- 早川書房 (2020年8月20日発売)
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感想 : 92件
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Amazon.co.jp ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784150314439
作品紹介・あらすじ
アメリカ大陸で未曾有の災害が発生。取り残されたのは、仏教を信じ続けるインディアンだった。星雲賞受賞作を含む著者初の短篇集
みんなの感想まとめ
独特な世界観を持つこの短編集は、SFと民俗学を融合させた新しいアプローチが魅力です。冒頭の「雲南省スー族におけるVR技術の使用例」から始まり、VRの中で生涯を過ごす少数民族の物語が描かれ、現実と仮想の...
感想・レビュー・書評
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全6篇SF短編集
SFが読みたい2021版2位
大変ふざけた筆名だが中身は正統派作家
冒頭の
「雲南省スー族におけるVR技術の使用例」
と最後の表題
「アメリカン・ブッダ」
が鏡合わせのような構造になっているのがいい
生まれた時から現実を見ることなく
VRヘッドセットをつけ生涯を終える少数民族
とても短いが認識という今こそ見直さなきゃいけないテーマがある
なんだその設定はとも思うが2016年初出のこの話はやがて現実に新型コロナウイルスにより場合によっては世界の何処かで有り得たかもしれない物語と読めてしまう
これだけ真面目な作品なのに筆名がもったいないなと思ったが、作者の画像見たら本当に柴田勝家だった すいませんでした
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〉その時、仏陀は目覚めた者になった。
良かった。民俗学×SFというアプローチ。
以前読んだ「ニルヤの島」は自分の読書パワーが足りなかったので難しかったけど、こちらは短編集ということもあって楽しめました。
「雲南省スー族におけるVR技術の使用例」は星雲賞受賞時の短編電子書籍で読んでいましたが、これが一番好きかな。生まれてから死ぬまでVRゴーグルを付ける民族の話。まさに民俗学研究そのものである「聞き書き」の体で進みます。
「ILC/TOHOKU」にも載ってた「鏡石異譚」は「あなたの人生の物語」っぽくてこれもすごく好みです。粒子加速器をテーマに民俗学を絡めるのすごい。
「アメリカン・ブッダ」のラストシーンも鮮やかで素敵。このラストのために仮想空間で数十億年も「火の鳥」のマサトみたいなことさせるとは。
解説で池澤春菜さんが著者の為人を紹介していてそこも面白かったです。面白い人物のようです。紹介されてたインタビューも読みました。
他作も読みたくなってるけど、難しくて読書パワーが溜まってるときでないと大変なので、時機を見て…。 -
「アメリカン・ブッダ」というタイトル。そして、このあらすじ。
> 未曾有の災害と暴動により大混乱に陥り、国民の多くが現実世界を見放したアメリカ大陸で、仏教を信じ続けたインディアンの青年が救済を語る書下ろし表題作
こんなの買うしかない。
というわけで、好奇心で買ったは良いものの、期待をはるかに上回る面白さだった。
6つの短編〜中編が収録されているのだけど、すべてが面白い。星4の面白さと星5の面白さが混在している。クオリティの水準が高い。
無機質でライトなテイスト、ダークな雰囲気づくり、大風呂敷を広げるストーリー。作風の幅が広い。
