バナナ剥きには最適の日々 (ハヤカワ文庫JA)

  • 早川書房 (2014年3月7日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784150311506

作品紹介・あらすじ

円城塔の作品世界は難解ではない――格好の入り口となる全10篇を収録する第3作品集!

みんなの感想まとめ

独特な視点から現代の複雑さを描く本作は、読者に新鮮で心地よい浮遊感を提供します。円城塔の作品は、難解さを感じさせる一方で、理解の枠を超えた面白さを追求する姿勢が印象的です。感想では、わからないことを楽...

感想・レビュー・書評

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  • ないはある。ないはないはない‥
    バラバラに解体したソーセージの腸に詰め直してできたソーセージをまたバラバラにして腸に‥
    ゾウリムシに魂があるとすれば、分裂で増えるときその魂はどうなる‥
    考えはじめると同じところをぐるぐるして途方に暮れるけど、その過程が面白かった。メビウスの輪とか、エッシャーのだまし絵とか、無限に出てくるマトリョーシカを開ける、みたいなイメージ。短編集なので飽きる前に次のお話が読めるのも良かった。
    全10篇の中で表題作の「バナナ剥きには最適の日々」、「equal」「捧ぐ緑」「jail over」が好き。
    「墓石に、と彼女は言う」は、読んでるうちにだんだん「わたし」の境界が曖昧になっていく感じが好きだった。

  •  わかるとかわからないとか問題にするならば、まずはわかるということを明確に定義し、わかるということがよくわかるようにしなければならないということがわかるのである。
     円城塔の書評ならば、まずはこんな感じで始めればいいんじゃないか。
     お風呂掃除をしながら、猫はそう考える。
     そして「おふろそうじ」は「さむらごうち」と似ている、と思う。
     思えば、かの「おふろそうじ」氏も、「わからない」現代音楽を否定して、「わかる」語法で長大な交響曲というモニュメントを打ち立てたかったのではないか。そこにナルシシスティックな自己宣伝が混じっていたから人々の反発をかきたてているのだが、「わかる」ものを作り出したいという、純粋といっていい目論見も一方ではあったのではないか。他方、「わからない」現代音楽を書いていたゴーストライター氏の作品は例えばYouTubeで試聴できるが、パフォーマンス性が高く、脈絡なく訳わからないものだが、会場の笑いをとっているほど「おもしろい」。
     わからないとおもしろくないという誤解が巷に蔓延している。おそらく「わかる」と「おもしろい」は排他的でもなければ、連動もしていない。「わかる」はずの「おふろそうじ」交響曲も多くの人がわかったのかといえばそうではなく、人々がわかったのは、悲劇の作曲家がすげー曲を作ったという「わかりやすい」お話だったのである。そしてそういう「わかりやすいお話」というのはトリヴィアル以外の何ものでもないではないか。
     「ばななむき」は「さなだむし」に似ている。
     夢の中でトイレ掃除をしながら、あなたはそう考える。そしてサナダ虫には最適の場所のことを考えてちょっとうんざりする。

  • わからないけど面白い、と解説に書かれていて、ホッとした。
    わからないままでもいいんだ!
    わからないものを面白がることは、足元がしっかりしていなくて心許ない、でも浮遊感には心地よさもあり、新鮮な読書体験だった。
    表題作は切なさと滑稽さのバランスが良くて一番好き。

  • 「どんな話なんですか?」
    葉月は、胡散臭げな表情で表紙を眺めている。そこには確かに、胡散臭いとしか形容しようがないバナナが描かれている。
    「短編集だから、一言でまとめるのは難しいんだけど…」
    そう言われ、葉月は目次を開いた。まとまらないなら、まとめなければいい。

    「んじゃ、『コルタサル・パス』」
    「後ろからなの? まあいいや。いつも思うけど、円城塔は読者を巻き込むのが非常に上手い。それに尽きる」

    「次、『エデン逆行』」
    「名前はエデンでも何でもいいんだけど、文章の上で展開する壮大な宇宙創造っていうか、何でもいいや」

    「ここで面倒くさがらないでくださいよ。次。『Jail Over』」
    「これは好き。赤いソーセージが白いソーセージを家に招いて食べようとする話だ」

    「わけわかりません。次、『捧ぐ緑』」
    「これも、個人的に非常に好きだ。ゾウリムシの寿命を縮める研究についての話なんだけど」

    「さらにわけわかりませんが、次、『equal』」
    「唐突に横書き。何というか、冗談にしては意味不明だし言葉遊びでもないんだけど、ええと、何だろうこれ」

    「ええと、じゃあ、『AUTOMATICA』」
    「文章の自動生成について。円城塔は割とこのテーマに拘っている印象を受ける」

    「はい。で、『祖母の記憶』」
    「植物状態のお祖父さんを爆走させて映画を撮る話だ。人形が人形であるためには鋏は不要だ。己に繋がれた糸に意味がないことに気づいてはいけない」

