- Amazon.co.jp ・本 (398ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150311667
感想・レビュー・書評
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読んだ直後の感想としては指数関数的な階段を登っていって最後に無重力な世界に解き放たれた気分
現実世界の雑多な軛から解放された浮遊感を感じる詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2冊目として読了。「平和」であることの意義・理由を問うという点では良い。アニメ版も比較的忠実で良かった。
読後感は別として、雰囲気としては平和な本書の方が好みではあった。 -
アニメがなかなかよい作品で原作を読んでみる気に。文字で読んでこそ面白い物語。アニメで背景説明が足りなかった部分も補完されて満足。
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最近は『ポスト伊藤計劃』みたいなわけわかんない言い方もされなくなったのでホッとしとります。
伊藤計劃は早死したから神格化されてる部分はあるなと思いつつ、やっぱり素晴らしい才能の持ち主だったとは思う。惜しい人を亡くしました。
病気で苦しんだ作者が、管理された健康を拒もうとするキャラを生き生きと書いたってことは、凄い。
ラストは衝撃を受けたけど、あの結末には納得できないところもあったり……。このもやもやは、伊藤計劃が遺した宿題でしょうか。 -
ユートピアとは何か、人間の意識とか何かということを問いかけてくる小説。個人的にはhtmlをもじったetml形式と言うのがちょっとハマった要素であった。
人のプライベートを完全に公共のものにしてしまう、あるいは、人は社会のためのリソースであるといった思想は、かなり極端で非現実的だが、確かに、公共性ゆえに犯罪も起こり得ないだろうし、健康管理も自主的に行うシステムがあれば、表面上は皆が幸せに暮らせるユートピアが誕生するようにも思える。
しかし、そのような理想的な社会も一人一殺を達成しないと自分が死ぬと言う脅しで、揺らいでしまうという儚いものである。
現代のSNSは一種の監視システムとして機能しうるのではないかと思うとともに、人間らしさっていうものはもっと欲望の近くにあり、人間のドロドロした部分が現れるところなんだろうなと感じた。
小説的には、内容的にそんなに凝った設定であるわけでもなく、登場人物の心情描写もあまりなく、なんとなく無機質な感じを与えるが、これもこの小説の味なのだろう。