ツインスター・サイクロン・ランナウェイ (ハヤカワ文庫JA)

著者 :
  • 早川書房
4.11
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本棚登録 : 221
レビュー : 23
  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150314217

作品紹介・あらすじ

ガス惑星FBBで行われている宇宙船漁業。そこで女性同士のペアで異例の漁獲をあげるテラとダイ、ふたりの出逢いと活躍を描く!

感想・レビュー・書評

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  • >──303年前に、汎銀河往来圏から惑星ファット・ビーチ・ボールへと移住した人々は、まだ生きていた。
    >残存総人口は30万4900名である。


    今からだいたい6500年後くらいの、銀河辺境のガスジャイアント(木星型惑星)軌道上で、漁をして暮らす社会が舞台のバディ物百合ハードSF。

    生活するための資源を惑星大気を泳ぐ魚(のようなもの)を捕ることで補わなければいけないという社会設定で人がどのように暮らしているかという考察は、SF読んでる〜って感じでもう、楽しくて仕方ないです。

    「礎柱船の燃料でありエンジンであり、電池であり電線であるほかに、翼と耐圧装甲になるという素敵な材料」全質量可換粘土で造られた船で、船の形を変幻自在に変えながら大気に潜って漁をする…楽しい…。

    で、広がりの少ない宇宙船で300年も暮らして、はじめ50万人いたのが30万人になってたり、24あった氏族が16に減ってたりしてたら、男女の役割ががっちり決められて船は男女の夫婦で動かすもの、氏族によっては女は三歩下がって影踏まずみたいなことになっていると。

    そういうところで、独創的すぎる創船で男にモテない巨女テラと、男側の役割である操縦士をやりたい超絶技巧パイロット家出娘ダイがバディになって、今まで誰もできなかったようなことをやってのけまくる爽快SFなわけです。

    核心のお話的には、ダイがじりじりとテラを落とそうとするラブコメでございます。お互い探り探り距離を縮めていく感じ好きですよ。


              デッキドレス
    漁に臨む正装である「船用盛装」が、「白金色で軽快な三十五世紀シリウス宮廷妖精風テンプルガードル姿」とか「ヴィクトリアン型ロングドレス」とか「銀と黒のスキンスーツ型」で、これはイラストで見たい!!

          クアングアンファン
    超光速航法の「光貫環」が、「星と星との等重力ポテンシャルを結んだトンネル」で、これは導きの星の慣性系同調航法ですねえ。こういうのファン大喜び。

    あー面白かった。

  • 小川一水のライトSF。ガス惑星を泳ぐ魚を捕る女漁師ペアのおはなし。
    ゆるゆりじゃないよ、ガチゆりだぁ!

  • ツイスタとデコンパというシステム、それを取り巻く社会の状況に腹が立つ部分もあるのですがとても楽しく読めました。このあとの二人が素敵に生きていってくれるといいな。

  • いまから6500年ほどの未来、太陽系を脱出した人類は巨大なガス惑星FBBへ移住
    軌道上に数百隻の宇宙船を浮かべ船でガス雲海を駆けて漁をする、疾走感のあるSF
    初めは、デコンプ?ツイスタ?AMC粘土?慣れない用語にとまどいつつもSF魂をくすぐられ、世界観ルールになじんできた頃に百合の香りがほのめく
    ただ作品の射程としてはもう少し先、社会システムや風習が押しつけてくる婚姻制度に対する異議申し立て、世の中がなにを言ってこようがありのままの自分を発揮し個人の幸せを追求すべきだと言っていると思う
    小川一水作品の注釈多めな世界設定だけでもマニア好みな味わいがある
    好きなシーンはダイオードがジーオンにタンカを切るところと、ラストの窮地でテラとダイオードが言いあうところ

  • 最高しかない

  • ガス惑星ファット・ビーチ・ボールで、「昏魚」を獲る漁師SF。可塑性漁船「礎柱船」、氏族の因習、FBBの謎。ハイテンションパワープレイでぐいぐい読ませるし、アイデアやギミックが面白く、爽快なお話なんですが、その裏には生存のための模索と試行が積み重なっていて、それを思うとちょっとしんみり。百合SFアンソロでいちばん好みだったので、長編化は嬉しい。
    「百合SF」と銘打つことで広く売れたら商業的にはOKなのかもしれないけど、そうやってラベリングする……というか、枠組みをデコンプしてゆく力と勢いを感じたりもしました。(※デコンプ言いたかっただけ)

