- 早川書房 (2020年3月18日発売)
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感想 : 16件
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Amazon.co.jp ・本 (352ページ) / ISBN・EAN: 9784150314248
作品紹介・あらすじ
男の娘の貴尾根すばるは、電子部品を買い漁っていた不思議な少女と知り合う。彼女の名は結城ぴあの、突然変異的な超天才だった!
みんなの感想まとめ
多様なキャラクターと未来社会の描写が魅力的な作品で、特に主人公の貴尾根すばると天才少女結城ぴあのの関係性が印象的です。彼女の傲慢さと魅力が共存し、読者は応援したくなる一方で、苛立ちも感じるという複雑な...
感想・レビュー・書評
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積読本。文庫版は2020年に出ている。単行本は2014年に出ている。もう10年か。
山本弘さんを偲んで読み始める。下巻に続く詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
悪意や閉塞感に満ちた現実を吹き飛ばし、そして世界を変革するヒロイン。
山本弘さんの『詩羽のいる街』という作品のメッセージとそのヒロイン像に、初めて読んだとき大いに惹かれました。そしてこの『プロジェクトぴあの』の上巻を読み終えた時の感情も、それに近いものを感じます。
AR技術などが進歩した近未来の日本。ある日貴尾根すばるは、秋葉原の電気街でマニアックな部品を買い漁る地味な女性と出会う。彼女の名前は結城ぴあの。常人とはかけ離れた思考と頭脳を持つ彼女は「宇宙へ行く」という夢を語る。そして夢のためぴあのは自宅で実験を続け、一方で資金と賛同者を得るためアイドル活動しているらしく……
ぴあののキャラクターはとてもユニークなのですが、一方で人間関係全般に関しては、不器用というか、興味がないのかとも思います。身内の話を語るところなんか、マッドそのもの……。そこだけ読むと、彼女を遠く感じてしまうかもしれないです。
では、なぜ自分はぴあのが好ましく感じるのか。それは単に彼女が天才で特異なため、言葉や行動の予測がつかないから面白い、ということだけではありません。
彼女の「宇宙へ行く」ための手段であるアイドル活動が結果的に、人、さらには人工知能にまで影響を与え、現実や世界をいいふうに変革してしまう。その過程が描かれるからこそ、自分はぴあのに惹かれていくのだと思います。
『プロジェクトぴあの』の近未来の世界にも悪意はあります。技術が進歩しても、誹謗中傷やいわれのない差別は、その技術を利用して現実に侵食します。他にも科学技術を悪用しての詐欺であったり、成功を収めつつあるぴあのへの嫉妬であったり。人の小ささ、浅ましさは変わらず、それが世界を狭めてしまうのも変わりません。
評価されるべき人は、きちんと評価される世界。簡単な原理のようで、なぜかうまくそれが反映されない現実世界は、ぴあのアイドル活動で塗りかえられます。そしてさらにはぴあの自身も、人間の可能性を体現するのです。
小説内に登場する、人工知能や最新のAR技術によって生み出された通称「メカぴあの」
年も取らず永遠にアイドル活動ができる「メカぴあの」こそが、本物のぴあのではないか? ネットの声は二極化し、本物のぴあのの人気が脅かされる事態に。そこでぴあのは自身のコンサートに、メカぴあのを招待し、デュエットをすることになります。
このコンサートの場面が良かった!
未来のライブを疑似体験させるかのような描写に、そして圧巻の歌唱シーン! 有限であるがゆえの人間の力と、そして無限の可能性とがこの場面に圧縮されていたように思います。
そしてぴあのの理論も徐々にカタチになっていきます。この辺はハードSFなので、理解度はアレですが……。でもここまででぴあのの活躍に惹かれているので、分からないことが問題に感じないというか、現実を突き破る科学理論の展開にワクワクする自分がいます。
『詩羽のいる街』ではアニメによる町おこしが、話の中で出てきました。こうしたいわゆるオタクコンテンツは色眼鏡で見られがちですが、山本弘さんはそうしたオタクコンテンツに、人の可能性を見いだしているように感じます。
この『プロジェクトぴあの』に出てくるものも、歌ってみたや、素人が制作したMADなどがアップされる投稿サイト、今でいうvtuber、そしてネットでの投げ銭機能など、様々な最近のコンテンツやネットの潮流が、世界を変えるキーワードとして使われます。
そして興味あるものや、好きなものは仕事でもないのに徹底的にのめり込む、いわゆるオタク的な姿勢。それもまた世界を変える一助として物語に機能します。
たぶん自分が山本弘さんの小説を好きなのは、頼まれてもいないのに時間を削って本の感想を挙げている一方で、そのオタク的な部分やこだわりがコンプレックスでもある自分を、物語を通して肯定してくれているからだと思うのです。