SFファンはもちろんのこと、SFに明るくない読者にもオススメできる1冊。
国内のSF作家にあまり詳しくないのだけど、こんな作家がいたのかと。文化人類学的なバックグラウンドを持つ筆者。それは作風にもよく表れている。それでいて、SF的なギミックが効いているし、ストーリーテリングの力量も申し分ない。
ともすると、日本のル・グインのようなポジションに上り詰めていくんじゃないだろうか…と期待してしまう。
(書評ブログもよろしくお願いします)
https://www.everyday-book-reviews.com/entry/%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB%E3%83%B3%E3%83%96%E3%83%83%E3%83%80_%E6%9F%B4%E7%94%B0%E5%8B%9D%E5%AE%B6 -
本書を通勤電車で読み始め、何度も乗り過ごしそうになった。面白い本かどうかの基準のひとつは、どれだけその世界に入り込めるかにあると思う。
ペンネームからして「柴田勝家」などという、何とも人を食ったものだが、書く内容はそれに輪をかけて愉快だ。例えは悪いけど、とても壮大なホラ話を聞かされた気分になる。あまりない読書体験だった。
本短編集は正にSFの最先端。柴田さんが大学で学んだ民俗学をSFと融合させて出来上がったのがこのスタイル。他に類を見ない独特な世界観になっている。冒頭話「雲南省スー族におけるVR技術の使用例」はその世界観が存分に発揮された衝撃的な作品。生まれてからずっとゴーグルをつけVRの世界で生きる少数民族の話を文化人類学風にまとめたものだ。表題作の「アメリカン・ブッダ」も面白い。大災害に見舞われた本国を捨てVRの世界に移り住んだアメリカ人に、現実世界から仏教徒であるインディアンの若者が語りかける。物語は永劫回帰のような天地創造にまで発展し、最後の一文にニヤリとさせられる。
よくもまあ、こんな話を思いつくものだと思うが、ただのアイデア勝負ではなく、その裏には膨大な取材の蓄積がありそう。とても楽しい読書だった。 -
「雲南省スー族におけるVR技術の使用例」「鏡石異譚」「邪義の壁」「一八九七年:龍動幕の内」「検疫官」「アメリカン・ブッダ」の6篇収録。
「雲南省スー族におけるVR技術の使用例」は、生まれた直後にヘッドセットを着けて一生をVR空間で過ごす風変わりな民族の話。
「鏡石異譚」は、未来の自分と遭遇するという、ある少女の身に起こった不思議現象。
「邪義の壁」は、ある旧家の一室の大きな白壁 "ウワヌリ" に長年隠されてきた秘密。
「一八九七年:龍動幕の内」は、孫逸仙(孫文)と南方熊楠がロンドンはハイドパークに夜毎現れる天使の正体を暴く科学ミステリー。
「検疫官」は、創作物(物語)の流入を水際で防ごうとする検疫官の苦心。
「アメリカン・ブッダ」は、疫病と天災の大混乱を避けて "Mアメリカ"(コンピューター上の仮想空間)に暮らす人々に、リアル世界から届いた宗教的メッセージ。
今風の斬新なアイデアが盛り込まれた秀作が多かった。「鏡石異譚」では、「もしも、負の質量を持った存在が原子と同じ数だけあるとしたら、それは僕らが認識している宇宙の中に、反転した過去の姿があるという可能性が考えられる」、「僕らの世界が一秒進むごとに、その空間では一秒過去に戻っている。僕らが宇宙の終焉に向かうように、そちらは宇宙の始まりに向かっているんだ。」など、素粒子物理学っぽい説明があったりしてちょっとゾクゾクした。
