未必のマクベス (ハヤカワ文庫JA)

著者 :
  • 早川書房
3.93
  • (138)
  • (180)
  • (101)
  • (23)
  • (8)
本棚登録 : 1582
レビュー : 187
  • Amazon.co.jp ・本 (613ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150312947

作品紹介・あらすじ

香港法人の代表取締役として出向を命ぜられた、IT企業ジェイ・プロトコルの中井優一を待ち受ける陥穽とは? 解説:北上次郎。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • レビューを拝見して知った本です。ありがとうございます。

    以下文庫版うらすじより

    IT企業Jプロトコルの中井優一は、東南アジアを中心に交通系ICカードの販売に携わっていた。
    同僚の伴浩輔とともにバンコクでの商談を成功させた優一は、帰国にの途上、澳門の娼婦から予言めいた言葉を告げられるー「あなたは、王として旅を続けなくてはならない」。
    やがて香港の子会社の代表取締役として出向を命じられた優一だったが、そこには底知れぬ陥罪が待ち受けていた。
    異色の犯罪小説にして、痛切なる恋愛小説。


    普段、ミステリーは読みますが、犯罪小説はあまり読んだことがないので、読んでいて気分がよくなるとは言い難かったです。
    主人公が人殺しを平気でします。
    そこのところが受けつけにくかったです。
    ハードボイルドとも言うのでしょうか。
    タイトルにある『マクベス』がどういう話であるのかは本書で何度も語られるので…と文芸評論家の北上次郎さんが解説でおっしゃっていますが『マクベス』はどういう話なのかも結局私はわかりませんでした。
    わかればもっと面白かったのかもしれませんが。
    恋愛パートは秘密が明らかにされる場面で「そういうことだったのか」とひざを打ちましたが、たくさん人を殺して自分の大切なものだけ守ろうとする主人公に感情移入ができませんでした。
    女性たちの哀愁は伝わってきましたが、やっぱり主人公のやったことを考えると私はダメでした。
    映画にしたら映えそうな気もしますが。

    ただし、北上次郎さんは、この作品を2014年のエンターテイメント小説の2位に推されたそうです。

    • ♥♥♥さん
      すみません、フォロー解除してもらって宜しいですか?
      すみません、フォロー解除してもらって宜しいですか?
      2020/08/28
    • まことさん
      解除しました。
      解除しました。
      2020/08/28
    • ♥♥♥さん
      ありがとうございます。母にダメだと言われてしまって...
      ありがとうございます。母にダメだと言われてしまって...
      2020/08/29
  • 2014年のエンターテイメント小説の2位(どんな賞かは知らない)。犯罪と恋愛の物語で、香港や東南アジアを舞台に様々な駆け引きと謎を産みながら話は進む。

    シェイクスピアのマクベスをなぞる様に結末が訪れる。
    これじゃあ何だかわからないと思うが、寝るのを躊躇うくらい面白かった。

  • 本屋で平積みになっていたので、ジャケ買いした。
    読み進めていくうちに、何を読んでいるのか分からなくなった。
    会社の陰謀に巻き込まれていく主人公。
    いつ、殺されてもおかしくない、という切迫した状況にも関わらず、終始、淡々としている。
    状況を打開するために、行動は起こしているが、必死にはなっていない。
    そんな主人公にまったく共感出来ずに、どのようなテンションで読み進めていけばいいのか困惑したが、読み終わった後に、そういえば、王様というは孤独な存在で、共感の対象ではないなと気が付いた。
    そして、最後まで読んで、自分が読んでいたものが、初恋の物語だと初めて気づいた。
    「自分の手違い」で失ってしまった初恋を取り戻すための話。
    クライム・サスペンスだと思って読んでいたのに、実は初恋小説だったのだから、共感出来ないはずだ。
    でも、途中下車しようとは一度も思わなかったので、面白かったのだと思う。

  • 本屋さんのPOPが目に入り購入。

    結局、なんやったんかわからんまま終わったけど、面白かった!
    気になるとこを折り目つけながら読んだら折り目だらけになった。

    久しぶりに、深夜特急 香港マカオ編を読みたくなりました。

  • 長かった。

    読む前に勇気のいる厚さだなと思いながら読み始めたら、すごく好きな文章だった。

    静かで淡々としてるけどハードで、
    「恋愛は?」と思いながらも、久々好きな感じだーっと思いながら読んだんだけど、いかんせん長くて、途中で間が開くとかなり読みづらくなってしまった。中国人の名前が混乱する。

