死刑にいたる病 (ハヤカワ文庫 JA ク 8-1)

著者 :
  • 早川書房
3.72
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本棚登録 : 8337
感想 : 599
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150313005

作品紹介・あらすじ

鬱屈した大学生活を送る雅也は、連続殺人犯の大和から冤罪の証明を頼まれる。戸惑いつつ調査する雅也が辿りついた驚愕の真実とは

感想・レビュー・書評

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  • いつからか覚えていないくらい前から本棚に滞在し続けた御局様枠の本書。脳内再生は阿部サダヲで良し!と、ネットCMが大々的に許可して下さったので予告映像をオカズにしてから準備万端で挑んだ次第で御座候。

    挫折から卑屈になり下向きな生活を送る筧井雅也の元に送られた一通の手紙。差出人は戦後最大の連続殺人者、榛村大和からであった。彼は、立件された九件の殺人の内、八件目までは認めるが最後の殺人は冤罪であると訴え、その証明を雅也に頼みたいと依頼してきたのであった。冤罪を晴らした所で彼の死刑判決は覆らないのに何故、一介の大学生でしかない自分に何故。樺村の美しい容姿に隠れた殺人鬼の顔。雅也との関係性。最後の被害者 根津かおると、謎の男 金山一輝の存在とはーー。
    「榛村と関わった者は必ず彼に魅了されてしまう。誰もが彼に近付きたい、いや、彼になりたいと望んでしまうのだ。」
    調査のため榛村と関わった雅也も徐々に彼に魅せられていく。そして雅也が辿り着いた真実は余りにも残酷であり、反面美しさすら感じてしまった。本書は、連続殺人者(シリアルキラー)の物語と同時に、彼に魅了された人々の物語だ。

    本書は過去の実在したシリアルキラーの名前が大量に登場する。聞いた事のある名もあれば初めて知った殺人鬼もいた。軽く調べたただけでも目を背けたくなる凄惨な事件模様と描写が書き連ねてあったが、不思議な事に殺人鬼本人達はとても端正な顔立ちをしている。因みに私は人の顔を見た第一印象で「んま!!美しい!!」となったのがGACKT以外で無い(誇張×無駄情報)
    殺人鬼の資料…と言うと大袈裟だが記事やそれに関する本を見る事は多い。そしてその中で常に感じている魅力が、彼等の異常なまでの美学と執着心についてだ。この自身が持ちえない性質に「何故」を含めて惹かれてしまうのだ。現に、その手の資料は「殺人」という残虐なテーマであっても、終始否定的な言葉が並ぶ事はまず無い。必ず、本人に魅了された人間が存在し、故に現在まで形に残り語られ続けているのだと思う。

    少し脱線したが、この作品はまさにそれを、「恐る恐る恐怖に触れる」追体験をしている様な感覚だった。いつの間にか私も阿部サダ...榛村大和という殺人鬼に魅せられていた。魅力を感じるのは心だ。心をコントロールされたら抗えるのだろうか、そんな深淵の恐怖に慄いたし少し憧れてしまった。とても面白かったです。

    ただ、小説としては微妙だ。「殺人鬼に魅了される謎について」丁寧に描写された文を夢中で追っていたが、真相解明からはトントン拍子だった。執着心よ、いずこである。
    【映画史に残る驚愕のラストにトリハダ】...なんて言うてますけど、この拍子抜けラストが映画ではどう表現されるのか楽しみだ。きっと阿部サダヲがどうにかしてくれるのだろう。私は阿部サダヲが大好きだ。Dir en greyの京さんに似てるからで入った身だが、これは言わなきゃバレないはずだ。....このネタに握手してくれる人いるかなぁ。

    ( ゚∀ ゚)ハッ また脱線してしまった!!

    • NORAxxさん
      興奮しすぎて誤字りました(笑)
      「文章でこの間どうと」✕
      「文章でこの興奮をどう」〇
      脳内変換をお願い致します(笑)
      興奮しすぎて誤字りました(笑)
      「文章でこの間どうと」✕
      「文章でこの興奮をどう」〇
      脳内変換をお願い致します(笑)
      2022/04/26
    • akodamさん
      私こそ相棒のレビューでDIRの文字を見た時、満員電車の中で小躍りしていた♪プレイリストに数年入っているLOTUSを聴きながらψ(`∇´)ψ
      ...
      私こそ相棒のレビューでDIRの文字を見た時、満員電車の中で小躍りしていた♪プレイリストに数年入っているLOTUSを聴きながらψ(`∇´)ψ

      相棒とは長い付き合いになりそうだぞ宣言を一方的に申し上げておきます。

      【阿部サダヲ dir 京 画像】で完全一致堪能しました。冷めやらぬ興奮、今宵眠れるかしら…。

      一先ずベッドに潜ってOBSCURE 聴きます(><)
      良き夜を♪
      2022/04/27
    • NORAxxさん
      あぁ..そのベストアルバム良いですよねぇ(*´﹃`*)ロータスはリリースされた時衝撃でしたね!!京さんが珍しくちゃんと歌ってる!!となりまし...
      あぁ..そのベストアルバム良いですよねぇ(*´﹃`*)ロータスはリリースされた時衝撃でしたね!!京さんが珍しくちゃんと歌ってる!!となりました(笑)

