開かせていただき光栄です DILATED TO MEET YOU (ハヤカワ文庫JA)

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  • 早川書房 (2013年9月5日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (528ページ) / ISBN・EAN: 9784150311292

作品紹介・あらすじ

18世紀ロンドン。解剖医ダニエルと弟子達が連続殺人に挑む。前日譚「チャーリーの災難」と解剖ソング楽譜付。解説/有栖川有栖。

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

テーマは18世紀ロンドンを舞台にした解剖学とミステリーの融合で、読者を引き込む魅力的なストーリー展開が特徴です。解剖医ダニエルと彼の弟子たちが、連続殺人事件に挑む姿が描かれ、特に目の見えない判事の鋭い...

感想・レビュー・書評

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  • 第12回本格ミステリ大賞
    第16回日本ミステリー文学大賞
    第24回このミステリーがすごい!第3位

    斬新な展開のミステリーだった。
    18世紀ロンドン、まだ世間の解剖学への理解がない状況が事件解明によって変化していくのかと思っていたけど、解剖学については掘り下げられるわけではなかった。
    登場人物が多く外国人の名前を覚えるのに苦労したけど、飽きのこない展開で楽しめた。
    目の見えない判事が鋭い嗅覚で事件を追求していくのがおもしろい。
    読み終えてとても切ない気持ちになった。

  • すごい…⁝(ᵒ̴̶̷᷄⌑ ᵒ̴̶̷᷅   )⁝

    感動的におもしろい…!!



    1770年、ロンドンが舞台。

    ダニエルの解剖教室では、5人の弟子達が学んでいる。

    イギリスでは解剖学が他国より遅れをとっていた時代。

    墓を暴いて手に入れた死体を買い、解剖をしている為、役人の目に注意しながら研究を続けている。

    急に来訪した治安隊に、慌てて暖炉の裏に死体を隠した弟子達。

    暖炉の裏には、隠した死体の他に、2体の死体が隠されていた——。

    しかもそのうちの一体の四肢が切断されているとキタ。
    気になりすぎる作品でした( ✧﹃✧)


    ダニエルの弟子達5人がとても賢くて先生想いで尊い……(ღ*ˇ ˇ*)。o♡

    法医学という名前もまだない時代ですが、解剖学に全てを捧げているダニエルを慕って、真剣に、時にコミカルに描かれている弟子達の様子がとても魅力的です。

    『盲目判事』ジョンは、目が見えない代わりに他の器官が研ぎ澄まされ、虚言を見抜く力があるのも面白い。

    判事の姪であり、治安隊の一員であるアンは、彼の『目』になり、状況を正確に伝えます。

    面白いと思ったのは、状況説明ではなく(彼女の言葉で)現在行われている行為が、見たままに伝えられている描写です。
    ミステリなので、そんな言葉も警戒しながら読んでしまいますね(^▽^;)

    登場人物が多いので、怪しい人ばかり笑

    余計な推理はさっさと放棄して、楽しみました(^▽^;)

    翻訳された海外作品を読んでいる気分…(〃´-`〃)♡

    徐々に真相が明らかになってくるので、後半は一気読み必至。

    ラストまで気が抜けない展開で、めちゃめちゃおもしろかったです!!

    とにかくキャラが魅力的なこの作品。

    3部作らしいので、続きも読みたい!!ヽ(´▽`)ノ


    おすすめです!!

  • 2025/6/29読了(再読)
    18世紀末ロンドン、私設の解剖学教室で、あるはずの無い屍体が発見される“事件”と、地方から上京した詩人志望の少年、ネイサンを見舞う過酷な運命とが併行して描かれる。このネイサンの物語を読むのが中々辛くて、読了に時間がかかった。兎に角当時のロンドン、汚そう。清潔な21世紀に生きる我々がタイムスリップしようものなら、たちまち煤煙で気管をヤラれ、食事に中って本当に生命の危険に晒されるに違いない(当時の人が普通に持っていたであろう免疫なんか無いだろうし、この時代に抗生物質は無い)。
    当時、解剖学は最先端科学でありながら偏見に晒され(“人体を切り刻む”外科医は、社会的地位が内科医より下とされていた。今では考えられん……!)、司法制度も今とは大違い。公的な治安維持組織は無く、裁判も往々にして金で動くという有様。こんな時代設定で“本格ミステリ”が成立するのか?と思いきや、事件の様相は二転三転、当時の司法制度の“特殊性”も絡んだ、どんでん返しも決まっていた。
    あと、バートンズの皆が歌う〈解剖ソング〉。ご丁寧に楽譜も載っているが、実際に歌うとどんな感じなのだろう?(私、楽譜読めないので……)

