伊藤計劃記録 2 (ハヤカワ文庫JA)

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  • 早川書房 (2015年3月20日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (336ページ) / ISBN・EAN: 9784150311872

作品紹介・あらすじ

リドリー・スコット、押井守、フィンチャー、そして『ダークナイト』──2004年から2009年まで綴られた個人ブログ「伊藤計劃:第弐位相」を全収録。

みんなの感想まとめ

著者の執念が感じられる文章は、病を抱えながらも続けられた個人ブログの記録であり、読者に新たな視点を提供します。映画やゲームに対する深い考察は、単なる感想を超えた批評として楽しむことができ、著者の独自の...

感想・レビュー・書評

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  •  要注意ワードは「深い/浅い」です。あと「薄い」。
     これは、責任とか自分といったものからものすごく遠い単語です。深い/浅いは具体的にどうだったのかを全く述べないときに使われる、印象批評では下の下の下下々の下ぐらいの単語でしょう。テーマが深い。よござんす。しかし、「どう」テーマが深いのかを書くのが文章というものの機能なのであって、それをきちんと書けている人はわざわざ「深い/浅い」とは書きません。つまり「深い」と書くのは馬鹿です。要するに何も考えていないということのぶっちゃけというか告白なので、その文章の知性を駄目な方向に数ランク引き下げたいのだったらがんがん使うべきです。

  • 自分の癌という病状が進む中、よくこれだけの文章を残すことができたなぁと、なんというか、執念を感じましたね。
    もちろん、ダウン気味の時は文章を残していないんだろうし、実際に症状が重いときは書けなかったんだろうけど、よくぞ、(文章上だけだとしても)同じようなテンションで続けることができたと思います。
    ファンでもファンじゃなくても必読ではないでしょうか。

  •  伊藤計劃の文章は面白い。自分の知らなかった物語の見方を出来る人は尊敬してしまう。
     伊藤計劃とは趣味が合う。小島秀夫、NIN、押井守、デイヴィット・フィンチャーなどなど。私は映画はそんなに見る方ではないが、著者の映画評は、批評と感想の割合が良い。この能力は必死で物語を観てきたことで築き上げられたものなのだろう。
     メタルギアに対しては、私もそこそこ考えてきたのだが、著者の批評は新しい視点を与えてくれる。ファンはぜひとも見るべき。
     虐殺器官やハーモニーが出た時の対談などは、小説を読んでいる人にはためになる話が少しある。仕組みが何かしらあるのなら、もう一度読んでみようと思った。著者は理屈の人なので、理由があって世界があり行動がある。それを読み解いていくのは楽しい。完璧ではなくても、著者の思考に近づける。この本を読んで、普段の思考を知った上で小説を読んだら、新しい発見があるかもしれない。
     著者は死者に対しての「冥福」という言葉は好きではないと言っている。だから私もならって、伊藤計劃に送る言葉は「ありがとうございました」。著者の物語はずっと人に読まれて、伊藤計劃の恐るべき子供たちが、どんどん出てくることだろう。それに、きっと喜んでいると思う。

  • これで、伊藤計劃は全著作を読んだ事になる。未だに『虐殺器官』と『ハーモニー』は読みたい時があります。最も好きな作家のうちの1人。奇しくも、これを読んでいる日に最も好きなラッパーのうちの1人ECDの訃報を聞く。いつか来るであろうと思いつつも、大変なショックを受ける。伊藤計劃にもECDにも 「あなたの物語は僕らに宿っています」 とお伝えしたい。これからをしっかりと生きようと思うのでした。

  • ブログで取り上げられている映画やゲーム、SF小説はほとんど触れたことがないため話についていけないが、氏の思考を辿るのはすごく楽しい。よく押井守のことを書いていて、この方が「スカイ・クロラ」を観たらどのような感想をもつのか読んでみたいと思っていたら、レビューが掲載してあって感動した。インタビューでは将来の執筆の話もされているが、それが逆に読んでいて切なくなる。心の底から、もっとこの作家の物語を読みたかったと思う。