      いやこちらこそ一方的に長い付き合いで頼むぞ宣言をさせていただきます。

      寝る前のオブスキュアww絶対良い夢見れますなww相棒を良い夢を( •ω- )☆楽しいお話してくれてありがとう!!おやすみなさい♪
      2022/04/27
  • 会社では京極夏彦の鵼の碑をよみ進めているのだが、あまりにも重くて持ち帰るのが面倒で置いてきてしまった。。。
    厚みは嬉しいのだけど、持ち運びには向かないのよね。。。

    ということで、会社の方に、オススメの本と教えられ、購入していた本を読んでみた(*^▽^*)


    最初はちょっと文章が読み難い印象だったのだが、物語が進むに連れて気にならなくなってきた。物語の方に没頭してきたからだろう。

    大学生の雅也は、小学生の頃は神童と呼ばれる程の優等生だった。
    高校の時に挫折したが、何とか有名では無い私立大学に入学した。変にプライドが邪魔をし、こんな筈ではないと思っていた雅也は、友人関係も上手くいかず、鬱屈した日々を送っていた。

    そんな時、24人もの少年少女を殺害したとして世間を震撼させている稀代の連続殺人鬼・榛村 (はいむら)大和から1通の手紙を受け取る。
    雅也は中学時代に地元でパン屋の店主をしていた彼をよく知っていた。

    そすでに一審で死刑判決を受けている榛村だったのだが、最後の一件だけは冤罪であることを証明してほしいと、雅也に依頼してきたのである。
    雅也は、その願いを聞き入れ独自に調査に着手する。調査をしていくうちに、自然と雅也の印象が変わっていく、、、



    ちょっとグロい表現があって、痛いのが嫌いな私にはキツかったが、物語は二転三転して、自分が予想した結末とは全く別の結末に落ち着いた(-。-;

    最初のんびり、途中速度が上がり、最後はまたずるずる、、、といった感じだろうか(^◇^;)

    こういうサイコパスの気持ちは感情移入出来ないけど、相手を取り入ってしまうというのか、これがマインドコントロールなのか、、、そのあたりはゾゾっとした(^_^;)

    • bmakiさん
      土瓶さん

      そーなんですよ。
      アレをバッグに入れると、それだけで満杯で。。。

      ところで、伊豆事件ってどの作品でしたっけ?私読んで...
      土瓶さん

      そーなんですよ。
      アレをバッグに入れると、それだけで満杯で。。。

      ところで、伊豆事件ってどの作品でしたっけ?私読んでいないのかも!?と思って、、、
      最初から再読しないといけないかな。。
      記憶があやふや。。。
      2023/12/02
    • 土瓶さん
      伊豆は、たしか「塗仏の宴」ですね。
      作中、過去の事件は地名で表されるのでわかりずらいですよね。
      伊豆は、たしか「塗仏の宴」ですね。
      作中、過去の事件は地名で表されるのでわかりずらいですよね。
      2023/12/02
    • bmakiさん
      土瓶さん

      ありがとうございます。
      塗仏でしたか!
      私途中で挫折しているのかも?

      そうなんですよ、全部地名になっているので、ど...
      土瓶さん

      ありがとうございます。
      塗仏でしたか!
      私途中で挫折しているのかも?

      そうなんですよ、全部地名になっているので、どれだっけ??と、、、

      頭から全部読みたいですが、あの厚み。。。
      結構気合い入れないと読み返せないんですよね( ̄▽ ̄)
      2023/12/03
  • こわっ!
    シリアルキラー榛村大和の手紙から始まるストーリ。
    徐々に大和にコントロールされていく主人公の大学生筧井雅也。
    ぞくぞくっとしました。

    連続殺人鬼の大和。死刑判決を受けた9件のうち最後の1件は冤罪と主張。それを証明してほしいと雅也に依頼。
    雅也は大和の過去から調査を始めます。
    そして、過去のシリアルキラーの事件を勉強していくことで、シリアルキラーの行動を理解するように。
    果たして最後の1件は冤罪なのか?

    そして徐々に明らかになる大和の過去。
    さらに、自分の出生についても疑惑が...
    そして、大和に魅せられていく雅也。
    何が本当で何が嘘なのか?
    我々読み手もこの大和に翻弄されてしまいます。
    とっても怖い。

    そしてエピローグ..
    なんとなく、そうだと思った!
    これまた怖い!

    ということで、とってもお勧め。

  • 主人公の大学生の元に、シリアルキラーから手紙が届く。 9件の連続殺人のうち、最後の一件だけは冤罪であり、それを証明してほしいとの依頼に、真実を追求していく物語。

    シリアルキラーの人をコントロールする、美しき狂気のさまが描かれていて、最後まで何を信じて良いのか、疑いながら読み進めてグッタリ。

    最後の最後の最後まで、転々とひっくり返る展開にビックリ。

    やはり大好きミステリー。

  • 大学生・筧井雅也は、シリアルキラー・榛村大和(はいむらやまと)から、死刑判決を受けた9件の殺人事件のうち最後の1件の冤罪を証明してほしい、と依頼され、事件を追う ー

    榛村は他の8件は潔く罪を認めると言う。
    最後の1件が冤罪であっても死刑判決は揺るがない。それなのになぜ冤罪を証明してほしいというのか?
    そもそも、本当に冤罪なのか?

