- 早川書房 (2016年2月24日発売)
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感想 : 19件
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Amazon.co.jp ・本 (528ページ) / ISBN・EAN: 9784150312176
作品紹介・あらすじ
陸地の大部分が水没した25世紀。破滅が迫る中、陸上民と海上民の対立はより深刻化していた――
みんなの感想まとめ
人類滅亡の危機を背景に、陸と海の民の対立が深刻化する厳しい世界が描かれています。続編として新たな登場人物が加わり、それぞれの立場からの交渉や葛藤が物語を彩ります。特に、経済や政治が絡み合う複雑な状況に...
感想・レビュー・書評
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「華竜の宮」の続編を文庫本で再読。
〈大異変〉前の最後の40年を描いた作品で、前作よりも更に厳しい世界だってことは覚えていたけれど、読ますにはいられない。
これはフィクションだし、私は完全にただの傍観者だけど、こんなに争いばかりでもまだ絶望しないぞと、しぶとく思っている。
人類滅亡の危機に瀕して陸と海は対立し、海の民同士だって考え方はそれぞれで、生きるために略奪行為を行う人もいれば、救援活動に肯定的な人もいる。
陸側の援助が善意だけでなく、合理的に利害を考えての行動なのには納得だ。生きるか死ぬかの段階で、純粋な善意ってあるんだろうか、とか思ってしまうので。そんな体験はしたこともないけれど。
経済も政治もすべてが繋がっていて、容易に落としどころが見つからないところまで来ていて、希望なんてあるんだろうかと分からなくなってしまうのに、まだ人間を諦めようとは思えないのだ。
青澄と彼がついに接触か、と前のめりになったところで下巻へ。 -
『華竜の宮』以降、外交官を辞め、救援団体”パンディオン”を設立した青澄誠司。パンディオンの活動領域は広がりつつあるものの、後の大災害への不安から物資不足気味となり、それに端を発した陸上民と、陸の政治に不信感を持つ海上民との軋轢は、ますます広がりつつあった。青澄はそうした事態の改善のため、様々な人物や組織に働きかけるが……
上巻までを読んだ感想を端的に表すなら、圧倒されっぱなし!
世界のほとんどが水没し、陸地で暮らす人々と、海上で暮らす人々とに分かれた未来の世界。それにさらに、遺伝子操作やAI、兵器、そして、来たるべき大異変など様々なSF要素を盛り込んだ「魚舟・獣舟」『華竜の宮』でしたが、その世界観がさらに深く掘り下げられていきます。これだけ読み応えのある作品は、なかなかないと思います!
陸上民と海上民の文化の壁や、歴史の壁、様々な政治的陰謀が渦巻き、様々な個人の正義や哲学が作中でぶつかり合います。
しかし、そんな壮大で複雑な世界を、個人の視点からも、そして、全体の視点からも、ものの見事に描き切っているのです。構成力や設定の細やかさもあると思うのですが、それをアイディアで終わらせずに、文章で表現しきるその筆力たるや!
そして、この作品で描かれる世界は、現代の世界ととてもシンクロしている気がします。物資がなく貧困のため、権力や物資を持つ陸上民への不信感のため、海賊や暴徒化してしまう、海上民たちの反社会勢力”ラブカ”の姿は、ISのようなテロ組織の姿とシンクロします。
そして、彼らの活動のために、陸上民は海上民たちを信頼できなくなり、新たな断絶が生まれるというのも、テロ以降の、イスラム教徒への差別とつながるものがあるように思えます。
そして、そうした動きに便乗し、私腹を肥やそうとする人間たちもいれば、少しでも争いを収めようとする人たちもいます。彼らの行動も非常にリアルです。
読めば読むほどに、紛争を無くそうと活動する青澄の思想にも、そして、ラブカとならざるを得なかった、ザフィールたちの姿にも、共感を覚えてしまいます。異なる二つの立場をしっかりと描き切るあたりもさすがです。そして彼らの物語を読み込むほど、世界の複雑さが見えてくるあたりもすごい!