    「なるほど。では、『パラダイス行き』」
    「今、ひとつ飛ばした?」
    「表題作は最後です」
    なるほど、と蛹は頷く。
    「右が生まれると同時に左も生まれるという話。もう少し言うなら、レモネード抜きのレモネードを注文する方法」
    ふむ、と葉月は頷く。
    「んじゃ次。『バナナ剥きには最適の日々』…表題作ですね」
    「ああ、これは切なかった。たぶん、一番読みやすいと思う。というか、彼の小説の中で数少ない、普通の小説的な小説といえるかもしれない。俺個人としては、やはり最後の寂しさがとてもいいと思う。もしかしたら誰にでも通じる寂しさではないのかもしれないけれど。メッセージというのは自己満足だ。誰かが拾ってくれればいいと思う、でも返事は全く期待できない。それは途方もない孤独だ」
    「そういうの、好きですね」
    「うん。たぶん、一番透明な孤独だと思う」


    「これは確かにまとまらないですね、バナナにソーセージにエデンじゃ…」
    「うん。あ、コーヒー、おかわりいる?」
    頷きながら、これは珍しい、と葉月は思う。普段はこんなことを尋ねたりしない。自分が飲みたければ勝手に淹れるし、そうでないなら動かないのだ。よほど気分がいいのだろう。
    葉月は改めて、本の表紙に目を落とす。
    バナナ剥きには最適の日々。

  • 読みかけで長らく放置していた一冊。
    円城塔さんの作品は「わからないけどおもしろい」と評されるそうですが、自分には正直わからないしつまらない話が多くて読み切るのに苦労しました。
    わたしはあなたとか右は左みたいな話が多く、作者の考える死生観、宇宙観、妄想が記されているようで、気分が乗らないとどうにも読む気になれませんでした。(※個人の感想です)
    『バナナ剥きには最適の日々』と『捧げる緑』は面白かったです。

  • が書いてあるのか分からない。分からないんだけど面白い。何なんだこれは。
    まるで、宇宙空間に漂っている様な、ふわふわとした浮遊感に包まれた。

    多分これは、分かるとか分からないとかそういう話じゃなくて、分からないこと、そして文章のリズムを楽しむのがいいんじゃないだろうか。

    私が面白かったのは、表題作と捧ぐ緑、equal。
    表題作に関しては、宇宙人の話とかしてるんだけど、全然出てこない。唯一出てくるのが、僕が想像するバナナ星人。皮が3枚に剥けるか4枚に剥けるかで争ってるんだけど、どちらか判明するのは、死んでからという。
    読んでいる間は何が何だかさっぱり分からないんだけど、後から考えるとじわじわくるんだよなこれ。

    初めての円城塔にはぴったりだった。

  • まぁ円城塔である。二回読んだけどわかったとはよう言わん。わからんのと、わかった気くらいになるのと。いや、別にわかりたくて読んでるわけでもないので、わかった気になっておもしろかったりわからんけどおもしろかったりでいいのだ。
    ということで、わかった気になっておもしろかったのがまず表題作。うん、頭使わずにぼんやり読んでもおもしろい。
    「祖母の記憶」ノリ的にちょっとバリー・ユアグローっぽい。悪趣味さと乾いた感触。ユアグローに比べると長いだけおもしろいのとダレるのと。アイディア一発ではないのだな。
    「捧ぐ緑」何だよゾウリムシ。といいながらこういうなんちゃって生物学みたいなの好き。石黒達昌とか。

  • うーむ、円城塔は「なんか分からないけど面白い」と言われてることが理解出来ました。

    ほんとに分からないものばかりでした(笑)
    でも嫌いにもなれない。。。

    ほんとに不思議な小説です。

    個人的には曲はいいけど歌詞の意味はあんまり分からない音楽を聴いてる気分になりました(笑)
    伝わるかどうかは分かりませんが...(^^;)

    一つ一つの単語の意味は分かって、でも繋がると分からない。でもなんか文章のリズムが良くて読めてしまう。

    その雰囲気を楽しむ小説。

    そう割り切って読めば楽しむことが出来る気がします。

    正直、この作品を深く考察する勇気はありません。

    なかなか興味深い作品に出会えました。

  • フリオかオクタビオのどちらでもない『オクタビオ・パス』が1番好き。本の上の波紋から魚が跳ね、白紙のページは白い獣の流れ、八本脚の乗物、対岸を求めて旅立つおじいさん、そして白い宇宙服の細身の女性。イメージも内容も綺麗で面白かった。『捧ぐ緑』ゾウリムシの実験構想を長々と語り合いつつロマンチックだった。『AUTOMATICA』文章にまつわる考察的な話。『エデン逆行』DNAを辿ってルーツを調べる調査からこんな考察的な話が生まれたのかしら?文庫帯がとても素晴らしい。まさに「研ぎすまされた適当」を堪能した。