  • 無茶苦茶残酷な本だな、というのが率直な感想です。
    だって、「あ〜映画観てえ」って言い続けてて、十分すぎるくらい才能があって、次回作の展望もあって、まだまだのところで、1月にその年の展望を述べた記事で、ぶつって切れて、おしまい。って、あんまりにもひどすぎるんじゃないですか。
    この人が、震災後の日本をどう論評するのか、聞いてみたかった(やっぱり、おれが入院しているあいだに、大惨事が、とか何とか言いながら、鋭いことを言ってくれるんだろう。)です。

    もちろん、どんな人の最期だってこんなもんで、大河ドラマみたいに、「俺はやり切ったぞ。」とか言って終わる人なんていないのは承知のうえだし、自分だって、数時間後には、この日記、更新されなくなってるかもしれないのは、分かってるんだけど、やっぱり悲しい。

    だからこそやはり、あなたと同じ言葉を、あなたに捧げなければなりません。

    ありがとうございました。
    あなたの物語は、今の私の一部を確実に成しています、と。
    あなたの言葉は、今の私の一部を確実に縁取っています、と。

    そして、付け加えるなら、あなたの物語で、世界は、確かに変わりました、と。

  • 【内容】
    フィクションでない2006-2009年抜粋その2。
    9点の記事と解説を除く全ては下記URL(a)筆者の現存するブログからの抜粋です。
    本書の約6割がブログからの抜粋に当たります。

    【類別】
    随筆、日記、対談、映画評論の要素。

    【着目】
    扱われている話題は上巻と同じものに加え、その時期に興味関心があった学術分野を含みます。
    ブログによらない対談や随筆の記事がありますので、その点を読みたい人には本書を手に取って損がないかもしれません。

    【構成等】
    経時順。口語寄り。

    【備考】
    (a)「伊藤計劃:第弐位相」
    http://d.hatena.ne.jp/Projectitoh
    (b)『伊藤計劃記録 I』のレビュー
    http://booklog.jp/users/70x20/archives/1/4150311862
    本書の題はIIですが2015年7月現在これが最終巻であり続刊の予定は示されていません。

  • 段々とブログが自作の構想メモの様相を呈してきて,後半部,まだ作品にまとまっていない内容が今後どのように結実したのだろうか,と思うと無念である.一方で,映画批評に対するスタンスが強く顕れていて,映画という事象が,自分を表現する発露としての最も思い入れのある媒体だったのかも知れない.

  • blogの抜粋、エッセイ、評論、そしてインタビューや対談を収録。『作家以降』と題された本作では、『虐殺器官』が小松左京賞の最終候補作になり、ハヤカワのJコレクションからデビューしてからの記事が主となっている。
    blogで触れられているのは矢張り映画が多い。もし伊藤計劃が生きていたら、評論分野でも活躍したんじゃないか……改めて読んでみるとかなり面白い映画評だった。とはいえ映画は殆ど観ないんだが。
    また、円城塔との対談で、伊藤計劃は装飾を積み上げるタイプ、対する円城塔は構造を使い捨てにするタイプ、と述べられていたのには非常に納得した。『虐殺器官』にしろ『ハーモニー』にしろ、伊藤計劃の小説には『ディテールの繊細さ』という特徴があるように思う。ただ、円城塔に関しては、私には『如何に書くか』というウリポ的な言語実験要素が強く感じられるんだけども。
    blogの中で一番印象に残っているのは、『11-27,2006 リーズン・シンドローム』の『理由という名の病』。ここで言及されている『フィクションの空気を読めてない人』というのは、意外に多いのではないか……とふと思った。自分もそうかもしれんけどね。

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著者プロフィール

1974年東京都生れ。武蔵野美術大学卒。2007年、『虐殺器官』でデビュー。『ハーモニー』発表直後の09年、34歳の若さで死去。没後、同作で日本SF大賞、フィリップ・K・ディック記念賞特別賞を受賞。

「2014年 『屍者の帝国』 で使われていた紹介文から引用しています。」

伊藤計劃の作品

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