地球を滅亡させるほどの大変異が迫っている中でも、紛争をやめることができない人間たち。逆にそうした変異が迫っているからこそ、自分だけは助かりたい、と人々は利己的になり、結果紛争が生まれるのかもしれません。
そんな世界で何が正義となり、どう行動するのが正解なのか。作中の登場人物たちの行動力の源にあるのは、ひたすらに正解を追い求めるが故の力のような気がします。
登場人物たちがどのような結末をたどるのか、とても楽しみです。 -
すごいよなあ。
どうすればこんなの書けるの? -
「華竜の宮」の続編
新たな登場人物の活躍、海の民の未来・・・
「華竜」がかなりおもしろかったので、ちょっと焦点を当てる人物が多い気がして、いまいち物語に没頭できなかったかな。
また時間軸がいったりきたりするので、ちょっと混乱します。
ただ、小松左京を彷彿とさせる科学設定はさすがです。
本格SFが読みたい人にはお勧めです。 -
ハードなSFでありながら交渉がメインとなっている。
それぞれ立場を代表する登場人物には生い立ちからして深みがあり、それがまた交渉して困難な状況の打開を目指して葛藤する。
ほとんどは破滅的な結果となるが、どこかに光明が差すことを願わずにはいられなくなる。 -
11月4日読了。図書館。
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マキが〜!マキが改変されて女性体に…元のママが良かった。辛い世界は相変わらず。陸上民と海上民の争いは泥沼化。単純な資源争いではなく、様々な思惑が絡み合う。翻弄される人々を救うべく青澄とザフィールは、それぞれの立場で戦う。未来に希望を見いだせない。簡単に人体改造しすぎ。
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続きが気になります。
現実世界でも根回しと人脈が、嫌というほど大切ということを痛感します。 -
面白かったです。前作「華竜の宮」のラスト、〈大異変〉が起こるのがわかってから実際に起こるまで人類はどう生きたか。今回も圧倒されました。
限られた資源の奪い合いで陸上民から海上民への攻撃はさらに厳しくなってるし、それに対抗する〈ラブカ〉という武装勢力も登場して世界は暴力と混沌を極めています。
外交官を辞めて救援団体を経営している青澄も、年取ったけど熱い。宇宙船への出資を断ったの凄かったけど、これ確かマキが乗ってなかったかな…って思いました。
ユイとマリエの友情も好きです。このグループは良いなぁ。
ツェン・リー怖い。でもタイフォンを失ったのでこうなったのも一つあるかもと思わなくもない。デュレー会長も闇。
青澄とザフィールの直接会談の予感で下巻へ。続きも楽しみです。 -
ラブカのお話。
救援団体の理事長青澄、ラブカのリーダーザフィール、宇宙船を作る夢を持つユイの目線。
シガテラが食い詰めた人々の強盗団で、ラブカは食い詰めた人々を救うために強奪行為するテロリストみたいな感じ?
一回読んだけど、ものすごい時間がかかってしまい、モブが誰だっけこの人といちいちなってしまったので、読み終わって下巻読む前にもう一度読みました。
大異変ほどじゃあないけれど、コロナで買い占め~みたいなの思い出したり。
買い占めするから家族の物資が手に入らない~→輸送会社襲う。の流れまで現実はいかなくて良かった。
次は忘れないうちに下巻読まなきゃ。 -
購入してから魚舟読み直し、その短編集から火星や百目に行き、華竜読み直し、リリエンタールを読み、されど続けざまとならず
原田さんのゲルニカを先に読み、
ああ、読むまでがなんと長いことよ。
そのように準備して読んだ価値があったなあと感じているが、まだ登場人物の登場、という印象かな。それが星一つ分。 -
文庫版も手元に置きたくて購入。
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やはり上田早夕里の海洋モノは良い。
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この上下巻は、過去の作品を読んでいないと世界観がわからないのでご注意を。
さて「深紅の碑文(上)」では、この巻に盛り込んだ登場人物が、青澄を中心に各地で夫々の物語を展開する。ただ、青澄の物語に主として絡む人物が定まらない。下巻ではどのように収束するのか。
著者プロフィール
上田早夕里の作品