アイドル活動の一方で、宇宙へ行くための理論を構築していくぴあの。下巻を読み終えたとき、彼女のいる世界はどのように変わっているのか、楽しみです。 -
魅力があり応援したくなる気持ちも、その傲慢といっても大きくは違わない目線に苛立つ気持ちも両立する素晴らしいキャラクターの書きっぷりで、2014年からみた2024年ごろへの希望が満ちた近未来社会の描写。下巻へ向けて気持ちが昂る名作。
アイドルからバーチャル・アイドルへという変遷を描いた部分には、現代のVtuberの流行が、完全なバーチャル・アイドルへの移行期とも取れるんじゃないかと思えてくる様な説得力で、面白い。 -
普段は全く読まないSFを読んだ。めっちゃ面白い。
伊与原新さんの「オオルリ流星群」もそうだったが、物語に科学や天文が絡んでくると面白いなと感じる。まあ「サイエンスフィクション」なのだから当たり前だが。
これはこれで青春物語と言ってもいいかもしれない。下巻も楽しみ。 -
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不思議系アイドルでありながら、マッド・サイエンティストばりの超天才的な頭脳と人格を持った「結城ぴあの」という少女が、宇宙の果てまで旅行することを夢見て、物理法則を打ち破る大発明をしていく物語の上巻。
かなり破天荒であざとさ満載の設定なのに、山本弘氏の手にかかるとハードSFとオタク、アイドル趣味が渾然一体となって、平成を振り返りながら遥か先の未来まで続くクロニクルを読んでいるような不思議な気分になってくる本だった。
上巻の白眉は、ボーカロイドとVRとAC(人工意識)を融合させたバーチャルアイドル”メカぴあの”とぴあの本人との共演。
ひょっとしたら、ここで書かれたようなステージの一部を今の技術は追い越しているのかもしれないが、バーチャルアイドルのリアルさを目の当たりにした人間のアイドルの焦燥がぼそっとつぶやかれる場面は妙に生々しかった。
”「へえ、こう見えるんですね」秋穂は感心していた。「ほんと、実在してるみたい」「ええ、まったく」理梨は少し憎らしげに言った。「『リアル・アイドルは要らない』って言われる理由、よく分かるわね」
「やっぱ、あたしら、絶滅危惧種ですかねえ?」
「かもね」”(P.263)
初音ミクやAKB48が登場して数年経っていたとは言え、2014年の執筆時点ですでにこのようなシーンを予想していることに感心した。
2025年現在ではVTuberレベルで脇道&足踏みしているように感じるが、まもなくリアルアイドルは衰退してメカぴあのが登場してもおかしくない時代になっている。
ぴあのが、遂にこれまでの物理法則を覆す大発見をしたところで上巻は終了。 -
第84回ビブリオバトルinいこま「妄想歓迎、本の世界を広げよう」で紹介された本です。
コロナ禍のため現地とYoutube live配信のハイブリッドで実施。
https://www.youtube.com/watch?v=mFmLA0zMW3M
2021.6.27 -
数年前に図書館で借り、読了してからもう一度読みたくなったので文庫本版を購入。上巻を再読してからの感想、やっぱり面白い!読み進めるのにつれて未来に向かう速度を感じる作品。宇宙科学とか物理学とか理解できなくてもすごいことしてると分かるように書かれているから物語に集中できる。でも、少しでも学んでいたらもっと面白かったのかもしれない。近未来SFとしてとても好きな本です。
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久しぶりのSF。
ぴあのちゃんの、夢にまっすぐな感じ良き。専門用語のマシンガントークの箇所は眠くなってしまいましたが。。普段の言動はロボット的なのに、箪笥のくだりとか、ライバル出現時の熱さを隠しきれない感じとか、良きでした。
下巻に向けて、夢の実現とか、すばるとか昴との関係性が気になるところです。 -
SF。秋葉系といったらいいのだろうか。現在および近未来の科学技術の上に空想を上乗せした世界が構築されていて、そこで物語が展開する。その世界でも、科学技術の最先端として秋葉原やネットカルチャー(ニコニコ動画、ボーカロイドなど)がベースになっている。
『南極点のピアピア動画』などが好きな人は気に入ると思う。解説も同著者野尻氏。 -
数学、物理学の細いことは全然わからないけど。
世界はこんなものではなく、世界はこんなもの。という物語。
傑作。 -
田舎で夜空に光る沢山の星たちを見上げて、吸い込まれそうに感じたことはある。星雲や星団の写真を見て、美しい宇宙を想像したこともある。けれど、そこへ行きたいと熱望したことはない。
ぴあのは熱望した。その望みを叶えようと努力をした。素晴らしい頭脳の持ち主ではあるけれど、立ちふさがる壁は生半可なものではないだろうに。
物理法則として確立されているものを乗り越えて新しい物を組み立てる。世界に受け入れられるとは限らないのに進んで行く。
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