日本SFの臨界点[恋愛篇] 死んだ恋人からの手紙 (ハヤカワ文庫JA)

  • 早川書房 (2020年7月16日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (400ページ) / ISBN・EAN: 9784150314408

作品紹介・あらすじ

2019年ベストSF第1位に輝いた伴名練が、書籍未収録作を中心に「今最も読みたいSF短篇」を精選した恋愛・家族愛アンソロジー。

みんなの感想まとめ

恋愛を主軸にした人間関係の深さを描くこのSFアンソロジーは、感情豊かな作品が揃い、読者に新たな視点を提供します。歴史改変を背景にした物語が展開され、SF初心者でも親しみやすい内容が魅力です。特に「G線...

感想・レビュー・書評

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  • 2020年7月ハヤカワJA文庫刊。伴名練さんが編んだ9篇の恋愛SFアンソロジー。伴名さん厳選だけあっていずれも初読みかつ面白いものばかりで、楽しめました。和田さんは、草上仁さんの変名とは驚き。姉妹篇の怪奇編も楽しみです。
    SFマガジン1989年6月号中井紀夫:死んだ恋人からの手紙、SFマガジン2000年2月号藤田雅矢:奇跡の石、SFマガジン1999年10月号和田毅:生まれくる者,死にゆく者、(同人誌)正常小説2011年8月大樹連司:劇画・セカイ系、SFマガジン1997年2月号高野史緒:G線上のアリア、河出文庫NOVA9(2013年1月刊)扇智史:アトラクタの奏でる音楽、扶桑社en-taxivol.40(2013年11月刊)小田雅久仁:人生,信号待ち、創元SF文庫年刊日本SF傑作選超弦領域(2009年6月刊)円城塔:ムーンシャイン、SFマガジン2006年2月号新城カズマ:月を買った御婦人

  • 恋愛(だけに限らず人のつながりも)主軸に置いたSF愛の塊とも言えるSFアンソロジー。
    怪奇編を随分前に読んだが、恋愛編も良い作品が多く大変楽しめた。
    読んでいて思ったのは私自身が歴史改変ものが好きだということ。知る歴史ベースにSFの世界になっていくことで想像がしやすく、私のようなSFはたまに読みますくらいの人にとっつきやすいのかもしれない。選出はマニアックなのだろうが、だからこそ新たな出会いがあるのがこういったアンソロジーの良いところだ。G線上のアリアが私には刺さっていた。
    本書の後書きでは怪奇編同様アンソロジーガイドもある。さらなる出会いを求めてそれらを読むのも良さそうだ。

  • 2020-09-03 「日本SFの臨界点[恋愛篇]」読了

    当たり前といえば当たり前なのだが、怪奇篇より美しいものがめだった。例えば「ムーンシャイン」何が書いてあるのか半分以上解らないけれど、美しい。

  • 恋愛編の方が面白い。埋もれた作家や傑作を発掘する編者の心意気に◎。

  • 日本SFの恋愛短編小説と言えば、私にとっては梶尾真治の「美亜へ贈る真珠」がNo.1である。恋愛だけじゃなく時間SFとしても完成されたものであり、今回のアンソロジーも当然それに近いものと期待していた。しかし、私の期待はものの見事に崩れ去った。恋愛でもなく、SFでもなかったものが半分以上。次の短編は素晴らしい作品であって欲しいの連続で、結局最後の作品に辿り着いてしまった。
    その様な作品群の中で唯一心に沁みた作品は、小田雅久仁の「人生、信号待ち」。読み終わった後に、胸が熱くジーンと鳴った。そう、この読書感がSF恋愛小説に求めていたものなのだ。プロフィールに宮城県出身と書かれてあった。同郷ということで嬉しい。
    一方、全く理解不能だった作品は、扇智史の「アトラクタの奏でる音楽」。所謂、百合SF作家、百合作品との事だが、百合に偏見は全く無いのだが、最初から全く頭に入ってこなかった。
    この本と同時に「怪奇篇」も発売されて既に入手しているが、もう少し時間をおいてから集中して読みたいと思う。

