know (ハヤカワ文庫JA)

著者 :
制作 : シライシ ユウコ 
  • 早川書房
4.03
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本棚登録 : 1696
レビュー : 222
  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150311216

感想・レビュー・書評

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  •  2081年、国民の脳に「電子葉」を移植することが義務付けられ様々な情報に瞬時にアクセルすることが可能になった日本。日本の情報庁で働く連レルは情報コードの中に恩師であり行方不明となった研究者道終の残した暗号を見つける。

     今まで読んできた野崎作品と比べるとギャグの部分はないものの、SFの世界観、設定としてはしっかりと作りこまれていると感じます。

     他の野崎作品と共通しているのは、主人公が天才に導かれて(振り回されて)今まで見たことのない世界の一端が垣間見えるように思えることではないでしょうか。凡人である自分も主人公大変だな、と思いつつも、天才と共に知らない世界に近づいていく主人公がうらやましくもあります。

     そしてオチのヒネリ具合がいいですね。道終から預かった少女の命令で連レルはお坊さんの話を聞きに行ったり、御所に潜入したりと、目的が見えないまま振り回されるですがその最終目的はとんでもないところに…やっぱり野崎さんは一筋縄ではいかないですね。

     エピローグはとても意味深。人類は果たしてそんな極致にたどり着けるのか。知りたいような知りたくないような…

  • 近未来情報社会はこうなっているのか?と考えるような作品でした。私たちは武力というと重火器や機械(ロボット)などを想像しがちですが、実際の世の中では情報を握っていることが強さになってきています。発電所などのインフラがクラッキングされた事例もありますし、これが核のボタンになる場合もあると思います。もしくは、ターミネータのような殺人系のロボットは情報技術の塊です。そう考えていくと、近い未来の戦争は物理的な能力ではなく、電子的な戦争になるような気がします。そんな近未来社会の1つの形を思わせられました。

    恋愛面もありますが、私にはそれはあくまでも1つの要素で、情報技術のあり方が一番のグッときました。

  • 未来のイメージが感覚にベストマッチ。先生が再現されたところは鳥肌だったなー。死を知ろうとするという方向もセンチメンタルで魅力的だったけど、なんというか収束ではなく拡散していく物語がみたいなと思う。この話で言うとエピローグの先かな。でも来るべき世界の物語だし、僕には書けないので満足の☆5です。

  • うわー、理解が及ばない。すごい パワフルな物語だった。想像力に挑まれてました。

    <欲望>はどこまでも人類のエンジンである喜ばしさと、まだこの先を目指す<欲望>が続く貪欲さに眩暈が止まりません。ブラーヴォ。

  • ついに野崎まどがハヤカワで出したか…ずっと待ってた…。


    今までは「意識」をメインテーマにして、潜在的なSFをメディアワークスで出していたのを、話の根幹からSFにすることでハヤカワらしい作品に仕上がっています。


    その反面、ライトノベル的な軽妙なやり取りが大きく減っていました。最後に御野の「ミアという若くて出来る女性がいて」という台詞に三縞が情報庁を退庁してアルコーンに来たというくだりくらいか。


    ただ、このままハヤカワで出して、もっと知名度が上がるのが1番だと思うので、ライトノベル色が薄れるのは寂しくもあり、嬉しくもあります。


    内容に触れれば、構造的にはパターンだった「女性に振り回される男性」は変わらない印象。こちらの方が動かしやすいんですかね。

    あと読んでいてそこはかとなく感じたのは、エルフェンリート(漫画)を思い出したこと。特にクラス6の男と対峙するシーンはまさにそのものだったかと。

    道終•常イチが復活することで、死後の世界の情報を知るという流れになると思いながら読んでいました。しかし流石野崎まど、情報のブラックホール化によって最高の情報状態、走馬灯状態を自ら創り、また医療対応状態で死ぬことで帰還の用意もしておく。そんな想像など及びつかない。