解説者は、表題作「アメリカン・ブッダ」が一番好き、と書いているが、自分としては「アメリカン・ブッダ」は6作品の中では低評価としたい。展開が遅いのと、後半部で宇宙進化のシミュレーションとリアルワールドがぐちゃぐちゃになってしまっているところがどうも。 -
「伊藤計劃トリビュート』でその名を目にして依頼気になってた作家さん。
民俗学×SFの短編集、どれもおもしろー。
特に最初の「雲南省スー族におけるVR技術の使用例」とタイトル作の「アメリカン・ブッダ」が好き。前者は論文の形を採りながらリアルに架空の民族の風俗を描く切り口が新しく感じた。絶対にいないはずなのに、ちょっと本当にいそうな気がする。近未来にはもしかしたら。
後者は仏教とメタバースとインディアン(ネイティブ・アメリカン)を組み合わせるというウルトラC級の盛り盛り大スペクタクル。拡げた風呂敷が最後綺麗に畳まれていく展開に感動した。
「鏡石異譚」はファンタジーみのあるタイムトラベルSF。
「邪義の壁」はこの中では異色なホラー作品。オチをはっきりと書かずに読者に想像させるのがかえってゾッとさせる。
「検疫官」少し「華氏451度」や「1984年」を彷彿とさせる正統派?ディストピア小説。この本全体的にテッド・チャンみを感じたけど、この作品が一番それを感じた。
良かった。他の作品も読んでみたい。 -
幼い頃から危険が起きるタイミングで不思議な女性が現れる「鏡石異譚」や、家の壁に祈りを捧げるという不思議な信仰から、壁の謎を追っていく「邪義の壁」のような話もあれば。
そういった、時間や空間、信仰心みたいなものを、ある種の箱に入れてしまう「雲南省スー族におけるVR技術の使用例」、また物語を国内に持ち込ませない「検疫官」といった作品まで揃っていて面白かった。
人間が仏様になるのか、人間が仏様を造るのか。
そこにヴァーチャル・リアリティが巧妙に組み込まれるという構図は、SFが追及してきた一つのテーマなのだろうけど。
なんだろう。
技術の進歩が激しいからか、人間の繋がりが希薄化しているからか。こうした構図が「ありえる」ように思うことが増えてきた。
人間の空想の箱庭に、人間が生きていく。
社会ってそういうことなんだろうけど、釈然としないのは、どうしてだろう。 -
民俗学とSFの融合、概念を覆しに来る感じ、ケン・リュウとかテッド・チャンを思い浮かべた。劣らず話もまあまあややこしいのが多く、イメージし切れないことも多々。個人的には、鏡石異譚の考え方なんか凄いなと思った。ついていけんのだけど。スー族とかアメリカン・ブッダも、同様に凄いと思いつつも若干引く程の世界観。あと、やっぱりSF自体が苦手かなって思い知った。
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早川書房のSFは面白い!
帯のとおり柴田勝家は面白い!
初めて読みましたがファンになりました。
雲南省スー族におけるVR技術の使用例:中国の奥地に住むスー族は生まれた時から死ぬまでVRのヘッドセットを着けて暮らすそうです。
鏡石異譚:遠野物語とリニアコライダーをミックスした話!?
邪義の壁:文化財になるぐらい古い家の壁の話?壁の中には・・・
一八九七年:龍動幕の内:弁当の話かと思いきや南方熊楠と孫文が登場し舞台はイギリス!
別冊長編の前日譚らしいです!
検疫官:空港で働く検疫官の話 但し食い止めるの感染症ではなく物語!?
アメリカンブッタ:アメリカが未曾有の大災害に見舞われ国民はMアメリカに避難!?数千年後、先住民のインディアンで仏教徒の青年が救済の手を差し伸べる・・・
個人的な白眉は鏡石異譚で次点は邪義の壁と言ったところでしょうか! -
SF、ホラー、民俗学、どれか一つでも好きなら読んで損はないだろう本でした!
