妖都 (ハヤカワ文庫JA)

Kindle版

β運用中です。
もし違うアイテムのリンクの場合はヘルプセンターへお問い合わせください

  • 早川書房 (2019年11月20日発売)
3.61
  • (5)
  • (15)
  • (9)
  • (3)
  • (1)
本棚登録 : 202
感想 : 15
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (416ページ) / ISBN・EAN: 9784150314033

作品紹介・あらすじ

"死者"が東京に増殖し、街に自殺者が溢れ始めたのは、CRISISのヴォーカリスト、チェシャが自殺してからのことだった。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 1989年、津原やすみ名義で少女小説家としてデビュー。その後、1997年に津原泰水として本作『妖都』を発表し、以降はジャンルを越えて幅広い作品を手がけられました。
    しかし残念ながら、2022年にご逝去されています。

    今回図書館からお借りしたものは、2019年に復刊されたハヤカワ文庫JA版。
    「現代ホラー小説を知るための100冊」に選ばれており、偶然と読み始めた本日がご命日と知り
    取り急ぎ読了。

    読み進めて ホラー的要素はあるもののホラー小説とは言い切れないのではと思いました。
    津原泰水さんは文章講座を開くほど文章力に定評のある作家ですが、私自身はストーリーに没入できず、なぜ犬が重要な役割で登場するのかも最後まで掴みきれません。

    作中では「両性具有」というテーマが底に流れているようです。人の内面や存在の曖昧さを描き出す試みなのでしょうか。しかし、その仕掛けをどう受け取るかは読者に委ねられている印象で、一筋縄では理解できません。

    他の読者の方々は、この難解さをどう読み込んでいるのでしょうか。私にとっては「ホラー小説」というよりも、「人間存在の揺らぎを描いた文学作品」としての印象となりました。

    • おびのりさん
      ultraさん、この作家さんは
      コアなファンが多いんだと思います
      私もこの作品はわかんなかったけど
      ちょっと読みたいもん
      ultraさん、この作家さんは
      コアなファンが多いんだと思います
      私もこの作品はわかんなかったけど
      ちょっと読みたいもん
      2025/10/03
    • おびのりさん
      ビマキさん
      現代ホラーを知るための100冊を
      図書館にあるのを順番に借りてるんです
      古いから 無かったり 文庫化されていないものは パスして...
      ビマキさん
      現代ホラーを知るための100冊を
      図書館にあるのを順番に借りてるんです
      古いから 無かったり 文庫化されていないものは パスして読んでます
      だからまだ続くんです
      でも 何人か未読作家さんを読んで
      惹かれる方もいたので良かったです
      2025/10/03
    • あぢまんがさん
      あれ、バレバレだ笑
      あれ、バレバレだ笑
      2025/10/03
  • 人間、死ぬ寸前に「あぁ死ぬのか」と思うはずだ。そのときに書き遺すことが不可能な刹那の感覚、それはきっと誰そ彼刻と似ている。
    横溢する血や粘液は、生の証と同時に死の証。曖昧な境界線。境界線をいきつ戻りつする物語。
    安寧の地とならぬ東京は生きる屍として身体化され、私達に啓示を与える。

  • 講談社文庫版(https://booklog.jp/item/1/4062731673)で既読だけど再読。この後も続々津原泰水の絶版初期作品を復刻してくれるらしいハヤカワさんに感謝の気持ちを込めて課金。表紙絵が単行本時の金子國義の絵なのも嬉しい。

    山梨から上京し東京の大学に通い始めた18歳の鞠谷雛子は、大学の軽音サークル内のバンドに加入、先輩でバンドのギタリスト甘粕緑朗といい感じだが、雛子にはかつて中学生時代の初恋の男の子・尾瀬郁央が初デートの日に交通事故死してしまったトラウマがあった。ある日、雛子は緑朗といるときに他の人間には見えない“死者”が事故を引き起こす異様な交通事故現場を目撃する。

    同じ交通事故を目撃していた高校一年生15歳の美少女・周防馨は裕福だが愛のない家庭に幻滅して夜の街を徘徊する日々。彼女は霊を見る力があり、この数日で、幽霊ではないゾンビのような“死者”が増殖していることに気づいていた。偶然雛子と知り合った馨は、雛子の背後に郁央が守護霊のように付いていること、そして雛子もまた実は霊が見えていることを知り、この現象について解明するべく雛子と協力、糸口を求めて郁央の実家に向かうがそこで恐ろしい事件が起こり・・・。

    鍵を握るのは自殺したヴィジュアル系バンドCRISISのボーカリスト・チェシャ(本名:草薙巽)中性的な魅力が売りだった彼の書いた曲「妖都」の歌詞に込められた予言とは・・・?

    再読だけどやっぱり面白くてぐいぐい読んでしまった。一応雛子と馨を中心に物語は進むがチェシャのバンドメンバーや、緑朗のバンドメンバー、少年時代のチェシャを診察した医師、その息子でチェシャの遺体を検屍した監察医、彼等に絡んでくる裏社会のボス的人物、その他、ふつうの市井のひとびとが魔都と化した東京で死者に襲われ自らも死者となり、次第に群像劇の様相を呈してくる。

    キモになるのはやはり、チェシャの正体と雛子との関係で、このあたりの展開は凄まじい。両性具有者の出てくる物語はいくつもあるだろうけど、ありそうでなかったこの発想。そしてこの単行本が出たのは1997年、まだ1999年のノストラダムスの予言が実現する可能性がゼロじゃないと思われてた時代の、世紀末感が物語全体を支配している。

