アルモニカ・ディアボリカ (ハヤカワ文庫JA)

著者 :
  • 早川書房
4.33
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本棚登録 : 352
レビュー : 27
  • Amazon.co.jp ・本 (624ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150312145

作品紹介・あらすじ

十八世紀ロンドン。解剖教室の元弟子たちが天使の死体の謎を追う! 歴史本格ミステリ

感想・レビュー・書評

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  • 開かせていただき光栄です、の続編。
    後半からやめられない止まらない、仕事ほっぽり出してとにかく読みたい!という展開。

  • 開かせていただき~の続編。
    ナイジェルの手記が切ない。

  • 文庫化待ってました!前作文庫の感想に、続編が読みたい、ナイジェルの過去が気になると書いたのが2年数か月前。続編、ナイジェルの過去、どちらも読みたかった願いは叶ったけど、まさかこんな形になるとは(涙)ナイジェルがあまりにも不憫すぎて、文中の言葉を借りるならエドと一緒に「歔欷」しました。わけありだろうとは思っていたけれど、ここまで凄惨な生い立ちだったとは・・・しかも、本作ではもう生きているナイジェルの姿を見ることはできない。

    前作以上に事件の概要は複雑。登場人物も多く、解決も誰かが真相を順序だてて語るわけではなく基本的には判事の推理のみの部分も多いので、すべてわかったスッキリ!とはいかない。個人的には事件の真相そのものよりもやはりナイジェルがエドに残した手記(読ませるつもりはなかったにせよ)のほうに感情を持って行かれてしまった。

    エドのストイックさはキライじゃないけど、なんでナイジェルとずっと一緒にいてあげなかったんだよー!(泣)自分たちだけ幸せになることはできない、というエドの覚悟はわかる。それがナイジェルと別れることに繋がるという時点でそもそもエドにとってナイジェルと一緒にいることがそれだけで幸福だったのだとはわかるけれど。風木でいうならナイジェルのほうが明らかにジルベールタイプ。エドと別れた痛手はナイジェルのほうが大きかっただろう。アボットと暮らしながらも、エドの似顔絵を飾り、エドにあてた手紙を書き続けたナイジェルの5年間を思うと切なすぎる。アボットも気の毒っちゃ気の毒。ずっとエドのことを想っているナイジェルの傍にいて彼はどう感じていたのだろう。

    消化不良感が少し残ったのは、エドの心情について一切触れられていなかったからだと思う。判事たちより先に真犯人に気づいたエドが一人ですべてのカタをつけた部分が、アル経由で断片的に知らされるだけで直接は描かれていない点も。なぜクラレンスまでがエドと一緒に新大陸に去ることを決めたのか、そのへんの遣り取りも読者には一切明かされないし。そういう意味では続編があると嬉しいのだけれど、もうこれ以上何かを知るのは悲しすぎる気もする。

    ナイジェルにはエドと幸せになって欲しかったけれど、あの凄惨な生い立ちを背負った彼が外の世界でエドと出逢い、一緒にいられた数年だけでも幸福だったのだと思いたい。読書時間として至福だったけれど、個人的に今作ではキャラクターに感情移入しすぎて辛かった(涙)

  • 0919〜1016

  • 2019/8/11購入

  • 本格ミステリ大賞を受賞した前作「開かせていただき光栄です」の続編。

    前作がとても面白かったので、今回も文庫化を待って購入しました。が、他の積読が溜まっていたこと、図書館で借りすぎてしまったこと、私生活の忙しさが重なり、二年以上も長らく積読の山の中へ……
    ようやく読了し、思ったこと。
    もっと早く読めば良かった……!
    後悔です。

    開かせていただき光栄ですの続編になりますが、起こる事件自体は本作で独立したものであり、前作を読まなくても楽しめると思います。
    ですが、前作の登場人物たちのその後が知れ、前作では明かされなかった主要人物ナイジェルの過去が明らかになったりと、やはり前作を読んでからの方がより楽しめます。

