黒猫シリーズ第6弾の連作短編集。
本作も面白かったです。
シリーズ1作目の『黒猫の遊歩あるいは美学講義』に登場したミナモさん、黒猫の姉の冷花さんがメインの話もあり、ちょっと懐かしい気持ちになりました。
お気に入り作品は『戯曲のない夜の表現技法』と『男と箱と最後の晩餐』。
『戯曲の〜』はしっとりとしていて、心に沁み渡りました。
『男と箱と〜』カニバリズムを想像してしまい、ドキドキしながら読むことに…。モチーフのポオ作品『長方形の箱』はどういう結末になっているのかも気になってます。
『空飛ぶ絨毯』は私には少し難解でした。
黒猫さんの付き人さんへの気持ち(愛情表現?)はとても分かりにくいけど、エピローグで漸くはっきりしました。しかし、第二話のラストがこういうことだったのか!作者にいい意味で騙されました。
掌編も良かったです。黒猫、付き人の子供時代の様子、2人の束の間の交流を匂わせる表現が良かったです。
シリーズを通して、著者の幅広い知識に脱帽です。美学とは全く縁がないので、1作目『〜遊歩あるいは美学講義』は最初読むのに苦戦しましたが、慣れてきたら面白くて。知らないワードで気になるものは調べたりして、美学関連の知識をお裾分けしてもらえたことに感謝です。
シリーズの既刊書を読み切ってしまって寂しいです。本作は第1期完結篇という位置付けらしいので、第2期が読める日を心待ちにしてます。
余談ですが、遂に最後まで黒猫と付き人の名前が明かされなかったですね。