日本SFの臨界点[怪奇篇] ちまみれ家族 (ハヤカワ文庫JA)

  • 早川書房 (2020年7月16日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (432ページ) / ISBN・EAN: 9784150314415

作品紹介・あらすじ

肌の震えるような幻想・怪奇の魅力を余す所なくお届けする、伴名練が選ぶ珠玉の傑作選。凄まじい熱量で[恋愛篇]と2冊同時刊行!

感想・レビュー・書評

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  • 隠れた名作に光を当てる好企画。編者の取り組みに脱帽。

  • 2020年7月ハヤカワJA文庫刊。伴名練さんが編んだ11篇の怪奇SFアンソロジー。恋愛編も良かったが、こちらも良かった。よくぞ、こんなにも凄い作品ばかりを集めたものだとただただ感心しました。
    光文社文庫蒐集家異形コレクション中島らも:DECO-CHIN、小説CLUB1996年10月号山本弘:怪奇フラクタル男、廣済堂文庫ホシ計画(1999年1月刊)田中哲弥:大阪ヌル計画、ジャストシステムSFバカ本たいやき編(1997年11月刊)岡崎弘明:ぎゅうぎゅう、新潮社yomyom vol.40(2016年4月刊)中田永一:地球に磔にされた男、宇宙塵第46号(1961年7月刊)光波耀子:黄金珊瑚、講談社文庫血の12幻想(2002年4月刊)津原泰水:ちまみれ家族、奇想天外1980年9月号中原涼:笑う宇宙、KSS ENTERTAINMENT NOVELS宇宙(そら)への帰還―SFアンソロジー (1999年4月刊)森岡浩之:A Boy Meets A Girl、光文社異形コレクション進化論(2006年8月刊)谷口裕貴:貂の女伯爵,万年城を攻略す、ハルキ文庫人喰い病(2000年10月刊)石黒達昌:雪女

  • 2020-08-27 「日本SFの臨界点[怪奇篇] 」読了

    あ、恋愛篇のほうが先だったのか。って本編にはなんの影響もないけど。後書き読んで気がついた。

  • 伴名練編『日本SFの臨界点 怪奇篇』読了。今世紀のSFアンソロはそれなりに読んだつりもだけどこんなにも刺さるものはかつてなかった。本編の面白さもさることながら編者の著者紹介や編集後記を読むにつけてあれもこれも読みたいという欲求が膨れ上がっていく。とりあえず恋愛篇をすぐ読まねば

  • “怪奇篇”というほどにガチなSFホラーではなく、むしろ幻想、ファンタジー色の濃いSF作品が多いような印象。
    ・雑誌編集者が取材中に偶然目撃した異形のバンドとパフォーマンスに魂を奪われる「DECO-CHIN」は、中島らもの遺作にして文字通りの怪作。
    ・身体のフラクタル現象に襲われた男の運命「怪奇フラクタル男」(山本弘)、
    ・人口過密状態の大阪で人同士の衝突を避ける為用いられた妙案が、意外な計画に「大阪ヌル計画」(田中哲弥)、
    ・密集状態で座ることすらままならない世界「ぎゅうぎゅう」(岡崎弘明)、
    ・亡父の友人が遺した時間跳躍機構。作動させた行先は過去でも未来でもなく……。時間テーマSFと思わせて別テーマだった「地球に磔にされた男」(中田永一)、
    ・高校の理科実験室に出現した金色の珊瑚が徐々に人間を支配していく「黄金珊瑚」(光波燿子)はどストレートな侵略SF。
    ・やたら流血しまくる特異体質を持った家族の血まみれの特異な“日常”「ちまみれ家族」(津原泰水)、
    ・宇宙船内と思しき閉鎖環境で疑似家族が繰り広げるディスカッション。狂っているのは誰で何が真実なのか……「笑う宇宙」(中原涼)。
    ・生涯の伴侶を求め恒星間飛行する宇宙生命体の“少年”と、惑星に棲む“少女”の邂逅「A Boy Meets A Girl」(森岡浩之)はファンタジーのように見せて未来テーマ?の正調SF。
    ・知能を持った獣人が支配し、人間が奴隷の身分に堕した世界「貂の女伯爵、万年城を攻略す」、
    ・昭和初期、体質的低体温症の女性の治療に従事した医師の記録……という体で、民話や怪談の存在である“雪女”を医学的に解析を試みた文字通りのSF「雪女」(石黒達昌)など全11篇。
    さらに日本SF史をざっと通覧するような、編者による力の籠った「編集後記」も読み応え有り。

  • めちゃくちゃおもしろい。解説もあつい。

  • ホントSF好きなんだろうなぁ、判名さん。
    この解説の熱さはすごい!
    ある意味、本編より目立つ!
    その更に上をいくDECO-CHINのインパクトはエグい!

