機龍警察 暗黒市場 下 (ハヤカワ文庫JA)

  • 早川書房 (2020年12月3日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (336ページ) / ISBN・EAN: 9784150314606

みんなの感想まとめ

感動的な人間ドラマが展開される本作では、主人公ユーリの生き様が深く描かれています。彼の葛藤や成長を通じて、胸が熱くなる瞬間が数多くあり、読者の心を掴んで離しません。特に、シリーズの前作からの流れを理解...

感想・レビュー・書評

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  • 第3章「悪徳の市」を収録した下巻。

    ユーリは過去から解放されるのだが、事はそう簡単にはいかない。
    ユーリの前に焦躁、絶望、屈辱、死への恐怖、ゾロトフとの決着と言った苦難が大きな壁の如く建ちはだかる。

    次はどうなる?次はどうなるんだ!と先に読んだ二冊同様ページを捲る指が止まらない。
    なので本書は2日で読み終えた。
    それだけ本書に引き込まれた。

    その理由として この下巻は一作目以上に泣き所が多かった。という事が大きい。
    ・被疑者を連れて逃げるユーリを追手から救った意外な人物との再会とその口から語られる裏切りの真相。
    そして別れ。

    ・ゾロトフとの決着をつけるべく爪は剥がれ焼けただれた両手、満身創痍の身で愛機バーゲストに搭乗するシーン。

    ・ゾロトフの乗る新型機甲兵装「キキモラ」との死闘。
    その時、ユーリが思い浮かべる「痩せ犬の七ヶ条」。

    ・意外な人物に向かって由紀谷、夏川ら特捜部員、組対部員、宮城県警職員達が敬礼を捧げるシーン。

    それらのシーンはボロボロ泣きながら読んでいた。

    特にユーリが「痩せ犬の七ヶ条」を思い浮かべるところは彼の人生を変える事となった囮捜査の現場で見た折鶴が効果的に使われており、その折鶴が(ユーリの心の中の)「まだ明ける気配もない無明の空の彼方へ」飛んでいくところは まるでユーリの過去からの解放を表しているようで個人的には本書最大の名場面と言っていい。
    自分はこのシーンで号泣していた。(「」の部分は本書からの引用)
    もうこれだけで本書「暗黒市場」下巻は自分にとって「特別な作品」となったと言える。

    なので、今回はカテゴリーを「男泣き」とするところを本書に限り「オールタイムベスト」とした。

    では、ラストに「痩せ犬の七ヶ条」を書いてこのレビューを〆たい。

    一つ、目と耳と鼻を決して塞ぐな。
    一つ、尻尾は決して巻くな。
    一つ、相手の目を惹かず、相手から目を逸らすな。
    一つ、凍ったヴォルガ川よりも冷静になれ。
    一つ、自分自身を信じろ。
    一つ、見方を変えて違う角度から見ろ。
    一つ、まっすぐに生きろ。

    • 松子さん
      ほんとですか!
      良かったぁ、似てるなぁ…でも私の勘違いかなぁと思い、思わずだーさんにコメントしてしまいました!

      機龍警察、なんだか懐かしい...
      ほんとですか!
      良かったぁ、似てるなぁ…でも私の勘違いかなぁと思い、思わずだーさんにコメントしてしまいました!

      機龍警察、なんだか懐かしいエッセンスが色々と隠されていて面白さが増し増しです♪

      違う角度から…、うーん、今回は
      だーさんの本棚を見ていて思い出したので
      見方を変えてだーさんの本棚から見た!という感じでしょうか?(〃ω〃)
      はぁ、話を聞いてもらえて嬉しかったですっ

      ふふ、山盛りのいいねもありがとございます!
      2022/07/25
    • darkbonkuraさん
      自分の本棚からだなんて嬉しいやら恥ずかしいやら。

      それはさておき、松子さんの登録してある本や探偵物語とか西部警察から察するに松子さんは...
      自分の本棚からだなんて嬉しいやら恥ずかしいやら。

      それはさておき、松子さんの登録してある本や探偵物語とか西部警察から察するに松子さんはハードボイルド好きとか?

