- Amazon.co.jp ・本 (317ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150313234
作品紹介・あらすじ
北海道大学大学院で有機素子コンピュータを研究する南雲と、突然死した友人のAIが、恋愛にまつわる事件に巻き込まれる連作集。SFマガジン不定期掲載の4篇に書き下ろし1篇を加える。
感想・レビュー・書評
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内容については正直、はっきり覚えていないが、AI、コンピューターなど、機械をメインに書かれているので、読んでいる時も、静寂したというか、パソコン等をいじっている時の不可思議な感じを、読みながら感じられる一冊かもしれませんね。読み手によっては神秘性も感じられる作品。
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描写されている言葉のひとつひとつに、そのものの意味とは異なる隠された意味があるように感じながら読みました。何重にもマトリックス構造があって、今はどの次元にいるのか分からなくなるのはグリフォンズガーデンと同じ。読んでいる間はその言葉や空気感に魅了されて心地良いのだけど、読了後は、薄ら寒く背中を冷たい何かが触っていったような、ヒヤッとする怖さを感じる。今でも感じている。
人の記憶や感情は簡単に操作できる。実際ネット上では自分の正義が本当に自分の思考から出たものかどうか、全く信用できない状況になってきている。それでも世界は通常通り回っているので、個人の意識の良し悪しなどは大勢に影響ないのかもなとも思う。こんなに自分の意識に拘るのは、人だからだろうね。 -
頭がごちゃってなる話であった。
SF恋愛ものになるだろうか、マッチングアプリのサクラとして作り出された会話プログラムとしてのAIと、それを取り巻く人たちの話。
プログラム内での話なのか、現実なのかの判断が序盤で狂わされ、気づけば思い出が消えている人がいて、個人的にはミステリーでもあったなと少し思っている。 -
不思議な物語で、恋愛小説という感じはしなかった。現実と仮想の境界が曖昧でよく分からなかったので不思議な感じがしたのかも。
存在しないことと無はイコールではなくて、不在は有ることをしってるしそこにいなくても強力に意識し、作用し作用されるのだろう。面白かった。 -
感想がありすぎて、不思議な話でした、という感想しか書けない…。読んだらしばらく本の外に戻ってこれなくなりました、それくらい引き込まれた。
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たまたま書店で手にして、タイトルに惹かれて、読み進める手が止まらない、という滅多にない作品。きっと幾度となく読み返すだろう。
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SFのようなラブストーリーのような。
プラネタリウムの外側、サーバの外側。我々プログラマからすると未定義のひとことで片付けてしまう領域に思いをはせる。 -
職場のトイレの手洗い場には正面だけでなく左右にも鏡が張ってあり、相互に映った自分の姿がずっと奥まで映し出される。
一緒になった部下に『“燃えよドラゴン”みたいだな』と言ったら、『何ですか、それ?』ってという反応で、知らんのかい!?と思ったが、まあ、こっちのほうが古いか…。
本書の2つ目のお話を読みながら、全く関係ないそういったことを思い出したが、してみると、トイレの鏡の中でも奥のほうに見える姿は厳密に言うと少し前の自分の姿を見ているということだな。
コンピュータの会話プログラムの研究者・南雲、一緒に研究していて突然死した友人、元恋人の死の直前の心持ちを知りたくて会話プログラムに縋ってきた学生・衣理奈。
亡くなった人とプログラムを通じて会話し、そこに作られる世界の内と外を心の中で行き来する。
AIによる記憶の改変などの考えさせられるテーマも塗され、なかなか興味深い世界。
端麗な文章で、男女の機微を絡ませたお話も面白く読めたが、私にはどの話も“落ち”がスッと入って来ずに些か消化不良でありました。