表題作のアメリカン・ブッダはなんせ広がりが大きいお話。生きていると、うまく行きすぎているもしくはあまりにもうまく行かない、と感じる時がありますね。あれはやっぱり誰かの手でもたらされていると思ってしまうのって、作家さんも感じてるんだなぁと。笑
いゃーおもしろかったー!壁の話よかったなー! -
結構深い話。
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短編集。ガチガチのSFもあれば、オカルトチックなものもある。なにより発想が素晴らしい。1話目の生涯VRヘッドセットをつけて仮想空間に生きる少数民族とか。「ヒト夜の永い夢」の主人公、熊楠先生に再会できるのもうれしいです。
表題作は、インディアン、仏教、加速された仮想世界などなどをミックスした作品。ちょっと思いつかない組み合わせです。 -
いやいや、これは面白い。
「文系SF」と言って差し支えのない作風だと思います。「文系SF」と言ってもその肩幅はとても広く、SFの手法を用いて社会の変容をシミュレーションする「社会科学SF」は巨匠・小松左京をはじめとする先達の傑作が多数ありますが、ここまで直球ストレートな「人文科学SF」ばかりを集めた作品集はこれまでなかったのでは。新鮮な驚きをもって読了することができました。
収録されているどの作品も、どこから出るんだこのアイディア、と驚くべき方向から奇想の本流が押し寄せてくる感じ。
特に心に残ったのは、書き下ろしの表題作。
生きるとは、それだけでどうしようもなく苦しいこと。でも、だからこそ、生きることには価値がある。
こうして文章にするとどこぞのチープな自己啓発本にでも出てきそうな、当たり前といえば当たり前なことを、SFとして表現するとこんなに深く温かみのある世界が広がるのだな・・・と、目からウロコが何枚もバラバラと落ちてきそうな衝撃を受けました。現実世界と仮想世界との対比を通して描く手法も、ラストのオチも、鮮やかの一言。
鴨は、SFとは「変容を描く」文学ジャンルだと思っています。柴田勝家氏の作品は「魂の変容」を描くSFだな、と、鴨は理解しました。
そんな素晴らしい作品なのに、巻末のHI氏の解説がなぁ・・・(^_^; 内輪受けのオンパレードで、まぁ品のないことといったら。それでちょっと読後感が悪くなりましたが、作品だけを純粋に評価するなら☆5つです! -
全部面白い!!!!
まず名前が面白い。柴田勝家。
一話目の雲南省スー族におけるVRの使用例が好きだった。哲学的な問いと近未来的非現実的な世界がなぜか身近に感じられた。
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SFマガジン2016年12月号:雲南省スー族におけるVR技術の使用例、2017年2月早川書房刊ILC/TOHOKU:鏡石異譚、2017年11月アトリエサード/書苑新社刊ナイトランド·クォータリーvol. 11憑霊の館:邪義の壁、2019年5月Hayakawa Books & Magazines (B) ウェブ:一八九七年:龍動幕の内、SFマガジン2018年10月号:検疫官、書き下ろし:アメリカン・ブッダ、の6つの短編を2020年8月ハヤカワJA文庫から刊行。柴田さん初短編集。どれも、センス・オブ・ワンダーに満ちたストーリーで楽しめました。ILCが登場する、鏡石異譚が特に面白かったです。2020年の第41回SF大賞の行方も楽しみです。
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SF×民俗学というちょっと変わった短編集。
収録されている6作品とも、民俗学の持つ不思議(あるいは不気味)な雰囲気にSFの要素が巧みに混ざり合っていて飽きることなくサクサク読める。
今後の作品も楽しみ。 -
すっかりはまってしまった柴田勝家。短編集は「アメリカン・ブッダ」。
すべての村人がVRの中で生きている世界を描く「雲南省スー族におけるVR技術の使用例」、ブラッドペリの名作(華氏451度)にインスパイアされたであろう、物語というものがすべて禁止された世界を描いた「検疫官」など尖った設定の数々で楽しませてくれた。
中でも表題作「アメリカン・ブッダ」。アメリカを襲った大厄災に際し、肉体をコールドスリープし、脳から意識だけが取り出されバーチャルの世界で生き続ける人々に対し、ある日突然大災害後の世界に取り残された仏教徒のインディアンがコンタクトを取り、仏教の教えを述べる。バーチャルでほぼ不死の何不自由ない生活と、現実世界から語りかけられる仏教の教えの中で浮かび上がってくる「果たして生きるとは何か」という問い。
この人はわかりやすく哲学的な問いを投げかけてくるのが好きで、そして我々SF者の多くはそういう問いを好物としているのだけれども、この人はその問いのあぶり出し方が大変に極端(村人全員がVRゴーグルをかけていたりするのもそう)でダイナミックでわかりやすくて良い。
この本が好きな人におすすめの本
著者プロフィール
柴田勝家の作品
