- 早川書房 (2020年4月16日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (304ページ) / ISBN・EAN: 9784150314286
作品紹介・あらすじ
図書新聞再刊を任された浩二と蛍は、本を通じ、生徒や教師が抱える秘密、そして過去に高校で起きた自殺事件の謎に迫ることになる
みんなの感想まとめ
本作は、読書が苦手な主人公が図書委員として図書新聞を再刊する過程を描いたビブリオミステリーです。荒坂浩二は、自身の読書嫌いを克服しながら、同級生や教師たちの感想文を集めるために奮闘します。彼が出会う本...
感想・レビュー・書評
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振替休日の娘と、角川武蔵野ミュージアムへ。
マンガ・ラノベ図書館でマンガを読みたいという娘に付き合って、ラノベ図書館で見つけた本書。
ビブリオミステリーという分野でラノベ。
待ち時間にピッタリでした。
主人公の荒坂くん。共感覚という特性を持っているとのことで、カンディンスキーや宮澤賢治なんかも共感覚の持ち主だったよな…確か。
そんな特性を持つ彼が高校での様々な謎を解いていく訳だけれど、読書感想文がキーになっているのが面白い。
読書も楽しいけど、その本を読んでどう感じるかは人それぞれ。それを感想文という形で表現したり、それを読むのはまた楽しい。
ブクログユーザーの皆さんはすでにわかりきっていることだけれど〜
感想文が書かれる本は「舞姫」や「赤い繭」…
ちょっととっつきにくい本ばかりだけど、いつか、読んでみたいなぁ〜。
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僕こと荒坂浩二は、消去法で選んだ図書委員になり、委員会の自己紹介で、「好きな本はありません」と一人だけ書名を答えなかったことから、司書の河合先生から逆に適任とされ、図書新聞の編集委員に任命されてしまいます。
同じ二年六組のものすごい読書家の藤生蛍も一緒に任命されます。
趣旨は「読書をしない荒坂君に本に興味がない人も手に取ってもらえるような新聞を作ってもらいたい」ということです。
僕と蛍は読書感想文を書いてもらえる人を校内で探します。
そして40代で、白木台高校に通算20年勤務する、生物教師の樋崎先生が、安部公房の『壁』という短編集に入っている『赤い繭』の感想を、美術部の緑川先輩がヘルマン・ヘッセの『少年の日の思い出』を、同級生でオーストラリアからの留学生のアリシアが好きな八重樫徹が、森鴎外の『舞姫』の感想を書いてくれることになるまでが前半のストーリーです。
後半は樋崎先生の謎めいた行動と、校内に伝わる18年前、樋崎が最初に白木台高校を去った時に自殺未遂をした女生徒の噂話。
蛍に対する女子生徒らのいじめ。
そして、事件に対する僕の推理です。
美大志望でもないのに、なぜか絵の色彩感覚が非常に優れている、僕の特殊能力がどういうものなのかが、明らかになります。
そして、僕がなぜ本を読むのが嫌いなのか、本当の理由が明かされます。
最後はネタバレになりますが、ハッピーエンドです。
ただ、この本で一番多く出てくる安部公房の『赤い繭』は私は未読ですが、私は読みたいとはあまり思えない本でした。
ビブリオミステリーが好きなので、これからも続刊がでないかなあと思いました。 -
タイトルに惹かれて借りましたが、期待以上に楽しめました。
読書が嫌いなのに楽そうだからという安易な理由で図書委員になった主人公荒坂浩二。廃刊になり久しい図書新聞の再刊を頼まれ、同じクラスの図書委員であり、本が大好きな藤生蛍とともに図書新聞を作るべく、読書感想文を書いてくれそうな人に依頼する事になるのですが…。
依頼相手の選んだ本を巡りミステリー仕立てに話が展開して行き、謎を負ってたどり着いた先には思いもしなかった真相が待っていました。
この中で何冊か本が紹介されていますが、藤生さんの本の知識が素晴らしい。森鴎外や安部公房、ヘルマン・ヘッセなど今は自分から進んで読まなくなっていたけれど改めて読んでみたくなりました。
そして、荒坂浩二がなぜ読書が嫌いなのか?その理由も判明します。
何より本を読んだ感想や解釈は本当に人それぞれで、受け止める側の年齢や心理状態によっても変わる物であり、そこが読書の醍醐味なんだよね~と実感いたしました。 -
図書室が舞台の小説が読みたくて、初めての作家さん。
司書さんや図書委員目線のお話はありがちだけど、読書嫌いの主人公はなかなか珍しいのでは。読書が苦手な理由も予想外でびっくりした。周囲の人の文字や筆跡、色に関する文章が多かったのはそういうことか。