  • 学生時代の一時期、皆川博子先生の作品にどハマりして、合う人合う人に薦めまくっていたことがある。幻惑的で妖しく、各場面が眼前に浮かぶような筆致、そして張り巡らされた伏線を回収する巧みさ…どの作品にも魅力された。 

    それから二十数年、皆川先生は齢90を超えてなお現役で健筆を振るっておられる。なんとありがたい。私がハマるきっかけとなったのは名作『死の泉』だが、70代以降の作品は名作揃いで、辻真先先生と並ぶレジェンドである。

    本書は再読で、久しぶりに皆川作品を読んだ。三部作の文庫版が近く出るということで、一作目を読み返したのである。そして、めくるめく皆川ワールドに陶然としている。有栖川有栖先生の解説もありお得な文庫である。

    皆川作品はいいぞ!と久しぶりに誰かに薦めたくなっている。

  • 舞台は18世紀のロンドン。この時代のロンドンならではというべき(個人的には全然詳しくないので完全に感化された感もありますが)ミステリーを堪能した。序盤から不可解な謎が重なり、魅力的な登場人物たちによって解決されていく。これだけ書くととても普通なのだが、当時のロンドンの環境や暮らしぶり、身分、文化、医療の発達度合、そのあたりがとても想像しやすく描かれているため、読んでいるこちらは自然と物語の中に没入していく。登場人物たちがみな魅力的でどこかひと癖もふた癖もありそうなところも、グッと入り込んでしまう理由だろう。思いがけない結末は現代では許されないことなのだが、とても人間らしさを感じて咎める気にはならない。罰は社会が与えるのではなく、個人で受けるその覚悟に適正だと思いたい。それくらいこの時代の物語に魅了された。ただ、時代を遡って暮らしてみたくはないが。

    人体を切開することに偏見があり、解剖学では遅れているイギリス。物語は妊婦の女性の解剖中に、犯罪捜査犯人逮捕係が解剖室に押しかけてくるところから始まる。立ち入られる前に訳あって屍体は暖炉の中に隠すのだが、話の末いざ隠した屍体を出してみると四肢のない屍体にすり変わっている。さらに顔が潰れた別の屍体まで発見される。その場の誰も知らない二体の屍体。ここから最後まで驚きと同調で存分に楽しめる。続編も楽しみになったし、参考文献にある『解剖医ジョン・ハンターの数奇な生涯』も読みたくなって読後に購入してしまった。こちらも読んでみよう。

  • 期待して読んだ。
    期待し過ぎていたのかも知れない。
     
    舞台は十八世紀、イギリスはロンドン。
    今ほど医学は進んでおらず、解剖という行為そのものにまだまだ誤解や偏見がある時代。
    解剖学を進歩させようと情熱を傾ける医師ダニエルの私的な解剖教室から、四肢の切断された謎の少年の遺体と顔を潰された謎の男の遺体が突如発見された!
     
    ツカミは抜群!
     
    さらに
    解剖学に心血を注ぐ外科医。
    その容姿端麗な一番弟子。
    天才的な素描画家の弟子。
    盲目の治安判事。
    その姪で判事の目となる助手。
    「鉄の罠」の異名を持つ助手。
    などなど個性的な登場人物が活躍します。
     
    でも……。合わなかったな~。
    ワクワクもドキドキも恐怖も不思議も愛着も何も感じることができなかった。
    残念。

    はっきりとした難点がひとつ。
    登場人物が把握しづらい。
    たとえば、外科医の容姿端麗な一番弟子、エドワード・ターナーは、仲間内では「エド」と呼ばれ、「ターナー君」と呼ばれることもあり、公的には「エドワード・ターナー」と呼ばれることも。
    他の登場人物も同様にいろいろと名があります。
    おかげで500ページ近くある本書のラスト近くまで、巻頭にある登場人物一覧に指を挟んだまま読むことになりました。
     
    続編も出版されているようなので期待したんですが、読み終えて「疲れたな~」という感想しか持てませんでした。

  • 18世紀のロンドンを舞台とした、極上のミステリー。

    建物は煤煙で汚れ、治安や衛生状態の悪いロンドンは、袖の下が横行し、犯罪者が公正に裁かれることの期待できない、前近代的な社会でもある。街には追い剥ぎや浮浪者に溢れ、犯罪事件に事欠かない。

    コヴェント・ガーデンで外科医のダニエルが運営する解剖教室は、違法に死体を確保しなければ人体解剖できず、日々死体確保に四苦八苦している。

    そんな解剖教室で、四肢を切断された少年と顔を潰された男、二体の謎の死体が発見される。事件には、ダニエルの弟子のエドとナイジェルが関わっているようなのだが、捜査が進むうち、事件は複雑度を増していく。

    探偵役は、盲目の治安判事ジョン・フィールディング(サー・ジョン)とその姪で助手を務めるアン=シャーリー・モア。この二人のコンビがなかなかいい。

    ラストに予想外のどんでん返しが用意されている。終わり方もスッキリしていて気持ちいい。是非、続編「アルモニカ・ディアボリカ」も読んでみたい!