  • たぶんほぼ全て未読。
    印象に残ったのは
    『ぎゅうぎゅう』
    『黄金珊瑚』
    『A Boy Meets A Girl』
    『雪女』

  • 収録作もそうだが、伴名練氏による圧倒的な情報量と情熱のこもった各話解説がなにより読ませるという希有のアンソロジー。収録作ではまるでウルトラマンの一エピソードのような「黄金珊瑚」(潜入するふたりはアラシとイデ隊員だなあ)とか、本文より執筆動機や書かれなかった続編「VS火星人」のほうが笑える表題作なんかが印象的。

  • 良き。なかなか自分では出会えない作家の作品をさまざま出会わさてもらえた。やはりSFは短編が好きだ。

  • 伴名練が度を超えたSFオタクということもあって、日本SF史い埋もれた名作や作家を発掘してあげようという意図が強く、面白さよりも珍しさ (他で取り上げられてなさ) を優先しちゃってる感がちょっとあった。怪奇SFということで、ホラーを期待してたんだけど、ホラー作品はまったくなし。
    「地球に磔にされた男」はとても良い時間SFだった。奇妙さすらなく、美しい話だったが。

    中島らも「DECO-CHIN」★★☆☆☆
    - 身体の奇形化がサブカルチャーとして一般化している世の中、音楽ライターの主人こつが偶然であったバンドは奇形メンバーで構成されていた。そのメンバーに加わるために主人公も自身を奇形化手術を受ける。
    - なんやそれ、という終わり。

    山本弘「怪奇フラクタル男」 ★★★☆☆
    - おバカSF的なショートショート。フラクタル図形のように体から小さい自分がニョキニョキ生えてきたヤクザの親分。最後はメンジャースポンジのように穴が空 いて体が軽くなって宙に飛んでいってしまう。
    -

    田中哲弥「大阪ヌル計画」★★☆☆☆
    - 再びおバカSFショートショート。大阪人は道を譲らないから街中でぶつかりまくって喧嘩になり、殺し合いになっていた。そこでぶつかっても良いようにヌルヌルの素材の服を着ることに、という話。

    岡崎弘明「ぎゅうぎゅう」★★★★☆
    - これまたバカSF気味な作品。誰もが立って暮らすほど人が増えて、文字通り「ぎゅうぎゅう」な世界。寝る時だけ座る。ショーギダオシの恐怖。いつも隣りにいたマミが死んで西へ運ばれたが、数年後マミはまだ生きていると知ったミルは禁断のリョコーに出る。

    中田永一「地球に磔にされた男」★★★★★
    - 懐中時計のような形をした時間跳躍機構によるタイムトラベルもの。カチっとボタンを押すと10年前に飛ばされるが位置が修正できないため、宇宙空間に投げ出されてしまう。そのため、10年前に飛んだ直後に再び10年後、つまり現在に再び飛ぶように作られてる。しかし、そこは別の時間軸の現在、つまりパラレルワールドだ。そこには自分と違った道を歩んだ「自分」がいる。成功した自分、惨めな自分。初めは成功した自分を殺し、なりすましてやろうと企んでいたが、次第に様々な自分から学び、精神的に成長していき、最後は「地震で自分が亡くなっていた世界」で生き続けることを選び、家族の幸せを願う。怪奇さは全くなく、心あったまるエンディング。
    - タイムトラベル時の設定や考え方が自分の認識に一番近いため、しっくり来た。
    - p138 一瞬でも過去宇宙に存在した時点で歴史の改変が生じる

    光波耀子「黄金珊瑚」★★★☆☆
    - 1961年の作品。ある田舎町にある学校に実験室で生まれた珊瑚のようなものが意思を持ち、人間を操り、世界を支配しようとして、その範囲を広げているという展開。