    一気読みできたらもっと違ってたかも。
    最後は読み終わった達成感の方が強くなってしまった。

    積木カレンダー、それじゃ日にち、わかんないじゃんと思ったけど、伝えたい人に伝わればいいのか。

    長かったわりに、終わりが駆け足すぎて、いくつかの企業とかはどうなったんだろうと思った。

    あとがきで復習してたら、色々思い出して共感できるところがたくさんあった。
    高校生の頃の恋愛の記憶とか。
    カイザー、この頃は生きてたのかなーとか。
    ほんと、前半面白かったなー。

    未必ってその未必だったのか。

    22年ぶりの作品ということだけど、兼業作家さんなのかな。ちょっと調べてみよ。


  • とても文才のある童貞男子が書いたという感じで、今ひとつ乗りきれなかった。
    主人公はなんの理由もないのにクールでかっこいい「王」なので、単なるチートキャラでしかない。必然性のないクールやクレバーはおとぎ話とかラノベの世界に留まるべきで、大人のための作品に進出するべきではない。女に軽口を叩くときは必ず性的な話を絡ませるのも気持ち悪いし、男に軽口を叩くときは知的ぶっているのもまた気持ち悪い。オッサン、何十年も昔の初恋の女の思い出を何歳まで引きずってんの?加齢臭がだいぶきつくなってきてる年齢なのにね?オエー。きも。

    ■後から少し説明が必要かと思い立ち加筆。
    主人公がクールであるためには理由が必要なわけですよ。
    村上春樹は、大切な存在の喪失を乗り越えようとする主人公の成熟の過程を描くことで人間のタフネスを表現している(彼は異常なくらい喪失と成熟というテーマに固執している)。
    チャンドラーは、汚れた街を丁寧に描くことで、高潔であろうとする主人公の強さを際立たせる。ロスマクドナルドはアメリカ家庭の悲劇的ないびつさと冷静な観察者てまあるリュウアーチャーを対比させ(結果、アーチャーは人間性を喪失した最も孤独な存在になる)、その後のニューハードボイルドの旗手はアル中や身体障害といった主人公の欠損に固執することで欠損を乗り越えるタフネスを表現する。
    そして彼らを模倣した凡庸な作家たちは主人公のトラウマや暗い過去を安直に設定して主人公がクールになったことを説明しようと試み、安っぽい人物を造形している。もちろん、樋口裕介のように年齢を超えて大人にならざるを得なかった少年を造形したり、若竹七海のように「不運」という力技で女性探偵の静かなタフネスを実証することに成功しサラ・パレツキーとフェミニズム小説としてタイマンを張れる女探偵を生み出したという希有な例外はある。東直己は「汚れた街」として札幌を設定し、現代のフィリップマーロウを吹雪の中に召喚した。
    近い過去でいうと、桐野夏生はかつて人間の悪意を突き詰めることで「汚れた街」に近い効果を生む「汚れた人間たち」を舞台にしたし、矢作俊彦は不良少年のイノセンスやスノビズムに耽溺する警察官という有り得ない要素を「汚れた街」に対置させることでその時代の「クール」を浮き彫りにした。たがみよしひさは、独特のセリフ回しや漫画表現で、80年代のクールを結実させた。
    このように、作品として成功したクールな主人公たちは、クールであることをきちんと説明されている。というか、彼らは、街や時代や状況によって、クールにならざるを得なかったのだ。反対に、主人公がクールであることの理由がなにひとつ説明されていない本作の主人公は、単なるひねくれた厨二病にしか見えなくなってしまう(同様の欠陥を原尞の沢崎シリーズも抱えているけれども、沢崎には瞬間的に輝く場面がある)。
    クールな主人公という造形は使い古された紋切り型なので、安易に用いると薄っぺらな主人公が量産されてしまう。
    少数民族虐殺の悲劇を背負っていないクラピカとか、家族とめちゃくちゃ仲良しで成長した飛影とか、理想のためにボスを裏切ったりせずヤクを売りまくってダバダバ金を稼ぐブチャラティーとか、自分の中に悪を抱え込んでいない純粋正義のピッコロさんとか、そういうキャラクターは少なくとも90年代以降には存在してはいけないというお約束だったはずだ。
    そういうお約束を破って半ばサイコパスなんじゃないかと思えるほど無意味にクール()な小金持ちの中年サラリーマンを生み出してしまった著者の罪は重い。
    会社組織と戦う香港のフィリップマーロウを作りたいなら、それなりの手続きを踏んでもらう必要がある。
    ■以上、加筆。

