見晴らしのいい密室 (ハヤカワ文庫JA)

  • 早川書房 (2013年3月22日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (288ページ) / ISBN・EAN: 9784150311056

作品紹介・あらすじ

物理的に実行不可能な密室殺人に、時空を超える論理で挑む表題作など奇想ミステリ7篇

みんなの感想まとめ

物理的に実行不可能な密室殺人をテーマに、時空を超える論理で挑む奇想ミステリ短編集です。各短編は、メタ世界や仮想現実、量子論といったSF的要素を巧みに取り入れ、ユーモアと緻密なロジックが絶妙に融合してい...

感想・レビュー・書評

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  • 2024年3月27日読了。密室で発生した不可能犯罪に唯一無二の論理的な解決を与える探偵∑の活躍(?)を描く表題作など、メタ世界・仮想現実・量子論などをベースにしたSF短編集。グレッグ・イーガンのような生真面目なSFもいいが、この著者のような「誤ったロジカル」というようなすっとぼけた感覚もこれはこれで唯一無二のものではあるまいか?どの短編も意外とロジカルで不条理には感じず面白いが、ありがちなコンタクトSFと見せかけてひねってみせる『囚人の両刀理論』の展開と畳みかけるオチがとても好み。『探偵助手』の短編ならではの仕掛けの面白さや、ラストの『予め決定されている明日』の、真面目なんだかアホなんだか、笑えばいいのかゾッとすればいいのかわからない読後感もいい。充実の短編集。

  • 後半のSF4編が素晴らしい。
    観測不能の侵略者との戦いがスリリングな『忘却の侵略』が特に面白かった!

  • ”探偵助手”の行間にQRコードが仕込んであって、読まなくても支障ないんだけれど、貧乏性なのでスキャンせずにはいられなかった。速く読めなくて面倒くさーーいと思っていたら・・・。


    QRコード部分は読まなくても支障ないんだけれど、オチがQRコードの中にあってひっくり返りました。
    えええええっ!?なんじゃこりゃーっ!


    QRコード部分読まないと、別の小説になっちゃうと思います。
    支障ないけれど、二通りの読み方ができます。やられた!

  • 各話どれもしっかりと世界観が作り込まれていて、楽しく読みやすかった。

    笑えるオチだったのは「忘却の侵略」
    主人公があれこれ必死で考えて好きな相手や世界を守ってたところ、肝心の好きな相手はちゃっかり物理で殴って侵略者を倒しているのが笑えた。(これも主人公が侵略者を「地球人で倒せる相手」に確定してくれたからかもしれないけど)
    見えない侵略者を観測して正体を確定出来た主人公が、好きな人の心の内は長い年月が経過しても分からないままなのも良かった。



    好きな話は「囚人の両刀論法」
    どうなれば利他的社会を形成できるのか、それが形成された結果どうなるのかの1つの答えとして考えさせられるものがある。
    利他的とは利己的とは何かっていうことについて登場人物達の語りが面白かった。

  • 小林泰三さんらしく軽快かつ煙に巻かれているような会話劇と綿密なロジックが両立しており、素晴らしい短編集だった
    お気に入りは「忘却の侵略」と「未公開実験」
    「忘却の侵略」は一種の能力バトル物のような展開で、青春らしいラストも良
    反対に「未公開実験」はコミカルな掛け合いとは裏腹に少しヒヤリとさせるラストが印象深く、作中だけでなく現実の我々へ想起させるものがあった

    「探偵助手」のとあるギミックは、こちらの問題なのか正しく機能しなかったためご注意

  • QRコードだけやけに見覚えがあったけど前に読んだのか?記憶になかった、何度も楽しめてたらラッキー

    タイトルに密室って入ってたからミステリ期待したけどどっちかといえばSFに軸があった。

    ・見晴らしのいい密室
    表題作になるほど?読者視点では外の世界も二次元だからそんなに面白くなかった。夢オチは好き。
    ・目を擦る女
    気味が悪くて好き。何周目の伝染なのか?
    ・探偵助手
    あやこじゃなくてぶんこ!?ってなるの楽しくて可愛い。QRコードが印象的。
    ・忘却の侵略
    切ない恋愛モノと異星人とのバトルが両方楽しめてお得。記憶喪失物うますぎる。
    ・未公開実験
    ターイムマスィーーン
    ・囚人の両刀論法
    他者を信じすぎても侮りすぎてもいけない……
    ・予め決定されている明日
    意思によると思うこともこの本を読んだことも決まっていたのか??最後にふさわしくて読後感がよかった。

