宇宙人相場 (ハヤカワ文庫 JA シ 4-3)

著者 :
  • 早川書房
3.33
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本棚登録 : 163
感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (295ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150311766

作品紹介・あらすじ

家族と過ごす時間を持つため在宅投資家となった高野信念は、謎の日米中相場の乱高下に翻弄される。それには宇宙人の存在が……。

感想・レビュー・書評

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  • SF。投資。
    ライトノベル×SF×恋愛×投資。
    SF的には地球外知的生命体とのコンタクトもの。
    作品全体としてSF要素はそれほど重要でなく、メインは投資と恋愛。
    投資におけるリスクとリターンの関係を、うまくストーリーに落とし込んでいる印象。
    投資をテーマにした小説は、あるならもっと読みたい。
    一般受けはしないだろうが、好きな人にはハマりそう。
    個人的には非常に楽しめた。

  • 恋愛金融SF!と銘打ったこの「宇宙人相場」。
    未知のジャンルに興味を惹かれて手に取ってみた。

    まず、テイストがとってもラノベ。
    ラノベ特有のズレたキャラクター達や、寒い会話が少し鼻に付く。
    それでも、ストーリーとしては大筋良かった。

    主人公は35歳の元オタク。そんな彼がある日突然、病気がちな女性と出会う。
    彼女に残された時間は長くはなく、そして医療費も嵩む。そんな彼女との生活のために、主人公は仕事を辞めて株取引を本業にしてしまう。

    というと、ちょっと重たくてシリアスな話かと思いきや、ラノベ調なのでサクサク読める。
    作者自身がリーマンショック以降にトレーダーをやっていたらしく、金融知識については申し分なく、読み応えがあった。

    そしてこの小説のSF的エッセンスとして、宇宙人とのコンタクトがある。
    物語の序盤から、主人公の元に宇宙人からの謎のメールが届く。ひょんなことから、彼らは証券会社のサーバに不正アクセスしてしまう。
    なんと斬新なファーストコンタクト!

    そして最終的には、宇宙人こと自走プログラムは主人公のPCに移り住み、不思議な同居生活が始まる。
    申し訳程度ではあるけど、彼らの出自についてもきちんと解説が為されているのもポイントが高い。こういうゆるふわなSFって、そういうところの解説が疎かになりがちなので...

    というわけで、期待以上に面白い小説だった。
    あと、ハヤカワ文庫のメタジョークで笑えたw

  • タイトルとは裏腹に、中年オタクの恋愛結婚話だった。
    最初にオタクあるあるを入れることで話にのめり込みやすくして、そのまま終盤へ。

    金融工学なところもあり、SFなところもあり、かなり詰め込んだ作品でした。著者の株式経験もふんだんに入っていて、リアリティもいいよね。
    アニメとかで見て見たいよ、これ。

    スカルピングに手を出したくなってとても危険な本ですね笑。

  • 『読みやすく、楽しく読めて、最後に驚きの展開があるも、あっさりと終る』

    今作を読んで一番最初に思った感想は、芝村さんの小説は相変わらず読みやすくて良いなです。

    芝村さんの作品は何作か読んでいますが、他の作品も結構ご都合主義的な展開を多く感じます。
    個人的にはそれ自体は悪いとは感じず、話を面白くさせる方向だったり、あまり後味を悪くしないための予定調和的な展開になっていると感じているので、特にマイナス評価にはならないんですが、今回はいつも以上にそういった展開を多く感じました。
    しかし読了後には、今作の怒濤の予定調和的展開も寧ろそれも含め「有りだな」という感想になりました。

    今作は主人公がオタク(ただし、グッズ会社を経営し、そこそこ成功したエリートオタク)で、ある日突然美人な女性(わけあり)と付合う事になって的な話です。
    凄くお約束的な展開が目白押しですが、お約束な展開だけに読みやすく、メインで細かく語られる株の取引の仕組み部分の記述を集中して読めた事と、単純なお約束的展開だけで無く、そこから半歩ずれた設定や流れ等もあり飽きさせない所も良かったです。
    登場人物などの設定的には鬱めな話になりそうな話なのですが、そこに引っ張られすぎず、「この先どうなるんだろう」と最後まで読者の興味を持たせ続けるのは上手いと感じます。
    そして、自分が普段知らない世界(今回の場合は株取引)が見られるのは読書の醍醐味だなとも感じさせてくれました。

    個人的には吃驚したのは、最後の落ちです。
    今作でその部分だけは予想外でした。
    ある意味その落ちも昨今では珍しくは無いのですが、そこまでの流れからして、「こう来るかぁ」と唸らせられました。
    ですが、その後が少しあっさりしているように感じました。
    唸らせられただけで終ってしまったというか。
    確かに本編中に伏線的な物もあったように思うのですが、良くも悪くも余りにもあっさり終ってしまったので少し物足りなく感じました。