  • 現役SF作家である伴名練氏がアンソロジストとして腕を振るっただけあり、商業流通では入手が困難なマニアックで尖った作品を厳選した、読み応えのあるアンソロジーです。中堅どころから新しめの作家が中心。鴨もこれまで存じ上げなかった作家さんの作品もあり、「へー、こんな作家さんもいるのねー」と楽しく読むことができました。円城塔作品が、さすがの貫禄ですねー。

    ただですね、ひとつ気になる点もありまして。
    これ、「恋愛篇」と銘打っていますけど、その必要ありますか?無理やり「恋愛」にこじつけて収録した作品が多く、わざわざ「恋愛篇」としてまとめる意義が今一つよくわからず。わかりやすく売り出して初心者の心を掴もうという、マーケティングの関係なんですかねぇ・・・(SFに恋愛要素を求める読者層って、どれぐらいいるんだろう・・・)。それだったら、「叙情篇」で全然問題ないと思うんだけどなぁ。各作品の序文で、伴名氏が「何故この作品を恋愛ものと考えるか」頑張って説明しているシーンもちらほらあり、余計気になってしまいました。
    収録作品はそれなりに粒揃いですので、読んで損はありませんよー。

  • SFのおもしろさを知ってしまった。



  •  科学と論理の、先にあるもの。
     それを確かに捉えたとき、ひとはやっとそれらに追い付くのかもしれない。



     つくづく、ミステリとSFは似ているなぁと思う。
     よく考えてみると、ミステリを読み漁っていたらいつの間にかSFを手に取っていたり、その逆もまた何度もある。主に森博嗣と萩尾望都を軸足として。

     〇〇モノ、って括りがあったりとか、いくつかの定型のなかで多様なバリエーションを見せようとしたりだとか、そういう部分が同じ方向を向いてるのかなと思うんだけれど、やっぱり何より物語そのものよりも作家がきちんと論理に支配されている、というのが大きいんだろうなぁ。
     きちんと支配されている、ってなんだかマイナスイメージだけど。


     そうそう、ミステリ作家とSF作家に共通して、作家自身がそのジャンルの熱心な読者である印象。

     恋愛小説を読んだことのない人間が恋愛小説を書くことは出来ても、
     SF、ミステリを読んだことのない人間がそれらを書くことは出来ない。

     って、これ誰かの名言じゃなかった? 違う?(笑


     作家もそうだし、編集者もそうなんだろうなぁ。だからこそ伝説の編集者、みたいな存在も出てくるわけだ。


     あーさてさて!
     臨界点、と銘打たれているだけあって、もちろん好みはあるけれど粒揃いのアンソロジーでした。
     それぞれの短編に、詳細な著者紹介と他短編の紹介が付いてるのもほんとに、心尽くし。入門書としても良いし、玄人好みでもあります。中間くらいのわたしは勿論楽しんで読みました。
     『アトラクタ』とか好み。百合SFにベテランが居るとは…
     短編の成り立ち的には『ムーンシャイン』がカッコ良すぎる…いや内容も良いけど(笑 こういうエピソード付いてるとより深みに嵌りやすくて良いですよね。
     ちょっと敬遠してたけど円城塔読んでみます。


     科学と論理の、先にあるもの。
     それを確かに捉えたとき、ひとはやっとそれらに追い付くのかもしれない。
     その頃には科学はもっと先へ上へ、翼を拡げているのだろうけど。

     ぁあ、そうね。
     このひとたちは、科学に恋をしてるんだな。

  • 伴名練さんの作品はまだ読んでいないのだけど、若いのにこれほど充実したアンソロジーを編めるなんてすごい。書き手であり、マニアックな読み手であるらしい。著者紹介も熱がこもっていて、「ぜひ短編集を」という毎度の要望につい頷いてしまう。

    『G線上のアリア』(高野史緒)、『月を買った御婦人』(新城カズマ)が好きかな。どちらも歴史改変もの。私には目新しいジャンルで面白かった。
    「免罪電話サーヴィスがあれほどまでに威力を発揮したのは、それがまさに人間の声によるものだったからだわ。」

