月の落とし子 (ハヤカワ文庫JA)

  • 早川書房 (2021年10月5日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (416ページ) / ISBN・EAN: 9784150315016

作品紹介・あらすじ

月探査船内で宇宙飛行士が謎の致死性ウイルスに感染する。制御を失った探査船は千葉県船橋市に墜落、恐るべきパンデミックがーー

感想・レビュー・書評

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  •  SF+パニックサスペンス+ミステリー…ジャンルを横断する傑作だった。描写のディテールの積み重ねが生み出す緊迫感がハンパじゃない。コロナ禍前に書かれたのが信じられないほど、現実に見事にリンクする部分があって、ラストに思わず涙が流れた。

    ※読了(2023/04/12)

  • 月で土壌サンプル採取中の飛行士の突然の死。月往還船の中でのウィルス感染。そんな一見あり得ないと思われるシチュエーションから始まる物語です。ウィルスを抱えながらも地球帰還を目指すパートと、その船が墜落して以降のパンデミックのパートに分かれます。解説にも書かれていますが、後半パートがよくあるパンデミック小説になっているのがちょっと残念かな。

  • 第9回アガサ・クリスティ賞受賞作を2019年11月早川書房刊。2021年10月ハヤカワJA文庫化。月面で始まった致死性ウィルス災害。千葉県船橋市のタワーマンションに墜落する月からの宇宙機。という息もつけない展開で、あっという間に読みきってしまいました。ウィルスがミステリーなの?。とすると月面での仕掛けはいいとして、地球にやってきてからは、そんなにミステリーしてなかったような。災害パニックものとしては、面白かったです。

  • 最初の50ページを過ぎたくらいで「あっ、これはダメだ」と感じた。

    著者は宇宙飛行士をバカにしすぎではないか?
    序盤の主人公的日本人は「科学的知識が皆無なのか?」と言いたくなるほどバカで感情的。仲間想いはいいが、行動が後先考えられておらず無能の極みで中学生のようだ。飛行士は非常事態に冷静に対処するための訓練を重ねているはずなのだが・・。また、「オートクレーブも知らないとか、人文科学的研究の目的で乗ったの?」とも思ってしまった。
    医師というロシア女性も劇症型の感染症を疑いながら、なぜ宇宙服を開けたのか?それも乗組員全員で。逆の展開(;他の飛行士が遺体に手をかけ、厳しく止めるが間一髪間に合わず。それ以降は地上と協力して感染症封じに躍起になるが・・)ならわからんでもないのだが、自分から率先してバラ撒いているようでは・・。
    指示を出した地上もアホばかりか。遺体の表面に付着したウイルスは数日は生存する可能性がある(ex. エボラウイルス)のは前世紀からの常識なのだが。

    ここまでの内容だけで、付け焼き刃で勉強した一般常識レベルの知識を賢しげに振りかざしているように感じ、その後のパンデミックを描けるのかと思ってしまった。

    「こんなものが賞を取ったの??他はよほど酷いのか?」と疑問だったので選考された際の評価を読んでしまったが、この賞はよほどひどいらしい。審査する側も気の毒。こんな賞やめればいいのに。


    それ以降は流し読み。45分程度で200ページ以上を読んでやめにしたが、読みやすさはあった。軽い。
    この作品のレビューで「ライトノベルなら星4つだが・・」という内容を見たが、まさにその通りだと思った。

    この作者は人の心理描写ができない。デキの悪い漫画やアニメのように安易にセリフにしてしまっている。セリフで状況を説明するのは、"絵"を表現の主とするそれらの媒体でも悪手(;優れた作品はセリフやナレーションではなく、絵で魅せると言われる)とされているのに、文字媒体の小説でコレでは、より悪いとしか言えない。
    文字媒体の作品は、映像で表現できない点に大きな不利があるが、その分、読者の想像を刺激する筆致、内面・心理描写や文字による考察、ミスリード、ページ数あたりの情報量の多さなど優れた点もあると考えている。この作品はその優れた点を生かせていない。著者は今までどんな作品を読んできたのだろうか。

