深紅の碑文(下) (ハヤカワ文庫 JA ウ 4-5 The Ocean Chronicle)
- 早川書房 (2016年2月24日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (581ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150312183
作品紹介・あらすじ
陸海の対立解消に奔走する者、種を宇宙に送り込もうとする者……苛烈な闘争の時代に己の信念を貫く者達が、この星に生の輝きを灯す究極の黙示録巨篇
感想・レビュー・書評
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暴力の連鎖が辛い。
ラブカの闘争は、そうなった経緯や心理的な面も丁寧に描かれていて、こいつらは悪人だと簡単に切り捨てられるものじゃないから色々と考え込んでしまう。
しかしそれ以上に、宇宙開発に携わる人々の思いがとても心に響いて、胸が熱くなった。
自分たちが結果を見届けることはない。けれどもきっと、その先があると信じている。
それってとても心が豊かでいれられることだと思う。
解説によると、この先にまだまだシリーズの続編が予定されているそうで、楽しみだ。
惑星マイーシャの話、ルーシィの話、NODEの話、どれも読みたくてたまらない。 -
下巻も読み応えがある世界でした。人の業は深い。
人類滅亡が避けられない未来がやってくるのを知りながらも、分断と闘争はなかなか止められないないというのが…血塗れの「深紅の碑文」という言葉が重くのしかかりました。
陸・海・空をそれぞれ、青澄・ザフィール・ユイという登場人物が中心になって描かれていました。
青澄は救援活動、ザフィールはラブカでの陸との闘争、ユイはアキーリ号を宇宙へ放つ、というそれぞれの闘いは悲しい結末や消息不明にもなったけど、それでも、アキーリ号出発は救いでした。青澄は脳内で見てたんだな…再読で、意識不明中だったのに気付きました。副脳凄い。
連作で続編も構想されているようなので楽しみです。
「反対意見を持つ者を社会から排除したり、力ずくで叩き潰したりするような真似は、どこの誰にもさせてはなりません。それこそが、あの闘争から私たちが学び、最後まで担うべき仕事ではないでしょうか」…今の状況に重なる気がするので覚えておきます。 -
1を解決するために2を無くす。そうすると2と共存関係にあった3は快く思わない。
現実も様々な原因や現象が複雑に絡み合っており、この問題はこうすれば解決するという単純な道筋はないのだと感じました。
また、自分の信念が揺らぎそうになる時、それをどうしたら保つことが出来るのか、それが出来る人は強い人であり、でもそれは側から見ると滑稽にも映ります。
人それぞれ千差万別の考え方がある中で、多様性を重んじ、簡単に物事を解決しようとしない青澄さんを尊敬します。 -
「華竜の宮」の続編
新たな登場人物の活躍、海の民の未来・・・
上巻では「焦点を当てる人物が多い気がして、いまいち物語に没頭できなかった」と書きましたが下巻は、これら人物の結末が見事に描かれ、人間の愚かさや思いの強さは何でも叶うという、気持ちいい読了感です。
この後の世界の小説も考えているようで、ぜひ読んでみたいと思いました。 -
ストーリーの終焉がきれい。