    津原泰水「ちまみれ家族」★☆☆☆☆
    - なんやかんや出血だらけの謎の一家というジョーク短篇。SF味は薄く、物語の展開もあまりなく、最後まで読めず。

    中原涼「笑う宇宙」★★☆☆☆
    - 奇妙ではあるけど、奇怪さやスリルが物足りない。

    森岡浩之「A Boy Meets a Girl」★★☆☆☆
    - 星間生物(boy)と人類(girl)が出会う、意味不明な物語。

    谷口裕貴「貂の女伯爵、万年城を攻略す」★★☆☆☆
    - 人が貂の奴隷として使われている、という設定ということで、エグみの強いものを期待したがそうでもなく。色んな生き物が擬人化されていて、ただのファンタジー (下手したらディズニー)

    石黒達昌(たつあき)「雪女」★★★★★
    - 本アンソロジー唯一「怪奇小説」と言えるものじゃないかと。少なくとも自分の期待していた怪奇小説、つまり気味が悪くてホラーっぽさがある小説。
    - 体質的低体温症で記憶喪失の女ユキと、その診療に当たる柚木。ユキの記憶を取り戻そうと調べを進めるうちに、ユキの奇怪な生態と家族関係が見えてくる。

  • かなりディープなSF短編集
    それぞれの短編の切り口もさふことながら気合の入った編者のコメントも見所あり
    SF読み、も極めればもはや学問と感じた

  • 「恋愛篇」が今一つだったので、あまり気乗りはしなかったが、素晴らしい作品・作家に出会いたいとの一念で読み始めた。
    なかなか読書スピードが上がらなかったのは、やはり序盤の掴み、掴まれ方に関係していると思う。これが良ければ長編でも苦にならないが、悪いと何回も読み直しをしなければならない。
    本書で一番気に入ったのは、光波耀子の「黄金珊瑚」。だいぶ前の作品だが、アイディア・設定等に優れ、話の流れも良い。きっかけさえあれば一流のSF作家になっていたのではないか。
    自分に合うSF作家の発掘は今後のためにも必須であるので、定期的に素晴らしい作品・作家との出会いを求めて定期的にアンソロジーを読み進めたいと考える。

  • SFアンソロジー。怪奇篇、ということで、ホラーといってもいいものが多いですが。奇妙な物語、というくらいのニュアンスのものがほとんどかな。怖いというよりは案外ユーモラスなものが多いです。
    お気に入りは中田永一「地球に磔にされた男」。いったいどうなってしまうのかどきどきさせられる展開です。どのような結末になるのかは……読んでのお楽しみ。
    津原泰水「ちまみれ家族」はもうこのタイトルだけで気になって仕方のなかった作品です。うん、たしかに血まみれスプラッタ。だけど怖いというよりは完全にギャグなんですね。かなり大変そうですこの家族。

  • 自身もSF作家である伴名練氏が、溢れるSF愛を胸に編纂した2冊組みのアンソロジー。「恋愛篇」に続いて、こちらも読了いたしました。

    SFとホラーは、本質的に親和性が高いと鴨は思っています。なぜなら、どちらも「読者の想像力に全幅の信頼を寄せ、その想像力を喚起することに全力を投球する」ジャンルであるから。昔からSFホラーの名作と言われる作品は数知れず、多くの作品を生み出しているクロスオーバーなジャンルです。

    作品の母数の多さを生かして、面白い作品がわんさと収録されているんだろうなぁ・・・と思いつつ読み進めたんですが、うーん、「恋愛篇」よりも玉石混交感は強いかな・・・。こればっかりは好みの問題ですので、単に鴨の好みに合わなかったというそれだけの話ではあるのですが、正直いって「つまらない」と評価せざるを得ない作品がいくつかあって、残念ながら印象はイマイチ。「恋愛篇」と同様、無理に「怪奇篇」という名の下に編纂する必要あり?と思ってしまう編集方針も、ちょっとモヤモヤします。

    もちろん、面白く読めた作品もありますし、まぁベクトルが合わなかった、ということなんでしょうねー。アンソロジーは主観的な好みがどうしても大きく反映してしまうので、満遍なく楽しむのはなかなか難しいですね。

  • 伴野練編集のSF11作品収録の「日本SFの臨界点[怪奇編]」。

    「怪奇フラクタル男」
    短編でテンポよく進むのが、作中のフラクタル構造が進行している様とシンクロしているようで楽しい。人面瘡が発現し続けるという気色悪い症状なのですが、なんというかコミカルな感じを覚えます。映像化されたら怖くてダメでしょうけどね。オチのメンジャー・スポンジも同じく映像で捉えていなかったので、気色悪さは控えめでした。メンジャー・スポンジとは?と検査して読んだので、無意識のうちに気色悪さを抑えるために、文章の映像化を避けたのかもしれない。
    『世にも奇妙な物語』にピッタシの作品だと思いましたね。

