伊藤計劃トリビュート2 (ハヤカワ文庫JA)

  • 早川書房
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本棚登録 : 117
レビュー : 11
  • Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150312602

作品紹介・あらすじ

小川哲がカンボジア史の殺戮に挑む「ゲームの王国」、草野原々「最後にして最初のアイドル」などSFコンテスト出身20代作家他収録

感想・レビュー・書評

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  • だめだった

     私にはわくわく感は降りてこなかった。冒頭のバーチャルアイドルで、すでに球はSFゾーンから暴投気味にスラップスティック側に逸れている。次以降の作品はどうも読む気になれない。最後の長編気味の作品は、超変ってわけではなく正統派。でもなかなか進まなかったので途中棄権。残念だ。

  • 伊藤計劃トリビュートらしい作品ばかりで面白かった。
    「くすんだ言語」は虐殺器官に、「あるいは呼吸する墓標」はハーモニーに通じるところがある。一番気に入ったのは「最後にして最初のアイドル」。先の展開を読めないほどぶっ飛んでいて哲学的で面白い。特に気に入っているのは「重要な点は、意識とは生まれつき持っている生物学的機能ではないということだ。むしろ、意識とは後天的に個人に伝授される文化的機能であるのだ。あるいは、こうも言い換えられる。意識とは、文明により個人にダウンロードされるソフトウェアである、と。」というくだり。アイドルの存在意義から意識とはという問題提起に至り解釈する。素晴らしい作品でした。

  • SF。アンソロジー。全員20代以下の作家さん。
    テーマは”テクノロジーが人間をどう変えていくか”と”異質な存在とのコミュニケーション”とのこと。
    完成度の柴田勝家と黒石迩守。インパクトの草野原々。
    自分はとりあえず、積んでる『虐殺器官』を早く読まないといけませんね。

    草野原々「最後にして最初のアイドル」
    衝撃作。
    読んでいて思ったことは、”アイドルってなに?”。
    はじめの20ページからは全く想像できない展開に。
    一瞬、オールディス『地球の長い午後』っぽいかと思ったら、もっと異形の世界へ。
    個人的には、野崎まど + 白井智之 +α くらいのイメージ。次回作次第では注目作家に仲間入りするかも。

    ぼくのりりっくのぼうよみ「guilty」
    世界的戦争後のディストピア。
    ”人間の感情を殺して平和な世界を作るべきなのだろうか”

    柴田勝家「雲南省スー族におけるVR技術の使用例」
    タイトル通りの内容。学術論文のような、報告書のような、事務的な文体。
    『クロニスタ 戦争人類学者』を読んでから、何気に気になっていた作家。この短編も、VRものとして、なかなか洗練されているように思う。
    森博嗣『私たちは生きているのか?』、小林泰三「キャッシュ」(『海を見る人』収録)を想い起す。

    黒石迩守「くすんだ言語」
    言語SF。2069年。
    ジャンルとして苦手な感じは受けたが、中盤以降は適度なミステリ色もあり評価アップ。
    デビュー作『ヒュレーの海』も要チェック。

    伏見完「あるいは呼吸する墓標」
    うーん、これはよく分からなかった。テーマには一番合っているかも。

    小川哲「ゲームの王国」
    長いのでスルー。すいません。

  • 「ぼくのりっりくのぼうよみ」氏の短編は読みやすかった。

  • トリビュートか?

  • 単位がインフレを起こすような年月を経たアイドルの話。
    まさか彼女がアイドルを目指すことが宇宙の命運を変えるとは思わなかった。
    アイドルは会いに行けるじゃなくて会いに行かなきゃ、とか普通に聞いたらそれほどでもないのに、彼女の口から聞くと恐ろしく感じる。
    それほどまでの力を得たのなら、せめて生前?の自分の境遇を改善してあげて、とも思ったが、そうすると彼女が最高神のような存在にはなれないし「最後にして最初のアイドル」。

    そのオチは辛い。自分たちの運命ですら機会が定めたものであったなんて「guilty」。

    ハーモニーとにんげんのくにの中間のような世界。
    彼らが自らの世界しか知らないのは幸せなようで、自分たちとも大して変わらないのではないだろうか。
    自分が暮らしているこの世界がVRではないとは断言できない「雲南省スー族におけるVR技術の使用例」。

    虐殺器官の言語を虐殺以外で(ハーモニーのような目的で)使ったらどうなるか?ある意味ユートピアではないのだろうか。
    相手に言いたいことはきちんと伝わる代わりに、オブラートに包むということができないのは、自分にとっては辛い。
    でも翻訳する際にネイティブならではの微妙なニュアンスを的確に訳すことはもちろん、心情までも的確に伝えるコミュニケーターはとても有能だと思う。
    そういえばgoogle翻訳の際に翻訳する言語同士の間に機械独自に中間言語が登場した可能性があるとかないとか最近読んだ気がする「くすんだ言語」。

