血と霧1 常闇の王子 (ハヤカワ文庫 JA タ 14-1)

著者 :
  • 早川書房
3.77
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本棚登録 : 439
感想 : 29
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  • Amazon.co.jp ・本 (339ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150312329

作品紹介・あらすじ

血液専門の探索者ロイスの元に持ち込まれた不可解な依頼。それは国を巡る陰謀の始まりだった

感想・レビュー・書評

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  • 最後の最後に主人公がヴィンセントを「ヴィンス」と愛称で呼んだ場面、涙腺にきました...

  • 一気読み…。
    まず独特の世界観が面白い。ユニークなのにシンプルな描写でくどくなく読みやすい。
    人物もさらりとした描写に性格や育ちが見えてイメージが湧く。
    ハードボイルドさもありつつ、繊細な心の動きや、思いがけず美しい言葉が綴られてハッとする。
    1巻だけでも読み終わってしまうことへの切なさがあった。シリーズで10巻くらいあってほしい。

  • Twitterでおすすめされて読んだ。初読みの作家さん。血の明度、彩度、色相という独自の設定はつかむまでは??状態だが理解するととても魅力的。この壮大な物語は本当に2巻で終わるのでしょうか?ミリアムは見つかるのでしょうか?

  •  待望の新作。
     心情があまり絡まない行動を追い続ける序盤は、いい年の中年男性のモノローグに違和感を禁じ得なかったが、物語が動き出した中盤以降は一人称で正解かなと思えた。

     シシィの存在が、なんか怖かった。
     心優しいシシィ。
     憎悪を知らないシシィ。
     何より、人という種ではないシシィ。
     動物園の動物だったシシィ。
     血実を使って、動物の血を取り込んだりしていますが、それも含め、精神性で上回る動物の血に支配されるというのも怖い。
     そういえば、ルークもシシィの血に感応して寝込んだっけ。
     2巻を読んでから思い返すと、ルーク以上の血だったということか。

     3章が茶番だったというオチが若干むむ?という感じだったけど、楽しい(?)時間を、いや、濃い時間を共有するということについては、必要なエピソードだったのだろう。
     ヴィンスがいい男すぎるだけに、二巻が怖い。

  • スチームパンクでハードボイルドで男やもめが凸凹バディ組んだりわがまま王子様と疑似家族したりする、好きなもの全部盛りのような多崎礼の新作。
    おまけに性別不明の家主とか美味しすぎる。
    「血」が価値をもつ世界観、巻き貝(スネイル)という都市国家の形態といい、独自の世界がまたとてもいい。
    どこをとってもわくわくする。
    しかもこの1巻、凄まじく気になる引きで、今すぐ2巻が読みたい。
    帯によると2巻は7月下旬刊行とのこと。
    後篇、と書いてあるので前後篇、2巻で終わりかな?

  • 独自の設定のために序盤は説明臭さが目立つが、中盤以降は気にならなくなった。主人公がもっと冷血漢かと思ったら意外にも人情味あふれるお人好しで好感を持った。他の登場人物も皆キャラ立ちしていて良い。主人公が今でも妻と娘を深く愛しているのは分かったが、肝心の二人についての記述が少ないせいで二人の顔が見えてこないのが惜しい(この点は次巻で語られるのだろうか)。あと、読み終えた今でもこの世界のビジュアルがうまくイメージできないので、できれば巻頭に世界地図や都市のイラストが欲しかった。


  • 多崎さんは天才なのかな。
    いや、違うな。多崎さんは知っているんだな。
    世の理を。

    「子供を守るのに理由はいらない」

    人はどうして大人になるのか。
    きっと…子供を守るため。
    自分の子供だけじゃなく。
    子供を。

  • ーー血に支配される国で、血に染まらぬものを探しつづける男。ーー
    作中にずっと流れる鬱々とした灰色の雰囲気と、その中でキャラクターが時折チリチリと光るように生きているのがとても素敵な物語だった。血の三属性については、把握できるか不安もあったけれども自然と馴染むし、ブラッド〇〇がこうだからこうなるぞ、と何度も言ってくれるので分かりやすかった。一巻で多くの情報が入っていて、それら全てが繋がっていくのが小気味よく感じた。でも帯の血に染まらぬものを探す男は誰の事なのか?

  • 11:多崎さんの最新刊。これまでとはレーベルが違うからか、作風もかなり硬派寄りになっていて(中盤以降はお馴染みの路線をなぞるのですが)、今回は今までになく「格好良い」路線。
    何より、これまでは少年少女、「子どもたち」の物語を書いてこられた多崎さんが書く「親と子」の物語ということで、続刊も期待して待ちます。
    血の三要素など、ファンタジー要素を取り入れつつのスチパン。吸血鬼とか獣人とか、そのものは出てこないのだけど、それっぽいものが好きな方はぜひ。タイトル通り「血と霧」が漂う都市国家ライコスの設定も気になる……!

  • 血の三属性など特殊な設定ではありますが、そこを除けばストレートな内容で読みやすいです。共に不器用なロイスとルークの関係が良い。
    ぶっきらぼうだけどロイスが優しくて父性を感じます。

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著者プロフィール

2006年、『煌夜祭』で第2回C・NOVELS大賞を受賞しデビュー。著書に「〈本の姫〉は謳う」、「血と霧」シリーズなど。

「2023年 『レーエンデ国物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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