プラネタリウムの外側 (ハヤカワ文庫JA)

著者 :
  • 早川書房
3.96
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本棚登録 : 548
レビュー : 50
  • Amazon.co.jp ・本 (317ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150313234

作品紹介・あらすじ

北海道大学大学院で有機素子コンピュータを研究する南雲と、突然死した友人のAIが、恋愛にまつわる事件に巻き込まれる連作集。SFマガジン不定期掲載の4篇に書き下ろし1篇を加える。

感想・レビュー・書評

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  • 描写されている言葉のひとつひとつに、そのものの意味とは異なる隠された意味があるように感じながら読みました。何重にもマトリックス構造があって、今はどの次元にいるのか分からなくなるのはグリフォンズガーデンと同じ。読んでいる間はその言葉や空気感に魅了されて心地良いのだけど、読了後は、薄ら寒く背中を冷たい何かが触っていったような、ヒヤッとする怖さを感じる。今でも感じている。
    人の記憶や感情は簡単に操作できる。実際ネット上では自分の正義が本当に自分の思考から出たものかどうか、全く信用できない状況になってきている。それでも世界は通常通り回っているので、個人の意識の良し悪しなどは大勢に影響ないのかもなとも思う。こんなに自分の意識に拘るのは、人だからだろうね。

  • 職場のトイレの手洗い場には正面だけでなく左右にも鏡が張ってあり、相互に映った自分の姿がずっと奥まで映し出される。
    一緒になった部下に『“燃えよドラゴン”みたいだな』と言ったら、『何ですか、それ?』ってという反応で、知らんのかい!?と思ったが、まあ、こっちのほうが古いか…。
    本書の2つ目のお話を読みながら、全く関係ないそういったことを思い出したが、してみると、トイレの鏡の中でも奥のほうに見える姿は厳密に言うと少し前の自分の姿を見ているということだな。

    コンピュータの会話プログラムの研究者・南雲、一緒に研究していて突然死した友人、元恋人の死の直前の心持ちを知りたくて会話プログラムに縋ってきた学生・衣理奈。
    亡くなった人とプログラムを通じて会話し、そこに作られる世界の内と外を心の中で行き来する。
    AIによる記憶の改変などの考えさせられるテーマも塗され、なかなか興味深い世界。
    端麗な文章で、男女の機微を絡ませたお話も面白く読めたが、私にはどの話も“落ち”がスッと入って来ずに些か消化不良でありました。

  • 未必のマクベスが良かったので読み始めましたが、
    いまいちストーリーに乗れなくて撤退しました

  • 不思議な物語で、恋愛小説という感じはしなかった。現実と仮想の境界が曖昧でよく分からなかったので不思議な感じがしたのかも。
    存在しないことと無はイコールではなくて、不在は有ることをしってるしそこにいなくても強力に意識し、作用し作用されるのだろう。面白かった。

  •  一昨年の神保町のブックフェスティバルで購入して以来、積んでいたのをようやく読破。SFマガジンに載っていた表題作を気に入ったのが、購入の決め手だった。
     一個一個の完成度は高く、また連作短編という構造や、あくまで現実との地続き感のある(良い意味で)派手でない世界設定は好みだった。キャラクターたちの交わす議論や、登場する思想も興味深かったが、結末がボケている印象の残る(良く言えば余韻を感じさせる)作品が多かったように思う。ぼーっと読んでしまっただけかも知れないが。

     最後に、SNS全盛期の現代において、それが外部記憶装置のように働いているのじゃないか、という感覚は自分にもあって、共感を覚えた。一方で、その様相が少し誇張され過ぎて描かれていたようにも思う。

  • 2020.02.13~03.08

    用語が難しい恋愛小説。時系列的にも私には難しかったが、理解できたときに「すごい」「そっか、こういうつながりか」と感動した。普段は別の仕事をしているかもしれない脳を、今回は恋愛を理解するために使った。

  • よい。南雲の同僚であるナチュラルは、意思を持ったということか。正直よくわからないところあるけれど、「もういいや」ではなく「もう一度読もう」という気になる。
    作者は理系で情報処理に強い?UNIXとか、「よく知ってそうだな」と思えるところが多かった。

  • 専門的なはなしは、こんなかんじかな〜と想像と雰囲気で。
    話していることは難解だけれど、AIをつくろうとする工学者って、みんなロマンチストなんだろうな、と親近感が湧く。
    「無」ではなく「不在」になった、というのが印象的。けっきょくナチュラルはどうなったのか…

  •  文系脳には馴染みのない単語や難解な内容も多いものの、その分を差し引いても、文学作品として純粋に楽しめました。0と1の狭間の世界というか、虚構と現実の境界が曖昧というか、この不安定な雰囲気が不思議と快いというか、すんなり受け入れられます。筆者の他の作品も読んでみたくなりました。
     「ナチュラル」とのメッセージのやりとりが、どこかうすら寒く、ゾクリとさせられること度々……うーん、セリフ回しも巧妙だなぁ。

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