- 早川書房 (2016年4月7日発売)
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感想 : 52件
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Amazon.co.jp ・本 (240ページ) / ISBN・EAN: 9784150312244
作品紹介・あらすじ
宝石に恋する女、誘拐された少女、病んだ眠り姫等、R‐18文学賞受賞作家が描く愛の毒
感想・レビュー・書評
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どの作品も影があって、
「官能」「少女」に「影」が交わるとすごく胸がザワつく。
言葉だけで官能的な表現をするのは
とても難しいと思いますが…
読んでいてどういう意味なのか
スっと頭の中に入ってこないところがちらほら。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
一作目の『コンクパール』は集英社より出ている『雨の塔』・『太陽の庭』の関連作。
『コンクパール』から『雨の塔』・『太陽の庭』(後ろ二つはアダルト色なし)の順で読むとこんなことがあったのか、と黒川様に想いを馳せることができるはず。
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ロリィタ服のブランドのAngelicPrettyでなぜか本作を取り扱っていたのをきっかけに10年ほど前に手に取って以来の再読。
当時はあんなに可愛いお洋服のお店でこんな官能小説が売られているなんてという衝撃が凄まじかった。
(表紙の今井キラさんつながりだと思っていたけれど、宮木さんがかつてお店で働いていたとか)
文庫化にあたり、表紙が改まることが多いなか今井キラさんの表紙がそのまま採用されていては嬉しいところ。
帯には「近年まれに見る傑作恋愛短編集だ。」と書評の一文が掲載されていて、可愛らしい装丁もあいまってハッピーな世界を彷彿させるが、『コンクパール』のエロティックな描写に伴った虚しさ、『春眠』は健全そう、と思わせてからのグロテスクな光景…とハッピーエンドを期待すると大火傷するような作品ばかり。
元気のない時は苦しいけれど、ふと思い出して読みたくなる作品。
2021.11.10 (再読) -
初宮木あや子。嶽本野ばらの作中人物が自分の欲望のやばさをわかりつつどんどん溺れていくのに対して、この本の少女たちはどこか自分の身体感覚を外側から冷めた目で見ているみたいなところがあって、より賢くてバランス感覚が良いように思う。かしこくて公平なはずなのにどうしてわが身のこととなると破滅的なほうへ向かってしまうのだろう、っていうその(あれ、どうして? うそ いつのまに?)感が文章ですごく緻密に再現されていてすごかった。離人感のあるかんじ。湿度や匂いをつよく喚起させるのに、いわゆる「愛」とか「絆」とかが本来的に持つべたつきからは自由だ。6篇どれもそうなのだけれど、とくに「モンタージュ」は自傷を記号としてではなく当事者の混乱した内面から混乱したままに描いた――というよりむしろ他者へむかう心とみずからの身体がかみあわないままの、混濁を帯びたふるまいこそが自傷行為の本質であることを描き出した点で、自傷小説(そんなジャンルはいま勝手に作ったのですが)の金字塔ではないか。
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タイトルから、まあちょっと百合とかロリとかくらいかな、と軽めに想像していたら、「おまわりさーん!ここに変質者がいます逮捕してくださーい!」というレベルの変態がゴロゴロでてきてビックリでした(苦笑)百合とかロリとか以前に登場人物全員「病んでる」ことが引っかかる。官能どころか痛々しくて目を背けたくなる種類の「性癖」だし・・・。基本的に宮木あや子さんは文章の上手さ自体を信頼しているので、どれもするする面白く読んでしまったけれど、登場人物たちをほぼ全員好きになれなかったのが残念。
基本は「少女」の話ですが、唯一「少年」の登場する「春眠」がわりと好きでした。ただ、ラストの「モンタージュ」がこれの続編にあたり、「春眠」では好意的に見ていた養護教員が、こちらではとてもくだらない女性になりさがっていたのがガッカリ。それにしても教師と女生徒の恋という題材は、少女マンガでは普通にラブコメとして成立するというのに、現実には犯罪になっちゃうんだから厳しい。でもまあ例えばドラマの「高校教師」で、真田広之と桜井幸子の関係は「純愛」と思えるけど、京本政樹と持田真紀のほうは明らかに「犯罪」なので、その差ですかねえ。
