日本SF短篇50 II (日本SF作家クラブ創立50周年記念アンソロジー)

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (542ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150311100

作品紹介・あらすじ

小松左京、夢枕獏、神林長平ら70年代の作品を中心に収録。オールスター傑作選第2弾!

感想・レビュー・書評

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  • VolumeⅠがあまりに面白くてⅡも続けて読む。

    まったく経験のない山野浩一の不条理な世界も良かったし、題名しか知らなかった「折紙宇宙船の伝説」もなかなかの作品でした。でも、なんといっても圧巻は小松左京の「ゴルディアスの結び目」。昔、この連作集を読んだ時もすごいと思いましたが、今読んでも衝撃度は変わらず。連作集読み返してみようっと。

    でも、77年あたりから作品的にスルーしているものが多くなってきていました。内容的にソフトな感じのものが多くなってきているせいでしょうか?梶尾真治、新井素子など、やっぱり少し苦手。73年~76年までの作品が40歳前後の著者によるものなのに、それ以降が20歳代の若い作者の作品となっているせいかもしれません。

    いずれにしても、あらたな発見のあるこのシリーズは今後も楽しみです。

    小松左京凄すぎ!

  • 日本SF短編50(日本SF作家クラブ創立50周年記念アンソロジー)
    著作者:山本浩一
    タイムライン
    https://booklog.jp/timeline/users/collabo39698

  • 日本SF作家クラブ創立50周年を記念するアンソロジー。
    第二巻には、小松左京SFの頂点のひとつ「ゴルディアスの結び目」、
    夢枕獏の初期代表作であるロマンチック・ファンタジイ「ねこひきのオルオラネ」、
    神林長平『戦闘妖精・雪風』第一話のSFマガジン掲載版「妖精が舞う」など
    一九七三年から一九八二年に発表された全十篇を収録。
    「浸透と拡散」の時代に生まれた日本SFの飛躍をご堪能あれ。


    1973年 メシメリ街道 山野浩一
    1974年 名残の雪 眉村卓
    1975年 折紙宇宙船の伝説 矢野徹
    1976年 ゴルディアスの結び目 小松左京
    1977年 大正三年十一月十六日 横田順彌
    1978年 ねこひきのオルオラネ 夢枕獏
    1979年 妖精が舞う 神林長平
    1980年 百光年ハネムーン 梶尾真治
    1981年 ネプチューン 新井素子
    1982年 アルザスの天使猫 大原まり子 (アマゾン紹介文)

    ⅠよりⅡのほうが好き。宇宙ものが苦手だからだろうか…。
    『名残の雪』の間接的ディストピア感に眉を顰め、『大正~』にこれSFか?と首を傾げ、『ねこひきの~』の作者様に驚き(夢枕獏さん!)、『妖精が舞う』の「雪風」にこれが、とつぶやく。分厚くも満足な一冊でした。
    好みの問題ですが、『百光年ハネムーン』はどうもなぁと。大団円過ぎませんかね。

  • 第1巻がとても興味深く読めたので、こちらもわくわくしながら読み進めましたー。収録作品はこちら。

    「メシメリ街道」山野浩一
    「名残の雪」眉村卓
    「折紙宇宙船の伝説」矢野徹
    「ゴルディアスの結び目」小松左京
    「大正三年十一月十六日」横田順彌
    「ねこひきのオルオラネ」夢枕獏
    「妖精が舞う」神林長平
    「百光年ハネムーン」梶尾真治
    「ネプチューン」新井素子
    「アルザスの天使猫」大原まり子

    第1巻にも引けを取らない豪華ラインナップ!鴨的には小松左京「ゴルディアスの結び目」が収録されているだけでもぅ☆5つの価値が十分ありますが、レビュー済なので今回は省略。物語の含有するパワー、描き出されるヴィジョンのインパクトという点では、間違いなくこの巻で抜きん出てトップの作品です。

    10作品を連続して読んでみて、「ゴルディアス以前」と「ゴルディアス以降」のテイストの違いが如実に感じ取れるのが興味深いですね。「ゴルディアス以降」70年代後半からは、SFというジャンルそのものが一般社会に浸透し、敷居が低くわかりやすくなる一方でかつての熱気が薄まりこじんまりとしていく、そんな流れが肌身で感じられます。
    「ゴルディアス以降」の年代の作品も、もちろんSFとして(あるいはファンタジーとして)きちんと成立してますし、十分面白いんです。が、「ゴルディアス以前」のSFが持っていた、読後に頭がクラクラするような猛々しいまでのパワーは感じられないんですよね。これが時代の違い、というものなんでしょうかね。
    「ゴルディアス以降」で鴨的に一番インパクトがあったのは、新井素子「ネプチューン」。鴨世代で新井素子と言えば、「ロマンチックSF」とかいう今考えるとワケの分からないジャンル作家でした(^_^;が、この作品は骨太なSFで、この人こういう作品も書けるんだ!と、ちょっと驚き。骨太なSFではあるんですが、語弊を恐れずに言えば、ものすごく「オンナ臭い」SFです。正直なところ、同じメスであるところの鴨にとっても、この作品はかーなりキツいです。でも、キツいが故に、たぶんこの先も忘れられない作品でもあります。