  • 研ぎすまされた適当。

  • 概念や死生観などを主に書いた?ものが多い。
    あえてなのだろうが、主語がなかったり語り手の立ち位置がなくて混乱するものが多かったかな。
    短編ゆえ視点が全く違い、切り替えも難しい。
    面白い話もありました。

  • パラダイス行
    概念の自由 想像の想像
    自分にとっての考えは複雑でも、そのまま言葉に書き残しておいて、他者が理解できなくても、読めることができれば良いものなのかもしれない。
    言葉って綺麗にまとめなくてよくて、だからこそストレートに留めておく。
    人に言葉を送るときはそれなりの気遣いは必要だけど、自己完結の言葉はそんな取り繕う必要はない。

    バナナ剥きには最適の日々
    大切なものは大切にするためにその気持ちになるのであって、根本大切にできないのであれば、そのときはどう言った扱いになるのでしょうか。
    捨てたくないものを捨てられて、そのことにも気づくことができない。
    でもどんな存在だったのか、忘れてしまったからこそ考え直す、もしくは妄想が生まれるのであれば、その次の思考の段階に行くことができる。
    その段階まで行くことができるのは、ゲームでいうシークレットルートみたいでそれはそれで面白い

    祖母の記憶

    AUTOMATICA
    作家側に物語があるけれど、文章内には物語がない
    メタは好きだけどこのメタはあまりしっくりこない

    equal
    今の自分の感性が、言葉の繰り返し、文章の繰り返しに対して美しいと思わないから、あまり入り込めなかった。
    丁度私を始めたところです。という表現が好き

  • 短編集
    表題作の「バナナ剥きには最適の日々」が一番好き
    分かるような気がするところと本当に分からないところがある
    わかった気がした部分にはすごく面白さを感じた
    全体的に難しいけど、語りの柔らかさとか、テンポの良さがあって嫌いではない
    他の作品も読んでみたいと思えるぐらいには面白かったし、好きだと思う
    全体的に無機質な感じがした その中に寂しさとか不安感とか爽やかさみたいなのがある
    意味論とか概念論みたいなことを言ってるのかなと思ったりする
    それまでの常識を疑ってかかるというか、可能性と作者のアイデアが入り交じっているのかなと思った

  • 面白い AUTOMTICAはもう一度読む

  • 髱「逋ス縺?AUTOMTICA縺ッ繧ゅ≧荳?蠎ヲ隱ュ繧?

  • わからないけどおもしろいという評判のように、よく分からないが、もう少しで分かりそうなところで宙ぶらりんになっているような印象を受けた。
    全十篇の、それぞれ短いながらも確固たる世界観を楽しめた作品集だった。

  • 解説にもあったけども、バナナ剥きには最適の日々は円城塔先生作品では一番読みやすかった。
    何度も読み直してる個人的に人生で一番好きな短編小説。

    なんだか達観したような淡々とした一人遊びは、ユーモア溢れてて読んでいてとても楽しい。
    思考の中では可能性に溢れているのに、
    その一方で広大な宇宙の中では無力感がすごくて、そういった無限と有限の対比に、宇宙や未知へのロマンを感じる。

  • だめだ、この人の本は合わない。
    何を言ってるのか、どう読むのかわからない。
    すっ飛ばして解説を読んだが、
    わからないけどおもしろい、にはならない
    わからないしおもしろくない、だった。

  • 円城塔さんの文章はチューニングが合う時すごくノリノリで読めるのだけど。難解。でも好きです。

  • こういう文学の形があるんだなと関心した本。
    表紙がなかなか好きだったので買って読んだ。けれども読んでみて「ちょっとわかるけど全然わからないな」と思って掴みだけでも知りたくなってあらゆるレビューを見た。どれも「わからないがそれが良い」というもので何かしらをわかってるらしい人はひとりもいなかった。
    この作品の上手いところは「完全にわからないわけでもないな」と思わせるところで、それが癖になって読み返す。やっぱりわかんねぇなと思う。本って別に必ずしもわかんなくていいらしい。
    作品を読む上でわからないといけないという焦りがあったけど、こういう誰もがわからない作品を読むと安心する。
    高尚な読書家に劣等感を感じても「そいつもきっとこの本のことわかんねぇからいいか」と思える。

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著者プロフィール

1972年北海道生まれ。東京大学大学院博士課程修了。2007年「オブ・ザ・ベー
スボール」で文學界新人賞受賞。『道化師の蝶』で芥川賞、『屍者の帝国』(伊
藤計劃との共著)で日本SF大賞特別賞

「2023年 『ねこがたいやきたべちゃった』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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