庶務省総務局KISS室 政策白書 (ハヤカワ文庫JA)

著者 :
  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150314712

作品紹介・あらすじ

庶務省総務局、経済インテグレート・サステナブル・ソリューション室の島崎室長と部下の中村君が手掛けるエレガントな政策提言。

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  • 庶務省総務局、経済インテグレート・サステナブル・ソリューション室。通称KISS室。なんだかそれっぽい名前の部署だが、蓋を開けてみれば職員はたった二人。政府が手に負えなくなった問題がたらい回しにされた挙句行き着く場所だ。

    一人は東京大学経済学部を卒業したキャリア官僚なのだが、ストレッチや携帯ゲームばかりして仕事は部下に丸投げする超ポンコツな島崎由香室長。
    もう一人はお金持ちの生まれでなんだかんだで仕事をこなす島崎室長のお守り役、中村くん。

    島崎室長の「中村くんさぁ...」でそれぞれの話は始まる。上記のような部署なので超ユルい笑 そんなユルさの中でいろんな問題をふざけてるのか真面目なのかわからないテンションで議論し合う二人の掛け合いが楽しい。中村くんの心の声は毒が入っていて面白いし、教養もやる気もない島崎室長のダメっぷりも良い。ダメなんだけどたまに指摘する内容が「確かに!」と思わせられる部分もあり、東大卒は伊達ではないなと感じるくらいのキャラ設定が絶妙。

    そしてそれぞれの問題をゆるーい角度からアプローチしていくので心をくすぐられてしまい、にやにやしながら読める。最終的に中村くんがまとめる案は想像がつかないものばかりで「おいおい、んなわけあるかー笑」...といつのまにか僕もこのユルい空気にのまれている事に気づく。これはシリーズ化してほしいなぁ。

    以下どんな問題に取り組んだのか簡単にまとめておく。

    1. 地球温暖化対策について
    2. 働き方改革について
    3. 日本のGDPについて
    4. 携帯料金について
    5. 北極航路について
    6. 日本における英語の発音表記について
    7. 閣僚・議員の暴言、失言対策について
    8. 少子化問題について
    9. 年金と老後の貯蓄について
    10. 大学入学共通テストの公平について
    11. それの答え「森羅万象一択式 共通テスト」について
    12. マイクロプラスティックの海洋汚染について
    13. 特殊詐欺について
    14. リサイクル問題について
    15. ギャンブル依存症の未然防止について

  • やや皮肉っぽい政策提言小説。サービス残業についてのこの解釈はありませんでした。

  • 読書アプリの新刊通知に「早瀬耕」で登録してたのに、一年近くも見逃してしまっていたのは、きっと、今回の作者名が「はやせこう」だったから。そして著者紹介も「1967年グリフォンズ・ガーデン生まれ」。最初見かけた時は、同名異人?と疑ったが、他の作品の紹介に「未必のマクベス」「グリフォンズ・ガーデン」があったので安心してレジへ持っていきました。ただ、「未必のマクベス」「グリフォンズ・ガーデン」らの重厚にして緻密な世界観から一転、架空の省庁で働く官僚二人の奇想天外な政策提言を、固有名はあきらかにしないが、折々の各国の元首や社会現象、日本の国民性を皮肉りながらも軽やかにくりだされていくショートショート。働きたくなさすぎて仕方ない東大卒のお嬢様島崎室長と、実家から一生働かないで暮らせるだけのマンション収入を与えられているがそのことを隠して働く中村くんの迷コンビが主人公。◆温暖化対策の潜水型流氷カニ運搬計画、残業の名称を変えるだけで残業を減らそうという残業パラダイムシフト、太陽帆を打ち上げて国際原子時をひそかにのばそうという政策、閣僚・議員の心拍数連動型アラームで失言・暴言の防止、胡蝶蘭のリサイクルなどなど…科学的知識を敷衍して大風呂敷を広げたものから、言葉遊びをひねったものから、リサイクルまでさまざまに、クスリとたのしませてくれる。貴国の元首の発言は記者に出す紅茶のフレーバーからある程度予測できるのでは?にMI5が、いやいやフレーバーではなく、砂糖の量だ!と得意げにうっかり漏らすやりとりが個人的にはツボでした。

  • 「無能な上司に変わって、ぼくが日本を変えないといけないらしい」

  • SARSインパクトがあった近未来のお役所の左遷室のお話。短くて読みやすいので旅行中に読むにはぴったりでした。時事ネタが多いので、数年後にも元ネタがわからなくなるような気がする。小さなネタから最後には大きな出来事も起こって、主人公たちも大活躍したりするのかなと思いましたが、最後までノリは変わりませんでした。

  • 人を選ぶショートショートでシュールな連作モノ。
    題名と裏表紙の説明で刺さる人には、たぶん刺さるんじゃないかな。

  • 面白かった!ユーモアと皮肉たっぷりのショートショートって感じかな。
    サービス残業の新しい可能性をみた!

  • 庶務省総務局、経済インテグレート・サステナブル・ソリューション室の島崎室長と部下の中村君が手掛けるエレガントな政策提言。

    とブクログの本書ページの作者紹介・あらすじにある通り、中村君の考えるちょっと荒唐無稽な面もある政策を提言。これがまた思いのほかスルッと採用されたりしてしまう。

    国際情勢に興味がある方にとっては楽しめる内容かもしれませんが、自分にはちょっと向かなかったな、と。

  • 軽妙なやりとりでテンポよくブラックジョークを織り交ぜながらすかっと気分にさせてくれる現代+近未来風ショートショート。とても楽しめた。
    森博嗣の短編を思い出す雰囲気。

  • 左遷された上司とその面倒を見るために配属されたと思われる職員の2人が国際問題への解決策を提示する。あり得ないんだけど、ハッとする記述もある。やりとりが好きで、どうしてもこの上司を嫌いになれないから不思議。

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