    筧井君の頑張りで謎が徐々に解き明かされていく。
    しかし…いくつも同様のループがあって、それを榛村は楽しんでるんだな…と。

    榛村みたいなサイコパスで心を通じ合わすことなど絶対にできない人にみんな惹かれてしまうのはなぜだろう?
    なぜ、自分だけには真実を語ってくれている、と思わされてしまうのだろう?
    怖いね。

    僕はスッキリはしなかったので、映画は見ないかな。

    人に騙されやすい人は人生勉強のつもりで読んでください笑

  • 面白かった。
    雅也、危なかったねー。
    雅也が榛村に翻弄されていく様子がとても恐ろしかった。

    エピローグはぞわっとした。こういう終わり方好き。
    佐村先生、あなたもですか。

    だけどオチがなんだかな。
    結局私も彼のお遊びに振り回されただけか!!

  • 怖いわ!!!

    ぃやぁ…ざわざわする怖さ
    阿部サダヲさん好きで映画見たいけど我慢出来ず読んでしまった(゜ロ゜;ノ)ノ
    映画と登場人物のイメージも少し違うが
    映画はどのくらい原作に忠実なんだろうか…

    読んでて確かに自分までシリアルキラーにのまれそうになる…
    凄く地味なのに
    自分が思ってた展開とは全く違いました…

    かぁぁぁあ…怖っ…
    昔【寄生獣】を読んでて 最終的に人間て怖いよねぇ…ってなった時と同じ感覚だった…

  • 櫛木作品、初読み。9人の殺人の罪で裁判中の榛村大和。しかし、その1人は殺していないと訴える。榛村は自分の店に通っていた雅也に手紙を出してその冤罪を晴らしてほしいと懇願する。雅也は榛村の生い立ちを調べる。そこで彼自身も変わっていく。何故か榛村への親和性が高くなり、似てきてしまったのだ。雅也の母親の秘密から榛村との関係が明らかになり、榛村の正体が明らかになる。この作品、徐々に榛村と雅也への印象が変わっていく。ラストでレンズの焦点完全に合い、そこで分かるサイコキラーへの恐怖、洗脳による恐怖がピークに達した。⑤

    • よつばさん
      ⑤でしたね!櫛木理宇さんの作品は癖になりますよ~( *´艸`)
      ⑤でしたね!櫛木理宇さんの作品は癖になりますよ~( *´艸`)
      2024/01/28
  • 殺人犯の大和は嘘をつく時は9割真実を話し、核心のところだけ嘘をつくのが1番嘘がうまくいく、と話していたのが印象に残っていた。

    ネタバレになりますが9件目の殺人は選択を大和がしていないから自分の犯行ではないと主張していた。

    大和にとっては選択することが大事で実際に実行したとしても自分の犯行ではないと考えていた。

    大和に冤罪をはらして欲しいと手紙が来た、筧井雅也は選ばれたのではなく手当たり次第に手紙を送った1人だった。

    最後は筧井雅也が大和に惹かれ同じように殺人をしてみたいと思っていたが、大和が父であるとの嘘も判明し何とか踏みとどまり大和との関係をたった。

    大和の人をコントロールし自分の思い通りに動かしていく術はすごいと感じました。

  • 稀代の連続殺人鬼から届いた一通の手紙。

    大学生活に膿んでいた雅也は、テレビや週刊誌で話題となっていたくらいしか事件については知らず、ましてや小学生の頃に通っていたベーカリーの店主だった記憶しかなかった。

    事件の再調査を頼まれ、彼のことを探っていくうちにわかってくる事実。

    次第にこの殺人鬼に取り込まれていく様子に慄きながらもこうやって人は、騙されてしまうのか…といいようもない不安や畏れに怖くなった。

    解説にも書いてあったが、シリアルキラーとは私たちの心理状態を映し出す鏡であり、雅也も大和との触れ合いを通じて自分をかさねてゆくことになる。

    共通する何かを見つけると無意識のうちに同化してしまう。
    それが一番怖いと思った。

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著者プロフィール

1972年新潟県生まれ。2012年『ホーンテッド・キャンパス』で第19回日本ホラー小説大賞・読者賞を受賞。同年、「赤と白」で第25回小説すばる新人賞を受賞し、二冠を達成。著作には「ホーンテッド・キャンパス」シリーズ、『侵蝕 壊される家族の記録』、『瑕死物件 209号室のアオイ』(角川ホラー文庫)、『虎を追う』(光文社文庫)、『死刑にいたる病』(ハヤカワ文庫JA)、『鵜頭川村事件』(文春文庫)、『虜囚の犬』(KADOKAWA)、『灰いろの鴉 捜査一課強行犯係・鳥越恭一郎』(ハルキ文庫)など多数。

「2023年 『ホーンテッド・キャンパス 黒い影が揺れる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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