    「ぎゅうぎゅう」
    [恋愛編]に収録されていてもいいのかなぁ、という途中の感想は最後にひっくり返される。そういうことか。無知であることの幸福、ということか。
    いずれ訪れるであろう結末だったとしても、その瞬間まで愛する人と共に過ごすことができるのは、紛れもなく幸福なのでしょう。主人公が捨ててきたところにも幸福はあったと思うけど、望んだものではなかっただろうし。
    物理的な距離感の密度のぎゅうぎゅうと、世界を封じ込めている圧迫感のぎゅうぎゅうか。

    「地球に磔にされた男」
    中田永一が乙一の別名義だということを知る。というか幾つもの名義をジャンルによって使い分けるのは、自分が情弱であることはひとまず置いておいて、勘弁してもらいたい。直樹三十五だって、三十五で観念したのではなかったっけ?
    乙一という作家自体は、ファンです。「夏と花火と私の死体」から。掲載されたjump novelは『るろうに剣心』のノベライズが目的で購入したのですが、小川一水や村山由佳、『銃夢』に『ジハード』と多くの出会いがあった1冊でした。
    人の悪意を描きながらも、最後は善意を見捨てないという作風だと思っていて、それが現れている短編だと思います。自分が読んできたのは乙一名義のものばかりなので、他の作品を読むと違う印象が生まれるのかもしれない。そのために、名義を変えているのかもしれない。
    新しい世界への扉が、また見つかってしまいました。

    「黄金珊瑚」
    [怪奇編]で一番を挙げるのであれば、これです。
    正気と狂気を行き来している様、それを自覚していながらも抗えない恐怖と魅力。彼の存在から逃げおおせたかと思いきや、絶望を伴って再臨する確信。
    ケミカルガーデンの異様な存在感。ビーカーの中に美しさと怪異が同居する現象。あれをまざまざと想像しながら読んでしまいました。検査したのが悪い。
    恐怖と魅力に捕らわれ、振り回されたのは自分もでした。
    日本SF史の黎明期、古典と言われるような時代の作品ですが、面白さは色褪せない。
    読書の楽しみの一つで、沼にハマる要素の一つ。どのジャンルにも言えることですが、古典も現行も新規、どの作品も面白いものはたくさんあるので、時間がいくらあっても足りません。でも、圧縮学習みたいなのはつまらないと思うんだよね。
    1日の時間が3倍になればいいのに。

    「ちまみれ家族」
    タイトルにもなっている作品ですが、なにこれ?
    とりあえず、ひたすら血飛沫。『めだかBOX』の致死武器って、ここから着想得てたりするのかしら。
    なんというか、迫力押しな気がする。嫌いじゃないけど、一度で充分。

    [恋愛編]よりも印象に残った作品が多いのは、自分の趣味嗜好がこちらを向いているからです。
    編集後記で紹介されている作品群も読みたいものばかり。積読になっているものありますし。気長に読みたいと思って、見かけたら買うのだけど、そちらの方が読むペースより早くて、追いつかない。気兼ねなく趣味にお金を使えるのはいいのですが、積読の攻略を持続させないと。敵の回復力は想像以上なので。
    楽しみは尽きず、まだまだ知らない世界は溢れています。さてさて、何から読もうか。

  • SFアンソロジー。タイトルまんまな「DECO-CHIN」やヌルヌルで宇宙を目指す「大阪ヌル計画」など、[恋愛篇]と比べてふざけた話が多い。気に入ったのは「ぎゅうぎゅう」。人口過多により直立状態で生活するようになった世界という奇想と、示唆のあるラストが印象的。

  • 大阪ヌル計画
    ぎゅうぎゅう
    黄金珊瑚
    雪女

  • 2024/10/1購入

  • 雪女の様な、歴史ミステリー風味な作品が好み。
    この本は、色々な風味の作品が掲載されているので、自分の好みを選ぶのも楽しい。

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著者プロフィール

’88年生まれ。’10年「遠呪」で日本ホラー小説大賞短編賞を受賞し、受賞作を改題・改稿した『少女禁区』でデビュー。編書に「日本SFの臨界点」シリーズなど。最新作は『なめらかな世界と、その敵』。

「2022年 『ifの世界線  改変歴史SFアンソロジー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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