  •  凄く面白く読んだが、結末はあまり好みではなかった。
     もう少し長くあって欲しかった、と思うのは、欲張りだろうか。きちんと許可を受けて、(たとえそれがストーリーを進行させる上で要請されるシーンでなくとも)漁をするシーンはもっと見たかったし、二人の結末が描き切られていたか、というとちょっと落ち着くには足りない感じがした。今後の展開は示してあるから想像はつくけど、一番盛り上がるところで終わってるような気がする。
     ダイオードが過去の記録を漁っていたのは、合法的に結婚するためではないかと思いながら読んでいたのだが、結局「想いが通じ合っていれば」とか「世界なんて関係ない」みたいな、百合だとありがちな結論を出してしまっている気がして、そこが少し釈然としなかった。
     が、百合SFとしてだめか、というと全くそうではない。台詞回しがちょっと軽すぎるかなーと思う箇所はあれど、キャラクター造型は魅力的だし、彼女らの織りなす関係性は素敵だ。慣習に縛られながらも溶け込めないテラと、少女らしい美しさを持ちながら、芯の強さと荒々しさを秘めたダイオード。彼女らが正体を探り探り、お互いを必要としながらも、どこまで距離を詰めて良いのか戸惑いつつ、少しずつ心を通わせて行きーーかと思えば、一気に行き着く思い切りのよさ。緩急の効いた良い進展のさせ方だったと思う。
     また、設定の扱いが硬すぎず、雑すぎず、SFとしては非常に好みな塩梅だった。とりあえず固有名詞ぶん投げても、然るべきタイミングできちんと説明がある。お陰でくどくなり過ぎず、勢いが削がれることなく、徐々に世界設定の霧が払われて行く感じがあって、楽しく読めた。個人的な難点こそあれど、それでも本作は百合にもSFにも妥協なく、一粒で二度美味しい傑作であると、言えるだろう。

  • アステリズムに花束を、で短編版を読了済みだとやや物足りないかも。お話としては好きです。
    短編が短編としてコンパクトに収まっていた分、冗長な感じ?
    続編あるといいなあ。

  •  僕たちには
     物語、しか
     ない。



     ひとことで云えば、気持ちの良いSF。
     元々が百合アンソロジーの短編なので、それはもちろんそうで、
     長編とするにあたって、それがそうであるから出てくる問題、というか社会的な部分に、触れるか触れないか。
     それは見て見ぬふりをするかしないか、ということなのかも知れないけれど…
     むしろそれ自体を推進剤としているようにさえ感じて、素直にぐっときました。
     風穴を開けるドリルのコアチップというか。
     物語の要石というか。
     こういう書き方もある、なんて偉そうだけれど。
     開けっぴろげで、
     わざとらしくなくて。

     そう。
     ここには感じるべき物語しか、ない。

  • 待望の新刊、だったけど、個人的な評価はイマイチ。

    ユリアンの元ネタからどう膨らませたのかと思っていたら、まんまブローアップで拍子抜け。
    おまけに、ボリュームアップした割りに、なんか雑な感じがする。

    とりあえず、次回作に期待、かな…

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著者プロフィール

小川 一水(おがわ いっすい)
1975年生まれ。岐阜県出身。男性。1993年、17歳で応募した第3回ジャンプ小説・ノンフィクション大賞に、「リトルスター」で佳作入選。1997年、『まずは一報ポプラパレスより』で作家デビュー。
2004年、 『第六大陸』で第35回星雲賞日本長編部門を受賞。2006年、 『老ヴォールの惑星』に収録されている「漂った男」で第37回星雲賞日本短編部門を受賞。 『老ヴォールの惑星』は「このSFが読みたい!」ベストSF2005国内編で1位にも選ばれた。2011年、「アリスマ王の愛した魔物」で第42回星雲賞日本短編部門を受賞。2014年に『コロロギ岳から木星トロヤへ』で第45回星雲賞・日本長編部門賞を受賞。

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