- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150313272
作品紹介・あらすじ
札幌の研究所に就職した青年は、有機素子コンピュータの中に一つの世界を構築する――3月新刊『プラネタリウムの外側』前日譚。
感想・レビュー・書評
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読書備忘録756号。
★★★☆。
表紙グラフィックと作品名がなんとなく個人的なセンスにぴったり来たのと、工学系の物語っぽかったので衝動的に読んでみました。
ワクワク感が無い分、★4とかでは無かったですが、結局どういうことなんだろうか?という読者の想像でどうとでもなる物語でした。
小説の構成は、PRIMARY WORLDと、DUAL WORLDの2つの世界を交互に、それぞれ、ぼくとガールフレンド2人の物語が語られる。
「PRIMARY WORLD」
ぼくとガールフレンドの由美子は、ぼくの就職先である札幌の新世代コンピュータ技術開発機構(ICOT)、敷地内にグリフォンの石像が至る所にあることからグリフォンズ・ガーデンと呼ばれる知能工学研究所に赴任する。
由美子は北大の博士課程に通いながら週一でTVのお天気キャスターを務める。2人は同棲。
グリフォンズ・ガーデンでは、非公開のIDA-10というバイオ(有機)コンピュータを開発し試験運用していた。
ぼくは、IDA-10の中の一角にデュアルワールド・システム(DWS)という仮想世界を構築し、人工知能とも言える人格を形成する研究をしていた。
「DUAL WORLD」
ぼくは東京の大学のマスター課程で経済学を学ぶ学生。そしてガールフレンドの佳奈は17歳。
実はこの佳奈。PRIMARY WORLDのぼくが夢で見た見ず知らずの女性。ということでこのDUAL WORLDがPRIMARY WORLDのぼくがDWS上に構成された仮想現実の世界であることが分かる。この時点では・・・。
物語は、PRIMARY WORLDとDUAL WORLDを交互に繰り返しながら進む。
PRIMARY WORLDでは、ぼくは神であり、DWS上の人格が独り歩きすることはない、条件、情報を追加しないとその先が進まないという、極々理解しやすい仮定で物語が進む。物語は良くある男女の恋愛物語。同棲する由美子とのちょいちょいストレス抱える日々の生活と言っても良い。あと、研究所の女性上司藤野とのうす~い三角関係・・・。
DUAL WORLDでは、ぼくが、幼馴染みの女子長澤から連絡を貰い、感覚遮断実験という医療実験の被験者になるストーリーがメインとなって話が進むが、こちらも所謂恋愛物語。そして、長澤も含めたうす~い三角関係・・・。
そしてぼくが、札幌のICOTに誘われるという流れになる。その研究所の名前はセプテンバ・アイランド。笑
そして、ぼくは佳奈にプロポーズをして、結婚を前提に2人で札幌に旅立つ。
そしてぼくは夢をみる。そこに出来てた女性は由美子。
現実世界と仮想世界。
主従であるはずなのに、仮想世界に現実世界の女性の名前が出てきた。ん?
現実世界のぼくが情報入力したのか?いやいや違う。
現実世界ではぼくが使っていたIDA-10の領域は初期化されたはず。ん?
どいうこと?どっちも仮想世界の、所謂PRIMARYとSECONDARY(DUAL)という関係?仮想世界の間でコンタミ(Contamination)が起きたということ?
まあ、勝手に想像して楽しんでくれ、ということなんでしょうが、ストーリーがワクワク感無い恋愛物語なので、どうでも良くない?ってなってしまいました。笑
この作者の本。「プラネタリウムの外側」という作品も借りて神戸に戻ってきているので、これも読んでみたいと思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
何だか訳が分からんうちに読み終わってしまった。一応、登場人物たちが交わす会話がおもしろかったのか。現実と夢は区別がつかないということかな。胡蝶の夢?二組の恋人たちには全くすれ違いはないんだね。男のほうが視点人物でいながら、漂う感情は彼女の方だ。こんなところでも効果をねらっていたのかな。
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何年も前に著者の「未必のマクベス」を読み、あまりにも荒唐無稽な筋立とカッコつけ過ぎの登場人物たちにも関わらず楽しんで、そのときからこの「グリフォンズ・ガーデン」が気になっていたが、結局何年も経ってから読むことになった。なぜ気になったかというと、本作が著者の大学の卒業論文だったと読んだから。一橋に小説を卒論として出せる学部が?どんな作品なんだろう?
認知科学?やコンピューター工学?の知識が散りばめられ、シンプルな物語のせいかその部分はあまり古びてはいないと思うが、もうとにかく、登場人物たちの会話や言動が甘ったるくて読んでいる方が恥ずかしくなってしまう。一言で言って「クサい」のだ。20年以上後に書かれた「未必のマクベス」でそうなのだから、同じ著者が若い頃に書いたものはさぞ…と予想のついたことではあるのだが…。
なぜか女の子が寄ってくる村上春樹世界的主人公、薄っぺらく二次元的なその女性たち。あえて深みのないパラレルワールドを描いた作品だとわかってはいても、正直ちょっとげんなりさせられた。 -
どっちがどっちかわからなくなる。
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再読
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難しいのに、すらすらテンポがいいので夢中で読めた。
しかも、これって1992年に発表されたんですね!
無限の物語なんてあるのかな、、、
エントロピーが高い物語でした。 -
現実世界とコンピュータ内に作られた世界が交互に語られる。
工学、認知、哲学、いろんなやりとりがロマンチックに聞こえる不思議。
そして早瀬さんが書く女性が魅力的なんだよ。そうなんだよ。(こんな人いるわけないじゃん、というツッコミは無視します) -
世界は所与なのかな、、、
どうであれ楽しく生きれればなんでもいいけど、そんな楽観的な阿呆にいろいろ考えさせてくれたこの本に感謝。未来においてインプットされた記憶!って頭でずっとぐるぐるしてる!ずーっとぐるぐるしてる!