絞首台の黙示録 (ハヤカワ文庫JA)

  • 早川書房 (2018年3月20日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (400ページ) / ISBN・EAN: 9784150313210

作品紹介・あらすじ

長野県松本で暮らす作家のぼくは、連絡がとれない父・伊郷由史の安否を確認するため、新潟の実家へと戻った。生後三カ月で亡くなった双子の兄とぼくに、それぞれ〈文〉〈工〉と書いて同じタクミと読ませる名付けをした父。だが、実家で父の不在を確認したぼくは、タクミを名乗る自分そっくりな男の訪問を受ける。彼は育ての親を殺して死刑になってから、ここへ来たというのだが……。

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

自己の存在や意識について深く考えさせられる物語が展開される。主人公は父の安否を確認するために実家に戻るが、そこで自分そっくりな男と出会う。彼との出会いを通じて、主人公は自身の立場やアイデンティティにつ...

感想・レビュー・書評

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  • 意識は他人や環境に影響されて形作られるという考えから生まれた究極の思考実験、のような話だという印象だが、とにかくこの「神林節」がたまらない。『だれの息子でもない』はコメディ寄りだったが、こっちはホラーっぽさがある。

    じぶんの意識はじぶんの中にあって、肉体と共に死ぬ。時間は不可逆的に平等に流れている。こんな「当たり前」をひっくり返して「100年後には常識になっている」と言ってるのも、けっこう神林さん自身も本気でそう思っているような気がした。

  • 人が死ぬのは人から忘れられたときとは言いますが,複数人があたかもそこに故人が生きているよう振る舞えばそれはそこに存在したことになり得るのだろうか.最後に伊郷由史が自室で眠る所で,だから邨江は伊郷氏の父親の部屋で寝たのかなと思いました.そして最後まで読んでから初めのページの三行でなるほどとなりました.

  • 何年ぶりかの神林長平。出だしは神林らしい始まり。さて、どんな話に展開していくのか?

  • これは、、、頭混乱した。
    ナニナニ、どういうこと?と何度か頭を抱えたし、全部うやむやのまま終わったらどうしよう、という不安と戦いながら読んだけど、何か微妙にすっきりしない感も残りつつ、まあ一応、平和的な終わりを迎える。後半けっこう怖かったので、幽霊の話でなくて良かった。
    ピタッとピースがハマる系の話では、そもそもないだろう。
    でも、実在しない人間の一人称ってズルくないか?

    それにしてもこの作家は、本当に自我、自意識、自己、自分、何というのが適切か判らないけれども、そういうものを問うのか好きというか、大きなテーマにされていると思う。手を替え品を替え、繰り返しこれをテーマに据えた作品を書いておられる。

    ただ、その、自我を語って深めていく過程が、、、クドイ(^_^;)話のキモなので仕方ない気もするけど、これは、嫌いな人はまず最後まで読めないと思う。

  •  ものすごく実験的と言うか、構造がひたすらややっこしくて、油断してると混乱してしまう。また、時間軸が作中人物の主観で固定されているため、意図的な混濁が随所に挟み込まれているので余計に分かりにくい。
     分かりやすいエンタメではないけど、思考実験をこういうSF作品として昇華させてしまう手腕はお見事という他ない。

     自分の理解だと下記だけど、読み飛ばしたり記憶から飛んでたりしてる箇所もありそう。
     冒頭で死刑となったのは邨江清司。
     長野から移動してきた伊郷工は、邨江清司が憑依した伊郷由史からの電話で影響を受けてしまった、伊郷工の妻。
     本物の伊郷工はすでに死亡(死因は不明?)。
     伊郷由史の家に訪問してきた自称伊郷工は、邨江清司の死刑に立ち会っていた伊郷由史に取り憑いた邨江清司。
     伊郷文はすでに死亡(文中で伊郷工(の妻)が述べているように、幼少時に死亡?)
     冒頭の教誨師は後上明正(めいせい)。
     保育所で初めに出てきた牧師は、邨江清司の影響で後上明正(あきお)の意識を憑依させられた現理事長。

