公正的戦闘規範 (ハヤカワ文庫JA)

著者 :
  • 早川書房
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本棚登録 : 181
レビュー : 16
  • Amazon.co.jp ・本 (335ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150312909

作品紹介・あらすじ

デビュー長篇『Gene Mapper』の前日譚「コラボレーション」、近未来の皮肉な戦場を描く表題作、「第二内戦」ほか全5篇を収録。

感想・レビュー・書評

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  • そうそう、これこれ!
    現在の延長線上にあるちょっとした未来と、新技術がもたらす社会変化をポジティブに描いてくれる、藤井太洋ワールドが炸裂です。
    未来に希望が持てる作品です。

  • 5篇収録の短編集。どれも、めっちゃ面白かった!
    一つ目の「コラボレーション」を読んだ段階で、当たりを確信できた。この著者を追っていくしかないな!(確信

    テクノロジーを悪とせず、テクノロジーの生み出す変化を好意的に捉えているのが相性の良い理由なのかな?(良かった理由は、まだよくわかってない

  • 藤井太洋の送る技術特異点とその先の近未来を描いたSF短編集。量子コンピューターによる量子アルゴリズムとフリーズ・クランチ法という未来予測。クォイン・トスというゲームが彩るセブ島での一騒動を描いた「常夏の夜」が個人的に一番面白かった。近未来的なガジェットがてんこ盛りでありながら、ディストピアめいた悲観的な視野は一度もなく、量子ネイティブへの期待という人類の希望が詰まっている。因果逆転した記事を参考に、暴走するクラブマンからの攻撃をかいくぐる姿は良質なハリウッド映画を見たときのような興奮を味わうことができる。

    表題作である「公正的戦闘規範」もドローンにより人類不在になりつつある戦争に公正さを取り戻すという意欲作である。ORGANというオペレーターが直接戦場に立ち、火器や無人機を操作するというのが非常に面白く、殺意を戦場に閉じ込め、その戦う姿に物語を付随させるという結論には膝を打ってしまった。大切なのは誰が血を流し戦っているかであり、そこに物語があるか否かである。戦争の概念が変われば戦場は薄く広がっていき、テロが激化するため、あえて戦争を戦場に固定してしまい、裏を返せばORGANさえ倒せばそれが勝利条件になるため、戦争そのものがわかりやすくなる。この視点は非常に斬新であり、感銘を受けてしまった。人類同士の争いを超えた、人類vs無人機の戦争でもあるのだ。

    「第二内戦」はアメリカが二つに分断された話なのだが、アメリカの歴史や開拓者精神、自警団的な発想を考えれば一番ありそうな未来に思えた。古き良き時代のアメリカを取り戻し、マッチョ思考に彩られた白人だけが住む国。FSA「アメリカ自由領邦」という国名がとても良い。

    どの短編も、幕引きは常に人類の新たな挑戦と希望に満ち溢れている。本来の技術革新はこうしたワクワク感に溢れているものであり、SFといえばディストピアというイメージを持っている人にこの本書を読んでほしい。

  • 19.4.8読了

  • 藤井太洋の短編集
    テーマはやっぱりセンスがいいけれど、できれば長編で読みたい

  • 読み終わってから少し経ってしまった。

    自分としては『ハローワールド』くらいの軽さが読みやすかったので、プログラミングとかメカニックな面では付いていけなかったかなー。

    ただ、表題作「公正的戦闘規範」の世界観は好き。
    利用された者の持つ恨みと復讐の繰り返し。
    そこに知恵と技術が集まれば、盤面をひっくり返すことなんて容易くて、けれどひっくり返された盤面が「勝ち」を現すとも限らない。
    民族衣装に身を包みながらロボットに騎乗して殺戮する彼女の姿は、倫理的な面を無視すれば否応なしに格好いい。
    そうして彼女が君臨するであろう世界を、また別の技術が乗っ取り、塗り替えてゆくであろう未来。

    まさに、諸行無常。

  • 藤井太洋氏の小説は、現在進行形のSFとも言えるもの。現在のほんの少し先を描いてみせるから、とても興味深い。

    今回も、現在既に実現している技術で考えられる、ほんの少し先の未来を描いてくれてて、次作が楽しみな作家さんだ。

  • 初の短編集。長編ほどの盛り上がりはないけれど、作風として通じるものはある。それぞれの短編は、まったく違う世界を描いているが、すべて近未来にありそうな世界。バラ色ではなく、少し灰色。でも希望がないわけじゃない。コンピュータが問題解決の糸口となる話も多い。個人的には、銃規制の問題からアメリカ合衆国が分裂した世界を描く「第二内線」が、ちょうど現在の世界情勢と重なるところが多く興味深かった。

  • 身につけたITスキルがレガシーになって取り残されていく感覚はよくわかる。ましてや量子コンピューターなんてものが主流になったらなおさらだろう。しかしそれほどは遠い未来ではないのかもしれない。この本を読んで、そんな感じがした。

  • 表題作は2年前に伊藤計劃トリビュートで読んでいたのだがすっかり忘れており、改めてドローンによる戦闘を満喫。ORGAN(Operator Re-localized Gun-and-firearms Activation Node)(局所化された操作者による銃・火器行使単位)が出てきて思い出した!。他の作品も面白かったが、第2内戦や常夏の夜の量子コンピュータの使い方も何となく納得。セールスマン巡回問題を解くことが運送問題・エネルギー問題・通信インフラ問題を解決するそうな。勉強します。

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著者プロフィール

藤井太洋(ふじい たいよう)
1971年、鹿児島県奄美大島生まれの作家。国際基督教大学中退。ソフトウェア開発会社に勤務しながら小説を執筆し、2012年電子書籍『Gene Mapper』をセルフパブリッシングして話題になる。翌年、増補改訂版『Gene Mapper - full build-』を早川書房より刊行、単行本デビュー。2014年には『オービタル・クラウド』(早川書房)を発表、「ベストSF2014[国内篇]」1位、第46回星雲賞(日本部門)、そして第35回日本SF大賞をそれぞれ受賞。2018年『ハロー・ワールド』を刊行し、同作が2019年に第40回吉川英治文学新人賞を受賞。
2015年には日本SF作家クラブ第18代会長に就任している。

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