ハーモニー〔新版〕 (ハヤカワ文庫JA)

著者 :
制作 : redjuice 
  • 早川書房
4.14
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  • (4)
本棚登録 : 1842
レビュー : 179
  • Amazon.co.jp ・本 (398ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150311667

感想・レビュー・書評

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  • 伊藤計劃さんの本で2冊目に読んだもの。「虐殺器官」の後に読んだため、彼の世界観を存分に味わえた一冊。
    「確かに未来はこうなっているかもしれない」そう思わせる世界の仕組みにまず驚かされた。近未来的な世界だと感じた。
    未来にあるかもしれない影の世界を想像できる内容で、主人公が芯を持っている強い女性の活躍が印象的。
    最後が少しあっけなく感じたが、納得もできる終わりだった。

  • 誰かにとってのユートピアは、きっと誰かにとってのディストピアだ。逆も然り。

    虐殺器官よりも読みやすいけど、納得いったのはあちらの方だったかなぁ。
    続編と考えてもいいような虐殺器官よりもさらに未来の話。
    たまたまこれ以前に読んでいた小説でも過剰な健康至上主義への警鐘、WHOが出てきたので偶然とはいえ驚いた。

    ↓ネタバレ

    最初の方は思春期の少女特有の、美しく脆い世界の雰囲気がいい。なぜかケルト風の名前(男性名だよね)も、ミァハの理屈の厨二っぽさも好みだった。
    キアンの死は衝撃的だったし、明かされていくミァハの過去もドラマチックなんだけど、大人になってからミァハは急速に魅力を失って見える。
    というより成長しない少女のまま、自己中心的に行動しただけに思えて怒りさえ感じる。
    彼女は帰ろうとしただけだろう。本来の自分の故郷へ。そのために他人の命を失わせ、断りもなく意識を奪った。
    トァンが復讐をするのは唐突にも見えるが、理解もできる。彼女の憧れだったミァハはもういないし、目的のためにミァハがしたことはトァンにも身勝手に思えたんじゃないかな?

    わからないのはDummyMeはWatchMeの報告機能を書き換えるしか出来てなかったのか? 最後にトァンの意識も消えたならそういうことだよね。でもWatchMeは全人類に搭載されていたわけじゃない。少数の意識のある人々はどうなったんだろう?
    そして意識がもともとなかったミァハに意識が芽生えたなら、こうして意識のない幸福を作っても、また生まれてくるんじゃないかな?
    それが逆に希望に思えた。

  • 感情を失くしたところで「人々は哀しみがあるように泣き、怒りがあるように怒声を発した」なら結局感情から来る言動は失くせず演じられる、つまり自殺も争いも無くならない、世界は何も変わらないのでは……それともそういうことは制御されるのかな。
    WatchMeが入っている大人はそうなるけど、入っていない子どもの自殺者は減らせるのかな。
    意識のない世界が幸福だとして、誰がその幸福を感じているんだろう。

  • 徹底的に管理された「幸せなやさしい世界」。
    ユートピアの仮面をかぶったディストピア小説。
    でもそう考えることすら正しいのかわからなくなる。個人とは何か。自己とは。

    世界観は好みなんだけど、SFになじみがないせいか、文章が読みにくかった。

  • ぼちぼちですね。
    設定はとても良いが話に入り込めなかった。
    リアルに感じることができる未来の設定で中盤少し盛り上がりかけましたが…。
    最後は淡々と読み終わりました。
    少し残念な感じでした。

  • 虐殺器官のほうが好きだったので致し方なし

  • 虐殺器官に比べると、ルビは少なくなるも、登場人物の名前も奇抜すぎて頭に入らず、やっぱりすこし読みにくい‥一章はめちゃくちゃ時間がかかりました。

    大災禍と一斉自殺に宣言、ミァハの過去はおお!と思ったけど、解決に走るトァンの行動も、迷わずなぜそこ!?とか、一直線すぎて読んでてワクワクがない。
    ミァハとトァンの信念やキャラクターもはっきりせず、世界に入り込めない。
    ミァハと対峙場面も、なんでステップ踏んでんのかよくわからないし、おきまりの説明シーン、ラストはあっけなく‥。ハーモニーが完成されたのになぜこの手記みたいなのが残ってるのかもよくわからなかった。

    アイデア、世界観はすごいのにほんとにもったいない!もっと長編でじっくり書いて欲しかったというのは私のワガママですが、病床に伏して、こんな作品を仕上げたのはほんとにすごい。

  • 久々の再読。作中に出てくる「watchme」は今話題のIoT(モノのインターネット化)の考え方の進化版なのだろうか。

  • 調和、人としての感情と理性。管理された世界、息苦しさ、消された思い、消さねばならない意識。ユートピアの臨界点、わたしと私のさようなら。
    どうレビューを書いたら良いのか分からない、けれど一つだけ。
    人の意志を奪うことが、本当に天国なのかもしれない。それこそが、ユートピア。

  • 21世紀後半、大災禍〈ザ・メイルストロム〉と呼ばれる世界的な混乱を経て、人類は体内に常に健康状態を監視する医療分子を入れ大規模な福祉厚生社会を築き上げた。
    病気はほぼ放逐され、誰もが善良で無害で調和(ハーモニー)の取れた世界。
    しかしそんな見せかけの優しさに溢れた社会を「真綿で首を締められる」ように感じる3人の少女は餓死する事で反抗を試みる。
    13年後、死ねなかった少女トァンは同じく死ねなかった少女キアンと再会するが、トァンとの食事中にキアンは「うん、ごめんね、ミァハ」と唐突に呟きテーブルナイフを首に突き刺し自殺してしまう。
    同じ時刻、世界の至る所で6582人もの人間が同時に自殺を試みていた。
    この異常事態の陰に13年前に死んだはずの友人ミァハの影を見る。
    そんな話。

    徹底的な管理社会の成立で人は自分の意思で決める事が減り、食事からライフスタイルまで全てアドバイザーのいいなりになっている。

    そんな生活はやだなー。

    一見ユートピアに見えるディストピア。

    主体性を失った人類の行く末を抉り出してます。

著者プロフィール

1974年東京都生れ。武蔵野美術大学卒。2007年、『虐殺器官』でデビュー。『ハーモニー』発表直後の09年、34歳の若さで死去。没後、同作で日本SF大賞、フィリップ・K・ディック記念賞特別賞を受賞。

「2014年 『屍者の帝国』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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