    ストーリーの四分の三くらいでほぼ全ての謎の答えが出揃ってしまうのもしんどい。その後は特に盛り上がりもなくベルトコンベアのように伏線を回収するだけの退屈な出来事の羅列。
    最後のオチなんて伏線も必然性もない。単なる無用心という理由で死ぬバカ中年。なんか工夫しろや。
    途中まではわりと夢中で読んだので途中までは悪くなかった。

  • 今更ながら読了。

    マクベスのパロディを日本風ハードボイルドの味付けとして楽しめる物語。

    マクベスをなぞるような物語構成ではあり、タイトルの時点でこの物語が悲劇であって、悲劇的結末によって幕が降りる事は予め提示されている。

    しかし、最近女性作家の小説ばかり読んでいたせいか、この小説の女性たちは男性にとって「こうならいいな」という女性性、女性像ばかりでリアルで生々しい女性は描けていないように感じてしまう。

    決して貶す訳ではないけれども、日本型ハードボイルドはどこかマッチョにもなりきれず、かといってF.マーロウのような「善き生き方」も提示できていない。

    どちらかというと童貞男か勘違い男のスタイルになりがちであるかもしれない。

    この物語も等しく、童貞男の勘違いと自己愛に寄り添い、時に強く、時にか弱く、いずれにしても従順であり続けるという幻想的女性像に満ちている。

    女性というのはもっと生々しく残酷で苦しみに満ちた存在であるし、そもそもシェイクスピアが描いた女性たちも残虐で嫉妬深く、他責的で怨念の沼から腕を伸ばしてうまくいかない現実が窮屈で足掻いて いたはず。

    そこに愚かで純粋な男性が沼にはまって破滅するのがシェイクスピアの悲劇ってものだった・・気もする。

    従って、タイトル『未必のマクベス』があらわす通り、物語それ自体が『マクベス』に達していないようでもどかしく。

    精緻なマカオ、香港の描写に登場人物のリアリティが伴わず、悲劇という物語を十分に納得して楽しめるだけの感情移入、投影が生じない。

    でも、物語は面白い。本当に面白い。

  • 細かいことはいいんだよ!うるさく言うのやめよ!
    マクベスと絡めて書こうとしたという心意気を買いたいんだよ!
    バンクォーとか頑張ったよ!
    という気持ちでいっぱいになる作品。

    なんというか、冷静な方の自分は「ふーん・・・」と言ってくるんですが、
    単純に筋が面白くて予測できないのでグイグイ引き込まれます。(私これ、夜通し読みました)
    特に、タイトルにもなっていますが、シェイクスピア『マクベス』と筋がなぞらえられているのが見どころ。

    この作者の他の作品も読んでみたいです。
    面白かったです。

  • ひとをすきになるって、
    その誰かを自分の側に置いておくことではなくて、その誰かを自分の独り占めにしておくことでもなくて、
    その誰かがどこかで幸せでいることを
    心から願っている状態のことなのだったな、
    と思い出させてもらった。

  • 「中井には、誰かを羨ましいと思う感情が欠けているんだ。だから、おまえは恐ろしい。俺は、中井が恐くて、虚勢を張っていただけだ。」
    「普通の人間は、妬みとか羨望とか、そういった感情をコントロールできないんだ。それをできると思っているのは、中井にその感情が欠けているからだ。」
    中井と伴の関係がこのフレーズに凝縮されていることに気がついたとき、「マクベス」を題材にし「王」の道を歩ませるストーリー、そして「旅とは何か?」で始まる冒頭の部分が繋がった。

    恋愛、金、犯罪、テクノロジー、シェイクスピアといくつもの要素が組み合わさった作品で面白いが、その中心は人の感情なのだろう。命の重さでさえ、感情の前では無力な時があるということ。

    香港と澳門、是非訪れたい。

全187件中 1 - 10件を表示

早瀬耕の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
東野 圭吾
米澤 穂信
宮下奈都
劉 慈欣
三浦 しをん
今村 昌弘
有効な右矢印 無効な右矢印

未必のマクベス (ハヤカワ文庫JA)を本棚に登録しているひと

ツイートする
×