本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
Amazon.co.jp ・本 (528ページ) / ISBN・EAN: 9784150314231
作品紹介・あらすじ
新興団地「緋沼サテライト」で起こる殺人事件。目撃された学帽と白い開襟シャツの少年は欲望と邪悪の怪物か。異形のミステリ長篇
AIがまとめたこの本の要点
この本を表す言葉
みんなの感想まとめ
テーマは、異形のミステリーを通じて描かれる欲望と邪悪の影。物語は新興団地「緋沼サテライト」での殺人事件を中心に展開し、目撃された少年の姿が謎を深めていきます。読者は、スプラッタやおぞましいシーンに苦し...
感想・レビュー・書評
-
嫌いなスプラッタやおぞましいシーンの連続に苦しみながら流し読みし「トレチア」の謎にぐいぐい魅了されていたのに、残り4分の1で急に「語り手はわたしだ」って⁇期待値がぐーんと下がったが、その後もまだ引き込まれつつ読了。津原さん恐るべし。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
黙示録のようでした。または、眠っている間には鮮明で、覚醒したとたん霧消する夢のようでした。本の中からくる音が、色が、湿り気が、脈が、熱さが、ずっとずっと体の芯に残るのは、シニフィアンが驚くほど精緻だからだと思います。
-
1980年代に造られた緋沼市新興衛星住宅団地(通称・緋沼サテライト)では1988年に奇妙な事件が相次ぐ。小動物が無惨に殺害され、公園の白鳥が殺され、人間もまた行方不明となる。事件関係者の記録の中に現れる奇妙な少年の名(正式には彼の来た場所の名前)は「トレチア」。「キジツダ(期日あるいは奇術)」の言葉を残してやがてトレチアは都市伝説となり、1999年の緋沼サテライトに再び姿を顕す。
かつてトレチアの幻影と共に少年たちを率いていた崇の仲間たちに10年越しで復讐を遂げるかのように襲い掛かる1999年のトレチア。再び凄惨な殺戮が繰り返され、公園の人工池「はちまん池」に投げ込まれた遺体は赤い怪魚に食べられ発見されることはない。崇の小学生の妹あかねは怪魚マカラと夢でコンタクトを取り続け、トレチア=ビヤラカと何度も邂逅する。1999年のトレチアたらんとする少年・晟たち。
一方で、拒食と過食を繰り返す映像作家志望の女性・七与は、売れない漫画家でダウジングが趣味の中年男性・蠣崎と知り合う。蠣崎によると緋沼サテライトは地盤沈下を起こしており、すでに微妙な傾斜が始まっているという。そしてついに破滅の日が緋沼サテライトに訪れ・・・。
集英社文庫版(https://booklog.jp/users/yamaitsu/archives/1/4087477894)を既読だけれど、ハヤカワ文庫の津原泰水初期作品復刻シリーズが嬉しいのと津原作品の中でこれがマイベストなので勿論購入。集英社文庫版は萩尾望都のイラスト表紙(解説も)なのだけど、こちらはハードカバー時の七戸優のイラスト(※別作品)になっているのもいいですね。
ノストラダムスの予言した恐怖の大魔王が降りてくるはずだった1999年当時の終末感、80年代の新興住宅地の空気感、そして子供たちの無邪気さゆえの残酷な集団犯罪、都市伝説、さまざまな要素が、沼地の上に建てられた団地と公園の中の人工池、そこに棲むマカラという怪魚の幻想とあいまって文字通りのカタストロフィへと雪崩れ込むラストは何度読んでも圧巻。
磨羯宮から摩伽羅に繋がる一連のエピソードはやっぱり今回もぞくぞくした。インド神話の怪物マカラとヴィヤーラカ(ビヤラカ)。以下ちょっとWikiを引用しておくと、
<メソポタミア文明の思想体系では、淡水世界を統べる神エンキを象徴する動物、スクル・マーシュ(スクルは「大きな鯉」、マーシュは山羊の意)が存在していた。バビロニア時代のメソポタミア占星術において、スクル・マーシュは黄道十二宮の磨羯宮に配置されている。スクル・マーシュのイメージはメソポタミア占星術とともにインドに伝わり、幻想獣マカラへと変じた。>
巫女のような役割を果たす崇の妹あかねは、サテライトはマカラが見ている夢で、トレチアはサテライトが見ている夢だという。ゆえに自分もマカラが見ている夢の一部だと。はちまん池の怪魚に孕まされたという蠣崎の妻の母のエピソードも興味深い。そうして生まれた蠣崎の妻自身も父親のわからない子供を産む。この子がいずれ次世代のトレチアとなるのか、それとも新しいマカラとなるのか。
登場人物の中では七与さんが好きでした。最後にマカラが吐き出した未来の夢、虹色の物体の正体だけが唯一謎だったのだけど、女性だけが生き残ったことを考えるとエイリアンものホラー映画みたいな未来も少し予想してしまった。 -
カタストロフィ。
少年少女時代に、「トレチア」のせいにして悪事を働きまくっていた主要人物たちが「キジツダ」という新たなトレチアからツケを払わされていくような…都市伝説「トレチア」ですが、実際にトレチアを自認してる少年がまた新たに仲間と殺戮を続ける。
マカラやビヤラカはよく分からず画像検索しましたがマカラしか出てこなかったです。異形でした。
終盤の、緋沼サテライトが地震で崩壊する様は地獄絵図でした。川とか沼とか地名に入ってる(た)ところに家建てちゃいけん…他にもあるけど。
この世界も、何か大きなものが見ている夢…という感覚はなんだか好きです。夜の夢こそまこと。 -
津原作品3冊目。
読み終えた数日後に、身近なトレチア的なものの存在に気付いた。そして怖くなった。
津原泰水は、人間の負の記憶をありのまま無加工に描き出せる気がする。誰にでもある疚しさの記憶は、分解され解消され適度な状態に調理して安置してある。それを生に戻されて突きつけられる感覚がある。物語としては、着地したいところに着地させてもらえないもどかしさがあり、それがたまらなく好みだった。
緋沼サテライトの見取り図、どこかにありませんか!? -
初めて読んだ津原さんの本。前から気になってたけど、なかなか手が出ず。少年トレチア、これはわたしが好きなタイプの小説なのかしらどうなのかしらと、手探りしている間に終盤に差し掛かり、掴めないまま読了してしまった。そこそこのボリュームがある本なのによく掴めないまま読み終えられたなと思う。トレチア、謎の巨大魚、沼の上にたった街、人の蠢くサテライト…要素は好きなんだけど雰囲気か好きかと言われるとわからん。
著者プロフィール
津原泰水の作品
本棚登録 :
感想 :
