零號琴 (下) (ハヤカワ文庫JA)

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  • 早川書房 (2021年8月18日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (384ページ) / ISBN・EAN: 9784150314972

作品紹介・あらすじ

惑星美縟の巨大埋蔵楽器が五百年ぶりに奏でる秘曲・零號琴。大假面劇上演の夜、その音が暴く美縟の真実とは? 傑作ついに文庫化

みんなの感想まとめ

音楽とSFが融合した独特の世界観が広がる作品で、読者は音の波動を感じることで物語の深層に迫ります。理解しようとするあまり難解に感じる部分もありますが、自由な発想で楽しむことが求められ、漢字の読み方さえ...

感想・レビュー・書評

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  • 「グラン・ヴァカンス:廃園の天使」以来の第2長編とのこと。
    遅筆遅筆とはいいながらも確実に作を重ねている作家で、情けないことに9年前に読んだ「グラン・ヴァカンス」の思い出に酔うばかりで他の著作に手を伸ばせずにいた。
    ハードカバー版をチラ見して、重厚そうだなと感じていたが、なに、読み始めれば娯楽そのもの。
    キャラクターは丁寧に描き分けられ、漫画やアニメに親和性が高そう、と冒頭十数ページで、容易に軌道に乗れた(萩尾望都の絵柄で脳内再生)。
    ところがなんと漫画っぽいとかアニメっぽいという印象を越えて、そのまんまポップカルチャー諸々を取り入れた作りだと判り、断然面白くなった。
    あー「プリキュア」ね。そして「まどかマギカ」。てか「ゴレンジャー」って。「ジョジョ」の石仮面かな。手塚治虫「どろろ」じゃん。いや「火の鳥」のムーピー(思えば籘真千歳「スワロウテイル人工少女販売処」の視肉も)。「ナウシカ」の巨神兵というかまあ「エヴァ」かな。
    と元ネタを想起できる仕組みが、まず面白い。
    しかも後半に行くにつれて、作品を愉しむとはどういうことか、創作物で感情が動かされるとはどういうことか、二次創作とはどういう現象なのか、といった創作論・物語論に斬り込んでいく。
    ここが凄い。なのに凄さを言語化できない。
    それ以前に後半、どこで何が起き世界がどうなっているのか、よくわからない。混沌。
    わからないのに立ち上がってくる圧倒的な抒情。
    あ、やっぱり「グラン・ヴァカンス」の作家なのだな、と。
    ネットで探しても見つからなかったからレポート用紙3枚で用語集を作りながら読んだというのに、この体たらく。
    すごいものを読みました、ゴーグルなしにVR・ARを経験するなら本書に尽きる、ということだけ書き残して、数年後数十年後の再読に賭けたい。
    読後ネットで感想などなど漁ったが、作者自身がツイッターで「本作に限らず自作の多くは自罰的心性の産物」と語っていたのが印象深い。
    自分向けメモだが、「少女歌劇レヴュースタァライト」特に劇場版と併せて読むのもアリかもしれない。
    最後に、「想像しえぬものが、想像された」という帯を考えた編集者? にも喝采を。

  • SF的想像力
    理解しようとしてはいけない
    音で感じる。

    読み方の難しい漢字も勝手にイメージで読んでしまう度胸が大切。

    「音」とは波動であり「空気の揺らぎ」である。人は脳を通じて「音」を認識する。

    ドタバタ的アクションSF物語なので、そのものでも忙しく楽しい。
    か、「SF的想像力」を駆使して深読みすると、なかなか難物となる。
    あとがきの解説には助けられた。

  • 楽器?をモチーフにしたSFに対し、あらすじを読んだだけでは面白さがわかりませんでした。

    しかし、読み進めるにつれ物語に強烈に引き込まれました。
    想像は無限であり、凄まじい力です。

  • 凄まじい本だった。豊富で繊細な言葉が、こっちの想像力の枠を押し広げていくかんじがする。詩的な文章、色や質感を表す無数の語彙、文体が好きだし、上巻のアヴァンタイトルでもう参ってしまった。それでも作者のいわんとすることに私の貧困な想像力が追いついた気はしなくて、特に下巻の仮劇本番なんか、全然仔細に理解出来ていないんだろうな。一気読みしたこともあって体力すら追いついていないし…疲れた…笑
    〈行ってしまった人たち〉の未知なる力によって支えられた世界観や魅力的なキャラクター、何よりストーリーを夢中で追っていたら、最後の最後で物語は時間を遡り、陰鬱で恥辱にまみれ、だからこそ隠されていた「初め」を明かす。SFの最高のカタルシスだし、それを味わえてとても幸せ。でも欲を言うならセルジゥの活躍をもっと見たかったし、パウルやクレオパトラの鼻を明かす痛快さも味わいたかった。笑 とにかく続きが読みたい。せめてセルジゥがもう少し身体のパーツを取り戻すところが読みたい…。

    作者がノートで述べていた通り「お気楽な読み物」だと思って読んでいたから、解説で「それだけじゃない」可能性の一端を知って目を剥いてしまった。買ったのがずいぶん前なので帯付きの本だったんだけど、帯の煽り文句「それは日本SFの呪いか、それとも希望か」ってそういうことか。そういう読み方もあるのか。
    かつて一度だけ鳴った零號琴は原爆のメタファーでその余韻は今現在も続いている。その上で、私達(SFファン?戦後日本SFそのもの?)は梦卑ではないだろうか。原爆によって焼きついてしまい、同じ仮劇を何度も繰り返すことで自らを想像している。その目を覚まさせることに作者の企みがあると、解説はいう。
    〈亜童〉はアトム、〈牛頭〉はゴジラ、……多分〈鉄靭〉は鉄人だよね。〈守倭〉はウルトラマン? あとはなんだろう…。〈鋳衣〉〈孤空〉〈ぼう藍〉…うーん。