  • すごく理屈っぽい星新一。

  • 他の本と併読しようという腹づもりで読んでいたのだが、どの篇も多彩な表現やロジックで魅了してくるためそれどころではなかった。

    まず、すぐに世界観を把握させるのが上手いと思う。ああ、そういうことねとその篇の世界のルールを頭から諒解させられるので、物語がすっと頭に入ってくる。
    実際に話す時もそうだが物語においても掴みは肝心なのだ。
    しかもその時点で重要な伏線を張っていることがあるので以前読んだ『玩具修理者』同様油断ならない。

    個人的に大好きなのは「未公開実験」、
    それから「忘却の侵略」「囚人の両刀論法」、「目を擦る女」
    おや大体好きだな。

    「未公開実験」は当人たちが真面目なのにも関わらずやりとりがユーモラスなところが面白い。
    "ターイムマスィーーン(ポーズ)"はもうやめろ!と思うくらいしつこく繰り返されるが真面目に呼称がポーズ込みなので何回でも繰り返されてその度に笑ってしまうし、
    丸鋸がやってみた歴史改変も渋いところを攻めているのも面白い。魏志倭人伝って。
    頭がいいのか間抜けなのかわからなくなるくらいのエンタテイメント性を感じて難しい考え抜きにおもしろかった。

    「忘却の侵略」は観測すること、しないことを巧みに選択し利用することで侵略者との攻防戦を展開させる。
    相手が記憶に残らない、つまり観測の痕跡を残さないことを逆手に取り量子力学を戦いに応用するアイデアが非常に独創的で面白いと感じた。
    本篇では古典力学的な考え方と量子力学的な考え方が分けてわかりやすく説明されており、自分は文系で理系分野にはとんと疎いのだが、それらの考え方それぞれに興味をひかれた。自分のこれまでの考え方にない考え方だったからだ。
    この作品にだけ言えることではないが、もっと勉強すればもっと楽しんで読むことができるかもしれない…知識を蓄えてまた挑みたい。

    「囚人の両刀論法」は規模が大きく、それだけでドキドキするテーマだ。
    幸福の追求は地球とそれ以外の文明にも共通するイデオロギーだった。
    やがてそれぞれの文明はその追求の手段としてまずその文明の及ぶ範囲内、つまり対内的には協調戦略をとるようになる。
    ここまでは主人公の理想とする世界だったが、それぞれの文明がぶつかり合う—対外的に協調戦略をとらぬ相手と接触したとき、文明の幸福は脅かされる。利己的な文明に相対した時には文明を守るため、幸福のため、それによって蓄えられた潤沢な資源を利用して迎撃する他なくなる。利己的にならざるを得なくなる。
    「囚人の両刀論法」を克服したかに思われた文明のどちらも、そのような結果に帰結してしまう。
    問題の克服がさらなる問題を生み出すことについて、よく考えさせられた。

    「目を擦る女」は純粋にホラー作品として面白かった。
    描写としては八美の笑顔が、八美の言動そのものが不気味で恐ろしいし、舞台設定も悪夢のようだ。
    これは個人的に感じることだが、自分以外の不可思議な存在が世界存続の命運を握っていることはなんとも不愉快だ。クトゥルフ神話的にいうとこれはアザトースの夢だな。
    ただ、人はそれぞれ主観的にできている。これが他人の夢の世界だろうが仮想現実だろうがそれがその人の現実だ。八美は八美の夢の中の操子の現実を脅かした。だから殺された。
    結果的に操子はこの夢の世界を引き継ぐ。だが夢は個々人の主観的なものであるはずなので、それを引き継ぐということはありえない。
    それがありえるなら、彼女たちは同じ夢と同じ現実を共有しているということになる。この物語上ではもしかすると、二つの世界が現実として存在しているのではないだろうか。引き継ぎが可能であるということから、胡蝶の夢という言葉を強力に突きつけられたように感じる。
    最後の操子の行動原理が私にはどうしてもうまく解釈できない。
    どちらも現実だから、操子は八美を殺してしまったことに報いる必要を感じたのだろうか。それは、夢として語られる現実を強制的に終わらせることでしかできないことだったのだろうか?これについてはまた読み直して再考してみたいと思う。