      もしそうなら、映像だけど渡哲也主演の「ゴキブリ刑事(デカ)」「ザ・ゴキブリ」、「大都会PARTⅡ」(松田優作も出ています)、海外ドラマ「マイアミバイス」をお薦めします。(レンタル出てます)
      機会があれば観てください。

      でもその前に「未亡旅団」と「狼眼殺手」を!!
      2022/07/25
    • 松子さん
      はい!ハードボイルドが好きですっ
      そして、どうやら警察や探偵ものが好きみたいなんです。
      ブクログ始めるまで気がつきませんでした(^^;

      西...
      はい!ハードボイルドが好きですっ
      そして、どうやら警察や探偵ものが好きみたいなんです。
      ブクログ始めるまで気がつきませんでした(^^;

      西部警察は実はほとんど記憶がなく
      探偵物語は小学校の時、再放送でみました。
      この探偵物語が1番最初のハードボイルドの記憶で、内容はほぼ覚えていないのに、音楽と工藤ちゃんがほんとーに格好良かったのを覚えています。あとは、ジャッキーチェン、ガンダムあたりが、今の好きなものに影響している気がします。

      ごっ、ごきぶり刑事ですか⁉︎
      不思議なタイトルですね?
      でも、だーさんのおすすめ、きっと面白いんだろうなぁ。
      はい、機龍警察が落ち着いたら
      だーさんのおすすめ、挑戦してみますね。
      おすすめ、教えて下さりありがとうございます
      (^^)
      2022/07/25
  • 泣いた。久々に胸が熱くなって泣いたよ。
    熱い男、ユーリの生き様をみてくれ…読んでくれ!
    「機龍警察」シリーズの3作目「暗黒市場」を!

    この3作目だけでも勿論おもしろいけれど、ユーリの葛藤と燻っていた灯火の炎が息を吹き返す感動は、是非ともシリーズ1作目から読んで体感して欲しい。

  • 予想できないような、どんでん返しを期待する話も悪くはない。
    しかしながら、本作のように、「クライマックスでたぶんこうなって欲しいよなあ」と思う読者の期待に、見事に応えてくれるのも素直に嬉しい。

  • 班長……!!

    これに尽きます。面白かった。
    面白いばかり言ってられない、〈敵〉の政治圧力も怖くなります。警察組織だけでなく外務省にもとなると、沖津部長大変だ。。
    ユーリが生き延びて良かったです。本当は守られていたのか……警官の先輩たちにも、ゾロトフにも。「おれが守ってやる」のクリスじゃないか…容赦ないギリギリのラインだけれど。
    クワンさん何者なんだ、チャイニーズマフィアのビジネスマンにしてはスマートに協力してくる。シビアなビジネスマンなのかも?

    それにしても班長……刑事でした。ユーリに刑事を辞めさせたことずっと後悔してたのかなぁ、懺悔みたいにロシアから助けに来たと思うと。。でも、ユーリの危ない潜入捜査をロシアも把握してたってことはどこかから筒抜けなんだね。こわっ

  • 「突入せよ」
    何度も見てきた言葉ですが、この本以上に鳥肌が立つ事はありませんでした。
    -俺達の街を取り戻す。-仲間を取り戻す。-仲間の無念を晴らす。
    捜査員達の強い思いが一気に爆発し駆け出す姿は手に汗握ります。

    この本では、ロシアの裏社会だけで無く、東日本復興の名の下に中途半端な支援に因る現地の弊害も学べます。宮城県閖上の話しは本当なんですかね。本当なら大問題かと。

    この本はストーリー以上に、キャラクターの持つ仕事や仲間への矜持や思いが光り、感情移入出来る事が楽しみな作品です。
    ダムチェンコと沖津が言い表してくれています。「いい男だな」「まったくです」

  • エンタメすぎる
    おもしろすぎる
    ユーリオズノフ、良かったな。
    心では裏切られてなかった!!
    ダムチェンコ、ありがとう
    ユーリオズノフ、でたらめにかっこいんだろうな。これはもう決まり。
    人間性が良い。機龍警察、終わりが見えてくるの悲しい。
    ハリウッドいけるよこれは。