    この作者は通常の小説作品への適性が無いので、軽妙な読み口という長所を生かしてライトノベル作家へ転向した方がよいだろう。少なくともハヤカワでは書かない方が良い。並ぶ作品と比較すると弱く感じてしまう。
    50ページ前後以降を読んでも専門的な知識の欠如、偏ったイメージが著しいので、本物を丁寧に取材するか、当たり障りの無い知識で書くべき。
    普通は真空中にあったサンプルを剥き出しで空気雰囲気中へ格納したりはしないし、宇宙服に付いた砂塵は計器を傷める危険があるので内部へ持ち込まないはず。
    実物の医学生物学系の研究者はよく訓練されていて、人前では ハリウッド映画やアニメに出てくるような常識外れの言動はしない。興味をむき出しで倫理からはみ出るような会話は仲間内のクローズドな場所だけで行うが、今回の設定の場合は興味よりも重責や緊張が先立つはずで、マッドサイエンティストのような言動が出るのは状況を理解できていない(= バカ)だけで場違いである。
    また、サイコパス的、というよりアスペルガーな優秀な人物もいるが、管理職はそんな人物を今回のような重要な現場に一人では出さないし、出す場合には本人が知性と統計学を駆使した"常人の皮"を着脱する術を心得ている。

    序盤の主人公のセリフや「病原体はミステリー、です」のセリフもイタい。本書の内容が、どうにも悪い意味でのアニメオタクくさいのだ。現実との乖離がひどいというか、悪い意味でズレているというか・・。

    嫌いな作家ではあるのだが、中山七里は「取材をせず自分の頭の中のみで考えて物語を書く」と後書きに書いていた。彼の作品には大きな違和感を覚えずに読み、取材していないことを最後に知って驚愕したが、それは彼が非常に優れた現実感のバランス感覚を持っているためだろう。
    一方、この著者は、「絶対取材していない」と思わせる浅い内容や、(知的)エリート(or 理系?)に対する偏見や嫉妬のようなものが文中に見えてしまってその部分も嫌悪・・というより蔑みの感情がわく。

    賞の名前と著者の名前を覚えた。2度と購入しないために。

  • 物語は、日本人の工藤晃とロジア人のエヴァが月面のシャクルトン・クレーターに降り立つところから始まる。クレーターに降り立った宇宙飛行士が未知のウイルスによって急死したのだ。このときのにじり寄ってくるような緊張感が、私をこの世界観の中にあっという間に引き込んでいく。その後、工藤とともにクレーターに降り立ったエヴァも吐血し、医療器具のない宇宙空間で、どうすることもできない状況に、ずっとハラハラしっぱなしで、緊迫感と絶望感が凄まじい。
    宇宙船オリオン3号は、不幸な要因が重なって地球へ落下を始めてしまうのだが、落下をする直前の「未知のウイルスを愛する母国に持ち込んではいけない」という工藤晃の決意や覚悟にグッとくる。
    工藤晃視点は、宇宙空間での出来事の間(小説の3分の1程度)しかないが、この時点で私はめちゃくちゃ工藤が好きになっていた。だからこそ、オリオン3号が自衛隊に撃たれ船橋に墜落した(撃たれなくてもどのみち落下していたとは思うが)ショックだったのだ。
    オリオン3号が落下したあとは、工藤の妹.茉由と感染症対策チームの深田視点に切り替わり、バイオハザード✕パニック小説ものに変わっていく。この時点で、私はめちゃくちゃ工藤宇宙飛行士を好きになってしまっていたので、墜落しウイルスを持ち込んだオリオン3号を悪く言う声が辛く、茉由の気持ちと完全にリンクしていた。
    最後には、感染対策のために完全に封鎖されてしまった船橋市で、茉由と深田は封鎖された都市の現状とオリオン3号に残されていた工藤晃の声を動画で届けるのだが──このときの工藤晃の言葉がめちゃくちゃ良い、綺麗事と言われればそうなのかもしれないけど、めちゃくちゃ響いた。全部を覚悟していたんだ。なんでこんな格好良いんだろう。宇宙飛行士はこんなできあがった人間じゃなきゃなれないってことなのか(オリオン3号を撃った自衛隊を何クソ!と思っていたが、工藤はそれすらも覚悟、むしろ望んでいた)(そしてこれは完全に私の個人的なぼやきだが、もっと生きてる工藤晃を私は見たかった……)
    正直なところ、いつのまに茉由と深田はできてたんだとか、美穂ちゃんと茉由の会話をもっと見たかったとか、思うところは色々あったけど、読み応えのあるお話だった。
    何がすごいって、この物語はコロナ前に発行されたというところ。決して絵空事の話ではない。コロナ禍の今、すべてが小説のようにはいかないが、工藤晃の言うような日本人であり続けたいと思う。アガサ・クリスティー賞受賞も納得。

