日本SFの臨界点[恋愛篇] 死んだ恋人からの手紙 (ハヤカワ文庫JA)

制作 : 伴名 練 
  • 早川書房
3.77
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本棚登録 : 600
感想 : 24
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150314408

作品紹介・あらすじ

2019年ベストSF第1位に輝いた伴名練が、書籍未収録作を中心に「今最も読みたいSF短篇」を精選した恋愛・家族愛アンソロジー。

感想・レビュー・書評

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  • 2020年7月ハヤカワJA文庫刊。伴名練さんが編んだ9篇の恋愛SFアンソロジー。伴名さん厳選だけあっていずれも初読みかつ面白いものばかりで、楽しめました。和田さんは、草上仁さんの変名とは驚き。姉妹篇の怪奇編も楽しみです。
    SFマガジン1989年6月号中井紀夫:死んだ恋人からの手紙、SFマガジン2000年2月号藤田雅矢:奇跡の石、SFマガジン1999年10月号和田毅:生まれくる者,死にゆく者、(同人誌)正常小説2011年8月大樹連司:劇画・セカイ系、SFマガジン1997年2月号高野史緒:G線上のアリア、河出文庫NOVA9(2013年1月刊)扇智史:アトラクタの奏でる音楽、扶桑社en-taxivol.40(2013年11月刊)小田雅久仁:人生,信号待ち、創元SF文庫年刊日本SF傑作選超弦領域(2009年6月刊)円城塔:ムーンシャイン、SFマガジン2006年2月号新城カズマ:月を買った御婦人

  • 2020-09-03 「日本SFの臨界点[恋愛篇]」読了

    当たり前といえば当たり前なのだが、怪奇篇より美しいものがめだった。例えば「ムーンシャイン」何が書いてあるのか半分以上解らないけれど、美しい。

  • 恋愛編の方が面白い。埋もれた作家や傑作を発掘する編者の心意気に◎。

  • 現役SF作家である伴名練氏がアンソロジストとして腕を振るっただけあり、商業流通では入手が困難なマニアックで尖った作品を厳選した、読み応えのあるアンソロジーです。中堅どころから新しめの作家が中心。鴨もこれまで存じ上げなかった作家さんの作品もあり、「へー、こんな作家さんもいるのねー」と楽しく読むことができました。円城塔作品が、さすがの貫禄ですねー。

    ただですね、ひとつ気になる点もありまして。
    これ、「恋愛篇」と銘打っていますけど、その必要ありますか?無理やり「恋愛」にこじつけて収録した作品が多く、わざわざ「恋愛篇」としてまとめる意義が今一つよくわからず。わかりやすく売り出して初心者の心を掴もうという、マーケティングの関係なんですかねぇ・・・(SFに恋愛要素を求める読者層って、どれぐらいいるんだろう・・・)。それだったら、「叙情篇」で全然問題ないと思うんだけどなぁ。各作品の序文で、伴名氏が「何故この作品を恋愛ものと考えるか」頑張って説明しているシーンもちらほらあり、余計気になってしまいました。
    収録作品はそれなりに粒揃いですので、読んで損はありませんよー。

  • 日本SFの恋愛短編小説と言えば、私にとっては梶尾真治の「美亜へ贈る真珠」がNo.1である。恋愛だけじゃなく時間SFとしても完成されたものであり、今回のアンソロジーも当然それに近いものと期待していた。しかし、私の期待はものの見事に崩れ去った。恋愛でもなく、SFでもなかったものが半分以上。次の短編は素晴らしい作品であって欲しいの連続で、結局最後の作品に辿り着いてしまった。
    その様な作品群の中で唯一心に沁みた作品は、小田雅久仁の「人生、信号待ち」。読み終わった後に、胸が熱くジーンと鳴った。そう、この読書感がSF恋愛小説に求めていたものなのだ。プロフィールに宮城県出身と書かれてあった。同郷ということで嬉しい。
    一方、全く理解不能だった作品は、扇智史の「アトラクタの奏でる音楽」。所謂、百合SF作家、百合作品との事だが、百合に偏見は全く無いのだが、最初から全く頭に入ってこなかった。
    この本と同時に「怪奇篇」も発売されて既に入手しているが、もう少し時間をおいてから集中して読みたいと思う。