    以上を踏まえての今作全体の感想は「確かに本編は楽しく読めて、最後の落ちに驚きはしたけれど、終わり方があっさりしているように感じる」です。
    最後にもう一波乱あり、その後の大団円ならば、個人的には星4の評価になっていたと思います。

  • オタクグッズ会社の社長が個人投資家に転身するお話

    公式のあらすじでも終盤までの結構なネタバレ要素を含んでいるんだけどいいのか?
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    高野信念はオタクグッズ会社経営の35歳。偶然出会った病気がちの彼女・妙と過ごす時間を増やすため、彼女の父親(強引・無口)に勧められるがまま在宅個人投資家に転身した。ネット投資に精を出す彼に時々届く間抜けなメールには、どこか宇宙人っぽさが感じられる…。謎の相場変動の原因は本当に宇宙人の所業か?高野は艱難辛苦を乗り越え無事に妙と結婚できるのか?いい歳したオタクが一喜一憂する恋愛金融SF!
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    ハヤカワ文庫における芝村裕吏の3作目

    「富士学校まめたん研究分室」「この空のまもり」ともちょっと毛色が違う
    会話にヲタネタが満載なので、分かる人にとっては面白い
    ちなみに僕はフレーズは聞いたことあるけど元ネタを知らないというのが大半だった

    かなり偏った電車男というか、電波系彼女というか、まぁヲタにとってはこれはこれで馴染みのある設定ではある


    あと、株式売買のチュートリアルとしての側面

    「スカルピング」という方法
    「1円値が上がったら売れ、5分値が動かなければ売れ」「1円値が下がっても売れ」というルール

    例え下落相場でも一日の中で常に下がり続けるわけではないので、うまくすれば儲けがあるらしい

    株を持つ時間の長さによって、リスクとリターンの比率が変わっていくわけで
    それの最短の方法がスカルピングらしい


    謎のメールに関して、中盤までは登場人物の誰かか幼馴染的なキャラが居るかと思ってたんですけどねぇ
    先にあらすじを読んでたら違う予想をしてたと思うけど、まぁタイトルが既に「宇宙人相場」ですし……

    結末に関しては芝村裕吏っぽいので納得ではある
    だとするとこの作品って、他の世界と関係があったりするんだろうか?
    ガンパレと式神のちょっとしか世界観を知らないので、他作品とどう繋がっているのかよくわからん

  • ライトノベルとして面白かった。病弱だけど美人の嫁がかわいい。頭をなでられたい。金融小説としては、スカルピングの実態?が良くわかった。デイトレードとは違うのね。SFとしては宇宙人の活躍が少ない気はするが、設定は良し。
    何といっても、下記のセリフが心に沁みた。
    「この世に楽な仕事はない。どんな仕事も相応に大変で、相応に楽しい。どんな職業にも一長一短はある。大切なのは嫁に合わせることだ。仕事のチェンジは出来ても、嫁のチェンジはできない」
    嫁が一番である。

  • 妙さんがとにかく可愛いので、甘々な恋愛モノが好きなSF読みはいますぐ読んだ方がいいし妙さん可愛い。

  • 話が株式相場だけに非常に地味な話。テンポは良いがいつになったら宇宙人出てくるんだという期待が報われることはあまりない。

  • これは楽しい話。
    会社辞めて、投資だけで生活したくなる話。
    宇宙人、カワイイ。

  • なんかタイトルからもっとぶっ飛んだ内容を期待したのだが案外普通。宇宙人はあんまりストーリに関係ない気も。でも投資関係の展開は面白く読みやすかった。

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著者プロフィール

ゲームデザイナー、作家、漫画原作者。
第5回日本ゲーム大賞優秀賞、第32回星雲賞メディア部門を受賞した『ガンパレード・マーチ』をはじめ、『絢爛舞踏祭』や『ガンパレード・オーケストラ』三部作などを手がける。
その特異な世界観と研ぎすまされたシステムから、「芝村ゲー」と呼ばれ、高い評価と熱狂的なファンを多数獲得している。
小説の代表作に『マージナル・オペレーション』シリーズ(星海社FICTIONS、全5巻)があり、同作は『月刊アフタヌーン』でコミカライズが連載中。また、『マージナル・オペレーション』前史にあたる新シリーズ『遙か凍土のカナン』(星海社FICTIONS)もヒット中。近年は多くの漫画原作も手がけている。
現在、世界観設定などを担当したブラウザゲーム『刀剣乱舞』が大ヒット中。Twitterアカウント @siva_yuri

「2023年 『マージナル・オペレーション [F3]』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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