  • イワンの誇り高き痩せ犬 たちに乾杯
    という感じでしょうか。

  • 班長…!!
    ユーリの黒狗たる由縁が明かされる。ロシアのややこしさ。
    突撃部隊の3人の中でいちばん真面目で可愛い性格のユーリはお坊ちゃん気質を無自覚に発揮して、いつも土壇場で守られる。隠れ愛されキャラ。
    そしてミドリが皆のエンジェル。
    今更だが月村さんはこのSF世界で、現在の権力の暗部や国際紛争、戦争といったものを描き出そうとしてるんだな。大変勉強になる。
    1作品ずつ主要人物たちの過去が明かされていくのが定石のようなので次は誰だろう。オキツ部長かな?スガタ警部は長じてからの傭兵時代しか分からないからそっちかな?
    さぁ再生だ。

  • 突然の閖上の登場に心が騒ぐ。仙台で震災を経験し、閖上に住んでいた知人の親類が津波で亡くなっているので、フィクションとはいえこのような状況に陥っている彼の地をみると何とも言えない複雑な心境に陥る。
    しかしユーリが長年の呪縛から逃れることができたのが救いだった。今後は<敵>との戦いに、よりフォーカスが当てられるのか?

  • 「運命なんてただの影だ。臆病者だけがそれを見るんだ」
    「まっすぐに生きろよ。何があってもまっすぐにだ」


    記念すべき100冊目の感想として書きたかったため、買った後読まずに少し溜めました。

    対ではなく、相似していることに熱さを感じました。

  • ・・・か・・・カッコいい・・・orz

    いやもぅ、「機龍警察」シリーズは、どれもカッコいいんですけどね。これまでの作品同様、極めて重厚で救いようのない暗さを孕みつつ、ラストシーンに見える光の眩しさ、陳腐な表現をすれば「読後感の良さ」はシリーズ随一かと。

    SFとしての評価ポイントは、新型機甲兵装「キキモラ」と<龍機兵>の対比。<龍機兵>に匹敵する運動性能を誇るキキモラを倒すために、その本質を掴んだユーリが編み出した奇策が「そう来たか!」と膝を打つ面白さ。機甲兵装同士の戦闘シーンもサービス満点の描写ぶりで、重厚なストーリー展開の中で派手なドンパチも堪能できるという、稀有なエンターテインメント作品です。
    特に、下巻の舞台となる真冬の東北の雪景色を背景とした戦闘描写の美しさ!純白の雪、漆黒の樹影、紅蓮の炎。この色彩のコントラストを文章だけでここまで表現できるのは、さすが月村了衛、と唸らざるを得ません。

    でも、この作品の真骨頂は、やはり登場人物たちの魂の相克だと、鴨は感じました。
    <龍機兵>搭乗要員の3人は、皆複雑な過去があるようですが、職業軍人として戦闘を100%「ビジネス」として捉えている姿、もはや善悪の彼岸に魂を置いてきたかのように虚無を抱えたライザ、この2人に比べてユーリは「こちら側」の世界に必死にしがみついている印象がありました。時には冷ややかな視線を浴びながらも、ユーリがなお「こちら側」にこだわる理由。それが、この作品を読んで、ようやく分かったような気がします。
    ユーリの人生を変えるきっかけを作ったダムチェンコ班長の生き様は、鴨には正直よくわかりませんでした。それがロシアという国なのだ、と言われてしまえば、そういうものなのかもしれません。そうしたモヤモヤも含めて、人間模様をじっくりと味わえるのもこの作品の楽しみ方です。
    次のシリーズ作品も、絶対読むぞー!

