コルヌトピア (ハヤカワ文庫JA)

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  • 早川書房 (2020年6月18日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (272ページ) / ISBN・EAN: 9784150314385

作品紹介・あらすじ

2084年、東京。計算資源化された植物都市の若者が目にする、人と植物の新たな共生のビジョンとは? 書き下ろしを加えて文庫化。

みんなの感想まとめ

植物を計算資源として活用する未来の東京を舞台にした物語は、斬新なアイデアと静謐な文章が織りなす独特の世界観が魅力です。地球温暖化対策としての可能性を秘めたこの設定は、技術の進化による新たな人と植物の共...

感想・レビュー・書評

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  • 植物を計算資源に取り込むというアイデアが面白い。実現できれば地球温暖化の対策と一石二鳥な気がするけど、作中で書かれている通り、これはこれでいろいろな問題が出てくるんだろう。

  • 植物を演算に応用する技術が発展した近未来東京の物語。
    SFとは画であると思い知らされる。全てを理解しているわけではないが、それでも頭の中に広がるイメージの強烈さ。それが静謐な文章と相まって清々しい印象を与える。
    いつもと違う部分の脳が刺激され、それが実に心地よい。

  • 植物をコンピュータとして利用する近未来が舞台の短篇SF。表題作ともう1篇が収録されている。
    うーん、なんとなくイメージはできるのだが、全体を理解するのは難しかった。ある意味、“新サイバーパンク”とでも呼びたくなるほど斬新なアイディアだと思うが、著者の力不足でうまく説明できないのか、こちらの能力不足ゆえに理解できないのか(おそらく後者)、なんとも言えないもどかしさがある。設定がすべてと言える小説なので悔しい。
    第5回ハヤカワSFコンテスト大賞受賞作。

  • 植物との共生に惹かれて購入。中盤からの疾走感が心地好くて、夢中で読了。フロラの視点で街を飛び回ってみたい。人間が自然を動かす純粋なエネルギーに変換される未来は興味深い。アジサイが咲く季節に読めて良かった。

  • 第5回早川SFコンテスト対象受賞作。

    21世紀後半。
    電気信号を介する植物を計算資源として応用する未来。
    その技術は「フロラ」と呼ばれる。
    植物の保有量が自国の計算力へとつながり、世界のパワーバランスが塗り替えられた世界。
    日本では、23区を円環状に取り巻くフロラ「グリーンベルト」において、
    キョダイな計算資源都市として確立している。

    そんな未来の日本で、フロラの一部が火災により焼失する事件をきっかけに、
    フロラ企業に勤める砂山と、転載植物学者の降り口が出会い、物語は進んでいく。

    本書の魅力は、植物で覆われる緑多き風景と、
    その緑により確立された電子の世界の多重構造。

    植物に流れる微弱な電気や、
    木々の間を飛び回る鳥たちの動きが、
    計算資源として意味のある信号となり、
    人間の小さな脳内での計算をはるかに凌駕して、世界はパラダイムシフトしていく。

    中学生の頃、原子や電子について勉強したときに、
    地球や宇宙から見た自分はまるで同じではないかと感じたことはないだろうか。
    本書を読んだとき、私はその感覚を思いだした。

    1992年生まれ、頭脳明晰であろう津久井氏の描く世界は、
    左脳だけでなく右脳にも響いてくる。

    物語の展開、人間関係、人物描写には、それほど大きな感動が覚えなかった。
    しかし、本書の描く世界観は、それを凌駕して非常に魅力だ。
    是非、イラストやアニメーションでも拝見したい作品。

  • 21世紀後半、一部の植物を改変して計算資源「フロラ」として活用できるようになった未来。東京都区部を円環のように取り巻くフロラ「グリーンベルト」によって演算集積都市の地位を確立した東京において、一部のフロラが予測不能の火災で消滅する事件が発生する。フロラ活用戦略が政治的優勢にも影響する近未来において、この事件を解決するため投入された技術者が見た、フロラ技術の真相とは・・・!?

