裏世界ピクニック3 ヤマノケハイ (ハヤカワ文庫JA)

著者 :
制作 : shirakaba 
  • 早川書房
4.19
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本棚登録 : 66
レビュー : 5
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150313517

作品紹介・あらすじ

この現実と隣合わせで謎だらけの〈裏世界〉をめぐる、実話怪談×探検SF。新たなキャラ&怪異も登場、佳境へ向かうサバイバル!

感想・レビュー・書評

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  • 1月4日読了。図書館。

  • ◼イントロ
     近年、百合とSFが急接近しているらしい。ここ数年に渡って、百合ジャンルは活気づいている(主観)。その中でもSFと絡めた作品が勢いを増しているようなのだ。例えば、本作『裏世界ピクニック』とか去年最新刊が出た月村了衛『機龍警察』シリーズとか…。
     正直不勉強で確かなことは何も言えないのだが、SFマガジンの2019年2月号は百合特集ということなので、きっとそうなのだろう。
     そんな感じで、これを読めば百合の最前線とSFの最前線が分かるかもしれない『裏世界ピクニック3』は「ファイル9 ヤマノケハイ」、「ファイル10 サンヌキさんとカラテカさん」、「ファイル11 ささやきボイスは自己責任」の3本立てとなっている。


    ◼マッピング
     前巻で裏世界の移動用に農機を買った空魚と鳥子は、裏世界の地図を着々と作り上げていく。次第に顕になる裏世界の姿だが、空魚と鳥子にまつわる謎はまだまだ明らかにはならない。お互いに相手に言えない秘密があるようだし、相手には見せない姿もありそうだ。今回その片鱗を見せた、鳥子に会うより前の空魚のメンタリティには驚かされた。
     また、鳥子に言えないことと言われれば、「ヤマノケハイ」のラストシーンがとても良かった。これこそ小説ならではの演出であり、恐怖を掻き立てられる。


    ◼"説明できない"ということ
     「ファイル11 ささやきボイスは自己責任」では、明らかにされなかった謎がいくつか残ったように思う。例えば突如検索結果に引っ掛かり、空魚が見た途端に消えた<ウルミルナ>の動画。誰かが意図したのか、どのように行ったのか、どんな意味があったのか、ハッキリとして説明はなかったように思う。もしかしたら次回にフォローが入るのかもしれないが、しかしこの作品において"説明できない"ことは"説明できない"ままであることがふさわしいように思う。
     そもそも恐怖という感情は、理解できないということや予測できないということに起因しているのではないか。「幽霊の正体、見たり枯れ尾花」というが、あえて枯れ尾花であることを看破しないことこそ、恐怖を味わうためにふさわしい振る舞いであるように感じる。

  • 色んな意味で最高だった。怖さマシマシ、キャラクターの関係性も掘り下げられて、元凶との距離がますます近くなってゆく。今後にも非常に期待が持てる。

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著者プロフィール

宮澤 伊織(みやざわ いおり)
秋田県生まれ。2011年に長編小説シリーズ『僕の魔剣が、うるさい件について』でデビュー。2015年、『神々の歩法』で第6回創元SF短編賞を受賞。
その他代表作に、SF的世界観と百合が結合した『裏世界ピクニック』『そいねドリーマー』。なお、魚蹴(うおけり)名義で、「サタスペ」や「インセイン」などのテーブルトークRPGの世界設定・リプレイを執筆することもある。

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