PSYCHO-PASS GENESIS 2 (ハヤカワ文庫 JA ヨ 4-7)
- 早川書房 (2015年6月24日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (349ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150311957
作品紹介・あらすじ
潜在犯へと堕ちた征陸智己。隔離施設に収容された彼の元を訪れた人物とは? 征陸篇完結
感想・レビュー・書評
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この本で感じたことは征陸のとっつぁんへの羨望でした。征陸のように自らの意志で善悪を判断し、その選択に責任を持つことが自分にはできてないからだと思います。
もちろん征陸も最初からそれができていたというわけではなかった。家族のみをとれれば、ある意味で社会に順応できるかもしれない一方で、刑事としての自分を取りたいがために社会に順応できない。玉石混淆、あれもこれもを取りたいと駄々をこね、そしてそれを取りこぼし壊してしまった。取りこぼしていくなかでも絶対にとりこぼせないものに気付き、最後はそれを強く守った。
ある意味で底付きすることで気付けたので、必要な犠牲だったのかもしれません。たぶん自分の人生だとあそこまで底に落ちていくことは難しいし、たとえ落ちたとしても征陸のように自分の大切にしているものに気付けるとは思えないです。だからある意味で征陸の人生は羨ましいし、考え方や意識が尊いものに感じられました。
物語の人物で一番好きなキャラクターです。久しぶりにとっつぁんに会えて良かったです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
最近またPSYCHO-PASSの世界に魅せられています。ラストは意外の感がした。八尋さんイメージは完全にクゼですし、内容的に攻殻とPPと伊藤計劃ミックスした感じ、としか言いようがないのですが、読み応えは十分あったと思います。
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シビュラができるまでの物語でしたが、ほとんど征陸さん物語でした。ほんと…壮絶な人生が苦しくてつらくて悲しくて、読むのがつらかったです。とくに冴慧さんが…伸元が…あのシーンは泣いてしまいました。悲しすぎる。アニメだけではわからなかった潜在犯の扱いや設定が細かくわかってとてもよかったです。そして義手になる経緯もわかってよかったです…征陸さんらしい終わり方だったなぁと思いました。真面目でまっすぐで旧い時代の男の生き様はかっこよくて、とても切なかった…また終わり方が気になる感じで、次も早く読みたいです。次は誰目線でしょうか。サイコパスを深く知るうえで、スピンオフは欠かせませんね。
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人間同士のいざこざはよくわからないまま話が進んだ。私はシビュラが好き。
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この世界、きっと未来の話。
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警視庁・特命捜査対策室の征陸智己と八尋和爾は、懸命な捜査の末“ノナタワー落成式襲撃事件”の首謀者アブラム・ベッカムの元へと辿り着く。だが、アブラムは厚生省が派遣した制圧無人機により殺害され、八尋は責任をとるかたちで警視庁を去った。そして2091年、警察は解体され、新たに厚生省公安局刑事課所属となった征陸は、いまだ正義の在り処を追い求めていたのだが――スピンオフノベライズシリーズ、征陸篇完結。
色相が濁りそうな描写もあるが、深見さん高羽さんノベライズより吉上版が何よりサイコパスらしいと感じる。旧世界と新世界の狭間に生まれ、どちらにも染まりきれない征陸が社会を受け止める視線は、読者の視点そのものともいえる。かつての親爺・八尋を追い捜査を続ける中で、シビュラシステムそのものについて、社会のありかたについて考え自身の行動や信念を今一度考えることになる征陸。八尋の考えを完全に理解できる人物であり似た境遇に立たされても、家族を守るために異なる選択をするというのは、宜野座の過去を知る側からすると意外でもあった。あくまで刑事として、執行官として生きる理由に家族があったとは。最期の瞬間まで彼が自分の心に従い生きていたことが分かって涙が止まらない。 -
2016.11.14