    もっと野崎まどのハヤカワから出る作品を読みたいですね。

  • 野崎まどさんは個人的に大注目している作家です。アニメ『正解するカド』で大ブレークする、かと思ってたんですがあれは後半で失速しましたね。残念。

    『野崎まど劇場』なんていう狂った短編集を出したりしてますが、本作はわりとまっとうなSF。タイトルどおり、知ることとはどういうことかを追求した作品です。
    知ることを極めたとき、人は死の限界を超えるのかもしれない……。

    相変わらずふざけたところもあるので、生粋のSFファンからは嫌悪されそうですが、私は野崎まどさんのことを、「キャラの書けるグレッグ・イーガン」だと思っています。


    ちなみに正しい表記は『野﨑まど』です。一発で変換できるように、みなさん単語登録しましょう!

  • 正解するカド以来の野崎まど
    SFみが凄い好き

    主人公が官僚なのは彼あるあるなのかもしれん
    未知との遭遇と人類の進化も彼あるあるなのかもしれんね

    そこまで長くないし、文章の加速度がすごい

  •  超高度化情報社会が到来した近未来、人々のは自前の脳だけでなく、”電子葉”とよばれる腎臓脳に頼る世界になっていた。そこで働く優秀な官僚の御野は、かつての恩師の娘「知ル」を連れて「すべてを知る」旅に出る。

    ========================
     ストーリーは「boy meets girl」で「師匠の残した課題を解く」など王道で楽しめた。
     特に惹かれたのは「超高度化情報社会」という設定と京都という町が舞台だったこと。

    「超高度化情報社会」は歴然たる「情報格差」が存在する(作中ではレベル0-6、ヒロインたる知ルはレベル9というバケモノクラスに設定されている)。現代における「格差」は簡単に言うと「お金をどれだけ持っているか」だが、この世界では「情報にどれだけアクセスできるか」&「自分の情報をどれだけ守れるか」となっている。
     つまり、攻撃力と防御力として設定されている。
     「悪事千里を走る」とはいうが、特にネットで、高速で広がっていく情報を見ていると、情報が物理的な暴力に匹敵する様を見せつけられているような気分になる。

     私は滋賀県に住んでいて、中学・高校時代は京都に通っていた。が、どーーーーも、京都という町が苦手で、大学になってから住み始めた大阪という町の方が親和性があった。ざっくりとした理由は、京都は閉鎖的で、大阪は開放的だったからだ(もちろん、私の年齢、中高という自意識過剰で閉鎖的な思春期だったせいもあると思う)。
     ただ、30歳を超えると感じ方も変わってきて、京都という町は平面は非常に狭いけれど、古くからの文化が連綿と維持されている、ひとつの「箱庭的空間」ではないかと捉えるようになった。
     そこでは、横の広がり(物理的な空間における専有)よりも縦の広がり(時間による積み重ね)の方が圧倒的に重い。「情報」が時間に伴って積み重なっていくことが「文化」にほかならないのであれば、「情報」を扱うこのSFの舞台が京都だったことが偶然だったのか、必然だったのかが興味がある。

  • 面白くて一気に読んだ。伊藤計劃『ハーモニー』の延長にある物語。

  • 面白かった。。。
    文学のコンテンツとしての本質は読む快楽にある。ハイカルチュアがサブカルかどうかということも関係ない。SFはバロックだ。
    ダイナミックで、精緻で、シンプルであった。語られていたことを思うと、ぼーっとしてしまう。

著者プロフィール

『[映]アムリタ』が第16回電撃小説大賞《メディアワークス文庫賞》を受賞、同作品にてデビュー。『know』が第34回日本SF大賞にノミネート、『バビロン』がTVアニメ化。ほか、TVアニメ『正解するカド』、劇場アニメ『HELLO WORLD』の脚本も手がけるなど、多方面で活躍中。

「2019年 『舞面真面とお面の女 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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