- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150311834
作品紹介・あらすじ
極寒の王国〈緑の凍土〉が危機に見舞われたとき、王子ディアスの選択が未来を切り拓く
感想・レビュー・書評
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ファンタジーだけど、その世界にしっかりと根をおろして生活している人たちの息づかいが聞こえそう。守り人シリーズを連想させる世界観。
アンローサとナナニが北の国で生活している描写が好き。
ナナニが戻ってくるといい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
この方も良いファンタジーを描くなあ。
最近、萩原規子さんや上橋菜穂子さんといった、素晴らしいファンタジー作品を多く読ませてもらえて嬉しい限りである。
『夜の写本師』を読んで、その時はちょっと硬質な味気なさを感じたのだけど、今作は良い具合に世界とキャラクターがマッチしている。(上橋菜穂子『鹿の王』を先に読んだからか、重なる所もあるけれど)
あらゆるものの「欲望」が表れ、罪を起こしてゆくのだが、そうした罪が簡単に帳消しされるという結末はなくて、安易なエンディングは迎えない。
けれど、国という社会基盤が続いていく中で、それを負うて人が生きていくことで、見えない結末の先に道があるのだと感じた。
そういう点で、重みはあるのだけど、ファンタジーとしてはまだ物足りないくらいかな。
実は『写本師』の続編を眠らせてあったので、楽しみにして読もうと思う。 -
神世から人の世に移り変わる兆しの出来事を描いた物語。
ディアスが旅の中で見たこと、選びとったこと、伝え残そうとしていること。過去を知り、現在に悩み、未来を見据えてゆく。
ディアスだけでなくアンローサも同じか。彼女が旅の中で経験したこと。王国の中では決して経験体感することのなかった出来事が、これからの人生にどんな影響を与えて、周りの人々にどんな伝わり方伝え方をしてゆくのか。
降りかかる災難に対して明確な答えを持っていた王国。サルヴィというそれに頼ることができなくなった、ディアスたちの世代の王国。しなくなった、の方が正確かな。
彼らが選んだ道は、答えのない長い旅路だろうけど、困難に負けず強く逞しく歩んでいってほしいです。ディアスとアンローサが経験したことが、必ずしも答えを導くわけではないだろうけども、一助にはなっていると思うので。 -
大人になって初めて読んだファンタジー作品。
場面場面の描写が細かくて想像しやすく、本当にこんな国があるかのように読み進めることが出来ました。面白かったです。 -
オーリエラントのシリーズがだいすきな乾石さんのノンシリーズ。魔法が絶えたのちの、王国の物語であった。どうしても上記シリーズを頭から消すことはできず、さらにはそのカバー絵との親和性の高さなども考えてしまうのだが、そうはいってもこちらもすてきな作品だった。想像力の賜物としてもよくまとまっている。魔法の杖を振らなくてもファンタジーはそれとして確たる芯を持つのだと改めておもい、ワクワクしつつ読んだ。主人公が世界の広さを体感して逞しさを増すというのは王道だが、この著者ならではの導きかた、やはりそれが好きだと感じた。
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(`・ω・´)b
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いやー、ほんとこの作者さんは素晴らしい。極上でした。
真っ当で真っ直ぐなジュブナイル、久しぶりに読んだ気がします。
ただの冒険活劇ではなく、生きることの辛さや重さが詰め込まれています。
少年少女の成長譚は、そのような裏付けがあってこそ、説得力を増すのです。
もう、間違いないですね。
これからも、注目していくべき作家さんです。