    中井紀夫の表題作も良かった。

  • ちょっと難しかったかな

  • 間違いのない一作。恋愛かぁなどと思って読まないのは大損です。

  • 伴野練編集のSF9作品収録の「日本SFの臨界点[恋愛編]」。
    各短編の前の著者紹介が濃いので、どれだけの熱量でこの本を認めたのかが知れるというものです。好きが高じて、の「高じて」を何度も何度も重ねないと届かないと思います。

    「死んだ恋人からの手紙」
    シンプルに希望と絶望が混交しているのがつらい。恋愛というテーマで集められた短編集なので、悲恋になるのでしょう。手紙を待つ女性が、あくび金魚姫という呼び方で提示されていますが、恋人の印象でそう呼ばれているので、どんな女性かの最終判断は読者にゆだねられている部分があるのが、余計に残酷さを増していると思います。手紙だけで構成されているので、受け取った感情は自分と金魚姫が同一になってしまうのがよろしくない。いや、いいんだけど感情としてはつらいです。すんなりとこの小説の世界に入り込めてしまった、と気づいた時には金魚姫と同一化してしまっていましたね。

    「アトラクタの奏でる音楽」
    初出は2013年ですが、2025年の現在でも近未来SFで一番実現性が高いのかな、と思える作品でした。理解不能なものを理解可能に紐解こうとする試みの中で予想外のムーブが巻き起こっていく、というのは何が起こるのかという高揚感とそこに待っているであろう不穏と不安、そして一連の出来事の終着点に落ち着いた時の安堵と脱力感。疾走感でないけど、読ませるスピード感が強かったです。
    友情か恋愛かと言われると、そのライン上を行ったりきたりしている雰囲気で、対人間でなく彼女たちが今現在、一番唆られているモノの関してが恋愛みたいなモノなのでしょうね。

    心に残った2作品。「劇画・セカイ系」「G戦上のアリア」も好きです。
    こういうアンソロジー作品や短編集には必ずといっていいほど名前が上がる円城塔作品。やはり馴染むことができない。
    読むたびに「また出会ったな円城塔、今度こそ馴染んでやるページをめくる手が止まらない、という感覚を味わってやるぜ」と意気込んで読むのですが、立ち止まってしまう。相性というものがあるんでしょうな。

  • なるほど「臨界点」ね。日本SFが積み上げてきた結晶のようなモノ?ここからどう変化していくのか楽しみではある。
    こんなレベルのSF作家がゴロゴロ国内にいるのだなあと思うと、物書きになろうだなんてちょっとでも考えたことのある自分が恥ずかしくなってしまう。

    どれも高いレベルの短編で、世界線も文章のタッチもテーマも多様だし、面白かった。「ムーンサンシャイン」は難解だったけど… 登場人物が日本人じゃなかったり舞台が日本じゃないのは、やはり敢えてだね。分かる。
    好みだけで一番を選ぶとすれば「奇跡の石」かな。ファンタジーっぽいのが好きなんだと思う。
    「アトラクタの奏でる音楽」もスピード感と読後感が良かった。
    次は、編者の方の作品を読んでみよう。

  • SFアンソロジー。十人十色の短編が楽しめるのは良いなぁ。SFというよりアンソロジーにハマりそう。内容に触れると、特に心に残ったのは「人生、信号待ち」。前半の文章が面白すぎる。アクを抜いた森見登美彦みたい。「ムーンシャイン」は面白味が難解で匙を投げた。

  • 2024/10/1購入

  • 恋愛編?
    人と人との繋がりには色々な種類がある。
    恋とか愛というのもその中のもの。この本にある物語には、それぞれの繋がりがあり、一括りに恋愛と束ねるのは難しいが、人間同士の関係がメインなので、広義の恋愛、人間讃歌と思っていいかな。

