know (ハヤカワ文庫JA)

著者 :
制作 : シライシ ユウコ 
  • 早川書房
4.03
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本棚登録 : 1701
レビュー : 222
  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150311216

感想・レビュー・書評

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  • 『指先が冷たい、当たり前でしょ、死んだんだから』

    野崎まどは面白い。読めばだれだってわかる。1番稚拙な例えをするなら、西尾維新と伊坂幸太郎と森博嗣を足して3で割らなかったような作家だ。渦巻いている。均等なんかではない。溺れる夢のような現実に取り残されそうだ。死んだあとの先なんか、私は知りたくないけれど。

  • 面白かったけど、この作品の面白さを理解するには情報工学的なリテラシーが必要だと思う。
    読み味とかではなく、前提とする知識レベルで読者を選ぶ作品。

  •  超高度化情報社会が到来した近未来、人々のは自前の脳だけでなく、”電子葉”とよばれる腎臓脳に頼る世界になっていた。そこで働く優秀な官僚の御野は、かつての恩師の娘「知ル」を連れて「すべてを知る」旅に出る。

    ========================
     ストーリーは「boy meets girl」で「師匠の残した課題を解く」など王道で楽しめた。
     特に惹かれたのは「超高度化情報社会」という設定と京都という町が舞台だったこと。

    「超高度化情報社会」は歴然たる「情報格差」が存在する(作中ではレベル0-6、ヒロインたる知ルはレベル9というバケモノクラスに設定されている)。現代における「格差」は簡単に言うと「お金をどれだけ持っているか」だが、この世界では「情報にどれだけアクセスできるか」&「自分の情報をどれだけ守れるか」となっている。
     つまり、攻撃力と防御力として設定されている。
     「悪事千里を走る」とはいうが、特にネットで、高速で広がっていく情報を見ていると、情報が物理的な暴力に匹敵する様を見せつけられているような気分になる。

     私は滋賀県に住んでいて、中学・高校時代は京都に通っていた。が、どーーーーも、京都という町が苦手で、大学になってから住み始めた大阪という町の方が親和性があった。ざっくりとした理由は、京都は閉鎖的で、大阪は開放的だったからだ(もちろん、私の年齢、中高という自意識過剰で閉鎖的な思春期だったせいもあると思う)。
     ただ、30歳を超えると感じ方も変わってきて、京都という町は平面は非常に狭いけれど、古くからの文化が連綿と維持されている、ひとつの「箱庭的空間」ではないかと捉えるようになった。
     そこでは、横の広がり(物理的な空間における専有)よりも縦の広がり(時間による積み重ね)の方が圧倒的に重い。「情報」が時間に伴って積み重なっていくことが「文化」にほかならないのであれば、「情報」を扱うこのSFの舞台が京都だったことが偶然だったのか、必然だったのかが興味がある。

  • 1章の完成度と圧倒的な面白さは、他に類を見ないほどハイレベル。
    ぐいぐいと物語に引き込まれ、その「新しさ」に陶酔させてもらえる。
    特に、主人公と恩師のシーンは見事のひと言。
    個人的に、「すべてがFになる」を初めて読んだ時に感じた興奮に近い。
    それくらい、とんでもないレベルで面白かった。

    だからこそ、2章以降の展開が残念で仕方ない。
    「アスタリスク」のステロタイプすぎる造形なんて、もう。。。
    エピローグも、それほど気が利いているとは思えなかった。

    1章のテンションのまま、その鋭利で硬質な世界を紡ぎ切ることができていれば。
    たぶん、SFの世界に新たな金字塔を打ち立てることが出来たと思う。
    そのくらい、1章の素晴らしさは、ちょっとどころじゃなく群を抜いている。
    ああ勿体ない。勿体なさ過ぎるなあ。

    著者に、恐るべき才能があることは間違いないと思う。
    いつかきっと、とんでもない物語を世に放ってくれると信じたい。

  • 面白くて一気に読んだ。伊藤計劃『ハーモニー』の延長にある物語。

  • 電子処理副脳が義務化されるほど普及した超高度情報社会下に
    量子処理を行えるすーぱーヒロインが大降臨
    というお話
    量子副脳なら現在の充分な情報で高精度未来予測もできるらしい
    ムジュンとかラプラスとかそういう次元じゃないんである
    中編くらいの素材をはったりかまして
    語り手にやっぱり天才すごい言わせているだけのような気もするが
    娯楽作品としてはなんら問題ない

  • 小説

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  • 面白かった。。。
    文学のコンテンツとしての本質は読む快楽にある。ハイカルチュアがサブカルかどうかということも関係ない。SFはバロックだ。
    ダイナミックで、精緻で、シンプルであった。語られていたことを思うと、ぼーっとしてしまう。

  • ネットと脳がつながる未来の「知る」ことの意味(『know』書評・ネタバレ)
    http://hiah.minibird.jp/?p=2157

    ***

    佐々木俊尚著『ウェアラブルは何を変えるのか?』で情報材の紹介として挙げられていたが、長くない小説だったが素晴らしい一冊だった。
    脳がインターネットに接続された未来、というと想像が難しいけれども、いくつかの制度を盛り込み、現在の延長として、しかし現在とは全く未来として描いていた。この矛盾のなさは巧みだと思った。
    「謎」の誘導とピンチの演出も素晴らしかったと思う。

    何より素晴らしかったのは物語のテーマ。電子葉を持った人間社会、という未来を描写するだけでもおもしろかったが、それはあくまで背景設定で、テーマはきちんと用意されていた。
    まずは「知る」ということがどう変化していくのか。検索できることは知ることではない。では自分で考えたことが知ることの気がするが、それはどういうことなのか。そこに禅問答を突っ込んできていて、深みを出していた。

    結局のところ「知ること」とは「生きること」と道義であり、その姿勢が問題となる。ではゴールは「全てを知る」ことになるはずだが、普通は不可能だ。ところがクラス9の知ルはそこに近づきうる。高度な未来予測や死者の「想像」はその過程で魅せる現象に過ぎなかった。
    「脳は情報の圧縮装置」であるとして、最終的に知ルは全治を得る。全治の先に何があるのか、ということを、情報の圧縮臨界を物質の圧縮臨界(=ブラックホール)をアナロジーとして、そして古事記の神話や「覚悟」の話、すなわち知のは死までのものであるという禅話をアナロジーに、まさかのオチを持ってきていた。

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著者プロフィール

『[映]アムリタ』が第16回電撃小説大賞《メディアワークス文庫賞》を受賞、同作品にてデビュー。『know』が第34回日本SF大賞にノミネート、『バビロン』がTVアニメ化。ほか、TVアニメ『正解するカド』、劇場アニメ『HELLO WORLD』の脚本も手がけるなど、多方面で活躍中。

「2019年 『舞面真面とお面の女 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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