  • 私は小林泰三氏が好きなんだなぁとしみじみ思う。理屈っぽいのに可笑しくて、グロいのに、美しい。すき。

  • 初めて読む小林泰三の短編集。

    目を擦る女、から
    脳喰い、空からの風が止むとき、刻印、を外し、
    探偵助手、忘却の侵略、囚人の両刀論理 を入れたリミックス版のよう。

    ○見晴らしのいい密室

    探偵Σが事件を解決すると思いきや、脱線させてオチをつけるというパターンもの。
    解説にもあったけど、麻耶雄嵩っぽいというか。

    ○目を擦る女

    これは直球のホラーだろう。オチが強引なのと、隣の家の女性が、主人公の旦那の元妻っていうのも唐突だった。
    不都合な現実を夢と言い張る狂気に、主人公が犯されてっていうのはわかるけど、その点は描ききれていないのではないか。

    ○探偵助手

    個人的な事情として、QRコードが読み込めないよお。
    それ抜きだとしたら、語り手に仕掛けがあるっていうワンネタ。いちばんしょうもなかった。

    ○忘却の侵略

    記憶できない侵略者(仮)からの攻撃を量子力学で打ち勝つ話。
    とぼけたテンポでずっと進行するのが面白かった。
    助手に何らかの仕掛けがあるのかと思いきや。
    ヒロインとの会話も面白かった。

    ○未公開実験

    何年かぶりのに同級生に呼び出された三人のおじさんたち。
    そこでタイムマシンについての実験の話を聞かされる。
    会話が面白いのがこの作家の魅力だと思った。
    タイムパラドックスに関する論理的(?)な会話が面白い。
    軽妙で読みやすいが、オチはゾッとするものが。

    ○囚人の両刀論理

    人類が違う文明の知性体と出会う。その文明は理想郷に見えるが……。
    こう書くと王道っぽい。
    いわゆるファーストコンタクトものなのかな。
    キャラクターが立っているのも魅力的だし、会話も面白いし、オチもいい。
    エンタメ作家としての自力が高い。

    ○予め決定されている明日

    ここまで読んでいても、仮想世界ネタが多いなとは思ったけど、気にならないくらい良かった。
    算盤人は目眩しで、一方の女性のあのオチが本命の弾だろう。

  • 精密かつ奇天烈なロジックを楽しむ人向け。一部の作品はロジックが先鋭的過ぎて、ちょっと辛かった。お気に入りは「未公開実験」「予め予定された明日」のSF2編。

  • "「いったいどういうこと?」
    「何かで切られたんだ。刃物のような鋭利なものではなく、何か鉤爪のような尖ったもので、無理矢理切り裂いた感じだ。君のと同じだよ」
    「うぐわぁー」裕子は呻いた。
    「どうした?」
    「急に痛みが」
    「怪我をしたことを忘れてたから、一瞬痛みも遠のいていたようだね。ーーうぐわぁー」
    「あなたも?」
    「うん。何とか動かせるから、筋肉や骨は無事らしい」"[p.117_忘却の侵略]

    「見晴らしのいい密室」
    「目を擦る女」
    「探偵助手」
    「忘却の侵略」
    「未公開実験」
    「囚人の両刀論法」
    「予め決定されている明日」