    「ゴルディアス以前」では、山野浩一「メシメリ街道」の美しき不条理さ、矢野徹「折紙宇宙船の伝説」に感じられる土の匂いが印象的でした。「折紙宇宙船の伝説」は、野田秀樹の舞台にしっくりくるのではないでしょうか。舞台化希望!

  • 小松左京「ゴルディアスの結び目」何十年ぶりで読み返す。当時は気づかなかったが、「ダークマター」のことがさり気なく書かれてたりして、こんな昔からやっぱりすごいなーと改めて敬服。
    本アンソロジー2巻目にして、神林長平や大原まりこが登場している。自分のSF史でもNewホープのイメージだったのだが、もはやこの50年の前半の出来事なんだな。光陰矢のごとし。

  • この巻の年代は日本のSFが盛んになりはじめた頃のようです。同時に個人的には「どうも合わない」感じがして一部の作家を除いて国産SFから離れていった時期でもありました。なので知ってる作品がほとんどなく許容範囲が広がってる今は楽しめました。と同時にやっぱり「合わない」感じも少し残ってます。

    ■簡単なメモ

    [▽]1973 『メシメリ街道』山野浩一(恋人の家に行こうとした男は渡ることのできないメシメリ街道に遮られている)
    [△]1974 『名残の雪』眉村卓(タイムスリップと新撰組とパラレルワールド)
    [△]1975 『折紙宇宙船の伝説』矢野徹(村じゅうの男の慰み物になっている美しい狂女お仙とその息子の正体は?)
    1976 『ゴルディアスの結び目』小松左京(オカルト現象のエネルギーはどこからくるのか? 新たな宇宙観? 新たなエネルギー源?)
    [△]1977 『大正三年十一月十六日』横田順彌(押川春浪の走馬燈『スローターハウス5』ふう。)
    [○]1978 『ねこひきのオルオラネ』夢枕獏(クリスマスイブにオルオラネじいさんがねこをひく。本を持ってます。)
    [△]1979 『妖精が舞う』神林長平(敵機かどうか不明の機体を撃墜した零は裁判中地上勤務となった。敵は海賊シリーズは全部持ってますが、雪風シリーズは未読でした。)
    [△]1980 『百光年ハネムーン』梶尾真治(ヤポニウムにより寿命延長とエネルギー問題を解決した酷薄な経営者五堂は一族の若者により百光年先の惑星への旅に誘われた。シニカルな話になるのかなと思ってたら・・・。エマノンシリーズは全部読んでますが他の作品は数冊程度。)
    [△]1981 『ネプチューン』新井素子(汚染された海、海中のタイムトンネル、やってきた女性ネプチューンはどうやら元々人間ではなかったようだ。)
    [△]1982 『アルザスの天使猫』大原まり子(心優しき天使猫スノウ・マンと追跡者。)

  • 眉村卓「名残の雪」が素晴らしかった。歴史改変ものは楽しい。「百光年ハネムーン」もなかなか。それ以外はハマらなかった。

    山野浩一「メシメリ街道」★★★☆☆
    - 世にも奇妙な物語風のなんじゃこの世界はって言う、設定勝負系。突然現れた大きな道路を渡りたいけど、横断歩道がない。誰に聞いても教えてもらえず、「世界全体がなんか変」なやつ。

    眉村卓「名残の雪」★★★★★
    - タイムスリップものであり、ある種の歴史改変もの。顔や体に刀傷があった守衛の伊藤さんが亡くなった。伊藤さんは手記の名目でタイムスリップSFのような文章を遺していた。が、どうやらそれは本物、つまり伊藤さんはタイムスリップし、江戸時代から帰ってきていたらしい、という話。
    - 伊藤さんはかつて昭和と呼ばれた別世界から江戸時代へ行き、その後また現代(しかし昭和ではない)に帰ってきていた。終盤にその手記を読む僕が住む世界は別の世界線だったことがわかる。
    - タイムトラベルものはどうしてもパラレルワールドにしておかないと矛盾が生じるけど、パラレルワールドは一種の夢オチというか、なんでもありになってしまって、読者はガッカリしがち。そこをガッカリさせず、叙述トリック的ではあるけど、どんでん返しに使った巧みなプロット。