    ⚫︎あらすじ
    想像しえぬものが、想像された。 著者デビュー40周年記念刊行
    はるかな未来、特種楽器技芸士のセルジゥ・トロムボノクと相棒シェリュバンは、大富豪パウル・フェアフーフェンの誘いで惑星美縟を訪れた。そこでは首都磐記全体に配置された古の巨大楽器〈美玉鐘〉が五百年ぶりに再建されるのを記念し、首都の全住民が参加する假面劇の準備が進んでいた。だが案内役の咩鷺、菜綵とともに劇を観ていたトロムボノクらは、突如何者かの襲撃を受け――規格外の想像力に彩られた著者第二長篇
    (ハヤカワオンラインより引用)

  • 本当はハードカバーを書いたかったのですが、収納場所の兼ね合いで断念したことを後悔しています。どうにか場所を作ります。

  • 2023-04-17
    連載で読んでいたのとはかなり印象が違った。もちろん推敲されていることも大きいのだろうけど、一気読みすることでより祝祭感が際立ったように思う。
    モデルというか元ネタもじわじわ迫ってくる。言葉による幻惑を堪能した。

  • 大假面劇に向け再建が進む美玉鐘の演奏を任されたトロムボノク、劇作家ワンダにより主役に抜擢されたシェリュバンは、徐々に〈美縟のサーガ〉の成り立ちに迫っていく。咩鷺、菜綵、美縟芸能の目付け役〈班団〉、そして大富豪パウルーー。仕組まれた運命とそれぞれの思惑が絡み合いやがて迎えた上演の夜、秘曲〈零號琴〉が暴く惑星美縟の真実とは? 現実と虚構のはざまで物語を希うヒトの想像力を徹底的に描ききった傑作
    (2018年)
    — 目次 —
    第三部(承前)
    第四部
    無番
    第五部
    エピローグII
    エピローグI
    ノート
    解説ーー銀河を外から見るために/山崎聡

  • ひたすらエンターテイメント。細かい内容は気にせず、世界観と勢いを楽しむ。

  • 物語のための物語

  • 架空のアニメのストーリーになぞらえた展開に、いったい何を読まされているんだと思ってしまう(元ネタのアニメを観たことがないせいか、この部分はあまり入り込めなかった)。ただ、明かされる真相のスケールの大きさと、物語としての圧の強さは良い。

  • 読み終わったあとに、もう一回、読み返したくなる。
    スケールが大きくて、設定も細かく、把握しきれなかった箇所が結構あるだろうなぁ。
    假面、假劇、秘曲零號琴、亞童。おもしろい要素がふんだんにつめこまれておりました。

  • これだけ壮大なスケールの物語を紡ぐとなると、著者が寡作な作家である理由はよく分かる。第四部以降は付いて行くのが困難なほど怒涛の展開が続くが、終盤に差し掛かるに連れ、段々と興を削がれてしまった。解説に依ると、今作は日本SF全般と所謂オタク文化に対する二次創作的な作品であるようだが、パロディやオマージュの元ネタにピンと来ない私は第五部のごった煮感を素直に楽しめず、物語の筋道も結局のところ一本道なので、派手な作風の割に退屈な作品だった。勿論、このイマジネーションの洪水が魅力的なことは紛れもない事実なのだけれど。

  • 『娯楽』★★★★★ 10
    【詩情】★★★★★ 15
    【整合】★★★★☆ 12
    『意外』★★★★★ 10
    「人物」★★★★★ 5
    「可読」★★★★☆ 4
    「作家」★★★★★ 5
    【尖鋭】★★★★★ 15
    『奥行』★★★★★ 10
    『印象』★★★★★ 10

    《総合》96 S

  • 傑作である。
    オマージュの大盤振る舞いでオタクであるほど面白いはず。

    本作で終わらせるにはもったいなさすぎる世界観。続きを読みたい!

  • 前情報は一切知らず、帯の「假面」「古の巨大楽器」「秘曲」に惹かれて購入。目に浮かびやすい、SF的な異国の情景も楽しい。しかし読み進める内、グロテスクな印象に心拍数が上がる。神話や物語を想像させられて生かされていたという梦卑の存在に、ゾッとした。その在り方を強いてきた過去の人間にこそ、もっと嫌悪感を感じる筈なのに何でだ?と妙な違和感を持ちつつ読了。そして、解説を読んで納得。私も梦卑と同じ、夢の中に生かされていたのか…と脱力し、著者の意図に敬服。他の作品も読みます。外から見たい!

  • 初めての作家であり前評判も大きかったので、構えて読んでしまったけれども十分に楽しめた。

  • 単行本で二度読んだはずだが、面白くて文庫でも一気読み。イラストも解説も素晴らしい。「メタ戦後日本SF史小説」とも読めるだなんて、解説を読まないと気づかなかった。

  • よくわからなかったけど
    ステレムフレッシュ自体が
    自分たちを人間と思い込んでるって部分だけが

    今の洗脳された未来観に左右されてる
    日本人が当てはまり

    だからこそ零號琴を破壊せよ! なんだろう

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著者プロフィール

1960年島根県生まれ。島根大学卒。第1回三省堂SFストーリーコンテスト入選。『象られた力』で第26回日本SF大賞、『自生の夢』で第38回同賞を受賞。著書に『グラン・ヴァカンス』『ラギッド・ガール』。

「2019年 『自生の夢』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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