    収録されている映画は見たことのないものがほとんどだったけど、実際に映画を見たくなった。
    作者の目的が完全に果たされている…。
    映画好きだというのも、ばしばし伝わってきた。
    どんなジャンルの文章でも読ませる人だったんだな、と改めて感じた。

  • 映画がより面白くなった

  • ホームページに連載していた映画時評を二分冊にまとめたものの一冊目。名作以上に「とんでもない作品」に対する筆者の愛情が感じられて面白い。

  • どんな形であれ彼の言葉を読めることは嬉しい。そしてこれを読むと無性に映画が見たくなる。すごいことだ。
    同時に死後公開された多くの映画を「ああ、この人ならどう評しただろう」と思わずにいられない。それを二度と目にすることができないのが残念だ。

著者プロフィール

1974年東京都生れ。武蔵野美術大学卒。2007年、『虐殺器官』でデビュー。『ハーモニー』発表直後の09年、34歳の若さで死去。没後、同作で日本SF大賞、フィリップ・K・ディック記念賞特別賞を受賞。

「2014年 『屍者の帝国』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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