    解説によれば、ダニエルやサー・ジョンにはモデルとなる実在の人物がいるとのこと。「解剖医ジョン・ハンターの数奇な運命」、サー・ジョンの兄が書いたという「トム・ジョーンズ」、本書と同じくサー・ジョンが活躍するミステリー「グッドホープ邸の殺人」にも注目したい。

    なお、本作のタイトルは、外科医ダニエルの弟子達が遺体を解剖する時に遺体に敬意を表し言葉から。『「さて、開かせていただき光栄です」delighted to meet you――お目にかかれて光栄です――を、dilateed to meet you と言い換えて、クラレンスは男の骸に会釈した』

  • カタカナの名前覚えられねーーー!! と2回挫折した本ですが、1年ぶり3回目にして読み終わりました。そしたらまあおもしろいことおもしろいこと。。。テーマは復讐でしょうか。鬱積したものが終盤に解き放たれて清々しいです。
    さらに著者が執筆時に80歳ということで、本筋とはまったく関係ないところで驚きました。文章が若々しいので失礼ながら20代の作家さんを想像してました。

  • 皆川博子さんにしか書けないような作品だった
    18世紀ロンドンの不潔さと猥雑さ
    身分と貧富の差に支配せれている
    偏見に満ちた【解剖】に取り組む外科医と弟子たち
    優秀すぎた弟子の途方も無い犯罪
    登場人物たちの濃いキャラで一気に読んだ
    終始、煤けている灰色の物語

  • 2冊目の皆川さん。ちょっとダークで耽美な世界観のミステリー。ダニエル先生の解剖学教室で起こった死体が増える事件の謎を個性豊かな弟子たちや、盲目の判事が追う?
    舞台となった欲望渦巻く18世紀ロンドンがまるで見てきたかのような描写でそれだけでも読み応えあると思うのに、ミステリ自体も私は最後まで分からなくて面白かった。
    何考えてるかわかんないながらもエドに感情移入して呼んでいたから最後は少し切なかったな。

  • 18世紀のロンドンの解剖医学教室という設定がとても興味深かった。
    謎が謎を呼ぶミステリーとしても面白かったけど、歴史小説としても楽しめた。
    医学にしても、法曹界にしても、未発達で、こんな酷いことがまかり通ってたんだと、びっくりした。
    美少年、天才画家、盲目の判事と彼に眼になる姪などキャラクターも魅力的だった。

  • 文句なく素晴らしい!!!でもこの本は実は一度途中でやめてた。それというのもやはり皆川さんの描くペダンティック的文体(悪口ではないつもり)には、描く世界の前知識がないと若干辛いのですよ。ところが奇しくも「解剖医ジョン・ハンターの数奇な生涯」を読んだ後に読み返し始めたら、面白いこと面白いこと。本作の主人公ダニエル・バートンは明らかにジョン・ハンターがモデルであり、実在の彼を取り巻く人々、兄や最愛の弟子たち、そして当時の習俗がこれでもかと描かれており、伝記を読んでいた身としてはあちこちでニヤニヤできるという。いやホント、まずジョン・ハンターについてしっかり知識をつけておくことで本書を読む楽しさが何倍増にもなるのでオススメですよ。

  • 18世紀のロンドンが舞台。少し前に19世紀末のロンドンが舞台の作品を読んだところだったので、その空気感の違いに驚いた。本を開いている間は自分がロンドンにいるような錯覚を覚えるほど、丁寧に書き込まれたその時代の空気感が濃密な作品。他の方も言ってるけど、翻訳モノじゃないのが驚きでした。ミステリとしても結末にたどり着くまで二転三転する展開でとても楽しめました。登場人物も魅力的で、あの人がああなる結末に胸が痛みました。

  • すこしまえに「王妃の離婚」を読んだが、知らずに似た時代の傑作を読んでいた。
    ミステリーとしても、時代考察の資料としても、最高に面白い一冊だった。「壁」「恋紅」以来の皆川博子作だったが、歳を重ねても衰えない筆力に脱帽。