自分の本棚や好きな本を知られるのは、胸の内を晒しているようで苦手だけど、なるほど読書感想文もそうかも。それを宿題でやってたって…今思うとすごい。
読書は現実逃避じゃなくて、現実に立ち向かう術の一つ。素敵な考え方。樋崎先生の憎めない感じも良い。
荒坂くんと藤生さんのコンビも良い。もっとこうすればいいのにって思うのは、相手に期待してるから。荒坂くんの擦れてない感じ、思ったことを恥ずかしがらずに伝えるところもよかった。「ほかの人と違う」のかもしれないけど、それは素敵な個性だと思う。
なかなか手が出ないけど、『舞姫』『少年の日の思い出』『赤い繭』ついでに『箱男』も読んでみようかなぁ。荒坂くんみたいに理解はできないかもしれないけど。笑 -
既視感ならぬ既読感あり。《ビブリア古書堂》シリーズ+《古典部》シリーズ。あと「共感覚」が出てくるところは、《天才月澪彩葉の精神病質学研究ノート》も入っているのかな。高校が舞台になっていて、主人公の男の子は折木奉太郎+五浦大輔。女の子のほうは、千反田えるを篠川栞子に置き換えたような感じ。あと《BIS ビブリオバトル部》シリーズの伏木空も少々入ってるか。
ミステリー要素のある青春小説といえる。本好きの若い人にはおススメできるが、やはり「どこかで読んだぞ」感がぬぐえない。本(特に小説)の読みすぎなのか(?)、新鮮な感動を得られなくなってきた。少し悲しい。 -
読書嫌いな浩二と本の虫の蛍は高校二年生。同じクラスの図書委員に成り、ひょんな事から図書新聞の編集を任される。
青春物語であり、学園ミステリーですね。
キャラクターが他の作品と似たところがあったとしても、それぞれの作品が個性を持って語られるのが物語の楽しみですが、二人が「なぜ本を読むか」について語り合うところは特に共感を覚えました。
自分が高校時代に何を読んだか思い起こしながら楽しく読み進めました。なので、思ったよりもじっくりと読みごたえを感じながら読了しました。
謎解きもそこそこ面白く、次回作が出て欲しいですね。 -
2020年4月ハヤカワJA文庫刊。書き下ろし。楽しようと高校の図書委員になった2年生の浩二は図書新聞の再刊を命じられて…という出だしで始まる学園日常ミステリー。生徒、教師たちの世界が興味深く語られる。本好きコミュ症気味のヒロイン蛍もステレオタイプながら素敵に無理なく描かれるのが良い。ラストで明らかになる謎解きよりも、浩二の異能力に驚きました。よくできた設定と楽しい展開で面白かったです。
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【収録作品】序章 蘇る図書新聞/第一章 ルーズリーフのラブレター/第二章 放課後のキャンプファイヤー/第三章 生物室の赤い繭/終章 藤のささめき
読書が苦手な男子が、活字中毒気味の本好き女子と共に図書新聞を復刊するはめになり、だんだん本の魅力に気づいていく、と書くとよくある話。だが、各章で取り上げられている本についての「感想」が楽しい。感想は読み手の数だけあっていい。予想の斜め上をいくような感想を読んでいたら、読書会をしたくなった。 -
近所の本屋で何気なく手にした本。帯に小島秀夫さんの「いとも簡単に”読書の真髄”を教えてくれる。なんとも素晴らしい小説だ。」とのコメントに興味を持ったので購入した。
読書に興味のない高校二年生の荒坂浩二さんが、楽な仕事と思って入った図書委員。そこで図書新聞の再刊を任されてしまい、同級生の読書好きの藤生蛍さんとともに紙面づくりに奔走する。読書感想文の執筆を先輩、同級生、先生の三人に依頼していくが、果たして無事に感想文を入手することができのか?というお話。
文芸書を読む楽しみ方にはいろいろな視点があり、その視点が人生をより豊かにしていく原動力になっている。
豊かな人生を送る糧としての読書を体感できる小説だ。 -
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すごく惹き付けられる小説でした。登場人物達も個性的な部分もあったけど、なんか影がある所も描かれていて…ちょっと泣きそうになりました。
本を読むことを嫌っていた彼が…意外な行動で本の虫の彼女を巻き込み、どんどんと謎を改名していくのが好きになりました。どういう内容か表紙やあらすじでは分かりきれないぞと驚きもあります。彼は、ちゃんと感想文をもらえるのか!?と私もドキドキでした。
表紙で面白そうかな?と選んだ本が、かなり自分の好みでした。 -
読んだ事のない著者、ライトノベルっぽい装丁。チョット腰が引けたけれど、このところ動画配信に捕まって読書量が著しく落ちていたので、もしかしたら何かヒントをもらえるかと読んでみた。
読書ってなんだ、何のために読むのだ?
