- 本 ・本 (736ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150312015
作品紹介・あらすじ
王城夕紀、柴田勝家、仁木稔、長谷敏司、伴
名練、藤井太洋、伏見完、吉上亮――現代日本SFの中核から新鋭まで全八作の中篇を収録。
感想・レビュー・書評
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伊藤計劃の登場がゼロ年代のSFを方向付けた。戦争やAIや環境問題、そして心の在り処。今を生きる私たちの心に刺さる作品が集まった、レベルの高いアンソロジーだった。一人の作家に対し、プロの作家たちはこんな答えを提示するのかと感嘆したし、特に王城夕紀と伴名練の作品には伊藤計劃への深いリスペクトを感じた。あと作家たちの後書きが面白かった。アンソロジーを通して伊藤計劃を読んだときに見落としてたあれやこれやが浮かんできて、次はもっと深く読めると思う。
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伊藤計劃に影響を受けた作家たちによる書き下ろしアンソロジーをようやく読了。
8人の作家が設定が被ることのない話を各々展開していて、読み応えは抜群。
一部「ん?これはSFなのか…?」と首を捻ったものもあるが、なるほど、読み終えると確かにSFか、となる感じ。
8作品の中で好きなのは『ノット・ワンダフル・ワールズ』『フランケンシュタイン三原則、あるいは屍者の簒奪』 -
伊藤計劃って名前のせいなのか?
この8人の作家による中篇集は、それぞれがかなりの攻撃力を持っている。
またまた、それぞれが異なる作風で僕をアタックする!
早逝した怨みを晴らそうとしているようだ。
たまらん! -
2009年に亡くなられた伊藤計劃氏へトリビュート。
とりあえず買っておくか。 -
ゼロ世代によるトリビュート
玉石混交というか散弾銃というか、とにかく圧倒の700ページだ。
気に入ったのは、フランケンシュタインものと料理ものと仮想現実ものかな。具体的には、伴名練「フランケンシュタイン三原則、あるいは屍者の簒奪」、吉上亮「未明の晩餐」、伏見完「仮想の在処」。いずれも知らない作者さんだった。
まぁまぁ楽しめたのが、藤井太洋「公正的戦闘規範」。知ってる作者さんだ。
あとはギブアップ。続編も楽しみだ。 -
テクノロジーが人間をどう変えるのか、という問いを内包したSF、の中編集。
サイバーパンクの定義はポストヒューマンという古く新しいテーマとして蘇った。
○公正的戦闘規範 藤井太洋
藤井太洋に苦手意識があって、足踏みしてたけど、読み切ったら正統なトリビュートだった。
中国語ってやっぱかっこよい。戦争のあり方を巡る個人の闘争。
説明臭すぎるような。でもこんなもんか?
○仮想の在処 伏見完
AIとして生まれ育った、死産する予定だった、双子の姉との対話。
そこにも一応、仕掛けがあって。
メモリアルAIというアイディアとして描写はトリビュートとしてあまりにも正統というか。
ポストヒューマンSFの中編として隙のない作品。
○南十字星 柴田勝家
クロニスタっていう長編の冒頭部分らしいが、この後どうなるんだ?
カロリーが高いなこの中編集は。
戦地に赴く文化人類学者。民族。自己と他者の境界。文体が思弁的過ぎて、小説としてはどうなんだろう。
○未明の晩餐 吉上亮
料理人の主人公が、死刑囚の最後の晩餐を用意する。
死刑囚が求めているものは何なのか、が解かれる謎となる。
長編ぽいアイディアとキャラクター設定だけどバランスよく構成されている。
○にんげんのくに 仁木稔
時代設定は実は、現代と変わらないっていうのは読みはじめてすぐにわかった。
未開文明で生きている少年。
異人と呼ばれる彼は風に操られるものだということを自覚する。
風、は物語、作者のことなのかと思った。
語り手が焦点化した人物(≒主人公)が異人であって、それをコントロールする存在を感知するっていうメタフィクションなのかな、と。
未開文明のの歴史は19世紀程度にしか遡れないっていうのはそうだろうな、と。
条件次第で人間になってしまう。
お題に直球。
○ノット・ワンダフル・ワールズ 王城夕紀
LeI。巨大コングロマリット。進化ビジネス。
進化は選択で、ゴールは調和。
ではない、という話。
進化は選択で、ゴールはひとり勝ち。
自己言及的な文章が多くて、このトリビュート自体も冷笑的な態度なのか。
○フランケンシュタイン三原則 あるいは屍者の簒奪 伴名練
ここまでずーっと真っ当なトリビュートが続くのか。
屍者の帝国的なアプローチで、切り裂きジャックの回顧録を描く。
○怠惰の大罪 長谷敏司
これも長編の第一章なのか。
AIがキューバの麻薬密売人たちの世界にもたらす影響。
だが一人の男の立志伝というか、伝説がメインでSFとしてではなく、面白かった。 -
いかにも伊藤計劃トリビュートらしい中編集。
戦争をAIから取り戻す「公正的戦闘規範」、AIが推奨される選択肢を掲示する世界「ノット・ワンダフル・ワールズ」が特に面白し、伊藤計劃らしさがある。
分厚さもありSFはじっくり読み込んでしまうので時間がかかったが非常に面白かった。 -
ページ数のボリューム感に感動した…気に入ったのは「未明の晩餐」「ノット・ワンダフル・ワールズ」「フランケンシュタイン三原則、あるいは屍者の簒奪」
早川書房編集部の作品