     時系列は下記?
     まず邨江清司が死刑となり、その場にいた伊郷由史に憑依。伊郷由史は後上明正(めいせい)を訪問(文中に描写なし。おそらく日常会話?)。訪問後、伊郷由史は終電の新幹線で自宅に戻り、伊郷由史が伊郷工の妻に電話(本書のラストシーン)。翌日、未覚醒の邨江清司が憑依した伊郷由史は外出(これは文中に記載なし?)。前日に伊郷由史を訪問し、不在だったホーリーベルの小林から伊郷工の妻に電話。伊郷工の妻が伊郷由史の家に移動。邨江清司が憑依した伊郷由史が帰宅。伊郷工の妻と邨江清司が憑依した伊郷由史の話となる。いろいろあって後上明正(めいせい)を訪問。ここで、前日の訪問との混濁が発生し、グチャグチャなシーンとなる。伊郷工の妻は保育園を出発してあとは描写なし。邨江清司が憑依した伊郷由史は自宅に戻り、ここでまた時間軸の混濁が発生。その後、伊郷由史は死亡(描写なし)。という感じ?
     いやー分からんw こうして書いてみると矛盾点とか無理やりな所も多いしなー。

  • この著者による、意識がどのように生成されるか、というテーマに関係する話といえば「膚の下」が名作だが、この話には戸惑った。小説世界の設定に混乱しながら読み進むうちに、話が展開して大円団?となる。

    東浩紀による巻末の解説が秀逸。このわけわからんストーリーについて、訳判らんということを正直に吐露したうえで解釈を書いている。

  • 大分前に買って積んでいたらしい。
    確かに意欲作。クローン細胞がオリジナルを侵食し、さらに意識が伝達という方法で他者に介在する…なんかコワイ。けどよくよく考えると癌細胞とか、ネットでの無意識の意識共有とか忖度とかも洗脳レベルで意思決定に反映されてるし、そういう深読みするともっとコワイ話なのかもしれない。

    個人的には牧師父と作家の方の工の会話がなんか好きでした。どこかずれている、何かがおかしい。でも何がおかしいかは自分を基準にしているからわからない。ある意味怖い。でもこういう設定面白いなぁと思いました。
    自分と同じ名前の、子供の頃に死んだ双子の兄弟がもし存命して居たら。ドッペルゲンガーに会うと人は死ぬらしいですがそれはアイデンティティを揺らがされるから死んでしまうんだろうか。
    面白かったけど…ちょっと読みきるのはしんどい本だった。

  • これは一体どういうことなんだ?と思いながら読み進めて、最後に「してやられた」という気持ちになる1冊でした。
    何をもってして人は個人を認識するのか、意識ってどこまでのレベルなのか、考えても答えのない課題といいますか、私の中ではまだまだ難しすぎる。

  • ハードカバー版から増補改訂は無し
    解説だけ読んで本棚へ

  • 神林長平は初読だが、こんな小説初めて読んだ!
    長生きはするものである。
    叙述における視点の転換というのは良くあることだが、「もう一人のもうひとりの私」が語り出す?
    すると「もうひとりの私」はどこに行く?
    冒頭の死刑執行の場面から、ぞわぞわと落ち着かない気分が作品を支配して読者はページの続きを読みたくない、しかしその後に何が書かれているのか続きが知りたくて仕方が無い。
    一応の解決らしきものが提示されるが、本を閉じてもやり残した見落としたものがありそうで不安なままだ。
    ほんと、こんな小説初めて読んだ!

  • 久しぶりの神林長平。
    こういうラストだとは思ってもみなかった……!! 確かにSFなのだが、ラストの意外性は面白いミステリを読んだ後のようにスッキリした。

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著者プロフィール

作家

「2023年 『ベスト・エッセイ2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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