私も時折そんな事を思う。
タレントで読書家として有名な男性が亡くなったとき、いったい彼は何を残したのだろう、読書に費やした時間で何を得たのだろう?
死んでしまったら何の意味もないのではないかなどと。
「読書はいつか訪れるかもしれない未来をシミュレートできる」
本書の中でそう語っていた。
それもひとつか。
読書は人格を高めたり、人間性を豊かにしたり深くしたりとよく言われるけれど本当なのだろうか。
読書をしないことによる弊害を具体的に教えて欲しいな。
本書、その内容はタイトルからは連想できない学園物ミステリーでした。
読書嫌いな主人公と彼と行動を共にすることとなる本の虫の女子。
彼らは図書委員として学校新聞の復活に動くことになるが、そこに浮かんでくるひとつの事件、生徒の自殺未遂事件、に突き当たる。
高校生活にありがちな日常と青春が謎解きに絡んでくる。
ふと目に止まった生徒のイジメの上履き隠しが、過去の自殺未遂事件の関係者である教師の胸の内にある暗い記憶を蘇らせ秘密を隠し続けることの苦しさを増加させる。その苦しみから逃れたくなった姜氏はある行動をとる。
彼の行動、そしてかつて主人公が遭遇した絵画紛失事件が謎解きの端緒となる。
主人公の読書嫌いも伏線となっていて、読書嫌いの原因である彼の特異な能力も謎の解明に一役かっているのが面白い。
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どうして人は本を読むのか…本は予言の書だ。
…というくだりで、うんうんジュール・ヴェルヌとかドラえもん的なね!と頷いていたら違うかった。
そうか、人生のシミュレーション的な意味でか。
読書が嫌いなのに暇だろうと言う理由で図書委員になった高校生男子が、本嫌いを理由に読書新聞を編集することに。本の虫の同級生女子と活動をはじめるが、感想文を依頼したり読んだりしているなかで、「ナゾトキ」をしていくことになる。
最初はさめているように見えた主人公にイラリとしてしまったのだけど、二人の「ナゾトキ」がすすむにつれ、物語の登場人物とはいえ切り取った一面しか見ていなかったことに反省。
作中に出てくる小説やモチーフはだいたい繭が出てくる。ネタバレしてしまったものもあるんだけど、ストーリー上避けれないのと、ほとんど教科書掲載作品なので、たぶんセーフ。
この夏は安部公房の作品を読んで悪夢にうなされてみようか。
読書嫌いの人がどんなとこが苦手なのかも垣間見れた。
なんとなくだけど、生物の先生は盛口満先生に触発されたのかな?と思った。タヌキの皮的に。
司書としては、学校図書館って言って欲しいけど、図書室という言葉の響きにノスタルジーを感じるのを認めるのは、やぶさかではない。
先生ではなくて、師匠…違った司書と呼んで欲しいなあとかね。
続編が出たら、また読みたいな! -
読書嫌いな高校生・荒坂は楽をするために図書委員会へ入ったつもりが、図書新聞の再刊を任されてしまう。読書好きな藤生を相棒に、掲載する読書感想文を依頼して回る。相手は同級生の八重樫、先輩の緑川、生物教師の樋崎。しかし、依頼と同時に提示された不可解な条件が二人を悩ませることに──。本を巡る学生の青春と秘密を描く連作短編ミステリ。
実在の本が登場する上に、テーマが読書感想文というところが面白い。どの本を選ぶのか、なぜその本を選んだのか、その本から何を感じたのか、その本の何を感想文で伝えたいのか。本を開くことは、その人の心を開くことでもあるんだと。読書感想文を読み解く内に明かされていく秘密。それがページの数だけ積み重なり、見慣れた景色に雪が降り積もるように別世界へと変わるのが美しい。
なぜ本を読むのかという部分も語られて、とても興味深く読めた。本を読むことで、自分とは違う思考や世界を知る。自分には思いつかない生き方がそこにある。
「同じ景色でも、描く人によってまるで違う絵になる。僕らは目の前の光景を見ているようで見ていないし、ときには見えないはずのものだって紙の上に再現してしまう。」