    終盤ようやく登場する洋と悟と死者犬のクドの物語の続きはもっと読みたいような気がしたけれど、少しの希望を残しつつ混沌のまま全ては終わってしまう。

    この文庫の解説者・石堂藍は「オープンエンディング」という言葉を使っていたけれど(そして作者本人はインタビューで「アンチ・クライマックス」という言葉を使っているようだけれど)個人的には講談社文庫版の佐藤嗣麻子の解説「広げた風呂敷を畳まない」がやっぱり一番しっくりくるかも。そしてやっぱり今も津原泰水は『妖都』で広げた風呂敷を畳み続けているのだと思う。

  • 妖都・東京。
    増える不審死。
    両性具有。
    自己再生。

    好きな世界観なんだけど、
    終わり方がちょっと分かりにくかった。

  • 作者の津原泰水氏がTwitterで
    「俺の小説が政治的でなかっことがあるか」
    とネトウヨに返答をしたことを記憶している。

    不慮の事故や自殺が多発する東京に「死者」が増殖する。霊ではなく生けるものを死へと導き「死者」は更に数を増やす。彼らを統べるチェシャが東京を妖都として再生しようとする。

    「死者」はある種の能力あるいは感受性のある者にしか見えない。

    これは1997年に書かれた小説だが、2020年の日本にも当て嵌まるだろう。

    目に見えないcovid-19が蔓延り、政治体制はおよそ民主主義から遠ざかり1人の政治家が日本を破壊している。

    大部分は「普通の日本人」として生活しているようにみえるが本性は暗部をもち彼を根拠なく熱烈に支持する。いわゆるネトウヨだ。

    ネトウヨは、本作の「死者」のような存在であり、普通の生活では見抜けない。ある種の感受性と理性があるものしか見えない。

    「妖都」の描いた世界と2020年の日本が妙に重なると思うのは私だけだろうか。

    確たる未来は期待できない、日本も妖都も。

  • 『津原泰水』名義でのデビュー作(と、言って良いのか?)が復刊。
    確かこれ、当時、店頭で見掛けて、『なんかすげぇもんを見た』的な動機で買ったんだよなぁ。で、ティーンズハートの人気作家『津原やすみ』だったと知って吃驚した、と……(ジュブナイルの方はあんまり読んでいなかったが)。
    解説を読んで、当時、『続編がある』と思われていたことに驚いた。最初に読んだ時も、続編があるとも思っていなかったし、読み返してみても、続編が書けるとも思えない。単に『ジュブナイルの人気作家が一般小説に移行した→ジュブナイル出身ならシリーズ化するだろう』的な先入観があっただけなのでは……?

  • 圧倒的なまでの90年代の香りを醸し出す作品。
    バブル期日本の思想が無く、目的もなく、ひたすら周りよりいかにイケてるかという軽薄なかっこよさと同時に存在する虚無感と死への誘い。
    岡崎京子のリバーズエッジや岩井俊二のリリィ・シュシュのすべてを思い出さずにはいられなかった。
    解説でラストがオープンエンドであることに触れられていたが、エヴァにしろ何にしろこの時代の作品はオープンエンドが多い。結局目指すべき方向性とその基となる思想を失っていた時代なのだからきっちりとした結末を用意できない事は仕方がない。
    心地よいナルシシズムと表裏一体の自己破壊願望を存分に堪能しつつも、やはり時代と寝た作品でもあると思った。

  • 久しぶりに津原の世界に浸りたくなって年末からちまちま読んでいた。文体の妙も然ることながら、自在に繰り広げられる妖しい世界と、深い人間味と硬質な駒っぽさを併せ持つ登場人物たちが本当に魅力的だった。

  • 面白かった!
    キャラクターに魅力あって、苦しいんだけど、面白かったなぁ。

    チェシャは今見てるテレビ番組のアヴちゃんを想像してしまった。

  • 両性具有と噂されるボーカリストの死後、東京に幽霊とは別の存在「死者」が溢れる。毎晩「死者」に襲われる悪夢を見る雛子と、霊感を持ち「死者」を見るようになった美貌の少女馨。2人を軸とした幻想ホラー。

    読者の想像に任せるラストで評価は別れるかと...自分は「え?ここで終わるの?」と消化不良気味。しかし全てを解決しようとすると長すぎるし、この分からなさが「妖都 」としての姿なのかもな...とも思う。
    「津原やすみ」名義の作品は未読なので分からないが、今作でも独特の名前を付けられた犬達やラジオネーム「大宮のドラキュラ伯爵」等、後の作品に繋がる要素があり嬉しい

  • 幽霊でもゾンビでもない、普通には見えない「死者」に徐々に侵略される東京。主人公と仲間が、その秘密を解き明かしていくのですが、ちょっと物足りない終わり方...

  • 途中までは面白い。ただ、自己再生と、死者が生者を殺すことの関係性がさっぱりわからない。

  • 結局のところ、ラストを受け入れられるかどうかで、この物語の評価が変わるのではないでしょうか。

  • 『娯楽』★★★☆☆ 6
    【詩情】★★★★★ 15
    【整合】★★★☆☆ 9
    『意外』★★★★☆ 8
    「人物」★★★★☆ 4
    「可読」★★★☆☆ 3
    「作家」★★★★☆ 4
    【尖鋭】★★★★☆ 12
    『奥行』★★★★★ 10
    『印象』★★★☆☆ 6

    《総合》77 B+

全14件中 1 - 14件を表示

著者プロフィール

1964年広島市生まれ。青山学院大学卒業。“津原やすみ”名義での活動を経て、97年“津原泰水”名義で『妖都』を発表。著書に『蘆屋家の崩壊』『ブラバン』『バレエ・メカニック』『11』(Twitter文学賞)他多数。

「2023年 『五色の舟』 で使われていた紹介文から引用しています。」

津原泰水の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×