    植物を計算資源として活用するという、SFとしてたいへん刺激的で、かつ実現性もそれなりの蓋然性があるという、面白い立ち位置の作品です。数十年後にはリアルなサスペンスとして成立しているかもな、という手応えがあります。

    が、うーーーん・・・アイディアは面白いんだけど、それを描写する表現力が追いついていないのかな、と鴨は思いました。フロラ技術の展開にあたって、植物が体感するランドスケープに一体化するための「レンダリング」という技術の意味が、鴨には最後まで理解できませんでした。それはひとえに鴨のSF者としての読解力の浅さに起因すると思うんですけど、それ以上に文体が気になってですね・・・フロラが描く世界観に作者自身が酔いしれて、美文に終始している感じ。語弊を恐れずに言うと、ものすごく文体が小っ恥ずかしいんですよ(^_^;脳内の世界観をできるだけかっこいい言葉で描こうとした結果、学生サークルの作品か?と感じてしまうレベルに収まってしまった感じ。登場人物の人間味も、世界の描かれ方も、浅いです。浅くても構わない、という人には、それなりに面白いSFだと思います。

  • ハヤカワ文庫のコンテストで秀作ということで、購入。
    人類も結局動物の一部であるのだ、という視点はSF作品上でもさることながら、私たちも日常生活レベルでは決して持つことがないため、それに気付かされる作品であるという点で特徴的だと思う。

  • 植物が、ひいては、ヒトを含む生物までもが計算リソースなる、というザ・SFな時代でのヒューマン・ドラマだが、そこまでぶっ飛んだ設定ではなく、現在あるコンピューティング研究のいち志向が現実化したら、こんな世界観になるのかもしれない、と思わせる非常に「質のよい」SFだと思う。
    正直、各登場人物はその「設定」を際立たせるために動き回っていると言っても過言ではない。
    個人的には好きな部類。

    あと、本部とは関係ないが、巻末の解説の一部が付け焼刃的な知識で説明がされているフシがあり(機械学習の定義間違いや、FPGAをFGPAと言ってしまうなど…)、全体として信憑性に欠けてしまっているのが残念である。ただ、SF作品に対して、専門家の解説や見解が含まれることは、とても興味深いことなので、その点は評価したい。

  • 植物を演算のリソースに使うって発想が面白いなぁ。緑地がスーパーコンピューターの代わりになるなら確かに熱帯雨林地方は有利かも。でも結局は人間の作った人工林じゃないとダメらしいので環境問題まではクリアできないのかな~
    と、そういう話ではないのだけれども(笑)

    面白かったんだけれども、何故そういう事件が起きるのか、という所まで得心が行かなかったのか、結局ソウナンダーで終わってしまったというか。ムクドリの話も恋愛モノだっけ?ぐらいの感想で終わってしまったのがなんとなくもったいない感じが。いや、別に環境問題とかを大々的に取り上げてほしいわけでは無かったんですけれども。

  • フロラと呼ばれる植物群を、一種のバイオコンピュータとして利用する技術が確立した近未来。広大なグリーンベルトによって取り囲まれた東京は、その膨大な演算リソースを背景に世界の都市の中での地位を固めていた。ところがその演算リソースの喪失事件が起こる。天才植物学者のヒタキとともに、その調査に関わっていた「僕」は、事件の背後に、かつてある療養施設で友人となったツグミがいることを知る。ツグミはフロラによって、逆に人間がリソース化されてしまうことを恐れていた。
     フツーならこのあと、テロリストのツグミと黒ずくめの強化戦闘服を着込んだフロラ防衛機構(仮)とかがドンパチを始めるのだが、このお話は体温低くてさ。さらっと流れてしまう。
     小説の形を借りて、フロラというアイデアをつつき回してみましたというだけで、それ以上でも以下でもない感じ。そのアイデアが面白かったから、個人的には楽しかったけれど、食い足りないと言う人の意見が分からないじゃない。

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著者プロフィール

東京大学・同大学院で建築学を専攻。2017年に「コルヌトピア」で第5回ハヤカワSFコンテスト大賞を受賞し、同作でデビュー。その後、『ヴァケーション 異形コレクションLV』や『S-Fマガジン』に短編小説を寄稿。2021年に「Forbes 30 Under 30」(日本版)に選出される。〈WIRED Sci-Fiプロトタイピング研究所〉からの依頼により、ソニーグループやNTT人間情報研究所など複数のSFプロトタイピング企画に参加。科学技術の進化によって変容する社会や人間のあり方を描き出すSF作品を複数執筆している。

「2024年 『Kaguya Planet 気候危機』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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