  • コロナ直前に発売されたことは凄いタイミングだったと感じる。
    今は普通になっている感染予防はきちんと書かれていると思うが現実的には日本人は政府が決めたことは割と受け入れてしまうのではないか。
    エンディングは規模を持たせる終わり方だけど後日談とかあるのかな。

  • コロナと闘っている今だから、この作品は刺さったのかもしれない。未知のウイルスに対する恐怖。薬もワクチンもなく、医療従事者も足りない中で、毎日感染者数と死者が増えていく。

    どれだけ苦しくても、みんなが同じ方向を向くこと。普通なら何十年もかかるワクチンがわずか一年足らずで作られ、こうして感染者が減ってきているのは、みんながコロナを終息させたいと同じ方向を向いたから。この作品は、フィクションのようで、リアルを見ているようだった。

  • 工藤晃の章がスリリングで惹きつけられた。
    隔離された空間でのウイルス感染なら他人事でいられても身近に迫ってくるとパニックになるのは当然なんだろうな。
    非情だけどアメリカ政府の対応は間違っていないんじゃないかな。
    墜落事故だけを伝えられたら聞いた人はパイロットを恨むのは仕方ないけど、墜落までの詳細を知ることでパイロットを恨む人は少なくなるだろうな。
    起きたことだけを伝えられていることは実際に起きた事件でもたくさんあるんだろうな。詳細まで伝えるのは難しいんだろうけど知ることができたら印象が変わる事件は多いのかも。

  • 一気読み必至の一冊。
    実際にこんなことが起きたら、、、と思うと心底怖い。けれど、登場する人物たちが魅力的で希望を持たせてもらえる。
    時系列でつながる三章の物語だが、どの章も想いが込み上げる場面があった。
    それぞれが信念を持って行動する姿は涙を誘う。感想を書いている今もフレーズを思い出すと目頭が熱くなる。
    元船橋住民であり、現場は徒歩圏内のため、舞台が手に取るようにわかり、臨場感もあった。
    船橋の地図を見ながら物語を読むのもリアリティがあり、面白いかもしれない。

    地図の参考に
    プライムタワー→プラウドタワー
    デパート→船橋東武(ロータリーに直結)
    天沼公園→そのまま(駅北口の公園)
    総合医療センター→市立医療センター(但し駅までは徒歩では困難。バス利用必須。丘の上ではなくやや低地。)

  • 最後、キスで終わるんかい!になること以外は楽しかったです。

  • 序盤はとてもスリリングで面白かったが、地球での出来事になってからは物語の主軸がボヤケているような印象だった。
    特に茉由ちゃんの行動が、JAXAに所属する人間として行動が軽率過ぎはしないか……?報連相もしっかりできないような子にJAXAのメンバーが務まるのか……?ともやもやしてきてしまったので……
    序盤は面白かっただけに残念。

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