    矢野徹「折り紙宇宙船の伝説」★★☆☆☆
    - 作り話だとしても、障がい者をレイプするという設定が自分的には苦手。なんか話として完結しないで終わっちゃった感があったが、実際この短篇が後に長篇化されたとのことで。

    小松左京「ゴルディアスの結び目」★★★☆☆
    - エグめ怪奇SF的な感じ。頭の中に入って秘密を探る、というようなインセプションのような設定は面白いけど、グロ強め。
    - 伊藤浩司:サイコ・デテクティヴ。
    - クビチェック博士:アフドゥーム病院の院長
    - ユーイン医師:アフドゥーム病院の医師
    - マリア・K:18歳の少女。牙と角が生えている。過去に性被害を受けている。

    横田順彌「大正三年十一月十六日」★★☆☆☆
    - 死ぬ直前の走馬灯を文章にしたような感じ。場面がコロコロ変わり、人生を振り返る。実在の作家を主人公にしているようなので、ほれを知っていればもっとたの

    夢枕獏「ねこひきのオルオラネ」★☆☆☆☆
    - 猫で楽器のように演奏するライトファンタジー。

    神林長平「妖精が舞う」★★☆☆☆
    - 宇宙戦闘機ものシリーズ「雪風」の第一作(のちに長編化)らしく、かっこいい雰囲気なのだが、途中で飽きてしまった。
    - 深井零中尉は味方を撃墜した罪でジャム人と戦うフェアリィ星の地球防衛軍への送られた。
    - ジェイムズ・ブッカー少佐

    梶尾真治「百光年ハネムーン」★★★★☆
    - いい話。ヤポニウムという歴史的大発見をした五堂老人は事業で財を成し、ヤポニウムを応用した人工臓器で100歳を超えている。技術を独占する性悪じじいだが、その玄孫が五堂を百光年先の惑星旅行へ連れ出し、そこで数十年ぶりに妻と再会させ、昔の心を取り戻させるロマンス系SF。百光年先へワープし、そこから地球を覗くことで100年前の結婚式を見れるというやつ。
    - 1980年の作品ということで、アイデアはクラシックだけど、おもしろかった。

    新井素子「ネプチューン」★☆☆☆☆
    - 海に浮かんでいた裸の女性を救出したら、人魚だった。ロマンス系。つまらないのでスキップ。

    大原まり子「アルザスの天使猫」★☆☆☆☆
    - 微グロファンタジー系でスキップ

  • 2020/8/23購入
    2022/11/15読了

  • 日本SF短篇50 II (日本SF作家クラブ創立50周年記念アンソロジー)

  • 眉村卓「名残の雪」は、読んでいて漫画のJINを思い出した。幕末とパラレルワールドってそのままじゃん。
    小松左京の「ゴルディアスの結び目」はthe SFって感じでなんとなく気に入った。
    夢枕獏「猫弾きのオルオネラ」は星新一風で良かった。
    神林長平「妖精が舞う」は雪風そのものだよね。

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著者プロフィール

1939年大阪生まれ。関西学院大学在学中の1960年に映画『△デルタ』を監督。1964年に寺山修司の勧めで書いた戯曲「受付の靴下」と小説「X電車で行こう」で作家デビュー。「日本読書新聞」や「読書人」のSF時評をはじめ、ジャンルの垣根を超えた犀利な批評活動で戦後文化を牽引した。1970年に「NW—SF」誌を立ち上げ、日本にニューウェーヴSFを本格的に紹介。1978年からサンリオSF文庫の監修をつとめ、SFと世界文学を融合させた。血統主義の競馬評論家、『戦え! オスパー』原作者としても著名。著書に『X電車で行こう』(新書館)、『鳥はいまどこを飛ぶか』(早川書房)、『殺人者の空』(仮面社)、『ザ・クライム』(冬樹社)、『山野浩一傑作選』(全2巻、創元SF文庫)、『SFと気楽』(共著、工作舎)ほか。2017年逝去。没後、第38回日本SF大賞功績賞を受賞。2022年、小鳥遊書房より『いかに終わるか—山野浩一発掘小説集』(岡和田晃編)が刊行、『花と機械とゲシタルト』(NW—SF社)が復刻された。

「2024年 『レヴォリューション+1』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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