  • 初めて皆川博子作品読みました。解剖とか四肢を切断とか物騒な言葉があらすじに並んでいたので読むのに躊躇していたのだけれど、どうしても気になる悪夢のようでいて魅惑的なカバーイラストが忘れられず思い切って手にとりました。もうそれはそれは夢中になりました。いやいや、のめり込んでしまったという方が正しいようです。まるで阿片チンキを入れたワインを飲まされたようなめくるめく退廃的で淫靡な世界観。その中で起きる殺人事件は何が正義で何が悪なのか、境界線がわたしにはわからなくなっていました。殺人事件は解決し、バートンズの子どもたちの明るさや利口さ、絆に救われ、ダニエル先生をはじめ子どもたちを思いやる大人たちの想いにも触れ、ただただエドとナイジェルの未来にどうか幸あれと願うことを許してください神さま。何だか心の中に重石をおかれたような忘れられない一冊になりました。

  • 溜息がでるほど美しい装丁とタイトルですね。
    自分の皮で本をつくったら、内容はミステリーにしてもらおう。そして金の箔押しを。

    ダニエル先生と弟子の子たちのやりとりが微笑ましい。
    「隠せ!」から始まるやりとりにずっとニヤニヤ。解剖ソングが可笑しくて哀しい。

    なんともやり切れないラストなんだけど、でも!
    愛してる、愛してるよ!

    こんな素敵な本格ミステリを、いやいや読ませていただき光栄です。

    • HNGSKさん
      musicarossoさん、お邪魔します。
      素敵なレビューだったので、つい。
      その作品の装丁、綺麗ですよねえ。もし、自分が解剖されたなら...
      musicarossoさん、お邪魔します。
      素敵なレビューだったので、つい。
      その作品の装丁、綺麗ですよねえ。もし、自分が解剖されたなら・・・なんてネイサンみたいなことも考えてしまいますし。
       そして、最後のエドとナイジェルのあのセリフ。「愛してる」しびれました。
       共感するポイントが一緒すぎて、コメントをいれずに入られませんでした。
      2014/01/31
    • うさぎ堂さん
      ありがとうございます。
      とっても嬉しいです!
      何を書いてもネタバレになりそうで、でも愛してるだけは伝えなきゃと思いました…!
      素敵なコ...
      ありがとうございます。
      とっても嬉しいです!
      何を書いてもネタバレになりそうで、でも愛してるだけは伝えなきゃと思いました…!
      素敵なコメントをいただき光栄です。
      2014/02/01
  • 十八世紀のロンドンが舞台。
    法医学や筆跡鑑定等の科学捜査は、まだまだ未発達な上に、警察組織も確立されていない状態の頃です。

    そんな舞台設定なのに、きっちりとミステリ。
    しかも、事件は二転三転して、最後の最後に、まさかの「やられた!」感。

    ミステリ部分そのものもとても面白いのですが、ダニエル先生をはじめ、彼の弟子のバートンズが、すごく良いのです。
    悪い人は、とことん悪いのだけれど、正義を貫こうとするサー・ジョンや、盲目の彼の目の役割を担う、姪のアン、銀行のヒューム氏等、良い人も多いです。

    併録されている前日譚の短編も、面白かったです。
    バートンズの絆にほのぼの。
    鬘をもう被らせてもらえなくなって、しょんぼりするチャーリーも可愛い!


    本編とは全く関係ないのですが、ダニエル先生の容姿についての描写を読んでいて、昔、山城新伍氏が映画解説で、ジェラール・ドパルデューの事を、「じゃがいもみたいなおっさん」と言っていた事を思い出しました。
    なので、何となく、ダニエル先生は、ジェラール・ドパルデューみたいなイメージです。
    そう言えば、ジェラール・ドパルデューは、ヴィドック役をしていましたね。

  • 実際にはハードカバーで読んだが、ブクログには見当たらないのでこちらで登録しておく。

    面白かったー。
    正直、クロコダイル路地がキツ過ぎてもう皆川さんを読むのはやめようかと思ってた。
    面白いと評判の本作で、あーやめなくて良かったとおもえた。
    舞台は18世紀ロンドンの解剖学教室とその周辺。
    まさに最近読んだ『見習い物語』や風刺画家ウィリアム・ホガースの世界。
    工業化都市化に急速に傾く社会のなか、あらゆる問題が湧き出している。
    街は臭くて汚く、まだまだキモコワイ。
    猥雑で危ない時代、そこにドラマが無いわけない。