    QRコードを読み込ませるのは面白いな。

  •  子どものころ、よく親に「屁理屈だ」とか「理屈っぽい」などといわれたが、ロジックでしか推論できないし、ロジックでしか物理的世界に働きかけることができない。ロジックこそ人間がこの世界を生き抜くすべである。
     とはいえロジックというのも使い方がある。ビンスワンガーが報告する、不治の病に冒された娘の誕生日に棺桶をプレゼントする統合失調症患者の話は、論理的に正しいことが、人間生活においては必ずしも正しくないことを示している。有用性のロジックと平行して、感情のロジックが働いているのだが、その片方しか見ないのは病的とみなされるわけである。
     他方、不完全性定理が示すように、ロジックはそのシステム内では無矛盾でも、システム内からそれが正しいかどうか検証できない。別の世界をぶつけてやれば、ロジックとロジックが衝突することも起こる。一方のロジックから見ると他方はイロジカルである。

     短編集『目を擦る女』の7編中3編を入れ替えた再編版。『目を擦る女』を読んでない私としては損はないのだが、こういう売り方には若干引っかかる。しかし、『NOVA1』で読んで感心した「忘却の侵略」が入っていたから、入手。再編の意図は同傾向の作品でまとめ直したということのようだ。酒井貞道氏によれば、それはロジックとアトモスフェアが解離した作品ということになる。すなわち、作品が論理的に整然としていることと、そこから導かれる作品世界の不条理の解離ということだろう。
     だが、それはどうだろう。論理的に整然としていること自体が不条理なのではないだろうか。

     「見晴らしのいい密室」は不可能犯罪を解き明かす超限探偵Σの推理。ロジックが世界と認識主体というところに拡張されて、推理小説としては馬鹿話になってしまうが極めて論理的。
     「目を擦る女」、隣家の女はこの現実が自分の見ている夢だという。現実はとても耐えがたいので楽しい夢を見続けるために目を覚ましたくないと目を擦る。この女が正気で、私はこの女の夢の登場人物だというロジックと、この女は妄想を持っているというロジックは2つの異なった世界認識で相互排除的、普通われわれは後者の認識を採用するわけだが、この作品では……
     「探偵助手」も2つの世界認識の相即と相容れなさが共存しているが、表面的にはいたってまっとうなミステリ。

     ロジックが綻びを露呈するのは世界と関わる点であるから、畢竟、仮想現実ネタが増えて、作者自身、仮想現実ネタばかりだと飽きられるぞ、と自虐的に登場人物に語らせているが、仮想現実ネタもヴァラエティは豊かである。
     「予め決定されている明日」では、算盤人ケムロは大勢の同僚と共に日夜、算盤とメモ用紙で膨大な計算をこなしているが、その計算により仮想現実を走らせていることに気づくというネタ。「ワンの絨毯」と同工のアイディアだが、話はイーガンとはまるで違った方向に進む。他世界のロジックはこっちの世界では狂気でしかないということ。
     「未公開実験」ではこの世界が仮想現実だと無理やり決めつけて、時間旅行を可能にしてしまうが、時間旅行ものこそはロジックの遊び場である。

     「忘却の侵略」。その攻撃を記憶に残すことができない敵と高校生が戦う話。これはミクロ世界で通用する量子論的ロジックをマクロ世界に適用するというトリックがあるのだが、そのロジックの中での敵攻略法が焦点。この主人公の思考の道筋は極めてロジカル、なので変。
     そういうロジカルゆえのおかしさって落語にも通ずるのではないだろうか。

     「囚人の両刀論法」は『天獄と地国』のスピンオフじゃないのかなあ。

     「屁理屈だ」とか「理屈っぽい」と怒る人にはお勧めしません。

  • 本当は『海を見る人』がずっと気になってるんだけど。
    解説の「一人の作家の作風全体を俯瞰できる」「入門書に最適」というのにつられて初挑戦。

    まずトップバッターの表題作に唖然。え、いやミステリだけど……あれ、SF??
    裏表紙のあらすじの煽り文句「精緻で巧妙な論理遊戯が導き出す唖然呆然の結末七編」を再度見直す。
    うん、唖然って書いてあるな。
    そして解説をよくみると、これ『SFバカ本』シリーズが初出じゃないか!納得!!

