ヘンたて 2: サンタクロースは煙突を使わない (ハヤカワ文庫 JA ア 7-2)

著者 :
  • 早川書房
3.30
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本棚登録 : 268
感想 : 33
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  • Amazon.co.jp ・本 (284ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150310998

作品紹介・あらすじ

幹館大学ヘンな建物研究会、通称「ヘンたて」に所属する亜可美は今日も個性豊かな仲間と活動中。なぜか同行した先輩のシューカツ先は床が芝生のパター製作会社、サークル幹事長が代替わりしての初遠征はまさかの卵とじ密室と、今回もヘンな建物てんこ盛り。そして伝説の4年生も合流したクリスマス合宿の舞台は、雪の結晶型コテージ。星の輝く夜に仕掛けられたサンタクロースの完全犯罪とは?好評建物ミステリ第2弾。

感想・レビュー・書評

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  • ちょっとキュンとするミステリー。特に4つめは、こんなミステリーがあってもいいよねって思う。
    タイトル通りどこかでクリスマスにでもドラマにしないかな。

  • ★ヘンな建物で綿密な計画を(p.283)
    5つのポイント
    ・ヘンたてそのものよりそれをつくった人のおかしさをもう少し強く感じられれば…。鰺村先輩言うところの「現出」ではなくそれに「指向性」を与えた「現出者」ってこと? たとえばTV番組「マツコの知らない世界」が、おそらくはテーマそのものよりもその話題を持ってきた「人」の奇妙ぶりを楽しむことがメインなように。方向性はすごくおもろそうなんやけどどこかちょっぴりだけ惜しい感じのするシリーズです。
    ・ヘンたてに建物としての面白みがあまりないので「人」のヘンさも目立たなくなっているのかも。リアルだけど、どこかがズレてるという感じの建物がいいんではなかろうか、と。サグラダファミリアとか栄螺堂とか投げ入れ堂とかみたいに。
    ・純粋に「ヘンたて」と言えそうなものは少ないかもしれません。
    ・噂の四年生組三人ついに登場。
    ・水槽が迷路を作っている別荘(これはヘンたてというよりヘン部屋かも)/全フロアが人工芝パターゴルフ場になっている社屋(これはヘンたてというよりは恐ろしくヘンな会社です)/卵形キッチン密室くす玉割れ事件(イベント用やからなあ、なんでもありかと)/六角形のコテージ中央のクリスマスツリーのてっぺんにあった星がサンタに盗まれた(これは多少ヘンたてっぽいですがトリックそのものは解けました)。

    ..■幹館大学ヘンな建物研究会についての簡単なメモ
    【第一巻 一行目】居酒屋ってこんなところなのだろうか。いや、違うと思う。
    【第二巻 一行目】九月。/ 前期試験がいくつかあって、成績処理のための十日くらいの微妙な休み。

    【上梨田誠士郎/あがりた・せいしろう】四年生(七年次)。「ヘンな建物研究会」の創設メンバーの一人。「やりたいこと」を探し七年次まできてしまったようだ。福島県の高級温泉街の旅館の息子。旅館は女将である母と、妹で仲居頭の江美(えみ)が切り盛りしている。とあるできごとの後シューカツを始めた。
    【鰺村弘志/あじむら・ひろし】三年生。他大学(日本で最もランクが高い大学)の三年生。農学部。左門の知己らしい。「現象学」を実践しようとしている。《ヘンな建物それ自体は「現出」にすぎない。僕はその対象に人間だけが持ちうる「志向性」を通して「現出者」を知覚する実践を目的として参加しているんだ。》p.115。いつも赤いダッフルコートを着ている「赤ずきんちゃん」。なぜそうなのかはいずれわかるのでしょうか? 高所恐怖症。スマホでなく二つ折りのケータイを使っている。実家は山口。
    【伊倉星加/いくら・せいか】文学部一年生。活発なタイプ。高校時代は音楽活動をしていた。なかなかハードな恋愛経験がある。髪の一部をブルーに染めている。
    【カルーアミルク】ヘンたて研究会御用達の居酒屋「Roman Weekday」で亜可美が出会い気に入ったお酒。みんな平気で酒飲んでます。未成年なのに。といってもぼくらも高校時代から酒もタバコもやってましたけど。当時はそれが当たり前やった…
    【殺人事件】《「ファミリー向けの殺人事件」なんて、果たしてあるんでしょうか?》第一巻p.321
    【左門玲助/さもん・れいすけ】三年生。意識してジョン・レノンに似せているらしい。「ヘンたて」や「トマソン」をこよなく愛す。いつもカメラを持っている。ヘンたてにはものすごく関心を示すがその謎についてはまったく関心がない。
    【鈴木善文/すずき・よしふみ】一年生。天パ。冴えない感じ。家は金持ち。「本格カレー」を作るのと映画が好き。
    【仙田青理/せんだ・あおり】国際教養学部四年。旅行代理店への就職を決めている。カワイイ系の外見だが男勝りのさばさばした性格で四年生三人のまとめ役のようだ。
    【トマソン】なんでそこにそんなかたちで存在するのか意味不明のあれこれのこと。「超芸術」とも言うらしい。かつて大物大リーガーという触れ込みで某金持ち球団に入ったがせいぜい(当時の)日本の中堅どころといった能力な感じでベンチを温め続けたプロ野球選手の名にちなんでいますが、気の毒やなあとずっと思ってました。成績の善し悪しなんて勝負の世界のつきものやし。と言いつつトマソン本持ってたりしますが。
    【中川亜可美/なかがわ・あかみ】国際教養学部一年生。視点役の主人公。すぐ泣く。
    【バゲットサンド】学生ラウンジでいつも亜可美たちが食している。
    【ヘンたて】「ヘンな建物」の略。
    【紋郷優作/もんごう・ゆうさく】教育学部四年。埼玉県の美術館で学芸員をすることになっている。背が高く体格がよい。冬でもタンクトップ。ニックネームは「モンゴ」。おっとりしていてメンタルは弱いようだ。
    【槍佑人/やり・ゆうと】法学部四年生。細身イケメン。チャラい感じ。方向性は上梨田に近い。ITベンチャーへの就職が決まっている。ニックネームは「ヤリユー」。
    【Roman Weekday】研究会メンバー行きつけの居酒屋。映画「ローマの休日」の「スペイン階段」にちなんでおり、階段だけが存在している。元はジェラート屋。