  • 国や巨きな組織の前に、一個人の力ではどうしようもないことは確かにある。
    ただ、信頼や友情という言葉では表しきれないほどのかけがえのない仲間を得たときの一個人は、想像できないほどのパワーを発揮することも可能かも知れない。
    このように、現実の苦々しさに打ちのめされつつも、人間の素晴らしさに素直に感動するという複雑な読後感をもたらす本書で、印象に残った言葉は二つ。
    「最も痩せた犬達」と「クレムリンの二重構造」
    現時点で文庫化されているシリーズを、改めて再読したくなった。

  • 日本のどこかでロシアン・マフィアによる武器密売市場が開かれようとしている。大物マフィアのゾロトフと組んだユーリは、バイヤーとして参加を許された。その背後で展開する日本警察と密売業者との熾烈な攻防。渦中のユーリは自分とゾロトフとの因縁の裏に、ロシアの負う底知れぬ罪業が隠されていたことを知る。時を超えて甦るモスクワ民警刑事の誇り――至高の大河警察小説、運命の影と灯火の第3弾。

    スケールは大きく、でもどこか浪花節のテイストも感じられる作品であった。再読でも感涙ひとしお。

  • 月村了衛はこれで生きろ

  • 下巻は一気読み。
    善悪が簡単には区別できないロシアの複雑さ、武器市場の取引現場における様々な思惑、目的が異なる日本の省庁間の駆け引きなどに翻弄されながらも極限の状態を薄皮一枚で耐え続けるユーリ。
    賄賂に塗れた権力の犬であることを自覚しつつ、それを最小限に抑える矜持を込めた「最も痩せた犬」という通り名と、それを体現する「痩せ犬の七ヶ条」が随所で効いています。
    物語の重厚さ、近未来的戦闘装備の独創性、細部まで練り込まれた主要人物の人格を形成する背景、先が予想できない目まぐるしい展開など、文句なしの星5つです。

  • 再読
    上下巻通してやはり面白かった

    外務省の思惑などリアリティがあり興味を惹かれた
    牡鹿半島まで逃げる…はやり過ぎだけど

  • 読みごたえがある。シリーズ3冊目で一番良い。
    前作の自爆条項と同様に現在、過去、現在の3パート。今作の主人公は龍騎兵搭乗員のユーリ・オズノフ。
    ロシアの警察官時代の過去パートそれ自体も読ませるが、過去を引きずっているユーリと、過去と現在の事件の繋がりとアクションが重層的に描かれる。

  • 上下巻読了。 モスクワ民警時代に何があり、指名手配されることとなってしまったのか。また、どのような手順を踏んで警視庁特捜部と契約することとなったのかが描かれていた。一人の過去を細かくそして長く書いてあるのにスラスラと読ませてくれる軽妙な筆致とストーリーは圧巻。 また、作中の現在ではその過去の因縁を解決すべく奮闘するオズノフ警部はかっこよかった。

  • SFと警察ミステリーの完璧な融合。警察ミステリーの面からは、シリーズ3作目にして、ますます深い闇に閉ざされる。警察内部の「敵」の存在が闇に潜る。
    SFの面からは、龍機兵のリアリティがハンパない。目の前で躍動するドラグーンが見えてくる!

  • 上巻読了時に期待した以上の面白さ。まさに息もつかせない怒涛の展開。ユーリは、どんな窮地に陥っても常に自己の信じる心に従って突き進んでいく。決してあきらめない。頼れるのは自分だけ。その時どきで生きてくるのが、ロシア民警時代に教わった痩せ犬の7か条。しかし、最後の7か条目が判明する場面はあまりにも悲しい。
    ユーリが指針となる条文を頼りに単独で道を切り開いていく姿は、つまり、人は頼れるのはとどのつまり自分自身、ということを想起させてくれる。

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著者プロフィール

1963年、大阪府生まれ。早稲田大学第一文学部文芸学科卒。2010年『機龍警察』で小説家デビュー。12年『機龍警察 自爆条項』で第33回日本SF大賞、13年『機龍警察 暗黒市場』で第34回吉川英治文学新人賞、15年『コルトM1851残月』で第17回大藪春彦賞、『土漠の花』で第68回日本推理作家協会賞、19年『欺す衆生』で第10回山田風太郎賞を受賞。近著に『暗鬼夜行』『奈落で踊れ』『白日』『非弁護人』『機龍警察 白骨街道』などがある。

「2021年 『ビタートラップ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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