    また皆川博子さんは、他の幻想的な短編作品などでは読む人を選ぶ(大好きです)文体だと思うのですが、こちらはライトで大変読みやすいです。
    ですが、十七〜十八世紀のロンドンの、庶民の生活ぶりや世情などが丁寧に描かれていて、あまり知らない時代、場所への知的好奇心も満たされました。
    日本を舞台とした小説ばかりを主に読んでいるので、解き明かされていく真相と謎、丁寧な描写に感嘆しながら読了まで突っ走ってしまいます。お気に入りは、蜜をひく糸のよう……とある音を表現した一文です。
    事件の謎自体も、ネタバレになりそうなので控えますが、満足、満腹です。

  • 2016-6-20

  • 続編が楽しみになる終わり方だと感じました。
    法の不備、科学の革命的進歩の前夜、英国史の表裏絡めた展開、それぞれ完全ではない魅力的な人物たち。うーん、面白い!
    あの人物この人物はこの後どう生きていくのか、是非拝読したいものです。

  • 「開かせて頂き光栄です」の続編というだけで☆4つつけたい心持ち。

    前作から五年後、エドとナイジェルが去った後のバートンズやダニエル医師、判事とアンの日常が綴られる。

    皆川博子作品は耽美で格調高い文体と独自の美学と美意識に貫かれた世界観が最大の魅力だが、本書はそれに加え軽妙痛快なユーモアにコミカルな掛け合い、一癖も二癖もある変人奇人、天才異才のエピソードに注目。

    とぼけた言動とズレたこだわり、独特の哲学を持ったユニークでユーモラスなキャラクターの人物造形が秀逸。どいつもこいつも愛すべき偏屈ぶりときたら!全員に情が湧いてしまう。

    今作はナイジェルの生い立ちをしるした手記と交互し、炭鉱に現れた天使の亡骸と、美しすぎる調べでひとを狂わす悪魔の楽器を巡る顛末が語られる。
    中野京子「怖い絵」でべドラム(当時の英国の精神病院)の劣悪な環境は知っていたが、ナイジェルが回想する内幕はより悲惨。
    ベンジャミン・フランクリンなど歴史上の偉人も本筋に絡んできて、ミステリアスな展開をスノッブに盛り上げる。
    エドとナイジェルの共依存に近い閉塞した関係性が重要なキーになっているのだが、ナイジェルの手記はエドへの一方的な恋文とも解釈でき、悲劇的なジュネっぽい。

    個人的に好きなキャラクターはネイサン。
    詩人を志しながら未だ夢成らず燻る姿、自分はバートンズの一員じゃないんだと落ち込む姿が可愛らしい。モラトリアムを脱しきれない卑屈さと勇敢さの兼ね合いが愛しくなる。

    アンは前作より女性的で繊細な面(アボットへの片想い、ディーフェンベイカーへの同情)が際立っていたように感じる。
    不満点を挙げるなら、物語のクライマックスともいえるある人物への復讐の顛末が、後日談の推測と又聞きに終始してしまったこと。
    その復讐の内容も、アレンジこそあるが前作に収録された番外編を踏襲してるので、二番煎じ感が否めず少し物足りなかった。

    しかし数奇な運命に翻弄された恋人たち(エドとナイジェル含む)の、別離とすれ違い、悲恋を軸にしたヒューマンミステリーとして読めば十分面白い。
    歴史的な考証や風俗描写も読みごたえたっぷり。

    残されたバートンズやネイサンのこれからが気になるので、続々編もぜひ期待したい。

  • "贖罪"という名に…数々の愛情の連鎖。そして、良心の痛みに耐えうる者はいつしか悪魔から天使へ…。前作を読んだからこその、この完結は骨太!?、、いやいや限りなく広く・大きく…そして奥深く…

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著者プロフィール

皆川博子(みながわ ひろこ)
1930年旧朝鮮京城生まれ。73年に「アルカディアの夏」で小説現代新人賞を受賞し、その後は、ミステリ、幻想小説、歴史小説、時代小説を主に創作を続ける。『壁・旅芝居殺人事件』で第38回日本推理作家協会賞(長編部門)を、『恋紅』で第95回直木賞を、『開かせていただき光栄です‐DILATED TO MEET YOU‐』で第12回本格ミステリ大賞に輝き、15年には文化功労者に選出されるなど、第一線で活躍し続けている。著作に『倒立する塔の殺人』『クロコダイル路地』『U』など多数。2019年8月7日、『彗星図書館』を刊行。

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