  • メインの1年生3人が妙にリアルに無個性というか地味で、逆に他の先輩たちはみんながみんなライトノベル的な個性を持った特徴的なキャラクター。その辺のバランスが悪いと感じた。

  • 寿司ネタ名前は健在、4年生三人の烏賊尽くしにはすでに登場人物紹介の時点で笑ってしまいました。ヘンたてとしてはシリーズ最初の方のトマソンを扱っている方が楽しかったかな。今回のパターゴルフと卵は正直…。でも、ふわんと優しいサークル内の人間関係が読んでいて幸せで、ラストのサンタクロースの犯罪はその点でもとても好みでした。最後の話でようやく全員が揃っていますが、このシリーズ、なかなか全員が揃わないのがちょっと物足りないことのひとつでもあります。

  • 登場人物が増えての 2 冊目。
    もちろん、ヘンな建物が出てくるんだけれど、それよりも恋愛小説的な側面が印象に残った感じ。
    推理小説的なところは、ぶっちゃけもうどうでもいいかもしれない。(^^;

  • 水槽の迷路の別荘、全フロアゴルフパターな会社
    卵祭りの村に、サンタが誰だか分からないクリスマス。

    建物の見取り図がついていても、謎なヘンたて。
    言われて納得、な別荘に、涙のパター会社。
    卵祭りは、言われてみればその通り! な話。
    黄色の事ばかり考えてしまいました。
    この時点で、策にはまってる?w

    サンタの話は、されたら驚きと嬉しさがあるかと。
    しかしこの話を成立させたのは、誰なのでしょう?w

  • 2017/01/02

    王道でなおかつ人が死なないハッピーエンドな話ばかり

  • 前作の続き。

    亜可美と鈴木くんがどうなったのか気になっていたから、
    続きがあって嬉しい。

    水槽迷路、オフィス丸ごとゴルフコース、卵形キッチン、六角形のコテージ。
    今回もへんな建て物満載。
    それにまつわる謎も、気軽に楽しめるもので、大変読みやすかった。

    六角形のコテージで4年生が登場し、サークル全員揃う。
    個性豊かな登場人物たちと、建て物も泊まってみたいなと思う作りで、
    一番最後が良かったな。

    連体感、恐るべし。
    これぞサークル。いいな、楽しそう。笑

  • 今回もぶっとんだ建物群。
    そして前回は出てこなかった濃いキャラの先輩トリオ。
    ・・・前回もちらっと思いましたが、全員名前はすしネタからでしょうか。そうすると上梨田先輩だけネタではないように思うんだけど(^_^;)
    亜可美ちゃんは天然なくせにヘンに鋭くて可愛い・・・。

    カバーデザイン / 川名 潤(Pri Graphic inc.)
    カバーイラスト / pomodorosa(ろさ)

  • 変な建物をめぐるサークルのへんたてシリーズ第2弾。そんなばかな、という建物が出てくる。まだ続きそうだ。

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著者プロフィール

1980年千葉県生まれ。2009年『浜村渚の計算ノート』で第三回講談社birth小説部門を受賞しデビュー。「ブタカン」「西川麻子」「猫河原家の人びと」などシリーズ多数。2019年刊行の『むかしむかしあるところに、死体がありました。』が各ミステリーランキングや書店年間ランキングにランクインし、本屋大賞にもノミネートされた。

「2023年 『あかがみんは脱出できない(1)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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