    本書は、分厚いわりに登場人物は多くないし、会話が多いのでサクサク読める。
    しかし、この二転三転にはちょっとつかれた。
    ラストまで本当に気が抜けない。

    面白いんだけど、毎度同じく、皆川氏の描写のメリハリが抑えめなので、え、これどういう意味!?となり、わかりにくいときもある。

    ヒヤヒヤハラハラしたけど、納得の終わり方。
    あーなるほど。それなら良かった。
    ダニエル兄は本当にこういう奴なんだ、そこは最後まで覆らないわけね。(笑)

    一応計算したら本書執筆時に作者は82歳くらい…すごいねぇ。
    そして本書は、エドワード・ターナー三部作の第一部にあたることを知った。へーえー。

  • 舞台は18世紀のロンドン。
    テムズ河と聞くと、死体が浮かんでいると思ってしまう私は何の読みすぎなのか・・・?
    都会ではあるが、工場から出る煤で真っ黒、怖い所ロンドンの暗黒面がつぶさに描かれているのが、今の東京とよく似ているような気もする。

    外科医・ダニエル・バートンは、内科医である兄・ロバートの出資で、私的解剖教室を開いている。
    この時代、外科医の地位は内科医に比べて著しく低く、解剖は野蛮とされていた。そのせいで、人体の仕組み、特に内臓がどうなっているかの研究は進んでおらず、正確な標本を作って後の医療に役立てるのが、ダニエルのライフワークである。
    しかし、解剖の許可が下りる死体が極端に少ないので、研究は遅々として進まない。
    ダニエルの口癖は「もっと死体を!!」
    そんなわけで、墓暴きからこっそり死体を買い取って研究に使っているわけだが、夏のある日、解剖途中に役人が乗り込んできたので、使っていない暖炉に死体をいったん隠し、役人が帰ったあとで作業を再開しようとしたところ、二体、三体と死体が増えていたのである!
    これは、ありがたいのか、ありがたくないのか。
    ダニエルの5人の弟子たちにも疑いがかかる。

    解剖学だけでなく、この時代のイギリスは司法の世界にもかなりの問題があり、被害に遭っても金がないと訴訟も起こせなかったし、逆に犯罪を犯しても金があれば賄賂でどうにでもなった。
    そんなところからも悲劇は起こる。

    犯人は誰なのか?何が起こったのか?ここは多分あとの伏線、と頭の中で付箋を貼りながら考察を進める。
    盲目の治安判事、ジョン・フィールディングが探偵役。その姪で助手を務める男装の麗人、アン=シャーリー・モア、そのまた助手の、デニス・アボット(ネーミングが・・・「赤毛のアン」と「あしながおじさん」・・・)の三人もいいキャラクターで、シリーズになったら面白いのに。

    そうして、田舎から出てきた詩人志望の少年、ネイサン・カレンの数奇な運命。
    彼と、解剖教室の弟子たちとの友情は本物なのか。
    さわやかな思い切りだけどちょっと苦いものが残る、そんなラストでした。
    解説が有栖川有栖氏だったのも、個人的にうれしいところ。

  • 長らく読みたい作家リストに挙がっていた皆川博子氏。
    やっとエドワード・ターナー三部作の1作目にて、初読了しました。

    もっと幻想的で読みにくいかと先入観を持っていたが、なめらかな読み心地、そして綺麗に絡まったミステリーで先が気になり読み応えがあった。

    登場人物の多さ、そしてロンドンが舞台のため、横文字の名前が入れ代わり立ち代わり出てくることで最初は面食らったが、それぞれの人物達のキャラが立ってくる頃、愛着が湧いてきて、脳内で彼らが動きだす感じが良かった。

    解剖ソング、可愛い。譜面が載っているのも良い。

    純粋がゆえに引き起こされた事件。
    あっと言わせる後半の回収劇は抜群の読み応え。
    回りくどくなく頭の切れる雰囲気が漂う文章。

    エドワード・ターナーシリーズの残り2作品も是非読みたい。

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著者プロフィール

皆川 博子(みながわ・ひろこ):1930年旧朝鮮京城生まれ。72年『海と十字架』でデビュー。73年「アルカディアの夏」で小説現代新人賞受賞。86年『恋紅』で直木賞、90年『薔薇忌』で柴田錬三郎賞、98年『死の泉』で吉川英治文学賞、ほか多数の文学賞を受賞。著書に『聖餐城』『海賊女王』『風配図 WIND ROSE』『天涯図書館』など。

「2024年 『大江戸綺譚 時代小説傑作選』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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