  • 『なめらかな世界と、その敵』の著者・判名練が、全力のSF愛を捧げて編んだ傑作アンソロジー。恋人の手紙を通して異星人の思考体系に迫った中井紀夫の表題作、高野史緒の改変歴史SF「G線上のアリア」、円城塔の初期の逸品「ムーンシャイン」など、現在手に入りにくい、短編集未収録作を中心とした恋愛・家族愛テーマの9本を厳選。それぞれの作品への解説と、これからのSFを読みたい読者への完全入門ガイドを併録。
    (2020年)
    — 目次 —
    中井紀夫『死んだ恋人からの手紙』
    藤田雅夫『奇跡の石』
    和田毅『生まれくる者、死にゆく者』
    大樹連司『劇画・セカイ系』
    高野史緒『G線上のアリア』
    扇智史『アトラクタの奏でる音楽』
    小田雅久仁『人生、信号待ち』
    円城塔『ムーンシャイン』
    新城カズマ『月を買った御婦人』
    編集後記/判名練(SF作家)

  • SFと恋愛をテーマにしたアンソロジー。一番初めの話が好きだった。

  • 9つの短編が収録されている。難解な作品は少なく、どれも楽しく読めた。「恋愛篇」とあるが、恋愛要素は少ない。

    『死んだ恋人からの手紙』は異空間の仕様で手紙の時系列がバラバラという設定が面白い。戦争に出ている恋人からの手紙によって、異空間からの司令が時系列がムチャクチャなのでよくわからない行動を起こしてしまっていたり、意思疎通が測れない異星人と不条理な戦争を起こしてしまったりと…。

    『人生、信号待ち』は高速道路の下で信号待ちをしている間に、家庭が築かれたり子供ができたりと語り手の気づかない間に時間がぱっと進む不思議な世界観。
    "彼はぎょっとして立ち尽くした。「ああ、そやったな…」"

    『アトラクタの奏でる音楽』は百合。

  • 個人短篇集未収録作を中心に編まれたSFアンソロジー。「恋愛篇」と銘打ってはいますが、ベタベタな恋愛物はなくてちょっと拍子抜け(「生まれくる者、死にゆく者」「人生、信号待ち」は家族愛や人生とは?みたいな話だし、「アトラクタの奏でる音楽」はほんのり百合要素のある青春物、といった感じ)。とはいえ読んで良かったです。

    良かったなと思ったのは藤田雅矢「奇跡の石」、和田毅「生まれくる者、死にゆく者」、小田雅久仁「人生、信号待ち」。抒情篇、ロマンチック篇が出ることがあればまたこんな感じの作品が読みたいです。扇智史「アトラクタの奏でる音楽」は近未来の京都が舞台のガールミーツガール物で特に好みでした(扇氏の作品を早川で出してくれませんかね……)。
    自分は歴史と数学がちんぷんかんぷんなので、高野史緒「G線上のアリア」、円城塔「ムーンシャイン」は理解が追いつかず楽しめなかったのは残念。

    SFアンソロジーは沢山ありますが、“○○篇”と大まかにジャンル分け&著者紹介と編集後記をブックガイドにしたことでSF初心者の人にも勧めやすい(手に取りやすい)し、あえて鉄板作品を外したことで普段SFを読んでいる人にも美味しい一冊になったのではないかと思います。
    編集後記で「人間男女の恋愛」「男性作家」に偏ってしまったと反省がありますが、今後編まれるだろうアンソロジーに期待したいです(「アステリズム〜」の続刊や伴名氏の頭の中にあるという恋愛SFアンソロジーはぜひ読みたいし、女性作家縛りや短編SFラノベ縛りのアンソロジーとか出たら読んでみたいです)。

    ● 「日本SFの臨界点」収録作初出一覧(Hayakawa Books & Magazines)
    https://www.hayakawabooks.com/n/nae342c45a5d3

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著者プロフィール

’88年生まれ。’10年「遠呪」で日本ホラー小説大賞短編賞を受賞し、受賞作を改題・改稿した『少女禁区』でデビュー。編書に「日本SFの臨界点」シリーズなど。最新作は『なめらかな世界と、その敵』。

「2022年 『ifの世界線  改変歴史SFアンソロジー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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