絵も人生も価値観も、この荒坂の言葉通りにみな違う。だからこそ苦しく、それでいて面白いのだ。
「現実に嫌な人が現れても、たくさん裏読みをすることで『何か理由があるんじゃないか』『前向きに受け止めよう』って思えるんです。だからなるべく本を読むようにしています。いろんな考え方ができるように。他人の言葉をひとつの意味にしか解釈できないと苦しくなってしまうから、逃げ道をたくさん作っておけるように」
藤生のこの読み方も素敵だなと思った。作品内だけじゃなく、作者や時代背景、物語のその後などまで裏読みしていくこと。それは読書体験を深めるだけじゃなく、生きる上でも大切なことでぼくも見習いたい。心は目に見えない。だからこそ目に見える物の行間を読んで思考する力は、生きることを深く味わう能力としてかけがえのない物となる。
最後に好きな文章を引用して終わります。荒坂の自他境界がピタッと引かれたスタンスは師匠!って言いたい。自分と相手が違っても、人によって感情の濃淡や価値観が違うのは当たり前のことで、それだけで自分を曲げる理由にはならないもんね。
p.85
「この世にある物語は、すべて予言の書になり得るからです」
p.87
「物語は人生のカタログだと言う人もいます。いつか自分に降りかかるかもしれない人生の難題や、そのときの最良の選択を見せてくれる見本です」
p.87,88
「私はきっと、物語に何かを期待しているんだと思います」
「何かって? ハッピーエンド?」
藤生は首を横に振ると、少し考えてから真剣な表情で言った。
「現実を安全に生きるための情報を、どれだけ与えてくれるか」
p.167
藤生と違い、僕は他人から向けられる悪意に滅法鈍い。自分が相手に向けている感情と、相手から自分に向けられる感情が常にイコールで繋がっているわけではないし、そうである必要もないと思っているので、嫌われても落胆しないし、先輩を好ましく思っていることも変わらない。
p.297
「感想文を読むと、その人が本のどこにラインマーカーを引いたのかわかってしまいますよね。自分の心を晒す行為に近いように思えます」 -
ひょんなことから学校の図書新聞の発行を任された荒坂浩二と藤生蛍。紙面に載せるための読書感想文を先生、先輩、同級生に依頼するが、引き換えに不可解な条件を示されて…というお話。
読書に全く興味がない荒坂と本の中にしか自分の世界を持てない藤生が互いに互いを刺激し合って進むところはなかなかいい感じ(藤生のキャラの既視感はもうひとつだが)。
一方、読書嫌いの少年少女向けてはいささか理に落ちたようなところもあって、また、読書について語るのとミステリー仕立ての筋の運びや捌き方には今ひとつバランスが悪い気が。
最終章で荒坂の人となりが分かりにくい訳や樋崎先生が持ち続けた秘密が明かされるところには、それまでにさりげなく振り撒かれてきた描写が効いていて、やや挽回した。
どうでもいいことだけど、彼ら高校生だったのだな。中学生みたいに思って読んでた。 -
本の虫である藤生と読書嫌いな荒坂。でこぼこな二人がだんだん協力しあって作る図書室案内。
最初は嫌々渋々だった荒坂が、だんだん本の魅力に見せられるところすごくよかった。気付いたら本を読みたくなる。そして、終盤になって分かる荒坂の秘密?が今までのモヤモヤを吹っ飛ばしてくれるような伏線になっててよかった。おもしろかった。なにより、藤生の不思議な魅力もよき!本のことになると熱弁しちゃう藤生は、きっとこれからもっと友達できるんじゃないかな -
連作短編集。
読書嫌いの主人公が、図書委員になるお話。
ちょっとミステリ風味。
スイスイ読めるが、なかなか深い、適度な内容の濃さ。
毎日何気なく行っている、"読書"そのものについて考えさせられる良い作品。 -
藤生さんが言っていたなぜ人は本を読むのか、にはなるほどと思った
主人公に感じてた違和感が最後に解決してすっきり
題名通り、本読むのが苦手な人にこそ読んでほしい本
物語は人生のカタログってフレーズが好き。
著者プロフィール
青谷真未の作品
