黒猫と歩む白日のラビリンス (ハヤカワ文庫JA)

著者 :
  • 早川書房
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本棚登録 : 356
感想 : 32
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150314491

作品紹介・あらすじ

大学図書館に"降る"本は天才詩人の呪いか――現実と現代芸術が交差する五つの謎に、新たな日々を歩み始めた黒猫と付き人が迫る

感想・レビュー・書評

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  •  発売日当日に買い、ちょっとずつ読み進めてようやく。一言でいうなら「黒猫シリーズはいいぞ~」。
     今回もポーの作品が絡んでいるのは嬉しい。しかも「黒猫」は遊歩でも扱ってましたね……。そして今回は割と最近の話題やニュースを取り扱ったものが下敷きになっているので、黒猫シリーズの中では取っ付きやすい1冊。

    「本が降る」
     奇しくも読んでいるときにTOKIOの元メンバーが捕まるという……。太宰治も同じようなことを書いていたし、どうしても太宰が好きっていうとなんか暗い?自殺しそう?みたいに感じられる(最近はそんなことなくなってきてるけど)と思ってたから、黒猫の言葉は救われた気になった。
     誰かの代わりに……は後述の贋作の話にもつながりそう。

    「鋏と皮膚」
     冷花さん回は黒猫の私生活が分かるのでありがたき(?)。<皮膚>は<被服>の語感の類似を考えたり。まさかね。

    「群衆と猥褻」
     黒猫がいろんな意味で一番ひやひやした回では?食わず嫌いではないけれど、猥褻という概念の見方が変わってくる。
     そして戸影クン頑張って!

    「シュラカを探せ」
     え、まさかと思ったら……。私も理解できる日が来るのだろうか。
     灰島が息吸うようにドーナツ食べるのは一体……。そして補講読むと黒猫やっぱり拗ねてるよね。ナデナデまでなんかいいよな~~と思ふ。

    「偽と贋」
     模倣の話(遊歩)ともまたつながりそう。そして最後~~!!黒猫はずっと恋ですからねえ。付き人ちゃんはそうでもないみたいだけど(安定)。

     「実業家」「鋸山奇譚」「悪魔に首を賭けるな」は未読なので読みたいと思う。

  • 不穏な展開だった第2部スタートの前作が、視野が狭くなる孤独な「夜」だっただけに、並んで歩く「昼」の今作はたとえ迷宮であってもやはりどこかに光を見出せる感じだった。また、黒猫と付き人の関係の変化に伴い、作品内に漂う空気も少し柔らかくなってきたようで、読者としてはその雰囲気を彼らと一緒に味わえるのが嬉しい。

  • 今回は実際の事件をベースにしたものが多くて、ちょっとムズムズした。
    美学的解釈が半分くらいしか理解できないのと、不確定なことを確定的に話すのが気になるのはいつものこと。
    それでも謎の答えが知りたくて、つい読んでしまうこのシリーズの魅力は不思議だ。

    「群衆と猥褻」がわざわざそこまでするか?という真相だったのだけど、それよりも泊まりに来た後輩が味噌汁すすって沢庵をかじった後にクッキーを頬張ってた方が気になった(笑)

  • 森先生の作品で図書館を扱った話を読みたいと思っていたので、今回、黒猫シリーズで実現して、こういう風になるのか〜と感嘆。今回は短編ですが、私達の日常で目にする事件がモチーフになっていて、美学の視点がよりわかりやすかった。もちろん二人のベタ甘もありとても嬉しい

  • 新章2作目。
    前作ほど難解ではないものの、やはりポーの作品に沿って描かれるミステリーは理解が難しい。
    ポーの小説の難しさと、美術の専門知識、黒猫独特の言い回しなど、本当に難しい。
    ポーの小説に合わせながらも、最近美術系ミステリーでよく取り入れられているバンクシーや、昨年問題になったあいちトリエンナーレなどを思わせる時事ネタを取り入れているのは、さすが。
    今作のラストは黒猫と付き人の明るい未来を思わせる終わり方で、読み終わった後、ほっこり。

  • 黒猫と付き人の美学の物語。
    今回は「ポー」の短編に擬えた考察。短編。
    それにしても、二人の関係が一歩ずつ近寄って来ていることが微笑ましい。
    相変わらず、クセの強い人間は登場するし、心穏やかに対処出来ないことも。
    だけど、黒猫が付いていれば大丈夫。なるほど、解決!

  • 短編集
    相変わらず楽しませてくれる作品
    灰島教授が出てくる作品も含まれているとは…
    黒猫シリーズを読むと読書をする際に背筋が伸びる気がします(笑)

  • 過去の叶わなかった恋が今にもつながっている。
    そのどこかで繋がりあっている約束が今も根底に流れているような気配がある。
    その中で付き合いだした黒猫と付き人が言葉も交わさない約束をしていることは輝いて見える。

  • 本の雨の夢からの自殺未遂、服を「皮膚」と表現した叙述トリック的な黒猫の姉の話、あいちトリエンナーレ、覆面アーティスト探し、偽物だっていいじゃない、の短編集。関連するポー作品は鋸山奇譚、黒猫、群衆の人、悪魔に首を賭けるな、実業家。

  • 現代芸術をテーマに話が進む。
    芸術と言っても、絵画だけでなく、詩や服飾、パフォーマンス…。アートと芸術の違い。
    深く考えたことなかった分野だったからそういう考え方があるんだと新鮮な気持ちで読んでた。贋作とオリジナルなんてわたしには見比べることはできない。きっと贋作でもら感動しそう。何が真実なのかなんてわからない。

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著者プロフィール

1979年、静岡県浜松市生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。日本大学大学院芸術学研究科博士前期課程修了。ライターとして漫画脚本などを手掛けながら小説の執筆活動を続け、『黒猫の遊歩あるいは美学講義』で第1回アガサ・クリスティー賞を受賞(早川書房刊)。同作は続刊も刊行され、「黒猫シリーズ」として人気を博している。ほか、『名無しの蝶は、まだ酔わない』(角川書店)の「花酔いロジックシリーズ」、『ホテル・モーリス』(講談社)、『偽恋愛小説家』(朝日新聞出版)、『かぜまち美術館の謎便り』(新潮社)などがある。

「2021年 『使徒の聖域』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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