    虐殺器官のような淡々とした雰囲気。
    ただ、後から思い返すと内容が全く思い出せない。
    昔読んだ文章の引用(意訳)で申し訳ないが、作者が最も理想とする本は読んでいる間は面白いと思うが、読み終わったらすぐに忘れてしまう本なのだそうだ。
    まさしくそんな本「あるいは呼吸する墓標」。

    何で入っているの?いらなかった。
    一番大部分を占めているのに、一番伊藤計劃らしさを感じなかった。
    SFやディストピア、淡々とした文体のような伊藤計劃とは真逆な歴史小説、政治小説のような気がした。
    かなり無理な解釈をして、虐殺器官のジョン・ポールが破壊をする前後の国及び地域としての解釈をして、やっと伊藤計劃なのではないか?ぐらい。
    これはいらないと思う。この作品以外で刊行してほしかった。
    載せるとしても、続きは買ってね!方式ではなく、きちんと完結させてほしかった「ゲームの王国」。


    1と比べると伊藤計劃らしさも作品の完成度も落ちている気がする。
    3が出るのであれば読みたいとも思うが、伊藤計劃の名にかこつけた短編集ではなく、伊藤計劃らしさを感じさせるものにしてほしい。

  • 読むのが楽しみ。

  • 草野、発想はおもしろいんだけど、諸々雑な印象。いや、こういう文体でないと書けない世界と言えばそうなのかもしれんけど、けどなぁ。
    ぼくりり、逆に設定とかストーリーは割とありがちやけど、丁寧な文章で読ませる。違うパターンの話も書けるなら読みたい。
    柴田、途中からオチは読めるけど、アジアっぽい手触りというか、嫌いじゃない。東南アジアの湿度ってSFと親和性高いのかね。北欧SFとか南米SFとかイメージないけど、アジア、特に東南アジアの湿度の高さってあるよね。ブレードランナーにもつながるのかな、AKIRAだったりユナイテッドステイツオブジャパンだったり。
    黒石、伊藤計劃トリビュートと言う意味では一番どストライク。ただ、それだけで終わってる気もする。この人も違う話も読んでみたい。
    伏見、今ひとつ印象残らず。
    小川、東南アジアの空気ってこれこれ。それはさておき、これってSF?って気がすることを除けばおもしろかった。未完みたいなんで、続き気になるところ。

  • 映画「虐殺器官」の公開に合わせたかったのだろうが、伊藤計劃トリビュートの域に達していなく、最近出てきた作家の寄せ集め作品集になってしまった。個々の作品は悪くない。いや面白い。だけど、まとめると芯が通らない。本書で小川哲さんの「ゲームの王国」 が最も長い作品で、一冊の半分以上を占める。これでは、「ゲームの王国」とその他の短編集となってしまう。しかも最も分量のある作品が未完ときた。繰り返すが、「ゲームの王国」を含めて個々の作品は良い。まとまりがないのが欠点であり、これは企画段階で予測できたはずなので、編集部がなんとかして欲しかった。

    ◎草野原々「最後にして最初のアイドル」
    奇想SFである。面白いかと言われると、否定と肯定の二つの気持ちが同時に沸き起こる。突き抜けてしまった独創性というべきか。この作品の存在を素直に肯定できないが、否定してはいけない気持ちもある。どっちだ?

    ◎ぼくのりりっくのぼうよみ「guilty」
    音楽の世界によく登場するような世界観であり、ストーリーである。言葉を大事にする作家さんのようで、文章にメロディーを感じる。心地よい文章には好感を持てるが、伊藤計劃トリビュートではないな。

    ◎柴田勝家「雲南省スー族におけるVR技術の使用例」
    SFマガジンで既読。VR/AR特集だったのでそれに相応しい作品として読めた。これを伊藤計劃トリビュートとして採用してもなあと思ったが、加筆部分が良かったのか、伊藤計劃を思い浮かべるような作品になっていた。面白かった。

    ◎黒石迩守「くすんだ言語」
    さすが書き下ろしだ。伊藤計劃の世界を大事にして書かれている。虐殺器官とハーモニーを合わせたような作品になっている。物語に続きがあるのなら読みたい。

    ◎伏見完「あるいは呼吸する墓標」
    SFマガジンで既読のはずなのだが印象に残っていない。読書メモには面白かったと残してあるのに。また、前回の伊藤計劃トリビュートに掲載された作品も面白く読んだと読書メモにあるが、作品を思い出せない。本作品も面白く読んだ。でも、記憶に留まることはないのだろうなと思う次第である。

    ◎小川哲「ゲームの王国」
    未完の小説。収録された分だけ読んでもSFとは思えない。これからSF要素が増えていくのかも知れないが、これだけではどちらかというと冒険小説に近い。良かったのは、伊藤計劃の虐殺器官の血生臭いディストピアの世界が構築されているところか。

  • ぼくのりりっくのぼうよみさんが気になって読みたい。
    ただ、全員20代以下の作家という言葉には驚いた。

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