    この作品集には「探偵助手」というQR-JAM(QRコードにイラストを混ぜ込んであるもの)を間にはさんだ作品があるのですが。
    私の携帯が古いせいか、読み取れるのと読み取れないのがあり……落ちが読み取れてよかったけど、話の途中でいちいち「しょりーん」とするのはちょっとめんどくさかった(しかも延々認識中になるし)

    そしてやっぱりデビューはホラー、な描写が「うあぁ・・・!!(T_T)」

    タイトルがかっちりしたミステリっぽかったのですが、やはり転がし方がSF寄りなので(さすが阪大基礎工学院卒)、SFがあんまり好きではないミステリ好きにはお勧めできないかな。

    解説 / 酒井 貞道
    カバーイラスト / 丹地 陽子
    カバーデザイン / ハヤカワ・デザイン
    QR-JAM作成 / 萩原学(産業技術総合研究所)
    QR-JAMイラスト / 平野 美子・萩原学
    初出 / 『SFバカ本 天然パラダイス篇』(メディアファクトリー2001年11月)、「小説すばる」1999年12月号・2001年8月号、「数学セミナー」2009年4月号、『目を擦る女』(ハヤカワ文庫2003年9月)、『NOVA1』(河出文庫2009年12月)、「SFマガジン」2010年2月号。
    注記:『目を擦る女』(ハヤカワ文庫2003年9月)より「脳喰い」「空からの風が止む時」「刻印」を除き、「探偵助手」「忘却の侵略」「囚人の両刀論法」を加えたもの

  • 「探偵助手」のQRコードは面白かった。
    「忘却の侵略」は一番気に入りの、シュレディンガーの猫や波動関数収束や未知危険生命体のネタを組み込んだ淡い甘い恋物語。
    「予め決定されている明日」算盤計算でヴァーチャルリアリティを構築という逆テクノロジー設定も中々素敵。

  • これまで『玩具修理者』『海を見る人』『アリス殺し』など、一通りの作品は読んできたが、本書に収録されている物語はことごとく完成度が低い。趣味/試作で書いた作品をそのまま世に送り出してしまったようなまとまりのなさである。また、一部の作品ではギャグという新たなジャンルにも挑戦しているが、滑っている。
    古本ならいざ知らず、とても新品の値段で買うような一冊ではない。ちなみに、タイトルで誤解しがちだが、本作はミステリではなくSFである。

  • 好みじゃなかった

  • SF、ホラー、ミステリとジャンルに富んだ短編集。テーマは論理性。世界観を覆すような論理、現実を侵食する奇妙な論理、狂人の論理。様々な論理を巧みに操る奇妙な味の短編集。
    他で既読の短編がちらほらありましたが、粒ぞろいで満足。
    緊迫した状況なのにユーモア溢れる『忘却の侵略』とホラー寄りの『目を擦る女』が好み。

  • 既刊の短編集『目を擦る女』の一部作品を入れ換えて新刊のように出したものです。収録作をひとつも読んだことのない人ならまだしも、小林泰三作品をずっと買い続けているファンからすると詐欺以外の何物でもありません。小林泰三はいつかまた傑作を書くかも知れないと祈りながら駄作を買うのは甘んじて受け入れますが、読者をはっきりと欺いてきたのには驚き、呆れ果てました。

  • 「目を擦る女」からの再読が多かったですが、改めて読んでも十分楽しめました。理屈をこねるだけこねた結果、物語があさっての方向に駆け出していく感じがとっても好きです。

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著者プロフィール

1962年京都府生まれ。大阪大学大学院修了。95年「玩具修理者」で第2回日本ホラー小説大賞短編賞を受賞し、デビュー。98年「海を見る人」で第10回SFマガジン読者賞国内部門、2014年『アリス殺し』で啓文堂文芸書大賞受賞。その他、『大きな森の小さな密室』『密室・殺人』『肉食屋敷』『ウルトラマンF』『失われた過去と未来の犯罪』『人外サーカス』など著書多数。

「2023年 『人獣細工』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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