「光あふれる」は、全部妄想だろうと最初からわかっているけどとても怖かった。でもアイドルグループの名前がIKAZUCHIなのは笑ってしまった。雷って(笑)「ピンクのうさぎ」はちょっと気持ち悪く・・・。あ、グロとかじゃなくて、百合はかまわないけど僕っ子が苦手なんですよ。あと幼稚なのも。
「雪の水面」は、一番ヘビーだった。なぜか「需要と供給」という言葉が浮かんでしまった。基本的にはロリコン犯罪者は全員死刑でいいと思ってるけど、虐待やネグレクトにあった子供にとっては、衣食住を与えて優しくしてくれる相手なら、それが犯罪者でも関係ないんだよなあって。寒い、ひもじい、痛い、は辛いけど、この三つを取り除いてくれるなら何ら問題ないとかうっかり思っちゃうもの。性的なことでさえ、痛くないなら(気持ち良いなら)別にいいんじゃない?って思ってしまう。こわいこわい。
※収録作品
「コンクパール」「春眠」「光あふれる」「ピンクのうさぎ」「雪の水面」「モンタージュ」 -
こういう独特のエロティシズムのある雰囲気はとてもとても好き。
漫画とかで読めたらまた違った印象だったかもなぁ。
大学時代にでも読んでたらどっぷり浸かったような気がする。 -
R指定本なのも知らず、官能の意味も知らず馬鹿な状態で買ってしまったんですけどストーリーは読みやすく、ただまあすごい内容がちゃんと官能表現が綺麗でした。私にはとてもそれが強く印象に残りました。
章のまとまりも綺麗でした。ただ私には官能小説は早かったのかな、一旦途中でリタイア中です。 -
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『光あふれる』のように妄想で話が展開していくのは好きな方だけど、やっぱり少女が主人公だとちょっと引いてしまうのは、自分が歳を重ね過ぎたせい?いやいや、コレはダメでしょ〜、何度途中で挫折しそうになったか。でも、読了してよかった。著者が言いたかったのは最後の『モンタージュ』なんじゃないかと。私が私であることを証明するのは私でありたい…
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表紙が可愛くて購入。
表紙に合ったお話の詰め合わせで面白かった。
“春姫”と“モンタージュ”が繋がっているのが良かった。 -
同性愛とかリストカットとか…苦手な話ばかりだったけれど記憶には残るかも…
保健の先生の話は好き。 -
宮木あや子さんの文章が好きなのだ。早川文庫と言うレーベルも好きで見つけた瞬間購入を決定したのだ。
濃密な女性の心理描写に相変わらず頭がくらくらして、なおかつこの作品は今まで読んだ中ではダントツの性愛描写で。いやタイトルに偽りなしって言っちゃえばそりゃそうなんだけど、いやうん、通勤・通学の読書にはちょっと向かない。
官能小説って読んだことはないのだけれど、こんなにも内面が描かれるものなのかしら。同性愛、小児愛、一般には「異常」と言われる愛の形のその裏の、はたまた隣の、歪んだ、むしろ純粋な感情をまざまざと見せつけられているイメージ。
なんだろう、物語の少女たちは愛されたいと、満たされたいと叫んでいるのだと解釈してもいいのだろうか。ままならないこの世を地獄と思いただ叫んでいるのだろうか、全然わからない。誰かの感想を聞いてみたい。
緑色にも見える灰色の空 という表現が好きだった。 -
センセーショナルなタイトルで手を出しかねていたのですが「悪意」というキーワードを見かけて手を出すことに。
確かに「官能」と少女(というか発育不良の女性)の物語です。
しかし、何とも靭い物語。
その底には虐げられた、あるいは挫折した人々の切ない愛が流れているようです。 -
2012年刊行の単行本を文庫化。
宮木あや子は初期の作品を幾つか読んだっきり、暫く読んでいなかったのだが、本作は初期作品っぽい雰囲気で、久しぶりに買って良かった。青春小説っぽいものも書いていたような記憶があるのだが、割と作風の振れ幅が大きいタイプなのだろうか。 -
少女からかけ離れる代わりに折り合いが付けられるようになった寂しさがそのままの状態である。共感するけれど通り過ぎた道を振り返るような封じ込めた願いを思い出すような感覚。「一人きりでは、迷子になることもできなかった」って…泣いちゃいそうになるなあ。
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嘘であってほしいって
願いながら読んでしまった。
本だし作り物なのは解っているけどね。
官能な表現は下品じゃなく
下衆だけどその中にも美しさも
感じられるような文体で
すごい表現だなって思った。
著者プロフィール
宮木あや子の作品
