猫舌男爵 (ハヤカワ文庫JA)

著者 :
  • 早川書房
3.72
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  • (6)
  • (1)
本棚登録 : 397
感想 : 35
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150311759

作品紹介・あらすじ

絶版本の翻訳から生じた恐るべき混乱とは?爆笑、幻惑、戦慄溢れる幻想ミステリ短篇集

感想・レビュー・書評

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  • 面白かったです。
    SFとコメディと幻想と…いろいろな色のお話たちでした。
    表題作は笑い過ぎました。皆川さんこういうのもお書きになるんだ。ハリガヴォ・ナミコが皆川博子のアナグラムって気付かなかったけど…そして皆川さんの初期?に針ヶ尾さんのお話あるのですね。
    「私は猫です」の活用…確かに、これ読んでると日本語ってつくづく変わってるなと思います。
    結局誰も「猫舌男爵」を読めていないし、話も噛み合わないのに、ラストは皆さん幸せになる。良いなぁ。
    「水葬楽」がとても好きでした。
    死が近付くと容器に入り、液体の中で暮らす人々。それを見詰める兄妹は結合児で…。選別された妹だけど、なかなか衰弱が始まらないのがゾッとします。Back Ground Poemがとてもいい雰囲気です。
    「オムレツ少年の儀式」もラストの鮮やかさ!と思います。
    「睡蓮」も良かった…書簡を時系列の逆から描いていく。これは狂う、と思いました。エーディトの絵、見てみたいです。
    「太陽馬」の作中作が好きです。ナチュラルに、内戦中のロシアの描写と繋がるのにおおっとなりました。
    解説がヤン・ジェロムスキくんだ!熱い文章で笑ってしまいました。訳者の垂野さんは実在するようなのでこの方の文章なのかな?面白いです。

  • 「水葬楽」
    平均寿命が異常に短い近未来のグロテスクなSF。兄弟(解説では兄妹になってたし私も最初はそう思ったけど、冷静に設定を考えたら兄弟だよね?)が実は・・・というのはまあわりと早い段階で予想がつきましたが、奇妙な美しさのある作品。

    「猫舌男爵」
    これ実は結局「猫舌男爵」という小説そのものは読ませてもらえません(気になるよう!)。ポーランド人の青年が偶然みつけた日本の本「猫舌男爵」を翻訳した、その「あとがき」と、日本から寄せられた感想や、日本語の師匠からの苦情、その他もろもろで構成されていて、かなりユニークで面白かったけど、個人的には「お願いだから小説・猫舌男爵を読ませて!」というストレスがたまりました(苦笑)

    「オムレツ少年の儀式」
    タイトルもなんだか可愛らしいし、ちょっと足穂っぽい印象で始まったのに意外な結末。

    「睡蓮」
    精神病院で亡くなった女性画家の半生を、時系列を逆にして本人および周辺人物の手紙や日記で遡ってゆく構成が面白い。

    「太陽馬」
    戦時のロシア、ドイツ移民、コサックと、部分的に挿入される不思議な作中作、もろもろ含めて作者のお得意ジャンルで、長編としても十分書けそうな題材でした。

  • タイトルからの直感のみで棚差しから購入。


    解説まで読んではじめて、この作品集の肝が理解出来た。

    一見すると全くバラバラに独立した五つの短編集のようで掴み所がないが、丁寧に読み込むことで物語同士が共鳴するとは驚き。読み手が気づく事で、各物語の’孤独’が救われる。

    第一印象では「オムレツ少年の儀式」「猫舌男爵」が好き。結局、猫舌男爵についてはわからずじまいだったが、みんな幸せな結末を迎えてなにより。

    繰り返し読み必至。



    1刷
    2021.6.12

  • 皆川博子は過去の異国へ誘ってくれるから好きだけど、何かしらのトラウマを残していくので、もうちょっと当分はいいかな…という気持ちになった。『水葬楽』、『睡蓮』は良かった。

  • 「最後の解説を読むまでが読書です」というメタ小説

  • 2014-11-9

  • 皆川作品に触れるのはこれが初めてだが、おそろしく濃厚で上質な短編集を読んだという感じ。

  • 表題作があって、解説がそうなら
    各作品のなかで現れる現実と幻想の境は
    この本を読みおわった時点で、さらにあいまいで
    ふとした瞬間にグニャリと歪んでしまいかねない。

  • 「水葬楽」「猫舌男爵」「オムレツ少年の儀式」「睡蓮」「太陽馬」を収録。
    講談社からハヤカワ文庫へ。ただのいつものトールサイズなのに、横書きの目次とローマ字表記が不思議と瀟洒。それとカバーイラストも。

    講談社版の刊行年と中身からして、著者が思う存分自由に書く(書ける)ようになってからの作品群なんだと思う。どこか技巧と実験の気配もありつつ、かなりのところ現在の作風が確立している感じ、かも。
    でもやっぱり「同じ音色は、二度は味わえない」のだから、魅力ある多作はいいものだ。何かしらの異界を描く作家ならなおのこと。
    どれも複雑な味わいがあって面白かったのだけど、やはりその異色で際立つのが「猫舌男爵」。勘違いに次ぐ勘違いの頓珍漢が、気が付いたら大真面目に華麗なアクロバットを決めているのだからもう可笑しくて可笑しくて。「ハリガヴォ・ナミコはどうでもいいです」のあたりなんか無性に笑える。
    穏やかに始まる「オムレツ少年の儀式」の回想明けと、死の色濃いクライマックスが先に立つ「睡蓮」の逆廻しに狂気を増していく様子にはぞくぞくしたし、「水葬楽」の荒涼たる世界観と詩の交響、「太陽馬」のふたつの物語が絡み合っていく様子もとても面白かった。
    解説までひっくるめてグラスハープのような一冊。完成度が高い。

  • 短編集。
    表題作が面白かった。どんどん話が逸れていく。訳者も、手紙の相手も、友人も、皆話が逸れていく。
    逸れた話が可笑しいから、猫舌男爵が何たるかなんてどうでもいいのだ。

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著者プロフィール

1930年旧朝鮮京城市生まれ。1973年に「アルカディアの夏」で小説現代新人賞を受賞し、その後は、ミステリ、幻想小説、歴史小説、時代小説を主に創作を続ける。『壁 旅芝居殺人事件』で日本推理作家協会賞を、『恋紅』で直木賞を、『薔薇忌』で柴田錬三郎賞を、『死の泉』で吉川英治文学賞を、『開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU―』で本格ミステリ大賞を受賞。2013年にはその功績を認められ、日本ミステリー文学大賞に輝き、2015年には文化功労者に選出される。

「2021年 『OTOGIBANASHI』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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