  • SFのおもしろさを知ってしまった。



  •  科学と論理の、先にあるもの。
     それを確かに捉えたとき、ひとはやっとそれらに追い付くのかもしれない。



     つくづく、ミステリとSFは似ているなぁと思う。
     よく考えてみると、ミステリを読み漁っていたらいつの間にかSFを手に取っていたり、その逆もまた何度もある。主に森博嗣と萩尾望都を軸足として。

     〇〇モノ、って括りがあったりとか、いくつかの定型のなかで多様なバリエーションを見せようとしたりだとか、そういう部分が同じ方向を向いてるのかなと思うんだけれど、やっぱり何より物語そのものよりも作家がきちんと論理に支配されている、というのが大きいんだろうなぁ。
     きちんと支配されている、ってなんだかマイナスイメージだけど。


     そうそう、ミステリ作家とSF作家に共通して、作家自身がそのジャンルの熱心な読者である印象。

     恋愛小説を読んだことのない人間が恋愛小説を書くことは出来ても、
     SF、ミステリを読んだことのない人間がそれらを書くことは出来ない。

     って、これ誰かの名言じゃなかった? 違う?(笑


     作家もそうだし、編集者もそうなんだろうなぁ。だからこそ伝説の編集者、みたいな存在も出てくるわけだ。


     あーさてさて!
     臨界点、と銘打たれているだけあって、もちろん好みはあるけれど粒揃いのアンソロジーでした。
     それぞれの短編に、詳細な著者紹介と他短編の紹介が付いてるのもほんとに、心尽くし。入門書としても良いし、玄人好みでもあります。中間くらいのわたしは勿論楽しんで読みました。
     『アトラクタ』とか好み。百合SFにベテランが居るとは…
     短編の成り立ち的には『ムーンシャイン』がカッコ良すぎる…いや内容も良いけど(笑 こういうエピソード付いてるとより深みに嵌りやすくて良いですよね。
     ちょっと敬遠してたけど円城塔読んでみます。


     科学と論理の、先にあるもの。
     それを確かに捉えたとき、ひとはやっとそれらに追い付くのかもしれない。
     その頃には科学はもっと先へ上へ、翼を拡げているのだろうけど。

     ぁあ、そうね。
     このひとたちは、科学に恋をしてるんだな。

  • 伴名練さんの作品はまだ読んでいないのだけど、若いのにこれほど充実したアンソロジーを編めるなんてすごい。書き手であり、マニアックな読み手であるらしい。著者紹介も熱がこもっていて、「ぜひ短編集を」という毎度の要望につい頷いてしまう。

    『G線上のアリア』(高野史緒)、『月を買った御婦人』(新城カズマ)が好きかな。どちらも歴史改変もの。私には目新しいジャンルで面白かった。
    「免罪電話サーヴィスがあれほどまでに威力を発揮したのは、それがまさに人間の声によるものだったからだわ。」

    中井紀夫の表題作も良かった。

  • ちょっと難しかったかな

  • 『なめらかな世界と、その敵』の著者・判名練が、全力のSF愛を捧げて編んだ傑作アンソロジー。恋人の手紙を通して異星人の思考体系に迫った中井紀夫の表題作、高野史緒の改変歴史SF「G線上のアリア」、円城塔の初期の逸品「ムーンシャイン」など、現在手に入りにくい、短編集未収録作を中心とした恋愛・家族愛テーマの9本を厳選。それぞれの作品への解説と、これからのSFを読みたい読者への完全入門ガイドを併録。
    (2020年)
    — 目次 —
    中井紀夫『死んだ恋人からの手紙』
    藤田雅夫『奇跡の石』
    和田毅『生まれくる者、死にゆく者』
    大樹連司『劇画・セカイ系』
    高野史緒『G線上のアリア』
    扇智史『アトラクタの奏でる音楽』
    小田雅久仁『人生、信号待ち』
    円城塔『ムーンシャイン』
    新城カズマ『月を買った御婦人』
    編集後記/判名練(SF作家)

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